HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
大学卒業後の進路として就職のほかに大きな存在感のあるものの1つが大学院への進学です。
大学で行った研究をさらに深めたい場合、より専門的な職業に就きたいと考える場合、大学院への進学は必要になってくるでしょう。
進学先の大学院は大学と同じである必要はなく、それどころか日本国内にも限定されていません。
自身のキャリアを高めたいと思うのであれば、より広い視野から進学先を探す必要があるのです。
今回はそんな海外の大学院のなかで、特にアメリカの大学院について紹介をします。
【アメリカの理系大学院進学の実態】アメリカの大学院の特徴
大学や大学院の留学先としてアメリカはメジャーな場所の1つです。
アメリカでは大学院を「Graduate school」、それに対して大学を「Undergraduate」と呼び、より大学院進学後の修士課程や博士課程が重要な意味をもっています。
実際のカリキュラムやシステムは大学院によって異なりますが、アメリカの大学院に共通した特徴もあり、それを知っておくとより適切な進学先の選択が可能です。
アメリカの大学院がどのような特徴をもっているのか見ていきましょう。
世界最先端の研究!
科学や工学といった分野では、最新の設備がアメリカの大学院に設置されており、そこで世界的に最先端の研究が行われているケースもしばしば見られます。
日本国内で学んでいる場合、アメリカの大学院で発見された事実や新たな発明が伝わってくるまでに時間がかかり、最先端とのあいだにタイムラグが生じている場合もあります。
リアルタイムで最先端の研究に立ち会い、その分野の先頭を走っていく経験は学びとして得る部分も大きく、研究を進めるうえでの強い原動力になるでしょう。
なかには教科書やニュースで名前を見るようなスペシャリストが、フラットなスタンスで学生と研究を行う研究室も存在します。
ときには扱う分野が最先端過ぎて、教科書がまだできていないケースもあるなど、最先端の研究と学びが直結している点はアメリカの大学院における特徴の1つです。
幅広い年齢層が講義を受けられる環境がある
日本では高校を卒業したら就職するか大学に行き、大学を卒業したら就職するか大学院に行く、というケースが一般的です。
学生の平均年齢もその想定に近い数値に留まっています。
一方で、アメリカの大学院に在籍している学生の平均年齢は32歳です。
大学卒業後に自身でお金を稼いでから進学するという人も多く、大学院での学びに対する価値観も大きく異なっています。
年齢より学力が重要視される社会だからこそ、こういった選択も珍しいことではありません。
幅広い年齢層のなかで講義を受けることで、広い視野をもち、多角的な視点で学ぶことが可能になります。
また、年齢にとらわれずやりたいことにチャレンジするという人々に囲まれれば、自身もいい刺激を受けられるでしょう。
インプットが中心
アメリカなど海外の学校では日本と違って、暗記や詰め込みのインプットは少なくアウトプットが中心、といった印象をもっている方もいるでしょう。
しかし、アメリカの大学院ではインプットにもかなり力を入れる必要があります。
より正確にいうならば、アウトプットをするためにインプットも重要視しているのです。
ディスカッションなどアウトプットをするためには、その分野についての深い知識が求められます。
そのため、教科書の内容を深く読み込む課題が大量に出され、それを単に暗記するだけでなく自身で解釈しなければいけません。
また大学や学科によっては、修士課程でも研究より、授業における学びが中心となる場合があります。
アメリカの大学院を目指す場合は、インプットとアウトプットのバランスを事前に調べておくといいでしょう。
【アメリカの理系大学院進学の実態】アメリカの大学院に進学するメリット
ここまで日本とは異なるアメリカの大学院の特徴について紹介してきました。
最先端の研究環境や幅広い年齢層との関わりなど、魅力的な点も多かったのではないでしょうか。
それでもやはり、日本を離れて海外の大学院に進学するのは、人生において大きな決断です。
漠然としたビジョンだけでは、日本ではなくあえてアメリカの大学院へ進学するのを決めることはなかなか難しいかもしれません。
つぎはアメリカの大学院に進学するとどのようなメリットがあるのか、具体的なポイントを見ていきましょう。
インターンシップに参加できる!
アメリカの大学院ではカリキュラムの一環としてインターンシップが組み込まれている場合もあり、学生はそれに参加できます。
インターンシップに参加する機会が多いだけでなく、大学側も積極的にそれを奨励しているのです。
大学によっては、インターンシップへの参加が卒業の必須条件に設定されている場合もあります。
もし大学が地元の企業と提携していれば、自分で時間をかけてインターン先を探す必要もありません。
夏休みにインターンへ参加する学生も多く、これにより授業の単位だけでなく、現場で働くことによる経験や人脈も得ることができます。
アメリカでは日本以上に実際の経験や技術が重視されるため、インターンに参加することは大きな意味をもっています。
大学在籍中から実践的な経験を積める点は、アメリカの大学院における大きなメリットです。
スケジュールがフレキシブル
アメリカの大学院は履修期間がほかの国に比べると長めに設定されています。
その期間内で、フレキシブルにスケジュールを立てることが可能です。
夏休みも長めに設定されているので、そのあいだインターンに参加して経験を積んだり、ほかの専門学校に通ったりするケースも少なくありません。
単位を取得するペースも個人にゆだねられているので、自身の学びたい内容や、やりたいことに応じて柔軟な学生生活を送ることが可能です。
またアメリカの大学院は先述したように、多様な立場の幅広い年齢層の学生が在籍しています。
そのため、授業が夕方以降の比較的遅い時間から始まる場合もあり、朝から昼にかけてをほかの学習やインターンに使うこともできます。
学びたいことが多くあり、そのために時間を有効活用したい人にとってアメリカの大学院は理想的な環境だといえるでしょう。
研究力は世界トップレベル
先に述べたように、アメリカの大学院では世界でも最先端の研究が行われており、設備も最新のものを使える可能性があります。
現在学んでいる分野の知識をさらに深め、高い専門性を身につけて研究ができる点は、アメリカの大学院に進学するメリットの1つです。
これは研究分野や大学によっても異なるため、自身の専門分野について現在の最前線はどこなのかしっかり調査しておきましょう。
また、研究や開発以外の分野においても、アメリカの大学院では非常に実践的な講義が行われています。
ビジネスの第一線に立つ人物から直接学ぶ機会も多いため、あらゆる分野で実践的な最先端のノウハウを学ぶことができます。
自身が学びたい分野において、アメリカの大学院が最先端の研究を行っている場合、日本を離れての進学は大きな意味をもつでしょう。
【アメリカの理系大学院進学の実態】アメリカの大学院に進学するデメリット
アメリカの大学院がもつ魅力については、ここまでで十分に伝えられたと思います。
しかし、やはり文化の違う海外の大学院に進学すればデメリットもあるのです。
アメリカの大学院に進学する場合、日本の大学院とは違ったデメリットが発生する可能性もあります。
無理をしてアメリカの大学院に進学しても、卒業できなかったり、体調を崩してしまったりしては意味がありません。
アメリカの大学院に進学すると、どのようなデメリットがあるのかを把握し、自身の適正と合っているか、どのような対策が取れるのかを考えてみましょう。
学費が高い!
アメリカの有名私立大学で大学院生として学ぶ場合、必要な学費は年間300万円から500万円といわれています。
州立大学ならそれよりも安くはなりますが、留学生に対して学費を高く設定している場合もあり、相場は年間220万円ほどです。
日本の私立大学理系が100万円から180万円程度、国立大学が82万円程度であることを考えると、学費は非常に高いといえるでしょう。
ほかにも留学に必要な英語を学ぶための教材費や受験費用、大学への出願費用、ビザの取得費用、現地での生活費など日本の大学院に進学するよりかなりのお金が必要になります。
アメリカの大学院へ進学を考えているのであれば、事前に資金を貯めておく、利用可能な奨学金制度を調べておくといった準備が必要になるでしょう。
日本の大学院よりも忙しい!
最先端の研究をしているアメリカの大学院は、学びを深める場所として魅力的ですが、決して楽な環境ではありません。
教科書や講義を通して大量のインプットが求められ、そのインプットした内容をアウトプットするディスカッションやディベートなども頻繁に行われます。
加えてアメリカの大学院は、インターンや実習も積極的に取り入れられており、場合によってはアルバイトや語学学習などほかのことにも時間を使わなければならないでしょう。
フレキシブルなカリキュラムを活用し、どれだけ効率的に時間を使うか、課題をこなして学びを深めていくかが重要な問題になってきます。
アメリカの大学院に進学するのであれば、圧倒的な密度に対する覚悟と、それに耐えられるモチベーションやバイタリティが必要になるでしょう。
【アメリカの理系大学院進学の実態】アメリカの大学院進学のために準備すること
日本を離れアメリカの大学院で学びたいと決断したとしても、すぐに留学ができるというわけではありません。
アメリカの大学院に進学を考えているのであれば、早い段階から準備を進めておく必要があります。
資金面、生活面でも準備は必要ですが、アメリカの大学院で学ぶために何より重要なのは学業面の準備です。
学業面での準備が不足していると、そもそも出願や合格が不可能になってしまいます。
アメリカの大学院へ進学するために学業面では何が必要なのか、どういった準備ができるのかを確認してみましょう。
TOEICを受ける
アメリカに限らず海外の大学院に進学する際、必要になるのは語学力です。
学部留学と違い、大学院には英語学習の機会が設けられていることは少なく、事前に十分な語学力を備えていないと授業の内容についていけません。
事前にTOEICを受けるなどして自身の語学力を把握し、必要に応じてより高いスキルの習得が必要です。
なお、基本的にアメリカの大学院に出願をする際はTOEFLを受験し、そのスコアを送付する必要があります。
こちらも事前にしっかりと準備し、対策を行いましょう。
また、単に英語の読み書きのスキルが高くても、大学院での勉強は厳しい場合があります。
インターンやディスカッションでは、実践的な会話や議論ができなくてはいけません。
語学力と並行して積極性やコミュニケーション力を身につける必要もあるでしょう。
成績証明など
アメリカの大学院では基本的に入学試験は存在せず、すべて書類審査で入学の可否が決められます。
そのため、時間をかけて自身の研究内容や実績を証明するための書類を作っておくことが必要です。
自身の成績証明や、推薦状、在学証明、論文、入学願書、志望動機説明書などを前もって準備しておき、不備がないかしっかり確認しておきましょう。
英語に自信がない場合は、英語ネイティブの人に添削や校正を依頼することも必要です。
また、大学によっては書類を受け付けている期間が異なる点も注意しなければいけません。
なかには期間内でも先着順に審査を行っている学校もあるため、時間に余裕があるからといって慎重になり過ぎると大きなチャンスを逃してしまう可能性もあります。
いずれの書類もすぐに用意できるものではないので、早い段階からの準備が必要です。
【アメリカの理系大学院進学の実態】まとめ
アメリカの大学院への進学は、より深く専門分野について研究をしたい学生や、高度な専門職に就きたい学生にとって価値のある選択です。
身近な距離で世界最先端の研究に触れ、その分野における第一人者から学ぶことができる点、インターンを通して実践的な経験を積みやすい点は大きなメリットだといえるでしょう。
一方で、高い学費や要求される高度な語学力、濃密な学習環境など日本の大学院とは異なる注意点も存在します。
積極的に学びへ取り組める学生には貴重な糧となる環境なので、ぜひチャレンジしてみてください。