HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
文理選択で理系を選択したけど、志望校を選ぶ中で文系の可能性を捨てきれない高校生の皆さん、文転の情報収集は進んでいますか?
「文系にいって使わない科目が増えたらどうしよう」「就職までを考えたときに文系と理系の就職実態についてよく分からない」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
今回は文転をしようと考えている方に向け、文転するメリット・デメリット、文転のタイミング、就職先、さらには理系科目で受験できる文系学部について詳しくご紹介します。
【理系から文系へ】文転するタイミング
理系から文系へ文転するベストな時期はいつ頃なのでしょうか。
いつでも変われるものなのか、それとも変わるべきタイミングがあるのか。
文転のタイミングについて考えてみましょう。
タイミングとしてもっとも多いのは、高校2年生から高校3年生に上がるときです。
学年替わりのこの時期は、文転しやすい大きなきっかけの時期といえます。
そしてもうひとつは、高校3年生の夏休み前です。
ではなぜこの2つのタイミングが良いのか、少し掘り下げてお伝えしていきましょう。
高校3年生に進級したとき
多くの高校では、高校2年生から理系・文系に分かれます。
選択したコースで1年間勉強してみて、自分には合わないと思う人も出てきて当然です。
よって、高校2年生から高校3年生に進級するタイミングで文転する人は一定数いるもようで、このタイミングで行うケースが比較的多いと見られています。
学年替わりの進級時期に文転することは授業の区切りもつきやすいため、新しい環境でのスタートが切りやすい特徴があるといえるでしょう。
基本的に学年途中での文転は後々勉強の計画が立てづらくなってしまう面もあるので、文転したい意志が固まっているのであれば、授業にもついていきやすい高校3年の進級タイミングで文転するのがベストタイミングといえるかもしれません。
高校3年生の夏休み前
高校3年生に進級するタイミングで文転をしなかった人が、最後に文転できる時期は、夏休み前です。
高校3年生の夏休み以降は、いよいよ大学受験が強く意識されてきます。
志望校の選定や受験対策などが本格化し、それぞれ個別の状況に応じた科目の勉強を進めていかなくてはなりません。
すなわち、受験勉強に向けた方向性が固まっている必要があります。
夏休み以降に文転すると文系の科目に取り組む時間がまったくなくなってしまうことが考えられますので、遅くとも高校3年の夏休み前までには、文転するかどうかの最終判断をしたいところです。
もしも夏休みを越えてしまった後に文転をしたい場合は、保護者や担任の先生ともよく相談してから決めることをおすすめします。
【理系から文系へ】文転するメリット
理系から文系へ文転するメリットには、どんなものがあるのでしょう。
文転は専攻科目が変わるのでデメリットが多いと考えられがちですが、「科目の範囲が狭くなる」「私立大学と併願しやすい」「理系の知識を活かすことができる」などのメリットがあります。
安易な文転ではなく、目的意識をもった文転は受験を有利に進めることができるので、理系でいることに不安を感じて悩み続けるよりは、思い切って文転を決断したほうが良い結果につながることも多くあるでしょう。
科目の範囲が狭くなる
志望する大学や学部によっても異なりますが、一般的に理系よりも文系の方が勉強時間は少ないです。
たとえば数学について、理系では数Ⅲ・Cまで必要ですが、文系では数Ⅱ・Bまでとなりますので、数Ⅲ・Cに使っていた勉強時間の負担がなくなります。
また、物理や生物などの理科は応用理科科目から理科基礎と範囲が狭くなりますので、こちらもだいぶ負担が減ることになるでしょう。
数学と理科の負担が減った分、国語と社会の2科目が二次試験で必要になってきますが、これら文系特有の科目は数学や理科に比べるとはるかに負担が軽いため、理系よりも少ない勉強時間で合格を目指すことができます。
科目の範囲が狭くなること、および総体的な勉強時間が減ることは、文転の大きなメリットのひとつといえます。
私立大学と併願しやすい
理系は専門的な見地から、受験できる学部が少ないという特徴があります。
多くの大学、とくに有名私立大学では基本的に文系学部がメインであることが多く、理系に比べて文系は圧倒的に私立大学との併願がしやすいこともメリットであるといえるでしょう。
文系の学生にとっては、経営学部、経済学部、法学部、商学部、文学部など多数の選択肢がある一方、理系の学生は、志望するひとつの大学につき2〜3学部程度の併願先しかありません。
ただでさえ選択肢が少ない有名私大の理系学部は、難関大学を志望する学生が併願先として受験するケースが多く、文系と比較して試験の難易度も高めです。
多くの学部の選択肢があり、難易度も高いものから低いものまで存在することからも、文系は複数の私立大学を併願しやすいといえます。
理系の知識を活かすことができる
もともと理系で学んだ数Ⅲや化学、物理などの科目は、文転しても利用できます。
おそらく理系を専攻している時点で、はじめから文系を選択している学生よりも、理系科目は得意なのではないでしょうか。
とくに「数学」について、文系学生の多くは苦手意識を持っている場合が多いのですが、理系で日常的に数学に触れている点は大きな利点となり得ます。
理系では得意分野には程遠かった数学が、文系では武器になる可能性すらあるのです。
文系の数学は理系に比べて出題範囲も当然狭く難易度も低いため、理系で得た知識があれば、比較的簡単に解答が導き出せる問題も数多くあるでしょう。
このように、文系の受験で数学を最大限利用できる点は大きなアドバンテージだといえます。
【理系から文系へ】文転するデメリット
これまで文転におけるメリットについて、いくつか述べてきました。
では反対に、理系から文系へ専攻を鞍替えするデメリットとは、どんなものが考えられるのでしょう。
想定されるデメリットは「国語が苦手な場合に苦労する点」と「無駄な科目の勉強が必要になる場合がある点」が挙げられます。
特定の科目に対する苦手意識があったり、受験対象とはならない科目の勉強をしなければならなかったりすると、受験勉強全体へのモチベーションにも影響してきますので、文転のデメリットについてもしっかり押さえておきましょう。
国語が苦手だと大変
国語が苦手だと、苦労する場面が増えることでしょう。
理系学部の二次試験で国語があるのは東大や京大などの限られた大学、および一部の大学学部のみですが、文系学部のほとんどではセンター試験、二次試験ともに国語があります。
理系のときよりも国語の配点は高く記述式の問題なども増えることから、国語に苦手意識を持つ理系学生の場合は、数学を活かせるメリットと、苦手な国語を克服できる可能性を天秤にかけて文転を検討する必要があるといえます。
最終的な文転は自身の国語への苦手意識の度合いと、今後積極的に国語に取り組んでいけるかどうかを見極めて行うようにしましょう。
特定科目への苦手意識をもったまま安易に文転を行い、後悔することは避けたいところです。
無駄な科目の勉強が必要なことも
文転のもうひとつの大きなデメリットは、受験の対象とはならない無駄な科目の勉強が必要になるケースがあることです。
受験で地理を選択すると決めた場合、日本史や世界史などは受験のための科目ではなく、学校で単位を取るためだけのものになってしまいます。
受験で使わない科目であるにもかかわらず、定期テストに向けて勉強しなければならないのは大きな時間のロスでもあり、何より精神的につらいと思うこともあるかもしれません。
不要な科目に割く時間があればもっと有効に試験対策がしたい、と思うのは自然です。
受験に不要と思われる科目の取り扱いと勉強の仕方に悩むことがあれば、そのことを教科担当の先生に相談してみてはいかがでしょう。
何か対処方法を教えてくれるかもしれません。
【理系から文系へ】文系と理系の就職は?
理系を専攻しているときは、ある程度理系の就職先が見えていた人も、文系の就職先となるとぱっと思い浮かばない方もいらっしゃるかもしれません。
実際に文系の就職先はどんなものがあるのでしょう。
専門性や種類、傾向などを今一度整理して考えてみるのも良いかもしれません。
理系文系それぞれの就職の特徴から、本当に文転が正解なのかどうかを判断するきっかけのひとつになるのではないでしょうか。
理系の就職と合わせてお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
文系の就職
主な文系の就職は、総合職、事務職が中心です。
総合職は一般に社内での中核業務を担うポジションで、将来の管理職候補として業務を遂行していくことが求められます。
ゆくゆくは企業全体を統括する幹部の立場へのステップアップも期待されるため、さまざまな部署への移動や全国各地の支店、支社がある場合は転勤が前提となる場合も多く見受けられます。
なお、弁護士や司法書士など、法曹関係の職業に直接つながる司法試験を受けて資格の取得を目指すような場合は、この限りではありません。
また、最近は文系においても、エンジニアを募集する企業も増えてきました。
理系であったとしてもプログラミングの知識を高いレベルでマスターしている学生はそこまで多くないため、エンジニアの新卒採用において文理の差はあまりないといえます。
理系の就職
一方、主な理系の就職は研究開発や生産管理、エンジニアなど、理系学部で学んだ専門的な知識と経験を活かしたものが多い傾向です。
業界でいえばエネルギー、IT、製薬、建築などに募集要項が継続的にあり、理系学生特有の数字に対する強さや論理的思考、分析能力を発揮できる環境は、文系の就職とはまた違った一面が垣間見られます。
一概に専門的知識を活かした就職といっても、文系が対象となるような営業や事務職に応募できるため、就職の幅は広がっています。
業界でいえばコンサルや金融、業種・職種でいえばマーケティングやアナリストなどは、ロジカルな思考や数値分析に対する高い適応能力が求められますので、むしろ理系であることがアドバンテージになることもあるでしょう。
【理系から文系へ】理系科目で文系学部を受けられる大学を紹介!
文転を決断した場合、当然目指すべき大学の学部も文系になるでしょう。
初めから文系専門ではなく、せっかく理系で学んだ知識があるのであれば、その経験を最大限活かしたいものです。
以下、理系科目で文系学部を受けることのできる大学を3校ご紹介します。
ひとつは「早稲田大学 人間学部」もうひとつは「神戸大学 経済学部」そして3つ目は「東京都立大学 経済経営学部」です。
それぞれの特徴を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
早稲田大学 人間科学部
早稲田大学の人間科学部は、文理融合の学部で、内容は「環境、健康・福祉、情報に関する教育・研究を通して、地球や社会の課題に対する解決策を示す。自ら課題を探し、具体的な解決策を見出すために幅広い科学的知見を動員し、その過程で異文化コミュニケーション能力を生きた形で体得する」となっています。
入試科目は文系方式と理系方式に分かれており、理系方式では次のような科目で試験が実施されています。
3教科(150点満点)
【数学】数Ⅰ・数A・数Ⅱ・数B・数Ⅲ(配点50点)
【理科】「物基・物」・「化基・化」・「生基・生」から1(配点50点)
【外国語】コミュ英Ⅰ・コミュ英Ⅱ・コミュ英Ⅲ・英語表現Ⅰ・英語表現Ⅱ(配点50点)
神戸大学 経済学部
神戸大学の経済学部は、文系でありながら、2次試験が数学1教科で受験できる「経済・数学受験」と、数学と外国語(英語)の2教科で受験できる「経済・英数受験」があります。
共通科目であるセンター試験の科目は数学受験、英数受験ともに、以下のとおりです。
【国語】国語(配点100点)
【数学】数学(数Ⅰ、数Aと数Ⅱ・数B、簿記、情報から1科目)(配点100点)
【地歴・公民・理科】地歴・公民・理科から3科目選択で合計100点(地歴公民を2科目の場合75点、理科1科目の場合は25点。理科2科目の場合は75点、地歴公民1科目は25点)
【外国語】英語(配点100点)
また、2次試験は数学受験が数学(配点400点)のみの1教科、英数受験は数学(配点200点)+外国語(英語)(配点200点)の2教科となっています。
東京都立大学 経済経営学部
東京都立大学の経済経営学部も神戸大学の経済学部と同様、2次試験が数学のみの1教科で受験できる「経済経営・数理区分」があります。
共通科目であるセンター試験の科目は以下の通りです。
5教科6科目(600点満点)
【国語】国語(100点)
【数学】数IA必須、数IIB・簿記・情報から1、計2科目(100点)
【理科】物・化・生・地学から1(75点)
※理科は、「発展1科目」のみ選択可
【外国語】英・独・仏・中から1[リスニングを課す](250点[50点])
《地歴》世B・日B・地理Bから選択(75点)
《公民》「倫理・政経」(75点)
●選択→地歴・公民から1科目
また、2次試験は数学(配点500点)のみの1教科となっています。
おわりに
これまで文転について、決定すべきタイミングやメリット・デメリット、さらには就職事情および理系科目でも受験できる文系学部の大学についてお伝えしてきました。
一度文転すると元の理系に戻るのは物理的にも難しく、進路の軸もぶれてしまうため、最終的な判断はこれまでに述べたさまざまな要素を加味して慎重に決断することをおすすめします。
ただ、理系科目でも受験できる大学学部があるということは知っておいて損はありません。