
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
目次[目次を全て表示する]
【失敗から学んだこと 】なぜ企業がこの質問をするのか?
「失敗から学んだこと」と聞くと、「ネガティブな印象を企業に与えてしまうのでは?」と身構えてしまいますよね。
しかし、企業はあなたの失敗談そのものを知りたいわけではありません。
では、なぜこの質問をするのでしょうか。
それは、失敗という逆境への向き合い方から、あなたの人柄や課題解決能力、将来の成長ポテンシャルを見極めたいからです。
具体的には、主に以下の3つの点に注目しています。
課題解決能力や論理性を知りたい
「課題解決能力」とはほぼすべての職種で必要になる基礎能力です。
課題に直面した時にいかに自分で解決ができるかということを企業はみています。
また、どんな失敗をしたのかという「経験」だけを見ているわけではなく、「考え方の質」に注目しています。
この質問に対して「論理性」をもって文章を考えられることで思考のプロセスが明確になります。
一本筋道を立てて話を進めることで、企業側に「入社後に活躍する人材になる」と印象付けることができます。
失敗をどのように受け止めるのか知りたい
失敗をどのように受け止めるかは、「成長意欲」「責任感・主体性」を見ることができ、重要な採用基準の指標の一つになります。
失敗したことを他責にせず自分事として捉えられるということは、成長の伸びしろが大きいと評価を受けることができます。
企業は「入社後も成長できるような人材か」を重視しています。
また、失敗を自分事として受け止められる姿勢は、責任感の有無を示し、将来仕事を主体的に遂行できるかを判断する材料にもなります。
自己分析力を知りたい
自分の失敗経験を整理し言語化できる人は、自己理解が深いと言えます。
自己分析力とは、自分の経験を客観的に振り返り、原因を特定して改善点を見つける力です。
この力が高いと同じ失敗を繰り返さず、学びを活かして成長サイクルを回せます。
社会人にとって自己分析力は、業務改善やトラブル対応の基盤であり、主体性や責任感とも深く関わる重要なスキルです。
自己分析力を磨くことで、自分自身の成長だけでなく、組織の成果向上にも貢献できると考えられます。
【失敗から学んだこと】エピソードが見つからない時の探し方
失敗したことを記入しなさいという質問で、すぐに失敗談が思い浮かばない人も少なからずいるでしょう。
失敗と言っていいのかわからない経験や、そもそも見つけられないというケースもあるかと思います。
しかし、空欄で提出したり、「なし」と書いて提出することは絶対にNGです。どうしても思い浮かばない場合は以下の三点を意識して探してみましょう。
1.失敗のハードルを下げる
今までに経験した大きな失敗を探すのではなく、日常生活を振り返り、少しでも失敗したと思う瞬間があればメモに書きだすなどしてみましょう。
身近なことを失敗談として書くことで共感されやすく、より自然なESになります。
・目標を達成できなかった経験
・良かれと思ってやったことが裏目に出た経験
・周りが見えなくなり、空回りしてしまった経験
など、今振り返ると「もっとこうすれば良かった」と思うような、些細な経験でも構いません。
まずは失敗のハードルを下げて、過去の経験を洗い出してみましょう。
2.頑張ったけど成功しなかったことを思い出す
ESで語る「失敗談」が見つからないなら、「頑張ったけど、うまくいかなかった経験」を思い出しましょう。
これはあなたの挑戦意欲と成長性をアピールする絶好の機会です。
企業は成功体験よりも、高い目標への挑戦と、失敗を冷静に分析し次に活かす姿勢を高く評価します。
部活動やアルバイト、ゼミなどで、努力及ばず目標達成できなかった経験はありませんか。
その原因を分析し「何を学び、今ならどうするか」を語ることで、あなたが自ら成長できる人材だと効果的に伝えられます。
これは単なる「結果が悪かった」だけでなく、「何が足りなかったか」「どう改善したか」について企業にもアピールすることができます。
3.場面ごとに分けて考える
まずは、あなたの経験を以下のカテゴリーに分けてみましょう。
それぞれの場面で、何か目標に向かって取り組んだこと、課題を感じたことがなかったか、思い出してみてください。
・学校の授業やテスト
・アルバイトやインターンでのミス
・部活やサークルでの役割の失敗
・趣味や友人とのコミュニケーションの失敗など
このように、場面ごとに経験を分けることで、漠然としていた記憶が具体的なエピソードとして蘇ってきます。
一つ一つの引き出しを丁寧に開けて、あなただけの「失敗から学んだこと」を見つけ出しましょう。
【失敗から学んだこと】評価される「失敗経験」の書き方5ステップ
説得力のあるESにするには文章の構成について考えることが重要です。
失敗から学んだことについては以下の流れで書きましょう。
「導入」→「課題・失敗の内容」→「対応・改善策」→「結果と学び(成長)」
このように書くことで読み手にわかりやすく、自分の強みや成長を効果的に伝えられます。
他にも5つポイントがありますので紹介します。
ステップ1:失敗の原因を入れる
まず、失敗の事実を簡潔に述べた上で、その原因を客観的に分析することが不可欠です。
ここで重要なのは、他責にせず「自分自身の何が原因だったか」を明確にすることです。
「準備不足だった」「視野が狭かった」「周囲との連携が不足していた」など、具体的な自分の行動や思考の課題を特定しましょう。
この原因分析のプロセスを示すことで、あなたは単に失敗を悔やむだけでなく、物事を冷静に分析し、次に繋げるための洞察力を持つ人材であることを証明できます。
表面的な原因ではなく、一歩踏み込んだ本質的な原因を突き止め、誠実な自己理解を示すことが高評価に繋がります。
ステップ2:失敗の対処法・改善策を書く
失敗の原因を分析したら、次にその状況に対して「自分がどう考え、どう行動したか」という具体的な対処法や改善策を記述します。
単なる失敗で終わるのではなく、そこから立ち直り、状況を好転させようと主体的に動いた姿勢をアピールしましょう。
「すぐに〇〇さんに相談してアドバイスを求めた」「代替案を3つ考え、実行に移した」など、行動の具体性が重要です。
このパートは、あなたの課題解決能力やストレス耐性、行動力を示す絶好の機会です。
困難な状況に直面しても、投げ出さずに最後までやり遂げる責任感の強さを伝えることで、入社後も粘り強く業務に取り組む姿を想像させることができます。
ステップ3:失敗から学んだ内容を書く
失敗という経験と、それに対する改善行動を通じて「何を学んだのか」を明確に言語化します。
これは、エピソードの核心部分であり、あなたの価値観や成長度合いが最も表れる箇所です。
「一つの視点に固執せず、多角的に物事を捉える重要性を学んだ」「計画段階でリスクを想定し、事前準備を徹底することの大切さを痛感した」のように、具体的な教訓を簡潔にまとめましょう。
この「学び」を明確にすることで、あなたが経験から教訓を抽出し、次に活かすことができる学習能力の高い人材であることを示せます。
単なる反省で終わらせず、汎用性のあるスキルや考え方として昇華させることがポイントです。
ステップ4:失敗の経験から変化したことについて書く
学びを得た結果、その後のあなたの行動や考え方が「具体的にどう変わったのか」を記述します。
学びが一時的なものではなく、自身の血肉となっていることを証明する重要なパートです。
「この経験以降、チームで課題に取り組む際は、まず全員の意見を聞くことを徹底するようになった」「計画を立てる際には、必ず複数の視点からチェックする習慣がついた」など、ビフォーアフターが明確に伝わるように書きましょう。
この「変化」を示すことで、あなたの素直さや成長性をアピールできます。
失敗を糧にして、より良い行動を取れる人間に成長したという事実が、あなたのポテンシャルを明確にします。
ステップ5:企業でどう活かせるのか伝える
最後に、失敗から得た学びや成長を、「入社後どのように仕事で活かせるのか」を具体的に示し、貢献意欲をアピールします。
企業の事業内容や求める人物像と結びつけて、「貴社の〇〇という業務において、この経験で培った『周囲を巻き込みながら課題解決する力』を活かせると考えます」「失敗を恐れずに挑戦し、PDCAサイクルを高速で回すことで、チームの目標達成に貢献したいです」といったように、再現性のある活躍イメージを伝えましょう。
この締めくくりによって、採用担当者はあなたが入社後に活躍する姿を具体的に想像でき、単なる過去の経験談ではない、未来に向けた力強い自己PRとして完結します
【失敗から学んだこと】場面別例文3選
書き方の構成やポイントを理解したところで、より具体的にイメージを掴むために、場面別の例文を3つ紹介します。
多くの学生が経験する「アルバイト」「インターンシップ」「日常」をテーマにしました。
読みながらあなたの言葉に翻訳してみてください。
選んだ業界や職種に合わせて、強みや貢献像につなげる視点を意識しましょう。
丸写しせず、固有名詞・数値・行動をあなたの事実で上書きするのがコツです。
例文1:アルバイトでの場面
飲食店のアルバイトで、満席時に複数の業務が重なり、お客様の要望を聞き間違える失敗をしました。
原因は、焦りから目の前の作業に追われ、お客様一人ひとりと向き合う意識が欠けていたことです。
深く反省し、店長に相談したところ「一人で抱え込まず、周りに頼れ」と助言を頂きました。
それ以降、困難な状況こそ仲間と積極的に声を掛け合い、優先順位を確認するよう徹底。
結果、店舗全体の業務効率が向上し、お客様からも感謝の言葉を頂く機会が増えました。
この経験から、真の顧客満足は、個人の能力だけでなく、チーム全体の連携から生まれることを学びました。
貴社でもこの学びを活かし、チーム一丸となって成果を追求できる人材として貢献したいです。
例文2:インターン先での場面
Webメディアの企画インターンで、自分が面白いと感じるニッチなテーマを提案し、アクセス数が伸び悩んだ失敗があります。
原因は、読者層のニーズ分析を怠り、自分の主観だけで企画を進めてしまったことでした。
この失敗を受け、私は「なぜこの記事は読まれなかったのか」を徹底的に分析。
過去の記事データやSNSでの反響を調べ、読者が求める情報の傾向を掴みました。
その分析に基づき、ターゲット層に響くキーワードを盛り込んだ企画を再提案したところ、前回の5倍のアクセス数を記録しました。
この経験から、客観的なデータ分析に基づいた仮説検証こそが、成果への最短距離であると学びました。
貴社のマーケティング部門でも、この分析力を活かして事業に貢献したいと考えています。
例文3:日常での場面
独学で挑戦した資格試験に一度不合格となった失敗経験があります。
当初、私は参考書を読み込むインプット学習に偏っており、それが知識の定着を妨げている原因でした。
不合格という結果に落ち込みましたが、このままでは終われないと一念発起。
すぐに学習計画を見直し、インプットとアウトプットの比率を3:7に変更。
問題演習を中心に、間違えた箇所は参考書の該当部分を熟読する学習法に切り替えました。
その結果、次の試験では目標点を20点上回る点数で合格できました。
この経験から、目標達成のためには、現状を分析し、最適な方法へ柔軟にやり方を変えていく実行力が不可欠であると学びました。
この強みを活かし、貴社の業務においても常に改善を意識し、成果を追求していきたいです。
【失敗から学んだこと】ESで書く際の注意点
せっかく良いエピソードを選んでも、伝え方を誤ると評価を下げてしまう可能性があります。
特に、失敗談が単なる反省文で終わってしまったり、得た学びが「コミュニケーションを大切にする」といった抽象的な表現になったりするのは避けたいところです。
ここでは、あなたの失敗経験を確実に自己PRへと昇華させるため、最後に押さえるべき注意点を解説します。
1.「失敗」をネガティブな印象で終わらせない
ESで失敗談を語る際、反省や後悔の言葉だけで締めくくるのは絶対にNGです。
「打たれ弱い」「成長しない」といったネガティブな印象を与えてしまいます。
失敗は必ず「成長のきっかけ」と位置づけましょう。
そして、その経験を通じて「何を学び、どう行動が変わり、今後どう活かすのか」という前向きな成長ストーリーとして語りましょう。
失敗を乗り越えた課題解決能力と、将来性をアピールすることがポジティブな評価に繋がる鍵です。
2.「学んだこと」が抽象的にならないようにする
ESで失敗から学んだことを書く際、ありがちなミスは「学び」が抽象的すぎて印象に残らないことです。
例えば「努力の大切さを学んだ」「コミュニケーション力が大事だと知った」などは、多くの人が書く一般論で差別化ができません。
重要なのは、学びを具体的な行動レベルまで落とし込むことです。
「努力」→毎日30分の予習を習慣化し、ミス率を20%削減
「コミュニケーション力」→週1回の進捗共有ミーティングを提案し、情報の行き違いを解消
また、第三者からの評価も入れることで、入社後の活躍像が鮮明になります。
このように、抽象から具体変換させることが、評価を大きく左右します。
3.企業と関連させる
学びは必ず企業・職種に接続しましょう。
事業内容・顧客・評価指標(KPI)に照らし、“行動→効果”で具体化します。
例)「優先度設計で遅延を解消」→「貴社の○○導入プロジェクトでWBSとリスクレビューに落とし込み、オンタイム率を向上」。
構文は「学び→想定シーン→実装方法→期待成果(数値目標)」としましょう。
さらに企業理念や行動指針のキーワードを一語引用し、整合性を示すと説得力が増します。
4.「失敗していない」と回答しない
「失敗はない」は厳禁です。
学びを問う意図を外し、自己理解不足と受け取られてしまいます。
重要なのは規模ではなく、気づきと改善です。
小さなミスやヒヤリハットでも「①状況②原因③対処④成果」で語れば評価対象にすることができます。
例:「準備不足で会議が延長→事前アジェンダと資料締切を設定→平均所要時間を30%短縮」。
この流れを意識し、再発防止策の再現性まで示し、成長意欲を明確に伝えましょう。
【失敗から学んだこと】ありがちなNG例文とポイント
実際にどのような書き方がNGなのか気になりますよね。
ここからはありがちなNG例文がどのようなものか見ていきましょう。
先ほど紹介した5つのステップのうち何が抜けているか、注意点で紹介した内容は考慮されているのか、意識しながら読んでみてください。
例文1:原因が「他責」になっている
私の失敗経験は、飲食店のアルバイトで新人教育を担当した際、任された新人がすぐに辞めてしまったことです。
当時の店舗は人手不足でマニュアルも古く、十分な研修時間を確保できない状況でした。
私なりに業務の合間を縫って指導しましたが、新人の成長が遅く、他の従業員からの厳しい視線に耐えられなかったようでした。
この経験から、相手の状況や個性を考慮せずに一方的に教えるだけでは、人は育たないということを痛感しました。
今後は、相手の立場を尊重したコミュニケーションを心がけたいと考えています。
一見反省しているように見えますが、「人手不足」「マニュアルが古い」「他の従業員の視線」など、失敗の原因を自分以外の環境や他人のせいにしており、主体的な自己分析ができていません。
「自分自身の何が課題だったのか」が不明確なため、成長意欲や課題解決能力をアピールできていません。
例文2:「学び」が抽象的
学園祭実行委員で企画リーダーを務めた際、来場者アンケートで担当企画の満足度が著しく低かったという失敗があります。
私はユニークな企画内容に自信があったため、準備段階でチームの仲間から出た懸念点に十分に耳を傾けず、計画を強引に進めてしまいました。
その結果、企画が自己満足に終わり、多くの来場者を失望させてしまいました。
この経験を通じて、チームで何かを成し遂げる際には、周囲の意見を尊重する「傾聴力」と「協調性」がいかに重要であるかを学びました。
失敗の状況と原因は書かれていますが、「傾聴力と協調性の重要性を学んだ」という学びが非常に抽象的です。
その学びを得て、その後の行動がどう変わったのか、そしてその学びを入社後どう活かせるのかという未来への視点が全くなく、単なる「反省文」で終わってしまっています。
例文3:「受け止め方」が書かれていない
飲食店のアルバイトで、自分の仕事に集中しすぎるあまり、他のスタッフの状況が見えず、結果的にお客様を待たせてクレームに繋がった失敗があります。
この出来事があってから、常に一歩引いて全体を見渡し、仲間と連携することを心がけるようになりました。
この経験から、チームで成果を出すためには、個々のスキルだけでなく、広い視野を持つことが不可欠だと学びました。この学びを貴社でも活かしたいです。
失敗の事実と学びは書かれていますが、その失敗をどう感じ、どう向き合ったかという「受け止め方」が全く書かれていません。
「なぜ視野を広く持つべきだと痛感したのか」という内省のプロセスが抜け落ちているため、学びが表面的に見えます。
【失敗から学んだこと】まとめ
「失敗から学んだこと」というテーマに、苦手意識を持つ必要はまったくありません。
企業がなぜこのテーマを質問をするのか本質を理解し、ただの失敗談を記述するだけのESにならないように注意しながら書きましょう。
失敗を「弱み」ではなく「成長の伸びしろ」と捉え、紹介した構成で整理してこの記事を参考に、あなた自身の価値を最大限にアピールするESを完成させてください。