
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
薬剤師は医療現場に欠かせない専門職であり、安定した職業として人気があります。
しかし、その一方で仕事がきついと感じる人も多く、ストレスや負担の大きさから転職を考えるケースも珍しくありません。
本記事では、薬剤師の具体的な仕事内容や、きついといわれる理由について詳しく解説していきます。
薬剤師という職業の実情を理解することで、自分に合った働き方を見つけるヒントになるかもしれません。
【薬剤師きつい】仕事内容を紹介
薬剤師の仕事は多岐にわたり、どれも重要な役割を担っています。
ここでは、薬剤師の代表的な業務について紹介します。
それぞれの業務がどのような内容なのか、またどのような点できついと感じやすいのかを把握することが大切です。
調剤業務
調剤業務は薬剤師の基本的な仕事のひとつであり、医師の処方箋に従って薬を調整・提供する役割を担います。
見た目には単純作業に見えるかもしれませんが、薬の種類や分量、相互作用、患者のアレルギー歴など多くの要素を確認する必要があり、非常に神経を使う作業です。
特に調剤ミスは患者の命に関わる重大な問題につながるため、常に緊張感を持って業務に取り組まなければなりません。
このような状況が続くことで、精神的な疲労が蓄積しやすい仕事でもあります。
品質管理
医薬品の品質を保つための管理も薬剤師の重要な業務です。
薬局や病院においては、在庫管理や使用期限のチェック、温度・湿度管理などが求められます。
特に病院では、注射薬や麻薬などの取り扱いにも慎重さが求められ、一つのミスが医療事故につながるリスクがあります。
また、製薬会社に勤務する薬剤師は、製造工程や品質試験のチェックを担当することが多く、高い専門性と正確さが必要です。
これらの作業は非常に細かく、集中力を維持しなければならないため、心身に負担がかかりやすい業務といえます。
服薬指導
服薬指導とは、患者に対して薬の飲み方や注意点を説明する業務です。
患者が安全に薬を服用できるようサポートする重要な役割であり、専門知識だけでなくコミュニケーション能力も求められます。
特に高齢者や外国人、精神疾患を持つ患者への説明は一筋縄ではいかず、根気強く丁寧に対応する必要があります。
また、患者からのクレームや理不尽な要求に対応しなければならない場面もあり、精神的なストレスがかかる仕事でもあります。
信頼関係を築くためには、常に真摯な姿勢で向き合うことが求められます。
薬歴の記録や管理
薬歴とは、患者がこれまでに処方された薬の情報や服薬状況、副作用などを記録したものです。
薬剤師はこれを正確に記録・管理し、次回の処方や指導に活かす必要があります。
記録ミスは医療ミスにつながる可能性があるため、慎重な取り扱いが求められます。
また、記録作業に時間がかかることも多く、業務量が多い薬局では残業の原因にもなります。
さらに、電子カルテの操作やシステムトラブルなどにも対応しなければならず、事務作業の負担が意外と大きい点も見逃せません。
専門知識の継続的なアップデート
医薬品の情報は日々進化しており、薬剤師は常に新しい知識を身につける必要があります。
新薬の登場やガイドラインの改定、ジェネリック医薬品の普及など、学び続けなければ取り残されてしまう世界です。
多くの薬剤師が、勤務時間外に勉強会へ参加したり、論文や専門書を読むなどして自己研鑽を続けています。
このような学習負担は肉体的な疲労とは異なるストレスを生む要因となり、やりがいを感じる一方で「きつい」と感じる理由のひとつにもなっています。
薬剤師がきついといわれる理由は?
薬剤師という仕事には多くの魅力がありますが、同時にきついといわれる理由も存在します。
ここでは、薬剤師が日常的に直面している主な課題やストレス要因について解説します。
これらを理解することで、自分に合った働き方や職場環境を見直すきっかけになるかもしれません。
対人対応のストレスが大きい
薬剤師の仕事には、患者や医師、看護師など多くの人と関わる機会があります。
特に調剤薬局や病院では、患者とのコミュニケーションが不可欠です。
中には説明を聞いてくれない患者や、クレームを繰り返す方もおり、対応に神経をすり減らす場面も少なくありません。
また、医療現場では医師や看護師との連携も重要で、意見が食い違ったり、緊急対応を求められることもあります。
こうした対人関係のストレスは、仕事のやりがいや達成感と裏腹に、精神的な疲労を大きくする要因となっています。
責任の重さにプレッシャーを感じる
薬剤師の業務には、患者の命や健康に直結する責任が伴います。
処方内容の確認ミスや調剤ミスがあれば、重大な医療事故につながるおそれがあります。
そのため、日常業務のひとつひとつに細心の注意を払う必要があり、常にプレッシャーの中で働くことになります。
また、医師の処方に疑問を持った場合は指摘しなければならず、その判断も慎重さが求められます。
このような責任感の重さは、真面目で誠実な人ほど精神的な負担となりやすい傾向があります。
残業や人手不足が深刻
薬剤師の職場では、慢性的な人手不足が課題となっていることも少なくありません。
特に調剤薬局や病院では、限られた人数で多くの業務をこなす必要があり、残業が常態化している職場もあります。
繁忙期や患者数の多い地域では、休憩が取れなかったり、休日出勤が発生することもあるでしょう。
また、急なスタッフの欠勤や退職があると、残ったメンバーに大きな負担がかかります。
このような状況が続くと、心身ともに疲弊し、「きつい」と感じるのは当然のことといえるでしょう。
【薬剤師きつい】業種別で異なる「きつさ」を分析しよう
薬剤師は医療現場において不可欠な存在ですが、その仕事内容や職場環境によっては「きつい」と感じることもあります。
特に勤務先によって業務内容や求められるスキルが異なるため、負担の種類も多岐にわたります。
ここでは、薬剤師が働くさまざまな業種ごとに、どのような点できついと感じやすいのかを分析していきます。
病院薬剤師
病院薬剤師は、医師の処方に基づいて調剤を行うだけでなく、入院患者に対する薬の一元管理や病棟業務、チーム医療への参加など、多くの業務を担当します。
緊急性の高い状況に対応することもあり、迅速かつ正確な判断力が求められる現場です。
また、医師や看護師との連携も密に行う必要があり、対人関係でのストレスも少なくありません。
加えて、夜勤や休日出勤がある病院もあるため、生活リズムが不規則になりやすい点も大きな負担となります。
調剤薬剤師
調剤薬局で働く薬剤師は、主に処方箋に基づいた薬の調剤や服薬指導、薬歴管理を行います。
患者対応が中心となるため、接客スキルが求められます。
特に待ち時間へのクレームや、薬に対する不安の相談対応など、感情的なやりとりが発生しやすい職場です。
また、限られた人員で業務を回す必要があり、繁忙時にはミスを防ぐための集中力も求められます。
電子薬歴の操作や在庫管理など、業務の多さも「きつい」と感じる理由のひとつです。
ドラッグストア薬剤師
ドラッグストアで働く薬剤師は、OTC医薬品の販売や接客に加え、店舗運営や品出し、レジ対応など多様な業務を担当します。
調剤業務だけでなく、一般のお客様への商品説明や相談にも対応するため、医療知識と接客力の両方が必要です。
加えて、夜間営業やシフト制による不規則な勤務時間、立ち仕事による身体的負担も大きな要因です。
薬剤師本来の業務以外の作業が多く、ギャップを感じやすい職場でもあります。
製薬企業
製薬企業で働く薬剤師は、研究開発や品質管理、学術情報の提供などが主な業務です。
高い専門性と論理的思考力が求められ、成果主義の評価体制もプレッシャーの一因になります。
特に研究職では、実験の繰り返しや長時間のデスクワークが多く、精神的な疲労が蓄積しやすい環境です。
また、プロジェクトの納期や成果へのプレッシャー、社内外との折衝業務も多く、ストレスを感じやすい職種といえるでしょう。
CRA・CRO(治験関連)
治験に関わるCRA(臨床開発モニター)やCRO(開発業務受託機関)で働く薬剤師は、医療機関とのやりとりやデータ管理、報告書作成などが中心です。
全国の医療機関を訪問することも多く、出張が頻繁にある点が特徴です。
移動の多さやタイトなスケジュールにより、体力的なきつさを感じる人も少なくありません。
また、治験の進行状況やデータの正確性を常にチェックする責任も重く、ミスが許されないプレッシャーも伴います。
公務員薬剤師
保健所や自治体で働く公務員薬剤師は、食品衛生や薬事監視、環境衛生などの分野で活躍します。
デスクワークが中心ですが、外部施設の監査や報告業務も多く、法律や制度に関する知識が求められます。
安定した勤務環境ではあるものの、行政特有のルールや手続きの煩雑さにストレスを感じることもあります。
また、異動や転勤によって業務内容が大きく変わることもあり、柔軟な対応力が必要とされる職場です。
【薬剤師きつい】薬剤師に向いてない人の特徴とは
薬剤師の仕事は専門性が高く、やりがいも大きい一方で、特定の性格やスキルが求められる職種でもあります。
ここでは、薬剤師として働く際に向いていないとされる傾向について紹介します。
自分に当てはまる項目があるかを確認し、今後のキャリア選択の参考にしてください。
マルチタスクが苦手
薬剤師の現場では、調剤や服薬指導、在庫管理、事務作業など複数の業務を並行して行うことが一般的です。
そのため、マルチタスク能力が求められます。
ひとつのことに集中するのが得意でも、他の業務が滞ってしまうようでは現場の流れについていけない可能性があります。
また、急な対応やトラブルが発生することも多く、柔軟に優先順位を切り替えながら動ける力が必要です。
マルチタスクに苦手意識があると、仕事の効率が落ち、ストレスを感じやすくなるかもしれません。
コミュニケーションを避けたい
薬剤師は専門知識を提供するだけでなく、患者や医療スタッフとのコミュニケーションが不可欠です。
特に服薬指導や相談対応では、相手の状況や理解度に応じて適切な説明が求められます。
人と関わることが苦手で会話を避けたいと感じる人にとっては、大きな負担になるでしょう。
また、相手の気持ちに寄り添う姿勢や柔軟な対応が求められる場面も多く、対人関係にストレスを感じやすい人には難しさを感じる職種といえます。
受け身な人
薬剤師の仕事では、主体的に動く姿勢が重要です。
医師の処方内容をただこなすだけでなく、疑問点を確認したり、患者の反応を見ながら服薬指導を調整したりする必要があります。
変化の多い医療現場においては、自ら情報を取りに行く積極性や、自主的に学び続ける姿勢も求められます。
受け身で指示待ちのスタイルでは、業務の質が下がったり、成長が見込めなかったりする可能性があります。
そのため、主体性を持って行動できるかどうかが、薬剤師に向いているかどうかを左右するポイントです。
【薬剤師きつい】やりがいを感じる瞬間
薬剤師の仕事は大変なことも多いですが、やりがいを感じられる場面もたくさんあります。
自分のスキルや対応が誰かの役に立ったと実感できる瞬間は、仕事へのモチベーションを高めるきっかけとなります。
以下では、薬剤師がやりがいを感じる代表的な瞬間を紹介します。
患者さんから感謝の言葉をもらえたとき
患者対応の中で、感謝の言葉を直接もらえた瞬間は、薬剤師としてのやりがいを強く感じられます。
特に不安を抱えていた患者が、自分の説明によって安心し、笑顔を見せてくれたときには、大きな達成感があります。
薬の効果だけでなく、丁寧な説明や寄り添う姿勢が信頼につながるため、自分の仕事が誰かの役に立っていることを実感できる貴重な経験です。
専門知識で人の役に立つとき
薬剤師としての知識を活かして、患者や他の医療従事者からの質問に的確に答えられたときにも、やりがいを感じることが多いです。
自分が学んできたことが現場で活かされ、実際の医療に貢献しているという実感は、大きなモチベーションになります。
とくに難しい症例に対して正しい情報を提供できたときは、専門職としての責任感と誇りを感じられる瞬間です。
チーム医療で自分の役割を果たせたとき
病院などでのチーム医療の中で、薬剤師としての立場から意見を述べたり、治療方針に関わったりすることで、自分の存在意義を強く感じられる場面があります。
他職種との連携の中で、薬剤師の視点が役立つと感謝されることもあり、チームの一員として医療に貢献できたという実感は、日々の努力を肯定してくれる大切な体験となります。
【薬剤師きつい】今後の動向
薬剤師の仕事環境は、社会の変化やテクノロジーの進化に伴って変わりつつあります。
今後は「きつい」とされる業務の負担が軽減される可能性もあります。
ここでは、将来的な業界の動向と、それが薬剤師に与える影響について解説します。
AI導入による業務負担の軽減
AIやデジタルツールの導入によって、調剤ミスの防止や在庫管理の効率化が進んでいます。
これにより、薬剤師が行うべき業務の一部が自動化され、人的ミスのリスク軽減や作業時間の短縮が期待されています。
また、服薬指導のサポートとして、チャットボットや電子カルテの進化も進んでおり、より専門性の高い業務に集中できる環境が整いつつあります。
ジェネリック医薬品の普及
ジェネリック医薬品の普及により、コスト面でのメリットが生まれる一方で、薬剤師にはより深い商品知識と説明力が求められます。
患者からの質問も増える可能性があるため、負担が増す場面もありますが、それに応じた教育体制や支援ツールの整備が進めば、対応のしやすさが改善されることが期待されます。
結果として、薬剤師が患者との信頼関係を築く機会が増え、やりがいにもつながるでしょう。
【薬剤師きつい】情報は取捨選択、すべて鵜呑みにしない!
インターネットやSNSの普及により、薬剤師の仕事に関する情報は簡単に手に入るようになりました。
しかし、それらの情報には注意が必要です。
どの情報を信じ、どのように判断するかは、キャリア選択において非常に重要です。
一部の声が強調されている可能性がある
ネット上で目にする「薬剤師はきつい」という声は、実際のごく一部の意見であることもあります。
特に匿名の掲示板やSNSでは、不満や愚痴が多く投稿されやすいため、全体像が偏って伝わることがあります。
ネガティブな意見ばかりに触れてしまうと、実際の職場環境とはかけ離れたイメージを持ってしまう可能性があるため、情報の出どころには注意が必要です。
自分に合ってる職場ならストレスは変わる
薬剤師の仕事は、職場によって大きく異なります。
たとえば、調剤薬局と病院では求められるスキルや働き方が違いますし、自分に合った職場を選べば、ストレスの感じ方も大きく変わります。
職場見学やインターンを通じて現場の雰囲気を知ることで、自分にとって無理のない働き方を見つけやすくなります。
体験談を読むときは注意が必要
実際に働いている人の体験談は非常に参考になりますが、あくまで個人の主観であることを理解しておくことが大切です。
同じ職場でも人によって感じ方は異なります。
ネガティブな意見だけで判断せず、できるだけ多くの情報を集め、冷静に比較・検討することが、後悔しないキャリア選択につながります。
まとめ
薬剤師の仕事には確かに「きつい」と感じられる要素が多くありますが、その一方で大きなやりがいや成長のチャンスも存在します。
業種によって異なる働き方や、個人の適性による向き不向きがあるため、自分に合った職場環境を見極めることが大切です。
また、今後はAI導入などによって業務の効率化も進む見込みがあり、働きやすい環境づくりが期待されています。
情報を正しく見極めながら、自分らしいキャリアを築いていく姿勢が求められる時代です。