HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
IT業界を志望する方の中には、残業が多いうわさを聞き不安に思っている方もいるのではないでしょうか?
果たして、IT業界は本当に残業が多い業界なのでしょうか。
IT業界の残業のリアルについて解説していきます。
残業の少ない、ホワイト企業も紹介していますので、ぜひ最後まで読んでください。
【IT業界の残業時間】IT業界の残業時間は長い?
IT業界は残業時間が長いとのイメージも持つ人が多いですが、実際のところはどうなのでしょうか。
dodaの調査によると、全90業種の平均残業時間は20.8時間とのことです。
これに対して、組み込み系のエンジニアは28.3時間、インフラコンサルタント28.1時間、ITコンサルタント26.1時間と残業時間が多い職種の上位に入っています。
しかし、これらは統計上のデータであるため、実際には40時間以上の残業をしている人も多くいると思われます。
このため、全体的にはおおむね30時間程度を目安に考えると良いでしょう。
これらのことからも、IT業界では他の業界と比べても、比較的残業は多めの業界ということがいえます。
【IT業界の残業時間】残業時間が多い理由
前述のデータからも、IT業界が他の業界と比べても比較的残業が多い業界であるのはわかったと思います。
では、なぜIT業界は残業が多いのでしょうか。
以下に残業が多くなる具体的な要因と理由を解説していきます。
システムトラブルへの対応
エンジニアの仕事では、突発的に発生するトラブルに対応する必要があり、残業が多くなる要因の一つです。
サーバーのシステム障害やネットワーク障害などの障害対応が代表例であり、特に保守・運用などで24時間体制で監視するシステムでトラブルが発生した際には、夜間対応などが生じる可能性もあります。
また、金融など1つのトラブルで大きな損害が生まれるシステムでは残業が長時間になりやすい傾向があります。
その他に、システムエンジニアの仕事では、クライアントの要望により仕様変更が起こることが往々にしてあるため、予定外の業務で残業が多くなる傾向があります。
人手不足
人手不足な点も残業が多くなる要因の一つです。
近年ではどの業界でも人手不足といわれていますが、IT業界での人手不足はより深刻です。
このような状況では、エンジニア一人あたりの業務量やタスク量は多くなり、必然的に残業が長時間化していきます。
また、国内企業のDX化の推進による需要の高まりも大きな要因であり、エンジニア一人にかかる負荷は年々大きくなっています。
一人あたりの負荷が大きいため、経験者が新たな人材を育成する時間を取ることができず、人材が育たないことも悪循環を招き、総合的な人手不足が解消できない一因でもあります。
納期がある仕事だから
どのような仕事でも納期はありますが、IT業界では受注した仕事を二次請け、三次請けといった下請けに発注する受発注形態がよくある業界です。
このため、元請けではスケジュールに余裕を持って組むことができますが、下請けほどタイトなスケジュールを要求されます。
納期厳守であるため、これらをカバーするために残業してスケジュールに合わせることが残業が多くなる要因の一つとして考えられます。
【IT業界の残業時間】残業時間が多い企業の特徴
IT業界に限ったことではありませんが、特に残業が多い企業にはある一定の特徴があります。
中から見なければわからない特徴もありますが、外からでも判断できる特徴もあります。
残業が多い企業には、どのような特徴があるのかを見ていきましょう。
みなし残業代が多い
みなし残業制とは労働契約の一種で、残業をすることを前提にあらかじめ一定の残業代を給与に組み込んでいる形態のことをいいます。
このみなし残業制度では、実際の残業時間が想定より下回る場合には労働者側が得をします。
また、あらかじめ定められた時間を超えた残業が発生した場合は、別途残業代が支払われるため、労働者側が損をするといったことはありませんが、これらの制度を活用している企業は往々にして残業が多い傾向が見られます。
離職率が高い
離職率が高い企業は何らかの問題を抱えている場合が多いです。
労働環境が悪かったり、職場の人間関係に問題があったりなど、さまざまな問題を抱えているケースがありますが、残業問題も離職率には大きく関わってきます。
最近ではワークライフバランスを重視する人も多くなってきているため、残業時間の多さは離職率の高さにもつながってくる問題です。
このことからも、志望企業の離職率は必ずチェックするようにしましょう。
定時で帰る文化がない
最近ではノー残業デーに取り組む企業や、過重労働問題へ取り組む企業が増えてきましたが、依然として定時で帰らずに残業することが美とされる文化を残す企業も見られます。
このような文化を持つ企業では、残業時間が長くなる傾向があります。
悪しき習慣であり、時代にも逆行する文化ではありますが、新入社員がすぐに改革するのは難しい部分でもあります。
このため、説明会などの働き方を良く見て、雰囲気をつかみチェックして、できるだけ回避するようにしましょう。
【IT業界の残業時間】残業時間を確かめる方法
残業時間については、人によって少なめが良い場合や、たくさん稼ぐために多めが良い場合など、それぞれの考え方によって異なると思います。
このため、事前にその企業がどの程度の残業を行っているのかを知りたいところだと思います。
以下のような方法で、ある程度の残業時間がイメージできると思います。
OB訪問
実際に働いているOBにOB訪問の際に聞くのが、一番確実で有効な方法です。
しかし、OBといえども志望企業側の人間であるため、なかなかダイレクトには質問しにくい項目でもあります。
質問の仕方を間違えると、やる気がないのではと受け取られる可能性もあるからです。
ただし、ここは入社後の働き方にも関わる重要な問題です。
入社後にイメージと違ったと後悔することのないように、しっかりと確認しておく方が良いでしょう。
OpenWork
もしもOB訪問で聞けなかった際には、OpenWorkで確認するのが良いでしょう。
OpenWorkは「オープンワーク株式会社」が運営する転職・就職向けの情報プラットフォームです。
ここでは、実際に働く人のコメントを見られる他にも、企業の平均残業時間なども掲載されているため、志望企業の情報収集に役立ちます。
働いている人の生の声など、ざまざまな情報を知ることができますが、全てが正しい情報ではない可能性も頭に入れておいた方が良いでしょう。
残業時間を確認する時の注意点
残業時間を確認する時にはいくつかの注意しなければならない点があります。
単純に残業時間だけを確認しても、労働時間の多さがはかれない場合があるためです。
例えば、残業時間が少なくても、就業時間が長く結果的にトータルで見ると労働時間が長い場合もあります。
また、変形労働制を使っている企業であれば、単月の残業時間を確認しても、年間通した場合には他社よりも労働時間が多い場合などもあるためです。
これらを回避するためには、ある程度労働基準法の知識などが必要になってきますが、就業経験のない学生がこれらを理解するのは難しいと思います。
このため、しっかりと理解して確認するまで行かなくても、ある程度頭に入れておいて確認することが大切になってきますので、意識は持っておいた方が良いでしょう。
【IT業界の残業時間】残業時間が少ないホワイト企業3選
ここまで述べてきたように、他業界と比べると比較的残業時間が多いIT業界ですが、その中でも残業時間が少ないといわれるホワイト企業3社を紹介します。
残業時間については、Openworkからの情報を参照しています。
SCSK
SCSK株式会社は住友商事グループのSIer企業です。
前身である住友情報システム株式会社から創業50年以上にわたり情報技術の分野でリーディングカンパニーとして成長する、日本を代表する情報サービス企業です。
同社はITコンサルティング、クラウドサービス、セキュリティ対策などの幅広いサービスを提供しており、特に、最近ではDXをサポートするためのソリューションに力を入れています。
月の平均残業時間は約23.5時間とSIerの中では少なく、社員の働き方にも注力しています。
また、有給休暇の取得促進にも積極的に取り組んでいるため、社員の有給消化率の高く、ホワイト企業であることが分かります。
キヤノンマーケティングジャパン
キヤノングループ企業として、キヤノン製品事業とITソリューションを組み合わせた価値を提供しています。
社員のモチベーション向上を目標に、福利厚生制度の整備に力を入れており、ワークライフバランスに配慮した働き方の実現を目指しています。
残業時間は月平均約15.7時間と少なく、週2回のノー残業デーや1時間単位での有給申請も可能です。
また、サマーバカンスやフリーバカンス制度が存在し、年に1度9連休の長期での休暇を取ることができます。
その他にも、5年ごとの勤続表彰では最大16連休までの休暇が取得可能であり、福利厚生の充実を掲げている通りの各種制度が整っています。
ヤフー株式会社
Zホールディングス(ソフトバンクグループ)傘下の日本のインターネット企業でポータルサイトのYahoo! JAPANなどの運営を行っています。
残業時間は月平均18.5時間とこちらも少なく、ホワイト企業と呼べます。
また、有給取得率も高く福利厚生は充実しています。
大きな特徴として「どこでもオフィス」といった制度を設けており、自宅に限らず海や山、お気に入りのカフェなどインターネット環境が整っていれば、会社に通勤しなくても、職場としてみなしてもらえる制度があります。
この制度により、社員は場所に縛られない自由な働き方を実現できます。
おわりに
IT業界が比較的残業が多い業界であることは理解できたと思います。
しかし、中には残業時間が少なく福利厚生が充実している会社があることもわかったと思いますし、このような取り組みを行う会社は増えつつあります。
自分が何に重点をおくかで企業選びは変わってくると思いますが、後悔しないためにも、しっかりとした下調べが重要になります。