HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就活に少しでも有利な要素があると心強いものですが、「就活の際、推薦状があると有利になる」という説は本当なのでしょうか。
今回は就活で推薦状をもらうメリットと、提出の際の注意点を併せてご紹介します。
【就活の推薦状とは?】推薦状って何?
就活における推薦状とは、選考を受ける企業に対して学校や教授から推薦文を書いてもらう書類です。
一般募集に応募した際に書いてもらうことは非常に稀で、大学や教授に推薦状を書いてもらい、推薦枠として選考フローを受けることが大半です。
【就活の推薦状とは?】学部や学科によっては就職の推薦枠がある
就活といえばナビサイトに登録してエントリーした企業のESを書き、WEBテストを受検し、面接を受ける......。
このようなイメージが強いのではないでしょうか?しかし、 理系学生など専門職へ応募する場合「推薦応募」で就活する場合もあります。
「推薦応募」とは、教授や就職担当教員の推薦を受けて企業に応募する方法です。
推薦応募は、学部や学科によって「学校推薦」や「学科推薦」といった企業の推薦枠が決められています。
推薦枠は、企業が求める専門性に優れた人材を確保するために設けられた仕組みです。
推薦を受けられる基準は学校によって異なりますが、基本的に一定の学業成績を満たしている必要があります。
また研究の内容や過程(アプローチの発想)、達成度などが優れていると認められた場合や、推薦枠のある企業の需要に合っている人材だと判断された場合に、教授や就職担当教員から推薦状をもらうことができます。
学校推薦
学校推薦とは企業が優秀な学生を確保するために、大学に要請して推薦枠を設けます。
大学に寄せられた推薦求人の中から企業を選び、大学の就職科に推薦状を書いてもらいます。
学校推薦の説明会は大学3年・修士1年の12月頃に開催されることが多く、説明会や選考を経て推薦枠を勝ち取る流れになります。
説明会の日程や推薦が守られる人の基準は大学ごとに定められているため、必ず確認してください。
教授推薦(研究室推薦)
教授推薦(研究室推薦)とは、所属する研究室の教授が企業に対して学生を推薦することを指します。
教授推薦は教授が企業と強いコネクションを持っている場合のみ利用することができます。
過去の採用実績や教授のお墨付きの学生ということもあり、他の選考ルートよりも内定率は高い傾向にあります。
教授推薦は主に理系の研究室の教授が持っていて、自動車や化学、電気や機械メーカーでの募集が大半を占めることから工学部に多いです。
募集スケジュールがある程度決まっている学校推薦とは異なり、教授推薦は情報を開示していないことがあるため、利用する場合には所属している研究室の教授に確認を取りましょう。
【就活の推薦状とは?】推薦枠を使うメリット
ここまで、推薦状や推薦の種類について解説してきました。
次に推薦を使うメリットについて詳しく説明していきます。
就活を成功させるという目的を考えると推薦はメリットは多いといえます。
ここでメリットを把握して、推薦を利用するかどうかの判断材料にしてください。
推薦を利用するメリットは以下の2つになります。
・選考で有利になる
・早期内定が期待が期待できる
選考で有利になる
推薦状をもらうことで生じるメリットの1つ目は「選考にで有利になる」ことです。
具体的にはどのように有利になるのでしょうか。
選考ルートは一般募集と変わらないものの、書類選考や一次面接が免除になることがよくあるパターンになります。
日々の研究が忙しく、就活の準備ができていない理系の学生にとって非常に耳よりなメリットです。
また、企業は一般募集とは異なる内定枠を設け、特別ルートで選考が進むことがあります。
この場合、特に大手企業では一般募集よりも競争率が低くなるというメリットもあります。
早期内定が期待できる
推薦状をもらうことで生じるメリットの2つ目は「早期内定が期待できる」ことです。
企業は広報活動の解禁日である3月1日や選考活動の解禁日である6月1日になる前に、優秀な人材を確保したいと考えています。
特に、学校やコネクションのある教授のお墨付きの学生であれば尚更早めに囲っておきたいものです。
このことから3月に入る前に内定を出す企業が多く、研究に時間を費やすことができるようになります。
【就活の推薦状とは?】推薦を使うデメリット
ここまで推薦を使うことのメリットについて紹介していきました。
メリットだけを考えると誰もが使いたがる魅力的な制度に見えます。
しかし、推薦を使うことにはデメリットもあります。
デメリットは以下の2点です。
・推薦状での内定後の辞退は難しい
・退職しにくい
推薦状での内定後の辞退は難しい
1つ目のデメリットは「内定後の辞退は難しい」ことです。
推薦状をもらって内定が出た場合、内定辞退が難しいことは、推薦状を書いてもらう前に知っておくべきことです。
推薦状は大学内に設けられた特別枠ともいえます。
それを使って内定をもらえたにもかかわらず、内定を辞退してしまうと、学校や関係者に迷惑をかけることになりかねません。
例えば、推薦してくれた教授の信頼に傷をつけてしまいます。
さらに、企業と学校の間で成り立っていた信頼関係が崩れて、次年度以降の企業の推薦枠がなくなる可能性があります。
そうなると後輩は、その企業の推薦状をもらえなくなってしまうのです。
学校や関係者に迷惑をかけないよう原則として、推薦状でもらえた内定は辞退するべきではありません。
つまり推薦状で内定を受けた場合、他の企業の内定は辞退せざるを得なくなります。
推薦状を提出することは、後の就職活動の制約となる可能性があります。
だからこそ推薦状を書いてもらうときには、十分に検討してから依頼することが必要なのです。
退職しにくい
デメリットの2つ目は「退職しにくい」という点です。
厚生労働省によると、新卒3年以内の離職率は32.8%になります。
早期離職の原因は「労働条件への不満」や「企業とのミスマッチ」が挙げられます。
一般応募から入社した場合とは異なり、推薦を受けた学生は大学や教授の信頼を背負っています。
推薦状での内定辞退と同じように、マイナス印象を与えてしまい大学の推薦枠や教授への信頼に影響を与えてしまいます。
そのため、心理的にも退職しにくいことがデメリットです。
【就活の推薦状とは?】推薦状を利用した就活を進めるときの注意点
推薦状があれば内定により近づくことができますが、「推薦状はもらえるだけもらえばいい」といった単純なものではありません。
推薦状を書いてもらうには、それなりの決意が必要です。
推薦状を提出することには、二つの大きな意味があります。
1つは、その企業に入りたいという自分の意思表示です。
もう1つは、その企業にこの学生を推薦するという教授の意向です。
つまり企業側に推薦状を提出することには、二重の意味で責任が発生するのです。
ここからは推薦状を利用して就活を進めるときの注意点を紹介します。
・推薦状は内定が確約されるものでない
・綿密な企業研究を行う
・一般選考の準備も必ず行う
推薦状は内定が確約されるものではない
1つ目の注意点は「推薦状は内定が確約されるものではない」ことです。
先程、推薦状を提出することはその企業に入りたいという意思を表明することだと伝えました。
しかし、推薦状があるからといって必ずしも内定がもらえるとは限りません。
推薦状を出すことによって、書類選考を受けずに面接へ進める可能性があります。
ただし、面接で落とされてしまうことがないとは限らないのです。
綿密な企業研究を行う
2つ目の注意点は「緻密な企業研究を必ず行う」ことです。
推薦での内定後の辞退や退職が難しいことは、推薦を利用する上でのデメリットです。
「思っていたのと違った...」や「聞いていた話と違う」といった入社前と入社後のギャップをできる限りなくすことが重要です。
そのためには緻密な企業研究が必要になります。
企業研究では福利厚生やどんな研究をしているのかという面ばかりに注目しがちですが、社内の雰囲気や風通し、評価制度などにも必ずフォーカスしましょう。
一般選考の準備も必ず行う
3つ目の注意点は「一般選考の準備も必ず行う」ことです。
推薦状による選考に参加しても、面接で落ちることはよくあります。
前述した通り、推薦状は内定を100%保証するものではありません。
また、書類選考や一次面接が免除されるとはいえ、2次面接以降は面接対策を行ってきた一般応募の就活生と少ない枠を競うことになります。
このことから、面接対策や志望動機を練るなどの一般選考の準備は必ず行いましょう。
【就活の推薦状とは?】内定前の後づけ推薦状とは?
推薦状に関して、もうひとつ注意すべき点があります。
企業によっては、内定を出す前に後づけで推薦状の提出を求めてくるケースがあるのです。
これは面接前に提出する通常の「学校推薦」とは異なります。
後づけ推薦状とは、選考過程がほぼ終わった内々定の段階で、企業から「内定を出す代わりに教授の推薦状をもってきてほしい」と頼まれることをいいます。
企業側の立場からすると、多くの面接者の中から選び抜いてきた人材に内定を出して後で「辞退します」といわれることは大きな損失になります。
これまでの選考にかかったすべて時間やコストが無駄になり、優秀な人材も確保できないのです。
このリスクを避けるため、正式な内定を出す前に「推薦状を提出してほしい」と就活生に要求する企業があるのです。
各社が新卒採用に力をいれている近年では、このような問題が顕在化しており、「就活を終わらせろハラスメント」、略して「オワハラ」などと呼ばれています。
【就活の推薦状とは?】後づけの推薦状は断れない?
就活生にとって、本命の企業だけを受けることにはリスクがあります。
また面接を受けてみたからこそ見えてくる企業の体質や自分との相性などもあるでしょう。
就活先をひとつに絞らないことは、初めての就職を失敗しないためにも大切なことといえます。
内定前に後づけの推薦状を求められてしまうと、就活生としては断りづらいものです。
しかし、推薦状を出して内定が出てしまうと辞退が難しくなるため 、第一希望以外の企業には後づけの推薦状を提出してはいけません。
ただし、推薦状の提出を断るために嘘をつくことはおすすめできません。
新卒で初めて社会人になる際に、自分がどのような会社でどう働いていくかを真剣に考えることは悪いことではありません。
もし、内定前に推薦状の提出を求められた場合には、正直に「複数の会社を受けて、真剣に将来を考えて選びたい」と自分の思いを話すことが最良の方法といえます。
正直に伝えたにもかかわらず、就活生の真剣な思いを批判するような会社であった場合は、就職後もそのような体質の下で働いていく可能性があります。
企業の考え方を見極めるためにも、就活に対する思いを正直に伝えることは、マイナスにはならないのです。
まとめ:推薦状の意味を理解して有効活用
理系の学部や学科によっては、企業に推薦枠が設けられており、選考段階を短縮できる可能性があります。
しかし、すべての学生が推薦状をもらえるわけではありません。
推薦状をもらうためには、日頃から学業や研究への取り組みをしっかり行うことが必要です。
推薦応募は学校と企業の間で培われてきた信頼の上に成り立っており、推薦状を提出することには責任が伴います。
自分が本当に就職したい企業かどうかをよく検討してから、推薦状を書いてもらう依頼をしましょう。
また、内定前に後づけの推薦状を求められても困らないよう、応募する企業への自分の思いや将来像をしっかりと考えておくことも大切です。
推薦状の意味をしっかりと理解し、有効に活用して就活を乗り切りましょう。