理系必見!非鉄金属業界とは?将来性や気になる仕事内容を解説!

理系必見!非鉄金属業界とは?将来性や気になる仕事内容を解説!

記事をお気に入り登録する

記事のお気に入りに登録

「記事のお気に入りに登録」のご利用にはログインが必要です。

会員登録がお済みでない方

無料会員登録

はじめに

理系にもっとも人気のある職業といえば、モノを製造し販売するメーカー業界でしょう。

その中でも、非鉄金属業界はものづくりを得意とする理系の人にとって、魅力的な業界であることは間違いありません。

今回は、そんな非鉄金属業界について、くわしい仕事内容や将来性など、就活をするうえで気になるであろう要素を解説していきます。

現在、非鉄金属業界で就活を進めている人や、気になっている人にとって参考になる内容となっているため、ぜひ最後までご覧ください。

【理系必見!非鉄金属業界】鉄鋼業界との違い

金属を取り扱う金属業界は、大きく鉄鋼業界と非鉄金属業界の2つに分けられるでしょう。

まず鉄鋼業界では、鉄鉱石や鉄スクラップなどの原料を扱い、自動車メーカーや家電などに加工し、さまざまな産業に提供しています。

対して、非鉄金属業界は鉄以外の金属を取り扱っている業界です。

たとえば、銅・アルミニウム・鉛・ニッケルなどがあり、それらを加工して電線や自動車用電装品など、あらゆる用途に使われています。

つまり、日常生活に必要不可欠な製品だけでなく、普段は目にすることのない戦闘機などの特殊な製品まで、使用用途は幅広いのです。

金属を加工し流通する流れは同じですが、原材料が鉄かそれ以外かという違いがあるとわかります。

【理系必見!非鉄金属業界】ビジネスモデル

非鉄金属業界には主に3つのビジネスモデルがあります。

それぞれで、上流・中流・下流に分類することが可能です。

上流では、金属を取り扱う前提となる原材料の採掘や、リサイクル品をさらに加工し再利用などを行います。

中流では、採掘した資源を地金に製錬します。

上流で採掘した鉱石は、そのままでは扱えず、製錬という鉱石から金属を取り出すための過程を経て、はじめて加工できるのです。

そして下流では、地金の加工や部品の製造・販売などが主な工程です。

中流で製錬したものを、さまざまな製品や部品に加工し、世の中に流通していきます。

非鉄金属業界では、このように採掘、製錬、加工・流通という流れをそれぞれ上流・中流・下流とすることで運用していることがわかるでしょう。

【理系必見!非鉄金属業界】市場規模

2020年度の市場規模は12兆7849億円です。

これがどの程度の規模なのかというと、190ある業界の中から上位25位に位置づけられ、巨大な市場であることがわかります。

対して、銅などに比べ圧倒的に生産量を上回る鉄鋼業界は22位と、これも高い順位に位置しているのです。

年ごとに出荷額の増減を繰り返していますが、基本的には横ばいを維持している傾向にあります。

昨今では、新型コロナウイル拡大の影響もあり、自動車業界や通信インフラなどの業界が打撃を受けました。

しかし、ニッケルや金の価格が上昇したこともあり、業績が上がった企業も存在するのです。

利益率は190業界中129位と、まだまだ課題の多い業界であることが読み取れます。

【理系必見!非鉄金属業界】将来性

非鉄金属業界は、日本を支える重要な産業の1つです。

それは、この先の将来も変わらず、巨大な市場を持つ産業として需要が増していくでしょう。

しかし、市場規模が横ばいになっていたり、原材料はほとんど輸入に頼っていたりする現状があり、課題も多い業界なのです。

そのため、各企業は海外進出により、さらなる規模拡大をねらっています。

また、脱炭素の動きにより、電気自動車の電池や自動車部品の需要拡大が期待されており、今後は今以上に大きな動向が予想されるでしょう。

加えて、現在では部品などをより軽量にできるアルミのニーズも強まってきています。

このような動きもあり、課題はあるものの、それに向けて多くの企業が対策をするなど、さらに需要が高まり将来性のある業界と言えます。

【理系必見!非鉄金属業界】仕事内容について

先述したように、非鉄金属業界では上流・中流・下流と3つの工程に分かれるため、それだけ業務もさまざまなのです。

次では、これらの業務を細分化し、くわしく解説していきます。

全体のイメージをつかむためには、一つひとつの役割をきちんと理解する必要があります。

また、知らなかった業務も見つかり、興味が出るきっかけになるかもしれないので、参考にしてみてください。

非鉄金属業界について、漠然としたイメージから明確化するために役立ててみてください。

資源

鉄山採掘や鉱石粉砕などがあり、上流の業務内容にあたります。

何を目的にして採掘を行うのかの掘削目的や、どのくらいの深さで進めていくかの掘削深度などを決めて、採掘に取り組んでいきます。

これを採掘計画と呼び、現場管理としての業務も行うのです。

どこをどのように掘れば目的の鉱石が見つけられるか、必要な道具の取り扱いや危険性の認知、効率的な採掘など求められる知識は多岐にわたるでしょう。

そのため、主に地質学や地球環境学といった専門知識が必要になり、掘削作業主任者という国家資格も設けられています。

また、実際に採掘場に赴き採掘を進めていくうえで、鉱石によっては手作業で進めていく場合もあるため、重労働になりがちな環境へ適応できる身体的な能力も要求されることに注意してください。

研究開発

各企業が、採掘や製造・加工をする際に用いる技術や商品の開発に力を入れています。

たとえば、採掘を効率良く行うための道具であったり、製錬する際に高純度の金属を抽出する技術であったりなどがあげられるでしょう。

それらの新製品や新技術を開発するため、強み・戦略にそった研究開発を進めているのです。

主に理系の仕事となり、大学院を出て就職する場合が多いでしょう。

業界内で独自性のある技術や、画期的な商品の開発は企業に莫大な利益をもたらすのはもちろん、業界全体の技術発展に大きく関与します。

そのため、それに携わる仕事である研究開発は、業界の花形的な存在だと認識している人も多いでしょう。

しかし、必ずしも携わっているプロジェクトが成功するとは限らないため、目標を常に定め挑戦し続ける姿勢が求められるでしょう。

製造

製造は、原材料の製錬・加工を行い、自社製品を生産する仕事になります。

開発と違い、新商品を開発するのが目的ではなく、仕組みにそって自社の製品を大量に効率良く生み出すことを目的としています。

その中でも、設備の操作から品質管理など、生産ライン上で細かい職種に分類されるでしょう。

クリエイティブな視点から、業務を効率化させる方法について考える、加えて手順通りに進めていく力など、黙々と業務を進めていく能力や責任感が求められます。

主に工場や製造所で勤務することが多く、最近では施設内のIoT化も進めている企業もあります。

そのため、取り扱う設備についての知識はもちろん、今後は電子機器についての知識も必要になってくるでしょう。

生産技術

研究・開発で新しく開発した製品を、安全かつ効率的に生産するため、多角的な視点から新規生産ラインの導入などを行います。

今ある商品の生産ラインは最適であるか検討し、必要に応じて改善や効率化をしたり、新商品ではゼロから新しい生産ラインを立ち上げたりする場合もあるのです。

生産ライン全体を見通す俯瞰的な視点から、生産ライン一つひとつを検討するといった細部まで見る必要性もあるでしょう。

製造から研究まで、広く関わってくる業務になるため、本社から工場だけでなく場合によっては研究施設などにも赴き、業務を進めていきます。

そのため、業務内容も幅広いため、求められるスキルも生産に関する知識からコミュニケーション能力など多く、実務的な技術や知識が必要になってくるでしょう。

プラントエンジニア

プラントとは、工場設備などのことを指し、これらの設備に携わったり開発したりする人を、プラントエンジニアと呼びます。

工場内で用いる設備は実にさまざまなものがあり、主に機械系・電気系・土木系などの専門的な分野の知見をもつエンジニアに分けられるでしょう。

機械系は、工場内の機械設備の設計から管理・改善を、電気系は、工場内の電気設備の設計から管理・改善を行います。

土木系では、工場の新設やそのメンテナンス、採掘場での堆積場の建設、道路敷設などが主な業務内容です。

専業会社が一貫してエンジニアリングを行う場合や、他業種のエンジニアに委託する場合もあるでしょう。

いずれも、その分野に精通した専門知識や技術が求められ、研究開発と並んで理系に人気の職種であると言えます。

情報システム

デジタル化の推進や、ITに関するシステム開発などを行い、生産性向上やコスト削減を目指します

生産管理や販売管理など、あらゆる情報をデータとして管理することにより、業務を効率化し、安全な運用が可能になるのです。

それぞれの企業に合わせたニーズを把握し、最適な提案やシステムの構築を進める、エンジニアリング能力が求められます。

自社のサーバで操作したり、社内ネットワークの管理などをしたりするため、データベース操作や通信の知識、PCやサーバといったハードウェアについての知識も必要です。

通信インフラを担当するため、さまざまな分野の業務に携われるでしょう。

非鉄金属業界の専門的な知識よりは、システムや通信などについての広い知見が求められるのです。

【理系必見!非鉄金属業界】非鉄金属業界で求められる人材

非鉄金属業界の業務内容について、くわしく解説してきました。

多くの職種が関わって1つの業界となっていることが理解でき、あいまいな認識しかなかった人は、はっきりとイメージできるようになったでしょう。

そんな非鉄金属業界において、どのような人材が求められているのかを紹介します。

業界で求められる人材を理解しておくことは、就活においても重要な要素なのです。

自己PRや志望動機などに盛り込むなど活用できるため、ぜひ参考にしてみてください。

グローバルに活躍したい人

先述したように、日本の非鉄金属業界ではあらゆる課題を乗り越えるため、各企業が海外進出へ向け事業拡大に取り組んでいます

そのため、これから先はますますグローバルに対応した人材が求められ、世界で活躍したい人にとって絶好のチャンスと言えるでしょう。

日本の技術力を必要としている国も多く、そういった国の企業と取り引きするシーンや、海外工場で働ける機会も増えていきます。

世界の共通語である英語をはじめ、主な輸出先である中国や台湾とコミュニケーションを取れる人材は、重宝されるでしょう。

グローバルな視点で物事を考えられる力や、海外進出を視野に入れた提案やアプローチができる能力も、選考の際にアピールポイントとして有効になります。

好奇心旺盛で探求心のある人

海外に事業を展開する企業が、他国の企業に勝ち、生き残るためには、技術革新を行っていく必要があります。

そのためには、さまざまな技術の中から有効であるものを取り入れたり、最新の情報をキャッチしたりといった、技術に対する探究心やアンテナの広さが重要になるのです。

こういった特徴は、主に研究・開発や、プラントエンジニアといった理系職で効果を発揮するでしょう。

理系でこのような業務に携わりたい人は、好奇心や探究心といった長所を交えると、効果的なアピールが可能です。

もちろん文系で、これらの職業を目指している人にとっても、プラスに作用する長所なのです。

試行錯誤する、何事にも興味があるといった特徴は、具体的な実例を交えることで、より説得力が強いものとなるでしょう。

【理系必見!非鉄金属業界】トップ企業

グローバルに活躍できる人材や、好奇心や探究心のある人材が求められているとわかりました。

最後に、非鉄金属業界でもっとも高い売り上げを出している企業について紹介して終わります。

大手の企業の中でも、トップの企業に所属したいと思っている人は、狭き門ではありますが、これらの企業を目標に目指すと良いでしょう。

また、それぞれの企業で事業の強みもあわせて解説しますので、どんな差異があり何に力を入れているかを理解しながら、参考にしてみてください。

住友金属鉱山

住友金属鉱山は創業1590年で、日本の上場企業で2番目となっており、大変長い歴史のある企業です。

平均年齢は43歳で平均年収は1,010万円と、今回紹介する企業の中ではもっとも年収が高くなっています。

資源・材料・製錬の3つのコアビジネスを手掛けており、ほかの企業がまねできない独自のビジネスモデルにより、競争優位性を生み出していることがわかります。

また、300年以上受け継がれてきた鉱山開発の経験から、グローバルに鉱山開発・運用を進め、各国でプロジェクトを進めることにより新たな優良鉱山の獲得を推進しているのです。

主に取り扱っている金属は、電気銅やニッケル、コバルトなどで、いずれもデジタル化が進んでいる世の中でより需要が高まる金属となるでしょう。

三菱マテリアル

平均年齢は41.8歳で、平均年収は815万円です。

三菱マテリアルは、三菱グループにある大手の非鉄金属メーカーです。

日本の高度成長を150年にわたり支え続け、時代とともに変化する、社会のニーズに応えながら発展してきた企業だと言えるでしょう。

金属・セメント、加工や環境、電磁材料などの事業を展開しており、そのすべての事業で生産量・販売量ナンバーワンを誇っています。

リサイクル技術や独自の素材開発など、高度な技術開発・製造技術が強みで、女性をはじめとした多様な人材活用による価値観や個性の結集により、あらゆる課題解決へ向けたアプローチを行っています。

社会的価値と経済的価値の両立を根底に掲げ、循環型社会の未来に向けた、さらなる技術革新を推し進めているのが特徴だと言えるでしょう。

JX金属

平均年齢は40.4歳で、平均年収は905万円です。

3つの企業の中では、もっとも平均年齢の低いことがわかるでしょう。

JX金属の強みは、資源開発を行う上流から製造・開発を行う下流までを一貫して手掛けることによる、バリューチューンです。

世界シェア80%を誇る圧延銅箔事業に加え、半導体用ターゲット、高純度タンタル粉など幅広い事業を展開し、どれも高い世界シェアを有しているのです。

また、先端素材の製造・開発や使用済み電子機器からのリサイクルなど、IoTやデジタル化が進む社会に欠かせない事業展開を行っています。

アジアや南米を中心に進出し、国内を含めると71の拠点があり、グローバルに事業を展開していることがわかります。

まとめ

今回は非鉄金属業界に焦点を当て、くわしい業務内容や将来性などを解説してきました。

AIの導入やIoT化、さらには多くの企業がグローバル化を推進するなど、これからも需要の高まっていく業界であることが理解できたでしょう。

業務内容としては実に多くのものがあり、理系だけでなく文系も活躍できる業務も存在します。

また、グローバル化にともなって多様な人材雇用を促進している企業も多く、女性でも働きやすい環境が整ってきているため、興味がある人は思い切って飛び込んでみても良いでしょう。

 

この記事を友達におしえる!

LINEで送る ツイートする シェアする URLをコピーする

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます