
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
皆さんは「繊維業界」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?「アパレル?」「なんだか地味かも…」なんて思っていませんか?だとしたら、それは大きな誤解です!実は繊維業界は、私たちの生活に欠かせない「衣服」はもちろん、航空機や自動車、医療現場で使われる「最先端素材」まで手掛ける、非常に奥深くダイナミックな世界なんです。
この記事では、そんな繊維業界の全体像から、就職偏差値ランキング、具体的な仕事内容、そして内定を掴むための秘訣まで、就活生の皆さんが本当に知りたい情報をギュッと凝縮してお届けします。
「服が好き」という気持ちを、どう「仕事」につなげていくか。
目次[目次を全て表示する]
就職偏差値とは
「就職偏差値」という言葉、就活中に一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。
これは、企業の入社難易度を、予備校の偏差値のように数値で分かりやすく示そうとする指標のことです。
主に、内定者の出身大学のレベルや採用倍率、企業の人気度、年収や待遇といった複数の要素を総合的に判断して、就活生の間やインターネット上で作成されることが多いです。
ただし、これはあくまで有志が作成した非公式な指標であり、公的なデータや絶対的な基準ではないという点はしっかり理解しておきましょう。
業界研究や企業選びの一つの参考情報として捉えるのが賢明です。
繊維業界の就職偏差値ランキング
さて、ここでは「繊維業界」の就職偏差値ランキングとされる一例を紹介します。
繊維業界と聞くと、アパレルや衣服のイメージが強いかもしれませんが、実は産業用資材や最先端の機能性素材など、非常に幅広い分野で活躍している業界です。
東レや帝人のような大手化学メーカー系から、商社機能を持つ専門商社、アパレルブランドを展開する企業まで様々です。
このランキングは、企業の規模や技術力、グローバル展開、将来性などを基にしていますが、これも一つの目安として、自分の目で企業研究を進めることが何よりも大切ですよ。
【繊維業界】Aランク(就職偏差値70以上)
【70】東レ ファーストリテイリング
このクラスは大手で研究開発やグローバル展開を主導する企業が多いです。
扱う製品は高機能材料からグローバルなアパレルブランドまで幅広く、職種も研究・開発、設計、企画、海外営業など多岐にわたります。
選考では専門知識や論理的思考力に加えて、ケース面接や英語力などグローバル対応力が重視されます。
入社対策としては研究実績やテーマ、インターン経験を明確に示し、業界の最先端技術や事業戦略を理解していることを伝えることが重要です。
研究開発やグローバルビジネス経験をアピールできる具体的な成果やプロジェクトを用意してください。
【繊維業界】Bランク(就職偏差値66以上)
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【69】帝人 クラレ
【68】日清紡 東洋紡 日東紡績 トヨタ紡織 しまむら
【67】グンゼ 倉敷紡績 セーレン 帝人フロンティア
【66】ユニチカ 片倉工業 日清紡テキスタイル
このランクは素材メーカーや繊維製品を幅広く手がける企業が多く、研究開発と量産体制の両方を求められます。
事業は繊維を核に医療用や自動車用途などの機能性素材まで広がっているため、専門領域の知識が評価されます。
選考では技術的な理解と実務での応用力、さらにはチームでの問題解決能力が見られます。
対策としてはインターンや研究・卒業制作の成果を整理し、具体的な業務でどう活かせるかを説明できるようにしてください。
実務経験や現場知識を示すエピソードを用意すると有利です。
【繊維業界】Cランク(就職偏差値61以上)
【65】島精機製作所 ジャノメ PEGASUS 帝国繊維 日本毛織 ホギメディカル
【64】富士紡 ワコール 住江織物 ゴールドウイン デサント
【63】JUKI シキボウ 小松マテーレ トーア紡コーポレーション
【62】川本産業 日本フエルト ダイドーリミテッド
【61】津田駒工業 ワールド 三陽商会
中堅クラスの企業が多く、機械製造やアパレルブランド、医療用繊維など領域が分かれています。
職務は設計・生産管理・品質管理・営業・商品企画など多岐にわたるため、業務適応力が重視されます。
面接では具体的な作業経験や問題解決のプロセス、チームでの役割を聞かれることが多いです。
入社準備としてはポートフォリオや製作物、アルバイトや実習で得た経験を整理して伝えられるようにしてください。
デザインや製造の実務スキルを見せる具体例を用意しましょう。
【繊維業界】Dランク(就職偏差値56以上)
【60】マツオカコーポレーション サカイオーベックス
【59】東海染工 ダイトウボウ 日本グラスファイバー
【58】大和紡績 日東製網 寿屋フロンテ
【57】東洋羽毛工業 北日本紡績 近藤紡績所
【56】フジコー 綾部紡績 長谷虎紡績
地方の中小〜中堅メーカーや専門特化した工場が含まれることが多いランクです。
経営の安定度や製造現場での専門技術が評価され、現場での即戦力性が重視されます。
選考では勤続意欲や現場での対応力、具体的な作業経験が有利に働きます。
対策としては工場見学や実習、アルバイト経験を通して現場理解を深め、志望動機に落とし込んでください。
現場での即戦力を示す具体例を履歴書や面接で伝えると良いです。
【繊維業界】Eランク(就職偏差値50以上)
【55】旭紡績 太陽毛絲紡績 芳仲繊維 マツウラ 小松ニット
小規模事業者や地域密着の織布・編立業者が多く、幅広い業務を担うことが求められます。
職務は生産、品質管理、軽作業、営業事務など兼務となることが多く柔軟性が評価されます。
選考では多能工としての適性や地元で働く意思、長期勤務の姿勢が重視されます。
入社準備としては幅広い業務をこなせることを示すエピソードや、地域貢献の意欲を明確にしてください。
幅広い業務対応力を示す具体的な経験を用意しましょう。
【繊維業界】とは
「繊維業界」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?洋服やアパレルショップを想像する人が多いかもしれませんが、実はそれだけではありません。
繊維業界は、天然繊維(綿、麻、絹、羊毛など)や化学繊維(ポリエステル、ナイロン、アクリルなど)を製造・加工し、それらを使って糸や生地、最終製品(衣料品、産業用資材など)を生み出す、非常に裾野の広い業界です。
私たちの生活に欠かせない「衣」を支えるだけでなく、自動車のエアバッグやタイヤコード、飛行機の機体、医療用の人工血管など、あらゆる産業分野でその技術が活かされています。
基本的な仕組み
繊維業界の基本的な仕組みは、「川上」「川中」「川下」という3つの領域に大別されます。
まず「川上」は、原料の調達と繊維の製造を担う領域です。
綿花や羊毛といった天然繊維の栽培・調達や、石油などを原料とする化学繊維の製造を行う化学メーカーや素材メーカーがここに属します。
次に「川中」は、川上から供給された繊維を使って糸や生地に加工する領域です。
紡績(糸を紡ぐ)、織布(生地を織る)、染色、後加工(機能性を持たせる)などを行う企業が活躍します。
最後に「川下」は、川中から仕入れた生地などを使って最終製品を企画・製造・販売する領域です。
アパレルメーカーや小売店(百貨店、セレクトショップ、SPAなど)がこれにあたります。
このように、原料から最終製品が消費者の手に渡るまで、多くの企業が関わり合って一つのバリューチェーンを形成しているのが繊維業界の大きな特徴です。
主な役割と業務内容
繊維業界の役割は、大きく分けて二つあります。
一つは、私たちの生活に欠かせない衣料品を提供すること。
流行や機能性、快適さなどを追求し、人々の暮らしを豊かに彩る役割です。
もう一つは、あらゆる産業分野に高機能な素材を供給すること。
例えば、炭素繊維は軽量でありながら鉄よりも強い特性を活かして航空機の機体に使われたり、アラミド繊維は防弾チョッキや消防服に使われたりします。
業務内容も多岐にわたります。
素材メーカーでは、新しい機能を持つ繊維の研究開発や、それを製造するプラントの管理・運用が行われます。
商社では、世界中から原料を買い付けたり、国内外のメーカーに素材や製品を販売したりする営業活動が中心です。
アパレルメーカーでは、トレンドを分析して商品を企画するデザイナーやマーチャンダイザー、製造工程を管理する生産管理、そして商品を消費者に届ける販売・マーケティングなど、様々な職種が連携して働いています。
繊維業界の最新トレンド
繊維業界は伝統的な産業であると同時に、常に新しい技術や価値観を取り入れ、変化し続けています。
特に近年注目されているのが、「サステナビリティ」への取り組みです。
地球環境への配慮から、リサイクル素材の使用、オーガニックコットンの採用、製造工程での水やエネルギーの使用量削減、廃棄物の削減などが業界全体の大きな課題となっています。
また、CO2排出量削減に貢献する素材開発も活発です。
もう一つの大きなトレンドは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の進展です。
AIやIoTを活用したスマートファクトリーによる生産効率の向上、3Dシミュレーションによるデザイン・試作の効率化、ECサイトやSNSを活用した新しい販売チャネルの開拓などが進んでいます。
これらの最新トレンドを理解しておくことは、繊維業界の将来性を考える上でも、志望動機を深める上でも非常に重要になるでしょう。
【繊維業界】職種
繊維業界には、他の業界とは異なるいくつかの特徴があります。
まず、非常にグローバルな産業であるという点です。
原料の多くを海外からの輸入に頼っており、また、製造拠点を人件費の安い海外に置いている企業も多いため、国際的な取引が日常的に行われます。
語学力や異文化理解力が活かせる場面も多いでしょう。
次に、技術革新が絶えず求められる点も特徴です。
単なる衣料品だけでなく、IT、医療、環境など、最先端分野で使われる高機能素材(スマートテキスタイルなど)の開発競争が激しく、理系出身者が活躍できるフィールドも広がっています。
このセクションでは、繊維業界における主な職種について、具体的にどのような仕事なのかを見ていきましょう。
総合職 (企画・営業)
総合職は、繊維業界においても中心的な役割を担います。
特に営業職は、国内外の顧客(アパレルメーカー、商社、他業種のメーカーなど)に対して、自社の素材や製品を提案・販売する仕事です。
単にモノを売るだけでなく、顧客のニーズや市場のトレンドを把握し、時には研究開発部門と連携して新しい製品を企画・提案することもあります。
高いコミュニケーション能力や交渉力はもちろん、素材に関する専門知識や市場動向を読む力が求められます。
一方、企画職(マーチャンダイザーなど)は、市場のニーズやトレンドを分析し、どのような商品をどれくらい、いくらで、いつまでに作るかといった商品計画全体を設計する仕事です。
デザイナーや生産管理、営業など、多くの部門と連携しながらプロジェクトを進める、いわば司令塔のような存在です。
繊維業界の「売れる仕組み」を作る、非常にやりがいのある職種と言えるでしょう。
専門職 (デザイナー・パタンナー)
繊維業界、特にアパレル分野での花形とも言えるのが、デザイナーやパタンナーといった専門職です。
デザイナーは、ブランドのコンセプトやシーズンのテーマに基づき、洋服のデザイン画を作成します。
トレンドを敏感に察知する感性や、それを形にする創造力、そして素材や縫製に関する知識が不可欠です。
一方、パタンナーは、デザイナーが描いたデザイン画を基に、洋服の「型紙(パターン)」を作成する仕事です。
平面のデザイン画を、人間が着用する立体的な服へと正確に起こしていく、非常に専門的な技術が求められます。
ミリ単位の修正が着心地やシルエットを大きく左右するため、緻密さと根気強さが必要です。
近年は、CAD(コンピュータ支援設計)システムを使ってパターンを作成することが主流になっています。
これらの職種は、専門学校や大学で専門的なスキルを学んだ人が就くことが多いですが、企業の「総合職(企画系)」として入社し、適性に応じて配属されるケースもあります。
技術職 (研究開発・生産管理)
繊維業界の「モノづくり」を根幹から支えるのが、研究開発職や生産管理職といった技術職です。
研究開発職は、これまでにない新しい機能を持つ繊維や、環境負荷の低い製造プロセスなどを研究・開発する仕事です。
化学、物理、生物など、様々な分野の知識を活かし、数年後、数十年後を見据えた研究に取り組みます。
大手素材メーカーでは、博士号を持つ研究者も多く活躍しています。
生産管理職は、製品を「いつまでに」「どれくらいの品質で」「どれくらいのコストで」作るかを計画し、工場や協力会社と連携しながら製造プロセス全体を管理する仕事です。
原料の調達から、工場の稼働状況、品質チェック、納期の管理まで、その業務は多岐にわたります。
海外の工場とやり取りする機会も多く、語学力や調整能力が求められます。
縁の下の力持ち的な存在ですが、企業の競争力を左右する重要なポジションです。
【繊維業界】向いている人
繊維業界は、華やかなアパレルから最先端の素材開発まで、非常に幅広い領域を持つ魅力的な業界です。
しかし、それだけに求められる資質も様々です。
自分がこの業界で活躍できるかどうか、気になっている人も多いでしょう。
単に「服が好き」というだけでなく、その背景にある仕組みや技術に興味を持てるかどうかが一つのポイントになります。
また、トレンドの変化が激しく、グローバルな競争に晒されている業界でもあるため、変化を楽しみ、自ら学んで行動できる柔軟性も重要です。
ここでは、繊維業界で特に活躍できる可能性のある人の特徴を、いくつか具体的に掘り下げてみたいと思います。
ファッションやモノづくりへの情熱がある人
やはり、ファッションが好き、あるいは「モノづくり」そのものに強い情熱を持てる人は、繊維業界に向いていると言えます。
特にアパレル分野や、消費者に近い製品を扱う企業では、この情熱が仕事の原動力になります。
デザイナーや企画職はもちろん、営業職であっても、自社製品への深い愛情やこだわりが、顧客の心を動かす提案につながります。
また、素材メーカーの研究開発職や技術職においても、自分が関わった素材が最終的にどのような製品になり、社会にどう役立つのかを想像し、そこにやりがいを感じられることが大切です。
トレンドの移り変わりは早いですが、その変化を楽しみ、常に新しい「価値」を生み出したいという探究心が、日々の業務を支えてくれるでしょう。
ただし、好きなことだけを仕事にできるわけではなく、地道な作業や泥臭い調整も多いことは理解しておく必要があります。
トレンドに敏感で情報収集が得意な人
繊維業界は、良くも悪くも「トレンド」に大きく左右される業界です。
ファッションの流行はもちろんのこと、消費者の価値観の変化(例:サステナビリティ意識の高まり)、新しい技術の登場、国際情勢など、様々な外部環境の変化がビジネスに直結します。
そのため、常にアンテナを高く張り、国内外の様々な情報に敏感であることが求められます。
単に情報を受け取るだけでなく、その情報が何を意味し、自社のビジネスにどのような影響を与えるかを分析し、次のアクションにつなげる思考力が必要です。
企画職やマーケティング職はもちろん、営業職が顧客との会話からニーズの変化を掴んだり、研究開発職が最新の論文や特許情報をチェックしたりと、あらゆる職種で情報感度の高さが武器になります。
普段から新聞やニュース、専門誌、SNSなど、多様なソースから情報を得る習慣をつけておくと良いでしょう。
グローバルな視点を持ち、挑戦を楽しめる人
h2「特徴」でも触れたように、繊維業界は非常にグローバルな産業です。
原料の調達、生産拠点の海外移転、そして製品の販売市場の拡大など、ビジネスのあらゆる場面で「世界」とつながっています。
そのため、国内市場だけに目を向けるのではなく、グローバルな視点を持って物事を考えられる人が求められます。
英語や中国語などの語学力はもちろん重要ですが、それ以上に、異なる文化や価値観を持つ人々と臆せずにコミュニケーションをとり、協力して仕事を進められるマインドセットが大切です。
また、新興国の追い上げや、サステナビリティ対応といった新たな課題など、業界全体が大きな変革期を迎えているとも言えます。
前例のない課題に対しても、臆することなく新しい方法を模索し、挑戦を楽しめるポジティブな姿勢が、この業界で活躍するための鍵となるでしょう。
【繊維業界】向いていない人
一方で、繊維業界の特性が、自分の価値観や働き方の希望と合わない場合もあります。
業界研究は、良い面だけでなく、自分にとっての「合わない可能性」を探るためにも重要です。
例えば、h2「向いている人」で挙げた特徴の裏返しになりますが、変化よりも安定を強く求める人や、一つのことをじっくりと深掘りしたいタイプの人にとっては、スピード感やトレンドの変化がストレスになるかもしれません。
また、華やかなイメージとは裏腹に、地道で泥臭い作業も非常に多いのが実情です。
ここでは、どのようなタイプの人が繊維業界の仕事でミスマッチを感じやすいか、その傾向について考えてみましょう。
トレンドの変化に対応するのが苦手な人
繊維業界、特にアパレル分野は、トレンドの移り変わりが非常に激しい世界です。
数ヶ月単位で流行が変わり、消費者のニーズも多様化しています。
そのため、常に新しい情報をキャッチアップし、それに合わせて仕事の進め方や商品企画を柔軟に変えていく必要があります。
一度覚えた知識や成功体験に固執し、新しい流れに適応することに抵抗を感じるタイプの人には、ストレスの多い環境かもしれません。
また、企画やデザインが、市場の反応や競合の動向によって、急遽変更になることも日常茶飯事です。
安定したルーティンワークを好む人や、じっくりと時間をかけて一つのことを完璧に仕上げたいというこだわりが強すぎる人は、業界特有のスピード感についていくのが難しく感じる可能性があります。
細かい作業や泥臭い仕事に抵抗がある人
繊維業界には、ファッションショーや最先端素材といった華やかなイメージがある一方で、実際には非常に地道で細かい作業や、泥臭い交渉・調整が仕事の大半を占めることも少なくありません。
例えば、素材メーカーの営業であれば、顧客の要望に応えるために何度もサンプルを作成し直したり、工場の生産ラインと粘り強く納期調整を行ったりします。
アパレルの企画職でも、膨大な量のトレンド情報を分析したり、コスト計算を緻密に行ったり、海外の工場と品質や納期についてタフな交渉をしたりします。
こうした「裏方」的な作業や、人と人との間で汗をかくことに対して抵抗感がある人、華やかな部分だけをイメージしている人は、入社後に大きなギャップを感じてしまうでしょう。
縁の下の力持ちとして、コツコツと物事を進める忍耐強さが求められます。
安定志向が強すぎる人
繊維業界は、国内市場の縮小、海外企業との競争激化、サステナビリティへの対応など、多くの構造的な課題に直面しており、まさに「変革期」の真っただ中にあります。
かつてのような「作れば売れる」時代は終わり、常に新しいビジネスモデルや価値の創出が求められています。
そのため、「大手企業に入れば安泰」といった安定志向が強すぎる人にとっては、厳しい環境かもしれません。
もちろん、優良企業は多く存在しますが、どの企業にいても、自ら課題を見つけ、学び続け、変化に対応していく姿勢が不可欠です。
言われたことだけをこなすのではなく、常に当事者意識を持って仕事に取り組むことが求められます。
逆に言えば、こうした変化を「チャンス」と捉え、自ら新しい道を切り開いていきたいという意欲のある人にとっては、非常にやりがいのある業界とも言えます。
【繊維業界】内定をもらうためのポイント
繊維業界は、その専門性とグローバルな展開力から、多くの就活生にとって魅力的なフィールドです。
しかし、それゆえに人気企業の内定を勝ち取るのは容易ではありません。
特に大手素材メーカーや人気アパレル企業では、「なぜ他の業界ではなく繊維業界なのか」「なぜ数ある企業の中でウチなのか」を深く問われます。
単に「服が好きだから」といった漠然とした理由だけでは、ライバルに差をつけることは難しいでしょう。
業界の現状や課題、そして各企業の強みや特徴を深く理解した上で、自分自身の経験や強みとどう結びつけ、入社後にどう貢献できるのかを具体的に示す必要があります。
ここでは、繊維業界の内定を掴むために、特に意識してほしいポイントを解説します。
徹底した業界研究と企業研究
まず何よりも重要なのが、徹底した業界研究と企業研究です。
h3「基本的な仕組み」で解説したように、繊維業界は「川上」「川中」「川下」と非常に幅広く、素材メーカー、専門商社、アパレルメーカーなど、立ち位置によってビジネスモデルや求められる人材が全く異なります。
自分が興味のある企業が、バリューチェーンのどの部分を担い、どのような強み(技術力、企画力、販売力など)を持っているのかを正確に把握しましょう。
例えば、東レと帝人フロンティア、ファーストリテイリングでは、同じ繊維業界でも仕事内容は大きく異なります。
各社のIR情報(決算資料など)や中期経営計画にも目を通し、その企業が今、何に力を入れ、今後どこへ向かおうとしているのかを理解することが、説得力のある志望動機につながります。
「なぜ繊維業界か」「なぜその企業か」を明確にする
業界研究・企業研究で得た情報を基に、「なぜ自分は繊維業界を志望するのか」そして「なぜその企業でなければならないのか」という問いに対する答えを、自分自身の言葉で明確にすることが不可欠です。
例えば、「高機能素材を通じて社会課題を解決したい」という理由なら、なぜそれが化学業界や鉄鋼業界ではなく、繊維業界なのかを説明できる必要があります。
「人々の生活を豊かにしたい」という理由なら、なぜそれが食品業界やIT業界ではなく、アパレルなのかを具体的に語る必要があります。
自分の過去の経験(部活動、アルバート、研究など)と志望動機を結びつけ、「自分はこういう人間であり、こういう価値観を大切にしているから、御社の〇〇という点に強く惹かれ、〇〇という形で貢献できる」という一貫したストーリーを構築しましょう。
インターンシップや店舗訪問でリアルな声を知る
企業研究を深める上で、インターンシップへの参加や、OB・OG訪問、店舗訪問は非常に有効です。
インターンシップでは、実際の業務の一部を体験したり、社員の方と直接話したりすることで、その企業の社風や仕事の進め方を肌で感じることができます。
OB・OG訪問は、採用ページには書かれていない仕事のやりがいや厳しさ、キャリアパスなど、リアルな情報を得る絶好の機会です。
もしOB・OGが見つからなくても、企業説明会で積極的に質問したり、問い合わせ窓口を活用したりしましょう。
アパレルや小売を志望する場合は、実際に店舗に足を運び、接客を受けたり、商品の陳列や客層を観察したりすることも重要な企業研究の一環です。
ネットの情報だけでは得られない「生きた情報」が、あなたの志望動機をより強固なものにしてくれます。
【繊維業界】よくある質問
繊維業界を目指す就活生の皆さんからは、毎年多くの質問が寄せられます。
業界の将来性や、文系・理系の違い、働き方など、気になる点は多いですよね。
業界が変革期にあるからこそ、将来に対する不安を感じることもあるかもしれません。
また、専門性が高そうなイメージから、「自分でもやっていけるだろうか」と心配になる人もいるでしょう。
ここでは、そうした就活生の皆さんが抱きがちな疑問について、就活アドバイザーの視点から、できるだけ分かりやすくお答えしていきます。
これらの回答を参考に、皆さんの疑問や不安を解消し、自信を持って選考に臨んでくださいね。
繊維業界の将来性は?
これは非常によく聞かれる質問ですね。
結論から言うと、「国内の衣料品市場」は縮小傾向にありますが、「繊維業界全体」としては大きな可能性を秘めています。
確かに、人口減少や安価な海外製品との競争により、国内のアパレル市場は厳しい状況が続いています。
しかし、一方で、日本の繊維業界が持つ高い技術力は、世界から注目されています。
例えば、炭素繊維やアラミド繊維といった高機能素材は、航空機、自動車、医療、環境・エネルギー分野など、衣料品以外の様々な産業で需要が拡大しています。
また、サステナビリティへの対応や、IoTと繊維を組み合わせたスマートテキスタイルの開発など、新しい市場も生まれつつあります。
既存のビジネスモデルにとらわれず、技術革新やグローバル展開、新規事業の創出に積極的に取り組んでいる企業には、大いに将来性があると言えるでしょう。
文系でも技術職や専門職に応募できますか?
職種によりますが、可能性はあります。
まず、研究開発職については、化学、物理、生物、情報工学など、理系(特に化学系)の専門知識が求められることがほとんどで、大学院卒以上を応募条件とする企業も多いです。
文系から応募するのはかなり難しいでしょう。
デザイナーやパタンナーといった専門職についても、服飾系の専門学校や大学で専門的な技術や知識を学んでいることが前提となるケースが多いです。
ただし、企業によっては「総合職(企画系)」として採用された後、適性や本人の希望に応じて、企画開発やデザイン関連の部署に配属される可能性はあります。
一方、生産管理職については、理系出身者が多い傾向にありますが、文系出身者でも応募可能な企業も少なくありません。
入社後の研修やOJTで必要な知識を学ぶことになります。
文系の方が繊維業界のモノづくりに深く関わりたい場合は、専門商社やアパレルメーカーの「総合職(営業・企画・生産管理)」を目指すのが一般的です。
勤務地は都市部が多いですか?
これも企業や職種によって大きく異なります。
まず、アパレルメーカーや専門商社の本社機能(企画、営業、マーケティングなど)は、東京や大阪といった大都市に集中している傾向が強いです。
トレンド情報を素早くキャッチしたり、主要な取引先と密に連携したりする必要があるためです。
デザイナーやパタンナーといった専門職も、同様に都市部での勤務が多くなります。
一方で、素材メーカーの研究開発拠点や製造工場は、広い土地や水資源が必要なため、地方や郊外に立地しているケースが非常に多いです。
技術職(研究開発、生産管理)や、工場の管理部門を希望する場合は、地方勤務になる可能性が高いことを覚悟しておく必要があります。
また、営業職や総合職として採用された場合、将来的に海外拠点(生産工場や販売支店)へ駐在する可能性も他の業界に比べて高いと言えるでしょう。
まとめ
今回は、繊維業界の就職偏差値ランキングから、業界の仕組み、職種、向いている人の特徴、内定獲得のポイントまで、幅広く解説してきました。
繊維業界は、私たちの生活を支える「衣」だけでなく、最先端技術を駆使した「高機能素材」で産業界全体を支える、非常に奥深く、やりがいのあるフィールドです。
変革期だからこその難しさもありますが、それは同時に、新しい価値を創造できる大きなチャンスでもあります。
この記事を参考に、業界・企業研究をさらに深め、自分の言葉で「なぜ繊維業界なのか」を語れるようになってください。