【アクチュアリーとは】アクチュアリーの意味は?仕事内容と向いている人材の特徴を合わせて解説します

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はじめに

今回はアクチュアリーについて解説します。

アクチュアリーは、確率論や統計学などを駆使して業務を遂行する数理系の専門職です。

主に金融機関で活躍しており、顧客ニーズを正しくとらえるためのデータ分析や、商品開発の設計などを任されます。

また、会社の収支バランスを正常な状態に保ったり、実施していく制度の公正な運営に関わったりと社内でも重要な役割を担います。

ただ、アクチュアリーになるには膨大な勉強量が必要です。

闇雲に受験しても合格するのは困難でしょう。

そのため、一度会社に就職して、働きながらアクチュアリーを目指すのが一般的です。

この記事では、「アクチュアリーの基礎知識」「アクチュアリーの業務内容」「アクチュアリーの資格試験」について解説していきます。

【アクチュアリーとは】アクチュアリーとは

アクチュアリーとは、100年以上前にイギリスで誕生した数理業務を担当する専門職です。

確率論や統計学などを活用して保険や年金に関するさまざまな問題を解決します。

会社の収支バランスを正常な状態に保ったり、実施していく制度の公正な運営に関わったりします。

たとえば生命保険の場合、アクチュアリーが適正な保険金額を算出することで、加入者に対して数十年の長期にわたり、将来の保障を約束できるのです。

そうすれば、収支バランスは安定し、健全な経営を実現できるのです。

2021年3月度時点で「公益社団法人日本アクチュアリー会」の会員数は5,372名います。

正会員が1931名、準会員が1297名、研究会員が2,144名になります。

一般的に、アクチュアリーと呼ばれているのは正会員のみで、国内に2,000名もいません。

そのため、保険会社や信託銀行、各省庁やコンサルティング会社など、多彩な分野で需要があります。

また、日本アクチュアリー会はアメリカやイギリスなどの海外のアクチュアリー会とも交流があります。

そのため、国際的な資格として各国の企業から高い評価を得ているのです。

【アクチュアリーとは】アクチュアリーの年収は?

正会員(アクチュアリー)の年収は1,250万円です。

生命保険会社や損害保険会社など、アクチュアリーの活躍の場が多い職場では、年収は1,350万円にもなります。

資格試験の難易度が高いことはもちろん、高度な専門知識と保険や年金に関する実務能力が必須の職種です。

そのため、替えのきかないのが理由としてあげられます。

特に、外資系の年収は少なくとも2,000万円以上といわれており、なかには年収が3,000万円を超えるアクチュアリーもいるようです。

アクチュアリーになるためには、研究会員からスタートして準会員になるまでは5年、正会員になるまでは8年ほどの時間が必要です。

ただ、アクチュアリーでない準会員の年収は1,000万円、研究会員の年収は600万円と、決して低くありません。

そのため、いきなりアクチュアリーになろうとせず、保険会社や信託銀行に就職して、働きながらアクチュアリーを目指すとよいでしょう。

【アクチュアリーとは】アクチュアリーの勤務先の種類

アクチュアリーの勤務先は、官公庁や監査法人、コンサルティング会社や年金機構など、理数系の専門職として活躍のフィールドは多岐にわたります。

そのなかでも、特に勤務人数が多い勤務先は、損害保険会社、信託銀行、生命保険会社の3つです。

商品開発やリスク管理分析、保険や年金の料率設定に関わるなど、社内でも数字の強さが活かせる役割を与えられています。

ここでは損害保険会社、信託銀行、生命保険会社で「どのような職務に従事しているのか」について解説します。

損害保険会社

損害保険会社は、将来のさまざまな経済的損失を補償するための保険商品を取り扱います。

たとえば、自動車保険や火災保険などです。

損害保険会社に勤めるアクチュアリーは、自動車保険などの商品開発や管理、事故の発生頻度や損傷率を統計的に分析します。

商品や顧客ニーズの実態を正しく捉えるために、リスクの発生頻度や規模がさまざまな保険事故に関して、発生頻度や損傷率を統計的に分析しデータを収集。

そのデータをもとに、商品開発や商品内容、保険料を設定しています。

そのほかにも商品の収支の振り返りや、対外折衝や社内調整を任されることがあります。

将来、キャットボンドのように保険リスクをカバーする金融商品の開発によって、ますます金融商品と保険商品の境はなくなっていくでしょう。

そのなかで、高度な数理手法を用いた商品開発ができるアクチュアリーの重要性は、より高まっていくことが期待されます。

信託銀行

信託銀行は、個人や企業から財産を自分名義として預かり、運用する業務を主とする銀行です。

信託銀行に勤めるアクチュアリーの仕事は、主に企業年金や退職金の商品設計、商品説明のために顧客のもとへ出向くなどです。

たとえば、退職後の生活を支える制度である企業年金の運営をしているなら、企業年金にかかる数理計算を専門におこないます。

「定年年齢の引き上げに合わせて、年金の支給開始時期と給付水準を見直したい」という要望があったとしましょう。

その場合は給付債務や掛け金を算出して計算結果を担当者へ報告します。

年金の掛け金見直しをシミュレーションしたときに、イメージとは違う結果になるケースが考えられます。

企業の年金制度は千差万別で同じ制度がないうえ、企業年金の仕組みは顧客にとってあまり馴染みがありません。

そのため、顧客がきちんと理解してくれるような丁寧なコミュニケーション能力も必要になります。

生命保険会社

生命保険会社は、人の疾病や死亡などの生命に関わるさまざまなリスクに備えて、将来の保障を提供しています。

保険契約していただいた顧客に、長期にわたり保険金や給付金の支払いを約束するため、健全な会社経営が重要です。

生命保険会社に勤めるアクチュアリーは、商品を適正に設計し、事業を維持していくためのリスクマネジメントを徹底する役割があるのです。

その1つにプライシングがあります。

生命保険商品のプライシングは、収益性や商品としての市場競争力の調査や、保険数理に基づき保険料率を算出するなど、さまざまな角度から検証します。

そして、リスク管理部門や契約維持部門など、いくつもの関連部門との協議を経てプライシングしていく仕事です。

また、予測業務は四半期ごとの決算を踏まえて将来の収支を予測し、会社の財政状態が健全かどうかを確認する役割もあります。

そのため、資産運用の状況など他部署が担当している内容であっても、日ごろから調べたり聞いたりして、幅広く関心をもつのが大切なのです。

【アクチュアリーとは】アクチュアリーになるには?

アクチュアリーになるには、毎年開催される資格試験に合格したのち、プロフェッショナリズム研修(初期教育)の受講が必須になっています。

そのために大切なのは、いきなり資格試験を受験するのではなく、職務に従事し、知識を身につけながら時間をかけて勉強することです。

資格試験の難易度はかなり高く、1科目に費やす時間も膨大です。

合格を手にするまで8年ほどの期間が必要だといわれています。

ここでは「アクチュアリー資格試験について」「アクチュアリー試験の難易度について」を解説します。

アクチュアリー資格試験

アクチュアリー資格試験は、日本アクチュアリー会が東京と大阪で毎年実施しています。

受験資格は大卒者またはそれと同等の者となっており、まず保険会社などに就職して、働きながら受験するのが一般的です。

もしあなたが大学3年生でも、休学期間を除いて2年以上在学し、62単位以上を修得していれば、問題なく受験できます。

受験科目は1次試験と2次試験があり、それぞれ基礎科目が5科目、専門科目が2科目の合計7科目といった構成です。

一次試験は、数学、生保数理、損保数理、年金数理、会計・経済・投資理論の5科目です。

受験者が二次試験を受けるのに相当する基礎知識があるかを確認するためにおこなわれます。

つぎの二次試験は、実務に必要な専門的知識と問題解決能力があるかを確認するためにおこなわれます。

生保コース、損保コース、年金コースの3つのコースから選択する試験です。

ちなみにアクチュアリーの資格試験は、研究会員なら基礎科目1~4科目を合格、準会員なら基礎科目5科目をすべて合格すればなれます。

また、すべて合格できなくても、合格した科目は翌年から受験する必要がありません。

アクチュアリー試験の難易度

資格試験はかなり難易度が高く、合格率が低いことでも知られています。

勉強時間も膨大で、基礎科目1科目につき200時間、専門科目1科目につき300時間以上の勉強時間が必要です。

しかも、資格自体の知名度も低いため、試験対策に関する情報が少ないのも難点といえます。

そのため、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行などに新卒で就職して、アクチュアリー候補生として職務経験を積むべきです。

アクチュアリー候補生の枠を用意している企業もあり、アクチュアリー候補生枠として採用してくれます。

アクチュアリーの業務ができる部署へ配属されれば、アクチュアリーに関する基本的な知識が身につき、資格試験にも合格しやすくなります。

なかには、資格試験の対策講座や受講費援助しているところもあるのです。

【アクチュアリーとは】アクチュアリーに必要なスキルとは

アクチュアリーに必要なスキルは、主に数学的素養とコミュニケーション能力の2つです。

数学的素養がなければ、仕事はおろか資格試験にすら合格できません。

そのため、最低限の準備として、基本的な数学の知識は身につけておく必要があります。

またコミュニケーション能力は、専門性の高いアクチュアリーの知識を、その知識のない人に伝えるために重要です。

それができないと、他部署との連携がうまくいかず、顧客は商品をしっかり理解してくれません。

ここでは、「数学的素養」と「コミュニケーション能力」について解説します。

数学的素養

資格試験でも、アクチュアリーの仕事でも数学的素養は必須です。

試験では、確率や統計に関する知識がないと、1次試験でさえ突破するのは難しいのです。

ただ、大学院で学ぶような専門的な数学の知識を身につける必要はありません。

高校で習う程度の知識があれば大丈夫です。

たとえば、指数関数や三角関数などの関数や、数列、微積分、線型代数など、高校3年までに習うレベルの内容が身についていることが重要になります。

アクチュアリーの仕事には数理を用いた複雑な計算があるので、数学の知識は必須です。

大量のデータを集めて分析、保険や年金の適正な掛け金や支払金などを算出するなど、確率論や統計学に関する知識を駆使して業務を遂行します。

コミュニケーション能力

アクチュアリーは理数系の専門職ですが、コミュニケーション能力も大事な素養の1つです。

分析結果をほかの部署に説明して納得してもらう必要があったり、顧客への説明を営業担当者から依頼されたりすることがあるのです。

アクチュアリーは商品開発の際、他部署の人と一緒に働くことがあります。

そのときに、アクチュアリーの知識がない人に対して、わかりやすく説明するスキルも必要です。

説明門用語をかみ砕き、他部署の人でも理解しやすいように伝えるコミュニケーション能力がなければ、仕事もスムーズにいきません。

また、年金制度や保険の新商品などは、説明されても複雑でわかりづらいでしょう。

そのため、営業担当者から依頼され、顧客に商品を説明するために出向くことがあります。

このときに、複雑な仕組みをわかりやすく説明できれば、商品がどういうものなのか理解してくれます。

それが契約につながれば、周囲から信頼される人材として評価されるのです。

まとめ

アクチュアリーは、確率論や統計学などの数理手法を活用して、保険や年金に関わるさまざまな問題を解決する専門職です。

しかし、近年は企業がリスクマネジメントを重視するようになったことから、アクチュアリーの活躍が期待されているのです。

今後はさらに活躍できるフィールドが増えていくことでしょう。

ただ、そうはいってもアクチュアリーになるのは難易度が高いです。

1科目に200時間以上、年数にすると8年の勉強時間が必要になります。

そのため、もしあなたがアクチュアリーになりたいなら、いきなり資格試験を受験するのでなく、就職してから目指すのがよいでしょう。

アクチュアリー候補生枠として採用されれば、効率的に知識と経験が手に入れられるので、効率よく勉強できます。

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