HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就職活動をする際には、自己分析は必須の作業と言われます。
自分自身のことは、自分が一番わかっているようで、いざ自分についてほかの人へ説明しようとすると、案外難しいことがわかります。
自分がどのような人物であるか、それを客観的に把握するための作業が自己分析です。
しかし、自己分析で自分自身をあらためて見つめ直してみようと思っても、何から始めたら良いかわからない人も少なくないでしょう。
ここでは、自己分析のやり方の1つとして、挫折経験を掘り下げて自己分析する方法を紹介しましょう。
【挫折経験から自己分析】自己分析をする意義
就職活動においてなぜ自己分析が必要なのか考えてみましょう。
自己分析は、生まれてから現在までのさまざまな経験を振り返ってみて、それぞれの場面で、自分が何を感じてどのように考えたのかを探っていく作業です。
どのような場面で、どのような感情を抱いたかを分析することで、自分が何に喜びを感じるのかなど、好き嫌いの傾向や客観的に価値観を捉えられるようになります。
就職活動での自己分析は、自分を知り、自分の将来のあり方を考えることが目的です。
自己分析によって自分がどの企業に向いているのか、またどのような仕事をしたいのか、どう生きたいかを考えたうえで、入社したい企業を選ぶことでミスマッチを防げます。
また、自身を客観的に把握することは、面接の際に自分自身がどのような人物であるかをわかりやすく伝えるためにも必要です。
【挫折経験から自己分析】挫折経験の定義
挫折経験とはどのような経験を指すのでしょうか。
挫折という言葉のイメージから、何か深刻な大きな出来事を想像するかもしれませんが、自己分析をする場合は、その大きさにはあまりこだわらなくても良いのです。
挫折経験は、「目標を決めて必死に努力したにもかかわらず、その目標に到達できなかった経験」とし、自己分析に使います。
必死の努力がともなわなければ、挫折感は生まれないため、単なる失敗と取り違えないよう注意しましょう。
【挫折経験から自己分析】なぜ必要なのか
挫折感は、自ら目標を設定し、それに向かって必死頑に努力した人でなければ感じられません。
「頑張った結果が成功であれば、そのほうが良いのではないか」と思うかもしれません。
しかし挫折を感じるような体験は、人の成長のためには大切なのです。
就職活動では、企業から挫折経験について聞かれる場合が多くあります。
企業は、その人が何を目標としたのか、どのような努力をしたのか、そして挫折を感じてもそれをどのように乗り越えたのかを知りたいのです。
その過程を聞くことで、その人の精神的な成長が想像できるうえ、価値観や人柄を深く知れるからです。
思考のプロセスを振り返れる
社会人になると、おそらく今までよりも多くの挫折を経験することになるでしょう。
仕事をしていくうえでは、その挫折をそのあとにどう活かして仕事をしていくのかが重要になってきます。
そのため、企業の興味は、挫折経験の内容よりも苦い経験をそのあとどうしたかといった、そのプロセスにあります。
大きな壁にぶつかったとき、どのような考え方をし、どのように行動する人物であるのかは、企業にとって関心の大きいところでしょう。
つまり、その経験を克服するために何を考え、どう行動してきたのか、そのプロセスにこそ価値があるのです。
挫折経験に対して、自身の思考のプロセスを振り返る作業は、自己分析ができるだけでなく、企業の知りたい自身の価値観や強みを企業へ伝えることにも役立ちます。
精神力と深いつながり
社会人になると、学生時代にはなかったさまざまなストレスにさらされることとなるため、そのストレスに耐えられるだけの精神力が求められます。
挫折を経験した人は、相当の精神力を使い、それを乗り越えたことでしょう。
そのような経験がある人と、まったくなかった人とでは、ストレスに対する強さがまったく異なるのは当然と言えるでしょう。
挫折経験によって人は成長するため、その経験からの自己分析によって、自身の精神的な成長を確認できれば、それを企業にアピールすることもできます。
ストレス耐性のある人物は企業に求められますが、ある人がひどくストレスを感じる事柄であっても、また別の人にとってはストレスにならない場合もあります。
挫折経験から自己分析をすることで、自分が何に対して強くストレスを感じるか、また自分にストレス耐性がどのくらいあるのかを知ることができるのです。
【挫折経験から自己分析】挫折経験の具体的な例
挫折経験を題材にして自己分析を行おうとしても、題材になりそうな経験が思い浮かばない人もいるでしょう。
何を挫折と感じるかは人それぞれです。
同じ事柄に対する感情でも、一生懸命頑張った人ほどそれがうまくいかなかったときには、挫折感を味わうものです。
したがって「こんなことで挫折を感じるのは精神的に弱い人間だと思われないだろうか」などと心配することはありません。
たとえば次にあげるような経験はないでしょうか。
学生生活で多くの人が経験しているであろう、以下のような経験でも、自己分析をする題材に十分なり得ます。
研究について
特に理系の学生であれば、研究や実験で苦労した経験があるのではないでしょうか。
研究は、失敗を繰り返しながら進めていくのが常であり、どうしてもうまくいかないときもあったでしょう。
必死に努力しても、思うように研究が進まなかった経験をしているならば、それでかまわないのです。
試行錯誤する過程の中で、自分の思考の傾向などを探り、自己分析をしてみましょう。
自分はどのように考えてそのアプローチをしたのかなどを振り返ってみると、自分の考え方の傾向が見えてくるかもしれません。
頑張って努力した結果うまくいかなかったとき、自分は何を考えどう行動したのか、研究での苦労を取り上げて自身の感情の動きや行動を細かく思い出してみることで、自己分析につながるのです。
研究室選び
研究や実験について「自己分析の題材となり得るような苦労はなかった」という人は、研究室選びはどうだったか振り返ってみましょう。
研究室選びは、学生にとって非常に大きな問題です。
入りたい研究室で大学を選ぶ学生も少なくないでしょう。
しかし、人気のある研究室では、希望する学生のすべてが入れるわけではありません。
その研究室で研究することを目標に、つらい受験勉強を必死で頑張って合格を果たしたのに、選考で落とされたり場合によっては抽選に落選したりして、希望する研究室への入室が叶わなかった人もいるでしょう。
人によっては、その研究室に行けないのであれば、その大学を選んだ意味さえ失ってしまう場合もあるでしょう。
そのときどのような行動を取ったか、どうやって気持ちを切り替えたか、それを分析してみることで、自分の傾向がわかることもあります。
大学受験
大学受験の失敗の経験も、自己分析をするうえの挫折経験として十分題材となり得ます。
経験したことのある人が多いため、挫折経験として扱って良いかどうか迷う人もいるかもしれません。
しかし、人によっては、その大学に合格するためにいろいろなものを犠牲にして努力し、人生を賭けた挑戦である場合もあります。
大学受験にかける思いや努力が大きければ大きいほど、その大学に落ちたときの挫折感は大きくなります。
どんなに頑張っても、叶わないものがあるのだと大きく感情が揺さぶられた人もいることでしょう。
そのとき自分の悔しかった気持ちをどうやって切り替えたか、そのあとどのような努力をしたのか、その結果何を得られたのか、分析する価値は十分にあります。
【挫折経験から自己分析】挫折経験から自己分析をする方法は「深掘り」
ここでは、挫折経験からどのようにして自己分析をしていけば良いのか、具体的に紹介しましょう。
方法としては、なぜそうなったのかをとにかく深く掘り下げていくことです。
ポイントは、結論が出るまで、なぜと問い続けることです。
例として「イベントを開いたが、お客さんがまったく来なかった」という経験を分析してみましょう。
「経験」:イベントを開いたが、お客さんがまったく来なかった。
「問い」:なぜお客さんが来なかったのか?
「答え」:忙しくて集客する余裕がなかった。
「問い」:なぜ余裕がなくなったのか?
「答え」:役割分担を明確に決めていなかったため、仕事を1人で抱え込みすぎた。
「問い」:なぜ役割分担を決めなかったのか?
「答え」:仕事を分担することで仲間に負担がかかり、ついてきてくれないのではと不安だった。
「問い」:なぜ、ついてきてくれないと不安に思うのか?
「答え」:1人になりたくない、ついてきてくれないと1人になってしまう。
この場合には、ここで「1人になりたくない」という自身の感情が明確になっています。
このことから、1人で仕事をすることよりも仲間と一緒に働くことを好む傾向があり、弱みとしては、仲間に遠慮がちになってしまう傾向があるとわかります。
【挫折経験から自己分析】注意点
挫折経験を題材として、正しく自己分析を行うためには、注意しなければならないことがいくつかあります。
自己分析をする場合は、就職活動と切り離して、純粋に自分を見つめ直すために行う姿勢が必要です。
その結果得られた客観的な自分像を企業選びに活用することで、より自分に合った企業選びをするのがその目的です。
目的をしっかり頭に入れ、正しく自己分析をしましょう。
以下にやってしまいがちな行動をあげてみましたので、このような自己分析になっていないか注意しながら行いましょう。
先入観に左右されてしまう
自己分析は、就職活動の際の志望動機や自己PRを考える場合に役立つのはたしかです。
そして自己分析によって明らかになった、その人の価値観や性格の傾向は、企業の求める人物像に近ければ近いほど採用選考に有利なものとなります。
しかし、自己分析は企業を選ぶ前段階で、本当の自分を把握するために行わなければなりません。
企業ありきで自己分析を行ってしまうと、自分でも気づかないうちに企業の求める人物像に寄せてしまい、純粋な自己分析ができなくなってしまいます。
採用してもらうための人物像を作りだすための自己分析では、ミスマッチを防げません。
先に入社したい企業が決まっている場合はなおさら注意して、志望企業とは切り離して、自己分析を行うことに集中しましょう。
挫折経験だけで自己分析をする
自己分析は、生まれてからこれまでの、自分の記憶にあるさまざまな経験に対して、自分の感情や思考を探る作業です。
挫折経験はそれまで経験してきた多くの出来事の中でも、記憶に鮮明に残っている場合が多く、行動や感情の動きを思い出しやすいため、自己分析が行いやすいエピソードであることは確かです。
しかし、挫折経験だけで自己分析を終えてしまうと、どうしても偏りが出てしまうため注意しましょう。
挫折した印象ばかりが色濃く残り、自己分析の結果得られた自分像が、自己肯定感が低い印象になってしまうおそれもあります。
大きな出来事でなくてもかまわないため、幅広く多くの経験を思い出して自己分析してみることが大切です。
自分の芯の部分が発見できるよう、深掘りできるエピソードをできるだけ多く見つけましょう。
まとめ
就職活動では、当然ながら、多くの企業の中から自分の就職したい企業を選ばなければなりません。
そのため、企業研究や業界研究をしてできるだけ詳細に企業を調べることが必要になってきます。
しかし、企業について知るだけでは、ミスマッチは防げません。
自分がどのような会社に向いているのか、また入社後にどのような仕事をしたいか、どのように生きていきたいかを考えるためには、自分自身について客観的に把握しなければなりません。
そのために自己分析が必要なのです。
ここでは、挫折経験を掘り下げて、自己分析する方法を紹介しましたが、自己分析の方法はほかにもいろいろあります。
以下の自己分析についてのページなどを参考に、納得のいく自己分析方法を見つけましょう。