
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
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【目の前の人の心を動かした経験】例文から学ぶ成功パターン
この設問では、感動的なエピソードを伝えることよりも、相手の変化と自分の働きかけが明確に伝わるかが重要です。
以下の例文を参考に、自分の経験にも置き換えてみましょう。構成は「結論 → 背景 → 行動 → 相手の反応 → 学び」となっています。
例文1 後輩の不安を励ました話
私は部活動で、新入部員が練習に参加しづらそうにしている様子に気づきました。そこで、放課後に声をかけ、一対一で話す機会をつくりました。
後輩は「周りがすごく見えて不安」と話してくれたため、自分の経験も交えて「最初は誰でも不安だよ」と伝えました。
翌日からは練習内容を事前に共有し、安心して取り組めるようにサポートしました。次第に後輩は前向きになり、自分から声を出して練習に参加するようになりました。
練習に前向きな姿勢を見て、自分の行動が相手に影響を与えたと実感しました。
例文2 接客でお客様の表情が変わった瞬間
私はカフェでアルバイトをしていた際、常連のお客様が無言で注文カウンターに来ることがありました。
普段は明るく会話される方だったため、少し様子が違うと感じました。私はその方の好みを覚えていたので、注文前に「いつものホットで大丈夫ですか?」と声をかけました。
するとお客様は驚いたように微笑み、「ありがとう、覚えてくれてたんだね」と返してくれました。
その笑顔を見た瞬間、小さな気配りが人の心に届くことを学びました。
例文3 部活動で仲間のやる気を引き出した場面
高校のテニス部で私はキャプテンを務めていました。大会直前、部員の一人がモチベーションを失っている様子を見かけました。
彼の様子を気にかけて話しかけると、「練習についていけない」と悩んでいたため、私は彼と一緒にペア練習をし、自分も一段階厳しい練習に取り組むことで、共に成長できる雰囲気を作りました。
日を追うごとに彼の取り組み姿勢が変わり、仲間とも積極的に声をかけ合うようになりました。
行動で示した姿勢が、相手のやる気を引き出すきっかけになったと感じました。
例文4 学園祭で反対派を説得したプレゼン
大学の学園祭で新企画を提案したところ、実行委員内で多数の反対意見が出ました。
私はすぐに意見を押し通すのではなく、反対理由を一つずつ聞き取り、リスク対策や運営面の代案を資料化して説明しました。
その結果、企画の意図が理解され、「そこまで考えているならやってみよう」と肯定的な声が増えました。
丁寧な説明と対話が、相手の不安を信頼に変える手段になると実感しました。
例文5 インターンでチームに影響を与えた経験
インターン中のプロジェクトで、進捗が滞っていた時期がありました。会議では発言が少なく、雰囲気も沈んでいました。
私は、メンバーが発言しやすいように事前にトピックを共有したり、発言後に「ありがとう」と反応することを徹底しました。
少しずつチーム内の会話が増え、メンバーからも「意見が言いやすくなった」と声があがるようになりました。
雰囲気づくりの工夫が、相手の前向きな行動を引き出す鍵だと気づきました。
【目の前の人の心を動かした経験】企業がこの質問で見ていること
この設問は感動的な話を求めているのではなく、あなたがどのように人と関わり、影響を与えたかを見ています。
相手の変化と自分の行動の関係性を、論理的に説明できるかが評価のポイントです。
他者視点を持てるか
「目の前の人の心を動かした経験」という設問では、自分ではなく相手を主語にした行動や考え方が問われています。
たとえば、「困っていそうだったから声をかけた」「表情が沈んでいることに気づいた」というように、相手の状況を察知するところから話が始まると、他者への関心があることが伝わります。
社会人になってからは、チームや顧客との関係が重要になるため、相手にどのような配慮をして接していたのかが評価されるポイントです。
自分中心ではなく、相手の立場で考えて動ける視点を持っているかどうかが、企業がこの設問で見ようとしているポイントの一つです。
主体的な行動で影響を与えられるか
この設問では「心を動かした」という結果だけでなく、そのためにどのような行動を取ったのかが注目されます。
特に、誰かに指示されたわけではなく、自分の判断で動いたことがわかるエピソードは、主体性の高さをアピールできます。
たとえば、相手の気持ちを理解し、環境を整える行動をしたり、気づいたことを言葉にして伝えたりといった積極的な働きかけがあれば、説得力が増します。結果だけでなく、そこに至る過程を丁寧に描くことで、影響力のある人物像を印象づけることができます。
共感・信頼を築ける人か
「心を動かす」という言葉には、感動や納得だけでなく「信頼しているから受け取れた」という前提が含まれることがあります。
つまり、あなたの言葉や行動が相手に響いた背景には、日頃の接し方や関係性の深さが関係している可能性が高いのです。企業はそこに注目し、「この人は周囲と信頼関係を築ける人物か」を見ています。
一度だけのやり取りではなく、継続的に関わった中で相手の態度や気持ちが変化したような話があるとより効果的です。
信頼を土台にした関係構築力を伝えることが、アピールの鍵となります。
【目の前の人の心を動かした経験】どんな出来事が向いている?
この設問では、必ずしも大きな成功体験である必要はありません。
日常の中で起きた小さな変化や、誰かの気持ちに寄り添った瞬間でも、十分に評価される要素があります。
「相手がどう変わったか」と「そのきっかけとなる自分の行動」が明確であることがポイントです。
言葉より行動が効いた経験
人の心を動かす場面は、言葉よりも行動によって生まれることが多くあります。
たとえば、悩んでいる友人に対してアドバイスをするのではなく、そっと寄り添ったり、一緒に行動したことで信頼を得たといった経験は、説得力のあるエピソードになります。
特に、相手が明確に気持ちを表現していない場合でも、自分の行動によって表情が変わったり、言動が前向きになったという変化が見られれば、それは心が動いた証拠です。
「何を言ったか」より「どう動いたか」を重視して振り返ると、適した出来事が見つかりやすくなります。
「変化」が起きた場面を選ぶ
この設問では、最も重要なのは「相手にどんな変化があったか」という点です。
そのため、自分が良かれと思って行動しただけで終わる話ではなく、その結果として相手の態度や考え方、行動がどう変わったかまで描写できるエピソードが理想です。
たとえば、最初は否定的だった人が納得して協力的になった、落ち込んでいた相手が前向きになったなど、目に見える変化があれば、読み手に伝わりやすくなります。
「ビフォー・アフター」を意識した構成を意識すると、効果的なエピソードになります。
評価よりも“気づき”があった体験
目立つ実績や大きな成果ではなく、自分自身が「相手に働きかけたことで何を感じたか」が伝わるエピソードの方が、むしろ印象に残ります。
たとえば、「一言の声かけが相手の表情を変えた」「地道なフォローが信頼につながった」といった体験の中には、深い学びや人間関係の本質が表れるからです。
企業は、そうした経験からどんな気づきを得て、それを今後にどう活かそうとしているかを知りたがっています。
派手さよりも“内面の変化”に着目した体験が、評価される傾向にあります。
【目の前の人の心を動かした経験】ESで使える構成テンプレート
この設問は、相手との関係性や変化を論理的に伝えることで説得力が増します。
以下の構成を使えば、読みやすく、評価されやすいESに仕上がります。
5つのステップを意識して構成することが、魅力的なエピソードにするためのコツです。
結論(どんな場面だったか)
この設問では、まず最初に「誰に、どのような影響を与えたか」を簡潔に伝えることが大切です。
冒頭で結論を述べることで、読み手がエピソードの全体像を把握しやすくなります。
たとえば「部活動で後輩のやる気を引き出した」「学園祭で反対意見をまとめた」など、相手と変化のポイントを一文で伝えると効果的です。
その後の説明にも説得力が生まれ、最後まで読みたくなる構成になります。
最初に伝える「結論の一文」が、ES全体の印象を左右します。
背景(相手と自分の関係・状況)
次に、相手と自分がどのような関係にあったのか、また当時どんな状況だったのかを具体的に描写します。
たとえば「サークルの後輩で、入部直後で不安が強かった」「アルバイト先で新しく来た新人だった」など、相手の立場や気持ちに触れると伝わりやすくなります。
自分の役割や立ち位置を明確にすることも大切です。
背景を丁寧に描くことで、行動の必然性が伝わります。
行動(自分が起こした働きかけ)
あなたがとった行動は、どのような目的で、どのような工夫をもって行ったものだったかを丁寧に描写しましょう。
「ただ声をかけた」ではなく、「相手が話しやすいように1対1の環境を作った」「相手の表情を見ながら言葉を選んだ」などの配慮があると、主体性が伝わります。
相手に合わせた行動選びができていたかが、企業の評価ポイントになります。
自分の工夫と判断力が伝わる具体性を意識しましょう。
変化(相手の反応・行動の変化)
自分の行動によって相手にどのような変化があったかを、わかりやすく描きましょう。
「笑顔になった」「積極的に参加するようになった」「ありがとうと言ってくれた」など、目に見える変化があると説得力が増します。
可能であれば、行動前と後の比較を入れると、より効果的です。
変化が具体的に描かれることで、「心が動いた」と読み手に伝わります。
学びと今後の活かし方
最後に、この経験から何を学んだかを言語化し、それを今後の成長や仕事への姿勢にどう活かしたいかをまとめましょう。
「自分の言葉に責任を持つようになった」「人の気持ちを考えて動けるようになった」など、前向きな変化が伝わると印象が良くなります。
企業での仕事に活かせる視点があれば、さらに評価されやすくなります。
経験を通して得た価値観や姿勢を端的に伝えましょう。
【目の前の人の心を動かした経験】書き方のポイントと注意点
この設問では、ただ良い話をするだけでは不十分です。
評価されるためには、行動の理由や相手の変化、そこからの学びまでをしっかり伝える必要があります。
構成だけでなく、内容の深さと具体性が差を生みます。
自己満足にならないように注意
この設問では「自分が頑張った話」だけになってしまうと、評価されにくくなります。
ESで重要なのは、自分の行動によって「相手がどのように変化したか」を明確に伝えることです。
「こんなことをした」「相手に良い影響を与えたはずだ」と主観的に書くだけでは、読み手に伝わりません。
実際に相手がどう反応したのか、どんな行動や言葉を見せたのかまで具体的に描写することが大切です。
行動の結果としての変化をしっかり表現することで、客観的な視点が加わり、信頼性が高まります。
感動エピソードにしすぎない
「心を動かした」という表現にひっぱられて、涙や感動のある話にしようとする学生も少なくありません。
しかし、企業が求めているのは感動そのものではなく、あなたが「人との関わりの中でどのように考え、行動したか」です。
むしろ、大げさな演出を避けて、日常の中の変化を丁寧に描く方が、共感を得られやすくなります。
自然な変化を丁寧に描写することで、リアリティと誠実さが伝わります。
変化があいまいにならないようにする
この設問で一番大切なのは、「相手にどのような変化が起きたか」を具体的に示すことです。
ところが、「喜んでくれた」「やる気になった」だけでは、読み手は実際に何が変わったのか判断できません。
「発言が増えた」「笑顔を見せた」「新しいことに挑戦した」など、行動や表情の変化を具体的に描写することで、説得力が高まります。
目に見える変化を示すことが、心を動かした証拠になります。
主語を「相手」にする意識を持つ
ESでは、自分の行動ばかりにフォーカスしがちですが、読み手が注目しているのは「他者にどう影響を与えたか」です。
そのため、文章の主語がずっと「私」になっていないかを意識して見直すことが大切です。
「相手が〜した」「相手が〜と変化した」といった記述を意識的に増やすことで、他者視点のある文章になります。
相手が主語の文章構成は、客観性と信頼性を高めます。
経験から得た学びとつなげる
エピソードを語っただけで終わるのではなく、その経験から「自分が何を学び、今後どう活かしたいか」まで伝えることが重要です。
企業は、あなたがどんな考え方を持って行動し、その結果を次にどうつなげる人物かを知りたがっています。
「相手の気持ちを考えることの大切さを学んだ」「行動の前に観察する姿勢を持つようになった」など、実践的な成長の要素を入れましょう。
学びと再現性のある成長を意識した締め方が効果的です。
【目の前の人の心を動かした経験】NG例に注意!避けるべきエピソードとは?
この設問では「人の心を動かした」というテーマから、何を書いてもよさそうに見えるかもしれません。
しかし、評価されない内容には共通するNGパターンがあります。
避けるべき構成や伝え方を事前に把握しておくことが大切です。
感動話が他人任せになっている
「感動してもらえた」「涙を流してくれた」というような内容であっても、自分がどう関与したのかが不明瞭なものは評価されません。
たとえば、「手紙を渡したら泣いてくれた」だけでは、その背景にどんな工夫や思考があったのかが伝わらないため、印象が薄くなります。
企業は、感情の結果よりもそのプロセスに注目しています。
相手の変化を生んだ自分の行動に焦点を当てて説明することが重要です。
自慢話のように聞こえる構成
「自分のアドバイスが完璧だった」「自分のおかげでうまくいった」というような書き方は、自慢に聞こえてしまう可能性があります。
特に「相手が感謝してくれた」「感動してくれた」といった表現を連発すると、自分本位な印象になります。
それよりも、「相手の立場に立って考えた」「小さな声に気づいた」という姿勢を伝える方が効果的です。
成果よりも思いやりの視点が大切です。
自己PRとの一貫性がないエピソード
この質問では、自己PRや志望動機と矛盾しないエピソードを選ぶことも大切です。
たとえば「協調性が強み」と言っているのに、ひたすら自分ひとりで頑張った話を書いてしまうと、説得力が下がってしまいます。
エピソード単体で感動があっても、他の内容と整合性が取れていないと、評価は伸びません。
価値観の一貫性を持たせることを意識しましょう。
【目の前の人の心を動かした経験】他の質問との違いに注意!
似たような質問に見えるES設問の中でも、「目の前の人の心を動かした経験」は、求められている要素が少し異なります。
類似設問との違いを意識することで、より的確なアプローチが可能になります。
感情と行動の関係性に注目することが、この質問の本質です。
「うれしかったこと」との違い
「うれしかったこと」は、自分の感情に焦点が当たっているのに対して、「目の前の人の心を動かした経験」は、他者の感情の変化とその背景が問われています。
この違いを混同すると、単なる「自分が褒められてうれしかった話」や「表彰された話」に終始してしまい、設問の意図に合わない内容になってしまいます。
あくまでも「相手がどう感じたか」「自分の行動で相手がどう変化したか」を中心に構成する必要があります。
相手視点での変化を主軸にすることが求められます。
「印象に残った経験」との差別化ポイント
「印象に残った経験」では、自分が何を経験し、何を感じたかが主なテーマです。
一方で、「目の前の人の心を動かした経験」では、他人への働きかけやその影響を問われています。
そのため、単に「驚いた出来事」や「刺激を受けた経験」ではなく、「自分の行動が他人にどう影響したか」に焦点を当てる必要があります。
他者に与えた影響が中心という点で、明確に切り分けましょう。
企業が求めている感情表現のタイプ
企業は、この設問を通じて「感情に寄り添い、相手を動かす力」を見極めようとしています。
そのため、過剰な演出や感情表現よりも、相手の変化にどれだけ気づけるか、自分の働きかけにどんな意図があったのかが大切です。
「人と関係を築く力」「共感する力」「行動に移す力」をバランスよく示せるエピソードが求められます。
感情と行動のつながりを描くことが、評価ポイントです。
【目の前の人の心を動かした経験】まとめ
「目の前の人の心を動かした経験」は、自分の行動によって相手がどのように変化したかを丁寧に伝えることが求められます。
ただの感動話や成功体験ではなく、「なぜその行動を選んだのか」「どんな変化が起きたのか」「何を学んだのか」といった構造的な説明が重要です。
特に、他者への視点を持ち、変化のプロセスを具体的に描くことが、読み手に伝わる文章になります。
今回紹介した構成テンプレートや注意点を参考に、あなた自身の体験を説得力のあるESに落とし込んでいきましょう。