HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
「文系は就職がきびしい」「文系だと営業職以外に就くのは無理」など、就職に関するうわさを聞いて不安を感じている学生の方は、多いのではないでしょうか。
この記事では、文系の学生におすすめの職業を解説していきます。
文系学生の就職先業界の紹介や就活での対策・気になるうわさの真偽など、さまざまな角度から、文系学生に向けた就職の情報をお伝えするので、ぜひご一読ください。
おすすめの資格についてもご紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。
【文系学生の就職先を紹介!】文系の主な就職先とは
専門性が身につく理系学生と異なり、文系の学生は就活で活かせる目立ったスキルは身につけにくいものです。
しかし、専門性がないことにより、さまざまな種類の職種につきやすい傾向があります。
また、業界や仕事によっては、必ずしもスキル重視とは限りません。
業界全体の求める人物像に合致していれば、専門職種でも未経験で採用される可能性があります。
ここでは、文系学生の就職率が高い業界を紹介していきますので、自分の志望する業界があるか確認してみてください。
サービス
サービス業界はさまざまな分野に分けられます。
人材派遣・教育・介護・警備・インターネット・広告・旅行代理店・レジャー施設運営・ホテル運営など、その仕事のもっている特色もバラバラです。
そもそもサービス業とは、個人や社会に対して奉仕的な活動を行う産業のことを指します。
食事や商品など、形のあるものを売ることに加え、接客・営業など、形のないものを売ることもサービス業の使命です。
広義では、医療もサービスに含まれると言えるでしょう。
サービス業界はその中に多くの産業が含まれているため、もしサービス業界を志望する場合は、どのような産業に携わりたいのかはっきりさせてから就活を進めましょう。
募集が多く、業務規模も大きいことがメリットです。
その反面、社会情勢、景気などが直接的に売り上げに響きやすいところがあります。
大手企業であれば多少の不景気は問題ありませんが、中小企業だとあおりを受ける確率は上がるでしょう。
インフラ
インフラは、航空・鉄道・地下鉄・電力・ガス・水道・インターネットなど、私たちの生活と密接に関わるものです。
これらの産業が破綻すれば、いわゆる普通の生活を送ることはできません。
社会の基盤を整備していくのがインフラの役割と言えます。
インフラ企業で働くことは、人々の生活を支えることに直結するため、大きな社会貢献と言えます。
また、基本的に生活に必要不可欠なものを商材として取り扱うため、安定した産業です。
仕事がなくなりにくいという面では、公務員に次ぐ安心感があるでしょう。
しかし、その分責任は重く、大変な仕事も多くあります。
自分の仕事に対して「人の生活に必要不可欠な存在だ」という自負と、強い責任感が求められる業界です。
製造
いわゆるメーカー業と言われる業界です。
自動車から食品・化粧品など、材料を加工して組み立て、商品を作る業界のことを指しています。
戦後以降の日本は製造業により発展していき、今なおメイドインジャパンという言葉は世界各国で品質の良さの代名詞的な存在です。
また、自動車産業などは、市場規模も大きく、関連産業に与える影響も大きくなります。
メーカー企業の存在により、新たな雇用や需要が生まれ、経済が回っていることはたしかです。
近年、環境保全やコストダウンなどにも積極的な企業が多く、グローバルな規模で経済活動に関わっているという実感をもてる業界と言えるでしょう。
古くは、きつい・汚い・くさいの頭文字を取って「3K」と呼ばれるような、劣悪な労働環境もありましたが、近年ではオートメーション化が進んで働きやすさも格段に上がっています。
金融
金融は、トップクラスで人気がある業界です。
簡単に言えば、個人や企業にお金を貸したり、預かったりするのが主な仕事です。
銀行だけではなく、クレジットサービスや証券会社なども金融業界に含まれます。
お金に関わる商品を売る産業でもあるため、ローンや保険なども同じ業界です。
現在の社会において、お金はインフラと同様に、人々にとって必要不可欠なもののため、金融業界はもっとも安定した業界といわれています。
安定した高い収入は、多くの就活生にとって憧れです。
そのため人気が高く、倍率も非常に高いため、生半可な準備では内定を得るのは難しいでしょう。
この中でも特に保険会社は、文系学生に人気の高い企業です。
アナリストや営業など、さまざまな職種があるため、目指すハードルが多少低くなるところは魅力と言えます。
もちろん、簡単に受かるわけではないため、くわしい業界研究と自己分析は必須です。
ソフトウェア
ソフトウェアは、スマートフォンやパソコン、タブレット型情報端末本体のプログラムを構築している業界です。
デバイス内のプログラムやシステムの開発、その運用と整備などが主な仕事内容となっています。
パソコンやスマートフォン自体は「ハードウェア」と呼ばれており、それらを動かすためのシステムやアプリなどが「ソフトウェア」と呼ばれるものです。
パソコンなどが動くように制御する「OS(Operating System)」や、スマホのアプリケーションのように、ユーザーが操作する「アプリケーションソフト」の2つがあり、どちらもプログラムから構成されています。
比較的新しい業界ではありますが、新しいソフトウェアの開発だけではなく、その整備もしていくため、長く安定している業界の1つです。
文系でも、未経験可の場合があるため、就職することは可能です。
通信
携帯会社などでは、ネットや電話などの通信インフラも提供しています。
ネットに接続するには、Wi-Fiや光ファイバーといった環境が必要であり、これらの提供や整備を行う仕事が、通信サービスです。
インターネット回線の企業などでは、別のインフラサービスとまとめることで、利用料金を安くする仕組みなどがあり、インフラすべてを自社に一極化してもらう動きが増えているのも特徴です。
また、ラジオやテレビなどの放送事業も通信業というくくりにする場合があります。
どちらの産業も、人々の豊かな生活にはなくてはならない仕事です。
IT技術が進歩するごとに通信業界は変化し続ける必要があり、課題は数多いものの、同じだけ将来性がある業界と言えるでしょう。
小売
小売業界は、生産者や卸売業者から購入した商品や物品を、消費者に販売する業界です。
コンビニエンスストアや、スーパーマーケット、百貨店などが代表的でしょう。
近年は、インターネット通販などの普及により、店頭で買い物をするという人は減少傾向にありますが、ネットスーパーなど時代に合わせた売り方を常に模索している企業も存在します。
対して百貨店などは、江戸時代以降日本を支えてきた小売業ではあるものの、少子高齢化や高級志向の低減などにより、苦戦を強いられています。
時勢の影響を受けやすい分、その時代に合わせた工夫をしていかなければ、業界全体としての将来は苦しくなりそうです。
職種としては営業系の仕事が多いところを特徴としており、コミュニケーション能力の高い人材は、非常に重宝されるでしょう。
商社
商社とは、輸出入に関わる貿易を通じ、国内における物資の販売を行う企業です。
その中でもさまざまな商品やサービスを取り扱う「総合商社」と、特定の分野に特化した商品やサービスを取り扱う「専門商社」に区分されています。
モノを売買する仲介の役割を担っており、卸売業と呼ばれるのもこの業種です。
仕事内容としての特徴は、なんと言っても海外勤務や海外製品の取り引きを行う機会が多い点でしょう。
取り扱う製品が高額案件であることも多いため、スケールが大きく、非常にやりがいのある仕事です。
また責任の大きさにともなって平均年収の高いところが魅力でもあります。
「海外で働きたい」「やりがいの大きい仕事がしたい」「高い年収を得たい」といった、意欲のある就活生が求める条件に合致していることから、商社は文系学生から常に高い人気を誇っています。
【文系学生の就職先を紹介!】文系はほとんど営業なのか?
ここまでで、文系の就職先業界についてご紹介してきました。
多くは専門性ではなく、人柄などで採用を決める企業ですが、気になるのはその職種です。
どのような企業に就職した場合でも、文系はほとんど営業職に就くといわれています。
実際そのうわさは真実です。
それではなぜ、文系はほぼ営業職に就くことになるのか、この章でくわしく説明していきます。
これは必ずしも、文系はほかの職種に就くことが難しいという話ではありません。
以降の内容をご覧いただき、ご自身の就職活動をあらためて見直すきっかけにしてみてください。
文系の7割は営業職
結論から言うと、データで見る限り、文系学生の約7割は営業職についていることがわかっています。
つまり、文系はほとんど営業職、といううわさは間違いでないと言えるでしょう。
実際、新卒時にどのようなスキルを持っているかで配属先が決定することは多々あります。
文系の学生が学ぶことは、社会学・文学・法学・哲学など、実際の企業での業務に役立てることが難しいものばかりです。
したがって、研究職のような専門性の高い職種に就くことは難しくなります。
企画職などの場合でも「学生時代に行った自主的な取り組みなどが社会的に成功した」というような目立つ事例がなければ、新卒で配属される可能性はかなり低いでしょう。
それでは、専門性が高い理系の学生は営業に配属されないかというと、そんなことはありません。
理系にせよ文系にせよ、新卒は営業に配属されやすいのです。
企業活動の基本は営業
企業活動の基本は営業です。
すべてのビジネスは、相手がいることではじめて成り立ちます。
企業の存続に不可欠な、モノやサービスの販売という部分を担うのは紛れもなく営業です。
仕事はすべて誰かと共に行われます。
コミュニケーションを取れなければ、仕事が円滑に進みません。
営業というのはビジネスの基本が詰まっているため、そういった意味で、新卒が配属されやすい傾向にあるのです。
また文系の場合、キャリアアップを目指す場合でも、研究職などを目指すよりも、企画などの人と関わる職種を目指す方が多くいます。
その場合でも、営業で培われたビジネスマナーや対人能力は活かされるでしょう。
文系が仕事をしていくうえで必要な要素が、この職種で学べるということです。
また、営業は自社の商品・サービスのことを深く知るためにも適しています。
企業理解のためにも、営業を経験しておくことは重要と言えるでしょう。
【文系学生の就職先を紹介!】就職の幅を増やすために
文系学生が営業職に配属されやすい理由がわかっていただけたと思います。
しかし、文系の学生は営業職にしか就けないという意味ではありません。
就職の選択肢を増やすために、今すぐにできることがあるのです。
ここでは、文系学生が就職の幅を増やすためにできることを2つ紹介します。
どちらも就職活動では定番な内容かもしれませんが、あらためて自分の進みたい方向を考えるきっかけになるでしょう。
ぜひ取り組んでみてください。
自己分析をしてみる
まずは、自己分析をしてみましょう。
就職活動における自己分析とは、自身の過去の出来事や経験などを具体的に振り返り、分析することを指します。
自分のことを客観的に捉えられるため、興味のある業界や職種が見つかるかもしれません。
また、自分の適性や強みなどが新たに発見できる可能性があります。
就活の軸を明確にすることにより、やりたくない仕事を自分で把握することもできるでしょう。
就活で企業がもっとも知りたいのは、学生の強みです。
その強みが自社と、そして希望している職種と合っているか、活かしていくビジョンはあるのかなどを面接で見極めていきます。
面接の前までに自分自身について深く知っておかなければ、対処するのは難しいでしょう。
自分史やマインドマップ、ライフラインチャートなど、自分の思考や人生を可視化してみるところから始めてみてください。
インターンに参加してみる
もし気になる企業があるのであれば、思いきってインターンに参加してみましょう。
インターンとは、企業が開催している就業体験のことで、実際の職場で仕事を経験できる貴重なチャンスです。
インターンに参加すれば、実際の企業のイメージを肌で感じられるため、就活を進めていくうえでの参考になります。
インターンには半年から1年以上にわたる長期のものや、1日だけのもの、夏休み期間だけの短期のものなど、さまざまな種類があります。
まずは自分が興味のある業界のインターンに応募してみると良いでしょう。
ITベンチャーなどでは、文系向けのプログラミングインターンを開催している場合もあります。
「ITに興味はあるけど、専門知識がないから無理かもしれない」と思っている方はぜひ検討してみてください。
【文系学生の就職先を紹介!】文系の強みを活かそう!
文系の学生は、さまざまな業種や職種に就職することができます。
これは実学系の学生には、なかなか難しいことです。
資格取得の試験合格を目指すのも良いですし、入社してから専門性を磨き、キャリアアップをはかるのも良いでしょう。
個々人の努力次第で、道は拓けてくるものです。
また国家資格のような難解なものでなくても、簿記やTOEICなど、面接や入社後にすぐに活かせる資格もあります。
文系学生に与えられているのは、なんでもできるという自由さです。
ここでは、文系学生におすすめの資格について紹介します。
すべて汎用性が高く、人気も高いものです。
文系であっても、在学中に専門性を高めることは可能です。
これらの資格を取得して、就活を有利に進めてください。
簿記を取るなら2級まで取るべき!
簿記は経理に関する資格です。
日本でトップクラスの知名度と、受験者数を誇ります。
汎用性が非常に高く、経理以外にもさまざまな場面で活用できるため、多くの文系学生が取得を目指している資格になります。
しかし、大手企業では、簿記3級はあまり意味がありません。
せっかく簿記を勉強するのであれば、2級まで取っておくと良いでしょう。
業界の中では特に、金融機関や商社には簿記の知識が必須です。
またコンサルティング業界では内定後に取得が求められる可能性もあります。
多くの会社で需要のある資格のため、取得するメリットは非常に大きいものです。
さらに、簿記の2級・3級の難易度はそこまで高くないことから、とりあえず何か資格を取得したいと考えている学生にもおすすめです。
TOEICは高ければ高いほど良い!
TOEICは、社会人に必要な英語のスキルを数値であらわす指標として扱われており、スコアが高ければ高いほど企業からの評価は高くなります。
グローバル化が進む中、外国語スキルの需要は高まっているため、英語の勉強はしておくと良いでしょう。
また近年では、多くの会社でスコアの取得が求められています。
入社後に必ず受験する場合もあるため、学生のうちから勉強を続けておくと安心です。
履歴書にスコアを掲載する場合、業界によって目安の点数は異なるものの、最低でも600点以上は取得する必要があります。
また、就活を有利に進めたいと考えている文系学生なら、750~900点のスコアをねらっていきましょう。
上記のスコアであれば、海外進出をねらう国際部門や、外資系の企業でも高い英語力をアピールできます。
ファイナンシャルプランナーもおすすめ!
最近では、ファイナンシャルプランナー(FP)も人気が出ています。
金融商品や保険、不動産などの資産を有効に計画・運用するファイナンシャル・プランニングの知識は、金融や保健業界・不動産業界を中心として就職に直結しやすいのでおすすめです。
また、社会的信用度と知名度がとても高い割に、難易度は低いため、積極的に取得を目指せる資格です。
特に、2級以上を取得できると、大きな武器となり、金融や資産運用に関する知識が豊富であることを相手にアピールできます。
なお、金融だけではなく、年金などの社会保険全般についても学ぶため、経済学部や法学部の学生と相性が良いのも特徴です。
ちなみに、FP2級はFP3級の合格者でなければ受験できないので、注意しましょう。
まとめ
文系学生の就職先や、就活に役立つ情報を紹介してきました。
繰り返しになりますが、文系学生の魅力は、その自由度の高さにあります。
在学中にできることや試したいことは積極的に行っていきましょう。
資格に向けて勉強することも、何かしらの実績を残すためにアクションを起こすことも、自由度が高いからできることです。
「もし時間があるな、暇だな」と感じることがあれば、将来の自分のためにまずは自己分析から始めてみてください。