
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就職活動を進める中で、薬剤師という専門職に興味を持つ皆さんもいることでしょう。
医療の一端を担い、人々の健康を支える薬剤師は、やりがいのある素晴らしい職業です。
しかし、「なぜ薬剤師になりたいのか」「数ある企業の中でなぜここを選んだのか」を明確に言語化するのは難しいものです。
志望動機は、皆さんの熱意や適性、そして将来性を伝える重要な要素となります。
この記事では、薬剤師を目指す新卒就活生が説得力のある志望動機を作成するために必要な、仕事内容の理解から具体的な作成ステップ、そして例文までを徹底的に解説します。
この記事を読んで、自信を持って選考に臨める志望動機を作り上げてください。
【薬剤師の志望動機】将来性
薬剤師の仕事は、人々の健康と命に直結するため、非常に重要性が高い役割です。
医療の進歩や社会環境の変化に伴い、その働き方や求められるスキルは常に変化していますが、専門性の高い知識と技術を持つ人材への需要は途切れることがありません。
高齢化社会の進展や、病気の早期発見・予防への意識の高まりにより、薬剤師は調剤薬局や病院といった従来の活躍の場だけでなく、地域医療や在宅医療、さらには未病対策や健康サポートといった多岐にわたる領域での活躍が期待されています。
まずは、薬剤師の現状と将来の展望を正しく理解し、自身の志望動機を深掘りするヒントとしてください。
薬剤師の現状
日本の医療制度において、薬剤師は医師と並んで欠かせない存在です。
高齢化が進む現在、複数の疾患を持つ患者さんが増え、それに伴い服用する薬の種類や量も増加傾向にあります。
そのため、薬物療法の専門家として副作用や飲み合わせのリスクを管理する薬剤師の役割は一層重要になっています。
また、近年では「対物」から「対人」の業務への移行が国策として推進されており、単に薬を渡すだけでなく、患者さん一人ひとりの生活背景や服薬状況を把握し、適切な指導や相談対応を行うことが求められています。
この現状を理解し、「どのように患者に貢献したいか」を考えることが志望動機作成の第一歩です。
薬剤師の需要
薬剤師の需要は、社会の変化とともに多様化しています。
特に、超高齢社会においては、入院から在宅へと医療の場がシフトしており、自宅で療養する患者さんの薬の管理や指導を行う「在宅医療」の分野で薬剤師の役割が拡大しています。
また、地域住民の健康増進を担う「かかりつけ薬剤師」の制度も普及し、地域医療の要としての期待も高まっています。
さらに、ドラッグストアや製薬企業、治験関連機関など、活躍の場は病院や調剤薬局に留まりません。
専門知識を生かせるフィールドは非常に幅広く、どの分野でどのように貢献したいかを明確にすることで、説望動機に説得力を持たせることができます。
求められるもの
現代の薬剤師に求められるのは、単なる正確な調剤能力だけではありません。
最も重要なのは、高度な専門知識を基にしたコミュニケーション能力です。
患者さんやそのご家族に対して、薬の効果や副作用、正しい服用方法などを分かりやすく説明し、不安を取り除くことが不可欠です。
また、医師や看護師などの他の医療専門職と連携を取り、チーム医療の一員として治療方針に貢献するための協調性や提案力も重要です。
常に新しい薬や治療法に関する知識をアップデートし続ける学習意欲も求められます。
これらの求められる要素の中で、自分が特に強みとする部分を志望動機に盛り込むと、より魅力的な内容になるでしょう。
【薬剤師の志望動機】仕事内容
薬剤師の仕事内容は多岐にわたりますが、中心となるのは「調剤」「服薬指導」「薬歴管理」の三つです。
薬局や病院、企業など働く場所によって業務の比重は異なりますが、全て人々の健康を支えるという共通の目的を持っています。
調剤では、医師の処方箋に基づき正確に薬を準備し、ミスのないようにダブルチェックを行います。
服薬指導では、患者さんに対して薬の正しい使い方や注意点を伝え、疑問や不安を取り除きます。
薬歴管理は、患者さんの服用履歴や体質、アレルギー情報などを記録・管理し、安全で最適な薬物治療を継続するために欠かせない業務です。
これらの業務を深く理解することで、どの部分に自身の興味や強みが結びつくかを考えてみましょう。
病院薬剤師の仕事内容
病院薬剤師の仕事は、入院患者さんの薬の調剤や管理、注射薬の調製など、病院内における幅広い薬物療法をサポートすることです。
特に、病棟での服薬指導や薬の管理が重要で、医師や看護師と密接に連携を取りながら、チーム医療の一員として活躍します。
患者さんのベッドサイドで直接対話し、体調の変化や副作用の有無を確認し、薬物療法の適正化に貢献します。
また、TDM(治療薬物モニタリング)といった専門性の高い業務を担うことも多く、薬剤の血中濃度を測定・解析し、効果的かつ安全な投与量を提案します。
より専門的な医療に触れ、深く関わりたい人にとっては大きな魅力となるでしょう。
保険薬局薬剤師の仕事内容
保険薬局薬剤師、一般に「調剤薬局」と呼ばれる場所で働く薬剤師は、地域住民の「かかりつけ薬剤師」としての役割が期待されています。
主な業務は処方箋に基づく調剤と服薬指導ですが、在宅医療への対応や一般用医薬品(OTC)の相談対応など、地域に根差した健康サポートも重要な仕事です。
患者さんの薬歴を一元的に管理し、複数の医療機関からの処方薬の重複や相互作用をチェックするなど、セーフティネットとしての役割も担っています。
患者さんの日常生活に寄り添い、身近な健康相談相手として信頼関係を築くことが、この仕事の醍醐味の一つです。
企業薬剤師の仕事内容
製薬会社や治験関連企業などで働く企業薬剤師は、新薬の研究開発や製造・品質管理、さらには営業やマーケティングなど、幅広い分野で専門性を発揮します。
例えば、研究開発部門では、新薬の候補物質の探索や臨床試験の計画・実施に携わり、人々の未来の健康に貢献します。
品質管理部門では、医薬品の安全性を確保するための厳格なチェックを行います。
病院や薬局とは異なり、患者さんと直接接する機会は少ないですが、より大規模なスケールで医療の発展に貢献できることが魅力です。
大学で学んだ知識を医療の最前線ではなく、ビジネスの側面から生かしたい人に適しています。
【薬剤師の志望動機】向いている人
薬剤師という職業は、人々の健康に深く関わるため、専門知識だけでなく、人間性や態度も非常に重要です。
この仕事に向いているのは、目の前の患者さん一人ひとりと真摯に向き合い、最適な薬物療法を提供することに喜びを感じられる人です。
具体的には、細かい作業を正確にこなす集中力や几帳面さ、常に最新の情報を学び続ける向上心や探求心、そして何よりも患者さんや他の医療スタッフとの円滑なコミュニケーション能力が求められます。
自分の性格や強みが薬剤師という仕事にどのように活かせるかを考えることは、志望動機を具体的かつ説得力のあるものにする上で不可欠です。
几帳面で集中力がある人
薬剤師の業務の基本は、処方箋に書かれた通りに正確に薬を調剤することです。
薬の取り違えや量のミスは、患者さんの健康に直結する重大な事故につながるため、細部にまで気を配る几帳面さと、長時間にわたってミスなく作業を続ける高い集中力が不可欠です。
特に、複数の薬を扱う調剤業務では、一つ一つの工程を確実にこなす真面目さが求められます。
過去のアルバイトや学業での経験から、自分がいかに正確性を重視して物事に取り組んできたかを具体的に示せると、志望動機の信頼性が増すでしょう。
探求心・向上心がある人
医療の世界は日々進歩しており、新しい薬や治療法が次々と開発されています。
そのため、薬剤師は卒業後も常に新しい知識を学び続ける探求心と向上心が必要です。
法改正やガイドラインの変更にも迅速に対応し、専門知識をアップデートし続ける姿勢が求められます。
単に知識を詰め込むだけでなく、目の前の患者さんの症状に対して「もっと良い薬はないか」「この症状の原因は何だろう」と深く掘り下げて考える意欲が、質の高い医療の提供につながります。
この学ぶ意欲こそが、長期的なキャリア形成において重要な要素となります。
コミュニケーション能力が高い人
薬剤師は、患者さんに対して薬の効果や副作用、服用方法などを分かりやすく説明する「服薬指導」が重要な業務です。
この際、一方的に説明するのではなく、患者さんの不安や疑問を引き出し、共感しながら適切にアドバイスする高いコミュニケーション能力が求められます。
また、医師や看護師といった多職種の医療スタッフと連携を取る上でも、正確かつ円滑な意思疎通を図る能力は不可欠です。
自分の意見を論理的に伝えつつ、相手の立場を理解し尊重できる能力は、チーム医療を円滑に進める上で欠かせない要素となります。
倫理観が強い人
薬剤師は、人々の健康と命を扱う職業であり、高い倫理観と責任感が求められます。
患者さんのプライバシーに関わる情報を守秘する義務があり、また、薬の適切な使用を通じて社会に貢献するという使命感を持つ必要があります。
安易な気持ちではなく、医療人としての重い責任を自覚し、常に誠実に行動できる人が薬剤師に向いています。
例えば、学業やボランティア活動などで、責任感を持って一つの役割を果たした経験などを志望動機に盛り込むと、倫理観の強さをアピールすることに繋がります。
冷静かつ柔軟に対応できる人
医療現場では、予期せぬトラブルや緊急事態が発生することもあります。
そのような状況下でも、薬剤師はパニックにならず冷静に状況を判断し、適切な対応を取る能力が求められます。
例えば、急な処方変更や、患者さんからの予期せぬ質問に対しても、落ち着いて知識に基づいた柔軟な対応をすることが重要です。
また、多忙な状況でも優先順位を判断し、効率的に業務を進める適応力も必要です。
いかなる状況でも落ち着きを保ち、問題を解決に導く能力は、薬剤師としての信頼を築く上で非常に重要です。
【薬剤師志望動機】そもそも志望動機とは?
志望動機とは、「なぜその職業・企業を選んだのか」を明確に伝えるためのものです。
採用担当者は、皆さんの志望動機を通じて、入社への熱意、仕事への理解度、そして会社とのマッチング度合いを測っています。
単に「人の役に立ちたい」といった抽象的な内容ではなく、「なぜ薬剤師という専門職なのか」「数ある薬局・病院の中でなぜこの企業で働きたいのか」を具体的に説明する必要があります。
志望動機は、皆さんの過去の経験と将来の目標を結びつけ、入社後にどのような貢献ができるかを提示する最も重要なプレゼンテーションの場だと捉えてください。
【薬剤師の志望動機】書く前の準備
説得力のある志望動機を作成するためには、いきなり文章を書き始めるのではなく、事前の準備が欠かせません。
この準備を怠ると、抽象的で他の学生と差別化できない、企業への理解が不足していると判断される志望動機になってしまいがちです。
志望動機作成の準備は、「自己分析」「業界分析」「企業分析」の三つのステップに分けて進めることが重要です。
これらのステップを通じて、自分の強みや価値観、そして企業が求める人物像を深く理解することで、論理的で一貫性のある、オリジナリティ溢れる志望動機を作成するための土台ができます。
自己分析
自己分析は、薬剤師として働く上で自分が持つ独自の価値を見つけ出す作業です。
「なぜ薬剤師になりたいと思ったのか」「薬剤師の仕事の中で特に興味がある分野は何か」といった根源的な問いから、過去の経験を通じて得た強み、価値観、行動原理を明確にします。
例えば、学生時代の研究活動やアルバイト、ボランティアなどで、どのような状況で力を発揮し、どのような結果を出したかを具体的に振り返りましょう。
この自己理解が深まることで、「自分のこういう強みが、御社で働く薬剤師としてこう活かせる」といった具体的な貢献意欲へと結びつき、説得力のある志望動機につながります。
業界分析
業界分析では、薬剤師という職業が活躍する医療・医薬業界全体の現状と将来の展望を深く理解します。
調剤薬局、病院、ドラッグストア、製薬企業など、働く場所ごとの役割の違いや、医療制度の動向、地域医療への貢献といった業界特有の課題とトレンドを把握することが重要です。
例えば、「かかりつけ薬剤師制度」や「在宅医療」の推進など、現在業界で何が求められているかを知ることで、志望する企業がどのような方向を目指しているのかを理解する視点が持てます。
業界全体の知識があることで、その中で「なぜ自分がその企業を選んだのか」という理由に高い専門性と将来性を持たせることができます。
企業分析
企業分析は、志望する個別の企業について深く掘り下げる作業です。
企業の理念、ビジョン、事業内容、特に力を入れている分野、そして職場の雰囲気などを徹底的に調べます。
例えば、特定の疾患領域に強みを持つ病院なのか、地域密着型で在宅医療に注力している調剤薬局なのかといった、他社にはない独自の特徴を理解することが重要です。
企業の採用ホームページやインターンシップ、OB・OG訪問などを通じて得た具体的な情報と、自己分析で見つけた自分の強みや価値観を照らし合わせ、「なぜこの企業でなければならないのか」という理由を見つけ出しましょう。
この企業への深い理解が、熱意として伝わる志望動機を作成するための鍵となります。
【薬剤師の志望動機】作成のポイント
薬剤師の志望動機を作成する際には、ただ熱意を伝えるだけでなく、論理的で分かりやすい構成を意識することが重要です。
採用担当者は多くの学生の志望動機を読むため、結論が不明確だったり、話の筋道が通っていなかったりすると、内容が頭に入ってきません。
説得力のある志望動機を作成するためには、伝えたいことを明確にし、それを裏付ける具体的なエピソードと、入社後の貢献意欲を結びつけることがポイントです。
このセクションでは、志望動機を採用担当者に響かせるための具体的なフレームワークと、各要素の書き方について解説します。
PREP法を使おう
志望動機を分かりやすく、説得力を持って伝えるためには、PREP法という文章構成法を用いるのが効果的です。
PREP法とは、Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(再結論)の頭文字を取ったもので、最初に結論を述べるため、聞き手が話の要点を瞬時に理解できるメリットがあります。
志望動機に適用する場合、まず「私が貴社を志望する理由は〇〇です」と結論を簡潔に伝え、次にその理由、そしてそれを裏付ける具体的なエピソードを述べます。
最後に、入社後の抱負や熱意を改めて伝え、話全体を締めることで一貫性を生み出すことができます。
①結論を簡潔に述べる
志望動機を述べる際には、まず最も伝えたい結論を簡潔に述べましょう。
例えば、「地域医療への貢献に注力されている貴社の薬剤師として、患者様一人ひとりに寄り添った服薬指導を実現したいからです」のように、結論を冒頭で明確に提示します。
これにより、採用担当者は皆さんが最も重要視している点をすぐに把握でき、その後の理由やエピソードを理解する準備ができます。
結論を曖昧にしたり、結論に至るまでの背景を長々と話したりすることは避け、ストレートに核心を突くことが重要です。
②具体的なエピソードを入れる
結論と理由を裏付けるためには、具体的なエピソードが不可欠です。
例えば、「患者様に寄り添いたい」という理由であれば、アルバイト先で高齢の方に親身になって接した経験や、大学で地域医療を学んだ際の具体的な体験などを挙げます。
このエピソードは、単なる事実の羅列ではなく、その経験から何を学び、それが志望動機にどう結びついたのかを明確にすることで、説得力が増します。
皆さんの人となりや価値観が伝わるようなエピソードを選ぶように心がけてください。
③入社後に実現したいこと、入社意欲を伝える
志望動機の締めくくりとして、入社後にどのような目標を持ち、どのような貢献をしたいかを明確に伝えます。
例えば、「将来的には貴社が進める在宅医療の分野でリーダーシップを発揮し、地域全体の健康増進に貢献したい」といった具体的なビジョンを提示します。
これにより、単なる「入社したい」という熱意だけでなく、入社後の活躍のイメージを採用担当者に持たせることができます。
この部分で、企業理念や事業内容に触れると、企業への理解度の深さをアピールすることにも繋がります。
【薬剤師の志望動機】おすすめの例文5選
志望動機は、働く場所や目指すキャリアによって、アピールすべき内容が変わってきます。
例えば、病院であれば高度な専門医療への貢献を、調剤薬局であれば地域密着の健康サポートを強調するなど、応募先に応じたカスタマイズが必要です。
このセクションでは、新卒の薬剤師が応募する可能性の高い主なフィールドに焦点を当て、説得力があり、すぐに活用できる例文を五つの異なる視点からご紹介します。
これらの例文を参考に、自己分析と企業分析の結果を反映させ、あなた自身の言葉でオリジナリティのある志望動機を作成してください。
病院薬剤師を目指す場合の例文
私が貴院を志望する理由は、高度な専門医療に携わり、チーム医療の一員として深く患者様の治療に貢献したいと考えているからです。
学生時代の実習で、複数の診療科を持つ貴院の薬剤師が、医師や看護師と連携して薬の専門家として意見を述べている姿を拝見し、その専門性と責任感の高さに感銘を受けました。
特に、私が大学で深く学んだTDM(治療薬物モニタリング)の分野において、貴院が積極的に取り組まれている点に魅力を感じています。
入社後は、常に最新の薬物知識を習得し、多職種連携の中で薬の適正使用を推進することで、患者様の早期回復に貢献したいと考えております。
調剤薬局(地域密着型)を目指す場合の例文
私が貴社を志望するのは、地域に根差した「かかりつけ薬剤師」として、患者様の健康を長期にわたりサポートしたいからです。
私は祖父母が体調を崩した際、身近な薬局の薬剤師さんが親身に相談に乗ってくれた経験から、地域における薬剤師の重要性を痛感しました。
貴社が展開されている在宅医療への積極的な取り組みや、健康サポート機能の強化は、まさに私が目指す薬剤師像と一致しています。
入社後は、患者様とのコミュニケーションを大切にし、服薬指導を通して生活習慣の改善まで踏み込んだアドバイスを提供することで、地域の健康増進に貢献していきたいと考えております。
ドラッグストア薬剤師を目指す場合の例文
私が貴社を志望する理由は、医薬品から日用品まで幅広い商品を扱うドラッグストアという環境で、地域住民のセルフメディケーションを支援したいからです。
薬局と異なり、より身近な存在としてお客様が気軽に健康相談できる場を提供されている貴社の姿勢に強く共感しました。
私は大学時代、OTC薬の勉強に特に力を入れており、専門知識を生かしてお客様の症状に合わせた最適な商品の提案を行いたいと考えています。
入社後は、処方箋調剤だけでなく、一般用医薬品の専門家として信頼される存在となり、お客様の「未病」対策にも貢献することで、貴社の地域社会への貢献に尽力したいと考えております。
製薬会社(開発・臨床開発部門)を目指す場合の例文
私が貴社を志望するのは、まだ治療法がない病気に苦しむ人々のために、新薬開発という大きなスケールで貢献したいという強い思いがあるからです。
大学の研究室で経験した基礎研究の面白さと、それが臨床で役立つ可能性に魅力を感じました。
特に、貴社が注力されている難病領域における新薬開発の取り組みは、私の研究テーマと重なる部分があり、これまでの専門知識と研究経験を最大限に活かせると確信しています。
入社後は、治験の適切な実施をサポートし、安全かつ有効な医薬品を一日でも早く患者様のもとに届けるために貢献することで、貴社のビジョン実現の一翼を担いたいと考えております。
企業薬剤師(MR)を目指す場合の例文
私が貴社を志望する理由は、医療の現場で培った薬剤師としての専門知識を活かし、医療従事者と製薬会社を結ぶ橋渡し役として貢献したいからです。
MRは、自社の医薬品に関する正確かつ最新の情報を医師や薬剤師に提供することで、薬の適正使用と治療の質向上に貢献する重要な役割だと理解しています。
私は、学生時代の部活動で培った高い目標達成能力と粘り強さに自信があります。
入社後は、薬剤師としての視点を持つMRとして、医療現場のニーズを的確に把握し、製品の価値を最大限に伝えることで、貴社の医薬品がより多くの患者様を救うことに貢献したいと考えております。
【薬剤師の志望動機】注意点
志望動機は、採用担当者に自分の熱意と適性を伝える重要な機会ですが、書き方や内容によってはマイナスな印象を与えてしまうこともあります。
特に、新卒の皆さんが陥りがちな注意点を事前に把握しておくことで、説得力があり、企業が求める人物像に合致した志望動機を作成することができます。
志望動機は、入社後の活躍を期待させるものであるべきであり、抽象的であったり、応募先企業への理解が不足していると見なされてしまう内容は避けるべきです。
このセクションで、薬剤師の志望動機を作成する上での具体的な注意点をしっかりと理解しておきましょう。
業務内容と関連がない
志望動機の中で、薬剤師の実際の業務内容とほとんど関連のないエピソードや目標を話すのは避けるべきです。
例えば、単に「人と話すのが好きだから」という理由だけでは、なぜ数ある職業の中で薬剤師を選んだのかが不明確になってしまいます。
薬剤師の仕事は、薬の専門知識を活かした調剤や服薬指導、薬歴管理など、専門性が非常に高い業務が中心です。
そのため、志望動機では、「薬の専門家としてどう貢献したいか」という視点を含め、自分の強みや経験がどのように薬剤師の業務に活かせるかを具体的に結びつけて説明する必要があります。
その企業の業務内容を理解する
志望動機を作成する際、応募先企業の独自の業務内容や強みを理解していないと、他の企業でも通用するような、ありきたりな内容になってしまいます。
例えば、地域医療に特化している薬局に対して、「大規模病院で高度な専門知識を深めたい」といった志望動機を述べるのは、企業への理解不足と判断されてしまいます。
採用担当者は、皆さんが「なぜこの企業でなければならないのか」を知りたいのです。
企業分析を徹底し、企業理念や事業内容のどの部分に共感し、自分の何が貢献できるかを具体的に示しましょう。
最初に結論を述べていない
PREP法で解説したように、志望動機を述べる際には最初に結論を簡潔に述べることが極めて重要です。
結論から話さずに、長い前置きや背景の説明から入ってしまうと、採用担当者は話の要点がどこにあるのかを把握しにくくなります。
特に面接の場では、時間が限られているため、最初に結論を述べることで、自分の主張を最も強く印象づけることができます。
「私が貴社を志望する理由は、〇〇という点で強く共感したからです」のように、結論を冒頭で明確にすることで、論理的で分かりやすい構成になります。
福利厚生のことしか話していない
志望動機で、給与や休暇制度、働きやすさといった福利厚生に関する話に終始するのは、避けるべき最も大きな注意点の一つです。
もちろん、労働条件は重要ですが、企業側は皆さんの仕事への意欲や貢献度を知りたいのであって、福利厚生の良さが動機であると伝わってしまうと、入社意欲や仕事への熱意が低いと判断されかねません。
福利厚生について触れるのは最小限に留め、自分がその企業でどのように成長し、企業にどのような価値をもたらすかというポジティブな側面に焦点を当てて話すことが大切です。
よくある質問
就職活動を進める中で、薬剤師の志望動機やキャリアプランに関して、多くの新卒就活生が抱える疑問や不安があります。
これらの疑問を解消することは、自信を持って選考に臨むために非常に重要です。
このセクションでは、薬剤師を目指す就活生から特によく聞かれる質問とその回答をまとめました。
これらの質問に対する回答を参考に、自分の志望動機や面接での回答をより深掘りし、採用担当者からの質問にも冷静かつ論理的に対応できるように準備を進めていきましょう。
薬学部の研究テーマは志望動機に入れるべきですか
薬学部の研究テーマは、薬剤師としての専門性や探求心をアピールする上で非常に有効な要素となり得ます。
ただし、研究内容を専門用語を並べて詳細に説明するのではなく、「その研究から何を学んだか」「その学びが志望企業でどのように活かせるか」という点を明確に結びつけることが重要です。
例えば、「特定の疾患に関する研究を通して、患者様の抱える課題を深く理解しました。
この知見を活かし、貴社の地域医療の取り組みに貢献したい」のように、研究と志望企業への貢献を結びつけることで、説得力が生まれます。
志望動機と自己PRの違いは何ですか
志望動機と自己PRは、どちらも自分をアピールするものですが、その焦点と目的が異なります。
志望動機は「なぜこの企業に入りたいのか」という入社への熱意と企業へのマッチング度を示すものであり、企業への理解と将来の貢献意欲に焦点を当てます。
一方、自己PRは「自分にはどんな強みや能力があるのか」という個人の資質や能力を示すものであり、具体的なエピソードを通して自分の魅力を伝えます。
面接では、これらが一貫していることが重要であり、自己PRで挙げた強みが志望動機の中でどのように活かせるかを説明できると、より説得力が増します。
志望動機が複数あって絞れない場合はどうすれば良いですか
志望動機が複数ある場合は、最も熱意を持って語れる理由、または応募先企業の特徴と最も強く結びつく理由に絞り込むことが重要です。
あれもこれもと理由を羅列してしまうと、話の焦点がぼけてしまい、本当に伝えたいことが伝わりにくくなります。
複数の理由を一つにまとめる方法としては、「貴社の〇〇という点に魅力を感じ、学生時代に培った私の〇〇という強みが活かせると考えたからです」のように、一つの大きな結論に集約させる構成も有効です。
複数の動機の中から、最も自分の熱意と企業への貢献意欲を伝えられるものを選び、深く掘り下げて準備しましょう。
まとめ
この記事では、新卒の薬剤師就活生が説得力のある志望動機を作成するために必要な、将来性、仕事内容、適性といった多角的な視点から情報を提供しました。
薬剤師の仕事は、人々の健康を支えるという大きな使命を担っており、その志望動機には、皆さんの深い専門知識への探求心と、医療への真摯な姿勢が求められます。
自己分析、業界分析、企業分析を徹底し、この記事で紹介したPREP法を活用することで、「なぜ薬剤師なのか」「なぜこの企業なのか」を明確に伝えられる、あなただけのオリジナリティある志望動機が完成するはずです。
薬剤師という専門職への一歩を踏み出す皆さんの就職活動を心から応援しています。