HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就職先を探している学生の中には、研究職になりたいと考えている人もいるでしょう。
しかし、研究職は成果主義できびしく、年収も低いというイメージがある場合も少なくありません。
実際、研究職に就いている人の年収は低いのでしょうか。
この記事では、研究職の年収について徹底的に考察します!
【研究職の年収は低いのか?】研究職とは
そもそも、研究職とはどのような職種なのでしょうか。
研究職とは、広く言えば製品やそれに関わる技術などの研究や、開発に取り組む仕事です。
研究と開発とで職種を分ける考え方もあります。
基本的な研究のみならず、すでにあるものに追加で試験や有用性の鑑定なども行い、まったく新しい製品の開発から既存品の改良までさまざまなことを手がける職種です。
主な仕事場は、民間企業に設置された研究部署や大学に置かれた研究室であり、より公益性の高い研究をする場として国や公的機関の研究所もあげられます。
また、これらの機関が共同で研究を行う場合も多いです。
研究する範囲や製品化・実用化までの段階に応じて、基礎研究や応用研究といった種類に分けられています。
【研究職の年収は低いのか?】研究職の種類
研究職は、その研究の目的や、製品・技術・サービスの実用化に至るまでのどの段階を研究しているかなどによって、基礎研究と応用研究の2種類に分けられます。
これらは研究の着地点が異なるため、どれだけ先を見据えての研究であるかといったスパンも違う存在です。
どちらの研究も、対象の性質をより深く理解して社会に役立てるためには欠かせません。
それぞれの研究の目的や特徴、違いなどを理解して、やってみたい仕事を考えてみましょう。
基礎研究
基礎研究とは、その後の研究開発すべての土台となる研究です。
知っていること、わかっていることといった知識の枠組みを広げるための研究であるため、それ自体の特別な応用や専用の用途は考慮されていません。
現時点でわかっていることから仮説や理論を形成し、それがどこまで正しいのかを検証する学問的な研究です。
また、新しい知識を得るための実験的な試みも意欲的に行われています。
基礎研究で重視されるのは、課題や問題の解決ではなく、知識の探求と解明です。
そのため「○○のために△△する方法を研究する」というよりは「△△について研究したら○○のためになることが判明した」という形になりやすいと言えます。
そして、そこから見つかった新しい知識を広げて、特定の目的のために研究するのが次にあげる応用研究の役割です。
応用研究
応用研究は、基礎研究で発見された知識を、具体的に社会の役に立たせるために行われる研究です。
課題や問題の解決のために知識がどう利用できるかを考え、特定の目的や目標を定めて実験や実証を繰り返し、実用化の可能性を確かめます。
また、すでに実用化されている手法をより効率良く実行できるような改善方法や、新たな応用方法を見出して検証する研究でもあります。
応用研究で重視されるのは単なる知識の獲得ではなく、実践的な問題の解決です。
そのため、結果が出せるか否かがより重要な研究であるとも言えます。
特定分野の課題解決を目的とするため、適用範囲が狭く、専門性が高いのも特徴です。
企業の多くは製品開発や社内での課題解決のため、応用研究を好みます。
【研究職の年収は低いのか?】研究職の年収
研究職は目的により種類は分かれていますが、気になるのはその年収でしょう。
基本的に、研究職の年収は約500万円が相場だといわれています。
日本人の平均年収は約436万円だとされているため、60万円程高いです。
研究職の給与の中心となるのは、他の職種と同じく年齢や学歴によって決まっている基本給となります。
そこに、研究で成果を出していれば能力給と呼ばれるものが加わり、この2つが合わさって固定の給与となるのです。
固定の給与は、勤続年数に応じて上がっていくという企業が多いでしょう。
また、これらに賞与や各種の手当が乗ることで全体的な年収になります。
初任給での比較
日本人の平均年収よりも60万円ほど高いと言われている研究職の初任給はどれ程でしょうか。
人事院の調査によると学部卒の初任給は平均20万6700円(推定年収:299万7150円)になりますが、学部卒の研究職の初任給は平均で21万1336円(推定年収:306万4372円)と約4500円程高くなっています。
また、修士卒の初任給は平均23万8700円(推定年収:346万1150円)になりますが、修士卒の研究職の初任給は平均で23万2418円(推定年収:337万円)と平均より若干低いですが平均並の初任給です。
参考: https://www.jinji.go.jp/kyuuyo/minn/minnhp/minR03_index.html
海外の研究職の年収は?
日本で働く研究者の年収は平均よりも少し高いことがわかりました。
研究者が重宝され、待遇が良いと言われる海外での年収はどれくらいでしょうか?
ここでは海外の一例としてアメリカでの年収について解説します。
アメリカの学部卒の研究者の年収は約400万、修士卒で約400万〜約800万円と言われています。
しかし、博士卒では年収は大きく上昇し、初年度から約800万〜約1200万円になります。
アメリカではその人自身の能力や交渉によって年収が大きく変動します。また、年功序列ではないため昇給することは少なく、一度金額が決まると給料は一定のことが多いです。
参考: https://www.hamiltonproject.org/charts/career_earnings_by_college_major/
【研究職の年収は低いのか?】年収を決める要素
ここまで研究職の年収や初任給について解説してきました。
紹介した年収はあくまでも平均であるため実際には個人でばらつきがあります。
次に年収を決める要素について解説します。
年収を決定する要素は勤め先だけではありません。
以下の4つが研究職の年収を決める要素になります。
・職位
・専門分野
・最終学歴
・実績
職位
年収を決める要素の1つ目は「職位」になります。
一般的に研究職として企業に入ると研究員・研究主任・課長・部長の順に職位が上がっていきます。
新卒で入社するとまずは研究員になります。
研究員は先輩社員のアドバイスを元に製品の改良や新製品の開発を行います。
研究職の中でも一番職位が低い研究員の年収は約300〜約400万円と言われています。
研究員として経験を積むと研究主任に職位が上がります。
研究主任の年収は約400〜約500万円になります。
研究主任として研究を続け、30代後半から40代にかけて課長の役職に就任する人が増えます。
研究の第一線から離れ、研究プロジェクトの進捗や研究チームの管理を行うようになります。
課長の年収は約500〜約600万円になります。
そして、40代以降は課長から部長に昇進し、マネージャー職としての役割を与えられます。
部長の年収は約700万円から場合によっては1000万円を超えることもあります。
専門分野
年収を決める要素の2つ目は「専門分野」になります。
研究職と言っても食品系やIT系、化学系や生物系など幅広くあります。
特にこれからの需要が見込まれるIoTや人工知能、製薬などを専攻とする研究者は非常に重宝され、高い年収を期待できます。
最終学歴
年収を決める要素の3つ目は「最終学歴」になります。
最終学歴と言っても〇〇大卒ということではなく、学部卒か修士卒か博士卒かということになります。
前述した通り、最終学歴によって初任給が異なります。
しかし、既存技術の組み合わせた商品開発が主力である食品メーカーや日用品メーカでは修士卒と博士卒の区別が無く、一律で採用される場合があるので注意が必要です。
実績
年収を決める要素の4つ目は「実績」になります。
その理由は、企業は実績のある優秀な人材を他社に流出させたくないからです。
分野での権威を持つ研究者や企業との共同研究に取り組んだ人材が当てはまります。
また、語学力や他国の知見を有しているという理由から海外企業の勤務歴のある人材も重宝されます。
【研究職の年収は低いのか?】年収以外の収入は?
企業ごとの規定にもよりますが研究者は年収に加えて副業で稼ぐこともできます。
専門分野に精通していることを利用して、研究に関する本の執筆や監修、セミナーの開催やメディア出演で収入を上げることもできます。
「日本人の平均所得と比較して研究職の年収はあまり高くないな」と感じた人もいると思いますが、研究職は能力次第ではいくらでも稼ぐことができます。
【研究職の年収は低いのか?】好きな研究をしながら稼ぐには?
ここまで研究職の年収について詳しく解説してきました。
自分の知的好奇心を掻き立てるような研究を行いつつも、稼いで豊かな暮らしをしたいと考える人も多いと思います。
ここでは好きな研究をしながら高収入を得るための具体的な行動について解説していきます。
待遇の良い企業を選ぶ
好きな研究をして高収入を得るためにはシンプルに「待遇の良い企業を選ぶ」ことが大切です。
日本は研究に対して資金を投じることはなく、待遇が悪いというイメージを持っている人が多いのかもしれません。
しかし、その風潮は改善しつつあります。
SonyではAI分野などで優秀な社員に高いグレードを付与し、新入社員でも年収730万円に届くこともあります。
また、NECは研究職を対象に新卒年収が1000万円を超える給与を支給すると発表しました。
このように企業が中心となって給与を増やし、優秀な研究者を獲得しようという動きが増えています。
そのような企業を調べ、待遇の良い企業に就職することで高年収を期待できるでしょう。
海外企業に就職
待遇の良い企業に就職するということで、高待遇の日系企業ではなく海外企業で研究職として就職するという道もあります。
前述した通り、海外では日本と比較して研究者に対する待遇が手厚いです。
繰り返しになりますが、アメリカの学部卒の研究者の年収は約400万、修士卒で約400万〜約800万円、博士卒では年収は大きく上昇し、初年度から約800万〜約1200万円になります。
海外企業への就職の近道は海外の大学院に進学することです。
修士課程では授業料がかかってしまうものの、アメリカの博士過程は授業料免除に加えて在学中に給料をもらえます。
大学の教授のコネクションを利用することも可能である他、海外で研究経験を積んだ後日本に戻り就職しても実績が評価されることから、海外の大学院に進学することもおすすめです。
海外の大学院に関する情報は以下の記事にまとめているので、少しでも気になる方はクリックしてみてください。
https://digmee.jp/article/310272
【研究職の年収は低いのか?】研究職になるために
2019年のindeedの調査では、調査対象企業の約2割は学部卒の学生を研究職として採用しています。
学部卒の学生が研究職として就職することは、修士卒や博士卒と比較して険しい道のりになります。
どうしても知識や研究経験・成果は院卒よりも劣ってしまうため、コミュニケーション能力やリーダーシップといった汎用スキルのアピールやポテンシャルがあることを伝えましょう。
また、修士卒や博士卒で研究職を目指す方は大学院で研究スキルや専攻分野での知見を深め、就活でアピールできるように研究に励みましょう。
そして、就活ではどれだけ応募先の企業について理解し、貢献できるかが非常に重要になります。
以下の記事を読んで研究職に対する理解を深めましょう!
https://digmee.jp/article/310336
まとめ
ここまで、研究職とは年収は低いのかについて考察してきました。
研究職は、仕事の内容が社会貢献に直結するようなやりがいのある仕事です。
自分の好きなことについて深く関われるというのも大きな魅力でしょう。
日本人の平均的な年収よりも多くの収入を得られる可能性が高く、能力次第で稼げる職であるという点もあります。
研究職を目指すのであれば、学生のうちからできるだけ明確なビジョンをもって行動しましょう。