HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
理系の大学や学部へ進んだ方の中には「自分の専攻している分野についてもっと踏み込んだ研究がしたい」と考えている方もいると思います。
自分の専攻分野において、将来の幅を広めたいと感じている方は、研究留学に挑戦することも良いかもしれません。
なぜなら、専門分野において自身の研究が進歩したり、いつもと違う目線からアプローチを行うことで見えなかったものが見えたり、著名な学者や専門家との人脈ができることにつながるからです。
研究留学をするとなれば、海外での生活が余儀なくされます。
この記事を通じて、具体的に留学する方法から研究留学からあなたが得られるメリットやデメリットを比較し、自分にとってプラスになるかどうか考えてみてください。
【理系大学院生の研究留学】研究留学とは
まず研究留学とは、現在在籍している大学で研究をするのではなく、海外にある自分と同じ分野について研究を行っている大学に留学することです。
普通の留学は学位を取るために、学生として大学や大学院に行き授業を受けます。
それに対して研究留学とは、1人の研究者として大学院や研究機関に行き、自分の専門分野について研究することを指します。
ドクターコースやマスターコースで留学し、自分の専門分野について没頭できるのが魅力の1つでしょう。
パターンとしては、大学院に留学するパターン・研究所に留学するパターンがあります。
また、研究を成功させるためには時間が必要となるため、滞在期間は少なくても1年以上となることが一般的です。
そのため研究留学とは、テーマや能力に関係なくできるわけではありません。
ある程度の学力や語学力、対象となるテーマを専攻し、知識を持っていることが必須条件となります。
【理系大学院生の研究留学】研究留学のメリット
海外へ留学するとなると、安心して研究できる日本とは違い、不安に思うこともあるでしょう。
そのようなデメリットを覆すほど研究留学にはメリットがたくさんあります。
たしかに研究留学にはデメリットも存在します。
しかし、研究留学した際の経験はさまざまなところで活かせるのです。
ここでは研究留学のメリットのうち、より高度な研究を行えること・人脈が広がること・キャリアアップに役立つことの3つを紹介していきます。
人によって価値観は違うため、メリットとデメリットの重みも変わってくるでしょう。
そこで紹介されるメリットをもとに、自分にとって研究留学が必要か、しっかりと考えることが大切です。
より高度な研究を行うことができる
研究留学であなたに合った留学先を見つけられれば、日本ではなじみのない研究に挑戦できます。
また、著名な研究者が在籍している研究室ならではの知識を身につけられるのです。
たとえば、農業分野では物理的に気候や環境に左右されるため、海外でしか研究できない場合が多々あります。
また、その研究に力を入れている大学院や研究所であれば予算が多いため、プロフェッサーの人数が多かったり、最新の研究設備があったりと充実していることも少なくありません。
プロフェッサーが多く、研究設備が充実しているということは、あなたの研究をより高度なものに成長させてくれます。
人脈が広がる
次のメリットは、世界中から集まった優秀な学者や専門家たちと交流し、意見を交わせることです。
専攻する分野において有名なラボやアカデミーであれば、同じ道を日々分析し研究している方が世界各国から集まっています。
その道に優れた専門家との人脈ができるのはもちろん、著名な学者との研究結果のやり取りを通して、第一線の知識を得られるだけでも将来、価値のある経験と言えるでしょう。
人脈を築けば、あなたが10年かけて集めるはずだった知識を教えてもらえたり、発見できなかった情報を教えてもらったりできるのです。
キャリアアップに役立つ
最後に紹介するメリットは少し先の就活やキャリアアップにつながることです。
専門性が深くなるほど、海外の研究者との関わりが増えていきます。
その際に研究留学をしていれば、そのときの人脈に頼ることもでき、留学しているときに直接話が聞けて、日本にいるほかの人より研究が進むでしょう。
研究が進んでいるということは、異文化コミュニケーション能力を身につけられているという実績にもなるのです。
理系学生にとって英語が堪能であるということは、就活をする際にとても大きな武器となります。
専門知識と英語を掛け合わせることで、ライバルとかなり大きな差をつけ、就活時にアピールできるでしょう。
【理系大学院生の研究留学】研究留学のデメリット
次は、研究留学における問題点や欠点について紹介していきます。
デメリットを早めに理解しておけば、留学をする際にしっかりと早めの準備ができ、不安を削ることにもつながります。
また、メリットとデメリットを比較することで、あなたの将来に研究留学が必要かどうか、あらためて真剣に考えることもできるでしょう。
それでは、研究留学をするうえでのデメリットといわれる中から、3つの理由について、くわしく紹介していきます。
誰でも参加できるわけではない
まず、あなたがいくら研究留学に行きたいと思っても、一定の学力や高い第二言語能力がなければ、研究留学はできません。
特に理系の方であれば、言語の壁を厚く感じる方も多いのではないでしょうか。
研究者として留学するのであれば専門用語を理解できたり、論文を読めたりする程度の語学力や知識は最低限欠かせません。
日常会話レベルの英語力では、研究を進めることや、せっかくの貴重な学会に参加することも難しいでしょう。
そのため日頃から論文を英語で読み、さらにその発音や意味をきちんと調べて少しずつ準備を進めておくことが大切です。
また、TOEFLやTOEICなどの資格をもっておくと志望する研究室への受け入れでも有利になります。
研究が成功する保障はない
とても著名な学者や専門家がいて、最先端の設備が整っていたとしても、必ず研究が成功するとは言えません。
あなたの留学先の環境が整っていたとしても、あなたのコンディションや運、目的を明確に設定できなければ意味がないのです。
失敗することもあり、留学をしても研究の成果が出ないケースも当然あります。
特に、留学してから英語力を伸ばそうと考えている方は、きびしい現状にあります。
留学先でも日々周りの研究は進んでいき、あなたが英語力を身につけるのを待ってはくれません。
前述した語学力はあなたが知りたいことを聞き、自分の考えを話すうえで重要なスキルなのです。
貴重な研究時間を無駄にしないため、自分に合った指導をしてくれる、教授を探し、準備をしておくことが成功の秘訣です。
多くの費用がかかる
最後は学費や渡航費、現地での生活費などの経済的な負担が発生してしまうことです。
たとえばアメリカの場合、有名私立大学院に留学すると1年間に200~600万円ほどの費用がかかるといわれています。
また、学生ビザの場合は現地でのアルバイトを禁止されている場合が多く、もしアルバイトが許可されていたとしても、限られた時間はなるべく多く研究に費やすべきです。
一方で給付型の奨学金などの制度もあるため、一度調べてみると良いでしょう。
【理系大学院生の研究留学】研究留学をするための準備
研究留学すると決めた方はさっそく準備に進みましょう。
進めるべき準備はたくさんあるため、早めの行動が大切です。
研究留学までの準備として、研究するテーマを決めたり、専攻している研究テーマに強い留学先を探したりするだけでなく、航空券やパッキングなどほかの準備も必要です。
この記事では特に重要な研究留学までの準備として、自分の研究するためのテーマを決めること・専攻する分野に合った留学先を決めることの2つを重点的に紹介していきましょう。
研究するテーマを決める
まずは研究テーマを決めることが大切です。
留学するための国やラボ、アカデミーなどを選ぶためには研究テーマの決まっていることが前提条件になります。
言い換えれば、研究テーマによってすべてが決まってくるため、研究テーマを決めることが重要になるのです。
テーマは日本で専攻している研究内容や、新たな目線から見た課題であっても問題ありません。
しかし、海外だからこそ調査できるテーマを選ぶと、研究留学がより実りのあるものになるでしょう。
留学先を決める
研究テーマが決まったのであれば、次は留学先を決めましょう。
国によって特に力を入れている分野が違うため、研究テーマによって選ぶべき国が変わってきます。
医学やビジネスの分野では、ドイツには特化している大学院が多く存在しており、開発学やビジネス学の観点で見れば、イギリスなどが特に力を入れている国としてあげられるでしょう。
また、ビジネス系やIT系の分野であれば、世界各国の留学生たちから特に人気を集めているのはアメリカです。
ほかにも、さまざまな分野の学問を学べる点で、アメリカが留学先として不動の人気を誇る理由と言えるのです。
留学先は研究テーマにあわせて考えてみましょう。
大学院を決める
大まかな国が決まれば、次はどこに受け入れてもらうかです。
自分で探す場合は、大学院のレベルや環境・設備、また日本からのアクセスなどを基準に決めると良いでしょう。
その際には大学に入れる寮があるか確認すると、留学費用を抑えることにもつながります。
自分で滞在先を探す場合は、その土地の治安が安全かどうかなどを調べておくと良いでしょう。
1年というのは研究をしていると短く感じますが、滞在中に不便を感じると、常に不満が溜まることになります。
見知らぬ土地でストレスを溜めないためにも、しっかりとした調査が必要です。
教授に紹介してもらう
日本にいる自分の担当教授に紹介してもらうことも、留学先を探す1つの方法です。
日本の大学院に通っている場合、担当教授が海外の大学院に所属している専門家や、研究室に在籍している学者とのコネクションを持っていることもあるでしょう。
あなたに合った大学や研究所を紹介してもらえるため、研究留学に不安がある方におすすめです。
また受け入れ先でも、日本人の研究留学者を受け入れた経験があり、頼れる場合もあります。
教授に紹介してもらう場合は、実際にそこに行ったことのある先輩を紹介してもらい、経験を聞くこともできるでしょう。
指導を受けたい海外の教授を探す
2つめは世に出ている論文や学会から、指導してもらえる教授を探すことです。
海外に籍がある教授の研究であっても、日本にいながら自分が同じ道をたどる研究テーマかどうか、論文などを通して調べられます。
気になる研究を進めている教授が見つかった場合、メールなど質問を通してコンタクトを取ってみましょう。
うまくいけば、日本にいながら研究留学のための人脈を作れることもあります。
自分に合った指導をしてくれる教授が見つかれば、研究が失敗する可能性を限りなく低くできるでしょう。
研究テーマに沿って行き先を選ぼう
前述したように国や地域により、発達しているテーマは異なります。
医療であればドイツなど、発達している分野によって、おのずと行き先が決まってくるでしょう。
研究設備が整った施設や、有名な研究者のいる研究所を選ぶことは、あなたの研究留学を充実させるためにとても大切です。
テーマによっては、そもそもその国では日本より研究が進んでいないことだってあります。
研究留学を成功させるためには、自分が学びたいと思った研究について、留学先へ行く前にしっかりとした事前準備が欠かせません。
留学する手段を決める
まず留学には短期留学と長期留学があります。
短期留学とは、長期休暇を利用して1週間から1ヶ月ほど現地の語学学校や大学などに通う留学方法です。
長期留学とは一般的に、4ヶ月以上滞在する留学方法です。
どちらにも魅力的な部分はありますが、この記事では長期留学をおすすめします。
タイミングは大学在学中に英語力を高められ、ある程度専門的な知識を身につけた頃が一番です。
したがって、修士になった頃が良いでしょう。
留学する手段は3つあり、どの手段にもメリット・デメリットの両方があるため、ぜひ自分に合ったものを選びましょう。
交換留学する
まず紹介するのは交換留学です。
この方法は、大学院へ留学する場合に有効です。
基本的には、学費は在籍する大学に納め、留学先で授業を受けて、研究を進めます。
留学先でもらえた単位は、国内の大学の単位として認めてもらえるため、休学せずに留学したい方は交換留学が良いかもしれません。
しかし評価基準が日本よりきびしいことや、そもそも板書が筆記体で読めない可能性があります。
また、交換留学は学内選考があることや、留学先が事前に決められているということをデメリットにあげられるでしょう。
休学して留学する
交換留学とは違い、文字通り休学して研究留学をする方法になります。
この場合は、別途授業料が必要になるため、授業を受けない場合が多いです。
休学することで授業を受けなくて済むため、留学中の時間を限りなく研究に費やせるのが最大の魅力でしょう。
修士課程や博士課程の学生は、大学院だけでなく研究所で研究をする人も大勢います。
この場合、共同研究先や教授の紹介で留学するパターンが多いです。
留年などでキャリアが停滞するなどの懸念もありますが、留学で得た経験をキャリアで活かせることもあるため、今一度あなたの今後の計画と向き合ってよく考えてみましょう。
長期休暇を利用して留学する
最後に長期休暇を使った短期留学についても紹介しておきましょう。
長くても2ヶ月くらいになるかもしれませんが、大学の長期休暇期間中に研究留学することも可能です。
たしかに研究留学をするのであれば、長く滞在したほうが研究の途中で帰国するケースも少ないでしょう。
しかし、英語力に自信があって目標もしっかりと定められているのであれば、可能になります。
また留学に不安がある場合は、まず短期留学で語学力や留学先の生活にある程度慣れてから、長期留学に挑戦すると安心でしょう。
留学の準備を進める
研究留学をすることが決まれば、早めに準備することが大切です。
パスポートやビザの取得、航空券の手配やパッキングなどを行いましょう。
まだ大学生などで時間がある方は、一度準備しなければいけないことを書き出してみてください。
パスポートやビザを取得するときに必要なものの確認や、旅慣れていない方は航空券を手配する方法や、パッキングの練習もしておくと忘れ物もなくなるでしょう。
海外に行く場合は国内旅行と違い、現地で必要なものが売っていないケースもあります。
不安のある方は留学エージェントなどを利用するのも1つの手です。
また大学院に行く場合は、書類などの手続きが必要です。
【理系大学院生の研究留学】研究留学を成功させるためのポイント
せっかく多くの費用や長い時間をかけて研究留学に挑むなら、失敗は避けたいものです。
ここからは貴重な研究留学を無駄にせず、成功させるために必要なことを紹介していきます。
特に大切なのは、目的を明確にすること・良い成績を収めておくこと・語学学習をしておくことです。
研究留学において、目的をあらかじめ意識しておくことで、無駄な時間を過ごさずに済みます。
留学に関する具体的な準備を進めつつ、以下のポイントもしっかり頭に入れておきましょう。
目的を明確にする
まず、研究留学をする目的や目標を明らかにすることが大切です。
それらが明確になることで、自分に合っていて成長できる留学先を選べます。
目的を明確にしておかないと、留学で何を得れば良いかがあいまいになってしまいます。
留学中のプランはもちろんのこと、留学後のキャリアプランなど、自分の将来についてもきちんと考えておくことがとても重要です。
特に目的や目標のない状態で臨むのは、受け入れてくれた研究所や大学にとって迷惑です。
また、せっかく紹介してくれた教授の好意を無駄にしてしまいます。
研究留学をするときは、いろいろな人の手助けがあってできていることを忘れてはいけません。
良い成績を収めておく
実は正規留学をする際に、入学試験を実施していない学校がとても多く存在しています。
留学試験のない場合は、高校や大学在学中の成績や推薦状、そしてTOFLEやTOEICなどの英語試験のスコアで合否が決まることになります。
そのため、なるべく良い成績を取れるように努力することがとても大切なのです。
また基礎知識を身につけておくことで、留学先でも研究をより良いものにもできます。
大学で勉強するとき、日本に限らず海外の論文を読んでおくと、留学先でも苦労しないでしょう。
語学学習をしておく
コミュニケーションができなければ、海外へ研究留学をする際に致命傷となります。
滞在先で覚えようとしている方もいるかもしれませんが、語学を習得するまでは時間が無駄になってしまうのです。
まずは語学系の資格取得や、語学力を向上させるために短期留学を経て、基礎学力をつけてから研究留学へ挑戦するのがおすすめです。
特に研究テーマの専門用語は必ず押さえておきましょう。
研究を進めるうえで専門用語の知識は欠かせません。
専門用語がわかれば、最低限何について話しているのかがわかります。
身振り手振りやフィリーリングで相手に伝えることもできますが、研究留学では自分の語学力がそのまま成功につながっているのです。
まとめ
ここまで記事を読んだ方は、研究留学がとても重要だと感じたと思います。
しかし、それと同時にやらなければいけないことも多く、難しく感じたことでしょう。
しかし、自分で目標を決めて新しい場所で自らやり遂げることは、とても貴重な経験になります。
すでに毎日研究や授業で忙しい日々を送っており、なかなか研究留学に手が出せないと悩んでいるのであれば、一度留学エージェントや担当教授に相談したり、留学経験のある先輩に話を聞いてみたりするのも良いでしょう。