
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
「面接で『尊敬する人は?』と聞かれたらどうしよう…」
「そもそも尊敬する人なんて、すぐには思いつかない…」
就職活動の面接対策を進める中で、こんな悩みを抱えている真面目なあなたは、決して一人ではありません。
多くの就活生がこの質問に戸惑い、答えに詰まってしまうことがあります。
この記事を読めば、尊敬する人が思いつかないという悩みから解放され、自信を持って面接官にあなたの魅力を伝えられるようになります。
この記事では、尊敬する人の探し方から、面接で効果的に伝えるためのポイント、そして具体的な回答例文まで、あなたの疑問や不安を解消するための情報をご紹介します。
尊敬する人とは?
面接で「尊敬する人」について質問されるのは、あなたがどのような人物に価値を感じ、どのような方向に成長していきたいと考えているのかを知るためです。
面接官は、あなたの口から語られる尊敬する人物像を通して、あなたの価値観、人間性、そして将来のポテンシャルを測ろうとしています。
「尊敬」とは、単に「好き」という感情とは異なり、その人の行動や考え方、生き方から何かを学び、自分もそうありたいと願う気持ちを指します。
あなたがある一部分にでも強く惹かれ、目標としたいと思える人物であれば、それがあなたの「尊敬する人」なのです。
尊敬する人が思いつかない理由
「尊敬する人なんて、パッと思いつかない…」そう感じるのには、いくつかの理由が考えられます。
もしかしたら、あなたも無意識のうちに、これらの思考の罠に陥っているのかもしれません。
一つひとつ見ていきながら、まずは思いつかない原因を探ってみましょう。
「尊敬」という言葉に考えすぎている
「尊敬」という言葉を聞くと、どうしても「立派な功績を残した偉人」や「非の打ち所がない完璧な人物」を思い浮かべてしまいがちです。
しかし、それは「尊敬」という言葉のハードルを上げすぎているのかもしれません。
「ノーベル賞受賞者や歴史上の英雄でなければ、尊敬するに値しない」なんてことは全くありません。
日常生活の中で、ふとした瞬間に「この人のこういうところ、素敵だな」「自分も真似したいな」と感じることはありませんか?完璧な人間など存在しません。
誰にでも素晴らしい一面があり、そこに気づくことが大切なのです。
奇をてらおうとしすぎている
「他の就活生と差をつけたい」「面接官にインパクトを与えたい」という気持ちから、ついユニークで珍しい人物を挙げようとしてしまうことがあります。
もちろん、印象的な回答をしたいという気持ちはわかりますが、それがプレッシャーとなり、かえって「誰も思いつかないような特別な人を探さなければ…」と自分を追い込んでしまう原因になりかねません。
面接官は、あなたがどれだけ珍しい人物を知っているかを知りたいわけではありません。
むしろ、あなたが誰を、どのような理由で尊敬しているのか、そしてそこから何を学び、どう成長したいと考えているのかという、あなた自身の内面を知りたいのです。
観察力が足りていない
日常生活の中で、周囲の人々の行動や言葉にどれだけ意識を向けていますでしょうか。
尊敬できる人は、意外とあなたのすぐそばにいるものです。
しかし、アンテナを張っていなければ、その人の素晴らしい点や努力している姿に気づくことは難しいでしょう。
家族、友人、学校の先生、アルバイト先の先輩など、身近な人々の言動に少しだけ注意を払ってみてください。
「この人のこういう考え方、見習いたいな」「こんな風に行動できるのはすごいな」と感じる瞬間がきっとあるはずです。
また、誰かに感謝の気持ちを持つことは、その人の良い面に気づくきっかけにもなります。
日頃から周囲の人々に関心を持ち、感謝の気持ちを忘れないことが、尊敬する人を見つける第一歩となるでしょう。
尊敬する人が思いつかないときの探し方
「やっぱり思いつかない…」と諦めるのはまだ早いです。
ここでは、具体的な尊敬する人の探し方のヒントを5つご紹介します。
これらの視点から、あなたの記憶や経験を辿ってみましょう。
影響を受けた人の中で探す
これまでの人生を振り返ってみて、あなたの考え方や行動に、ポジティブな影響を与えてくれた人はいませんか?例えば、「〇〇さんのあの一言があったから、今の自分がある」「あの人の行動を見て、自分もこうありたいと思った」といった経験はないでしょうか。
影響の大小は関係ありません。
その人との出会いや関わりを通して、あなたがどのように変化し、成長できたのかを具体的に思い出してみましょう。
人生の転機となった出来事や、心に残っている言葉などをヒントに探してみてください。
有名人の中で探す
スポーツ選手、俳優、ミュージシャン、作家、研究者など、あなたがメディアを通して知っている有名人の中に、心を動かされたり、生き様に感銘を受けたりした人はいませんか?単に「ファンだから」という理由だけでなく、その人のどのような実績、考え方、社会への貢献、あるいは逆境に立ち向かう姿勢に強く惹かれるのかを具体的に掘り下げてみましょう。
インタビュー記事を読んだり、ドキュメンタリー番組を見たりする中で、その人の人間性や価値観に触れ、共感できる部分や学びたい点を見つけることができるかもしれません。
偉人の中で探す
歴史の教科書に載っているような人物や、特定の分野で後世に語り継がれるような大きな功績を残した偉人たちも、尊敬する人を見つけるヒントになります。
彼らがどのような時代背景の中で、いかなる困難に立ち向かい、何を成し遂げようとしたのか。
その精神性や理念、行動力に焦点を当ててみましょう。
伝記を読んだり、彼らの残した言葉や業績を調べてみたりする中で、時代を超えて共感できる価値観や、現代の私たちにも通じる学びが見つかるはずです。
感謝している人の中で探す
「あの時、親身になって相談に乗ってくれた」「困っている時に、何も言わずに手を差し伸べてくれた」「私の成長を辛抱強く見守ってくれた」など、具体的なエピソードを思い出してみましょう。
感謝の対象は、必ずしも特別なことをしてくれた人でなくても構いません。
日々の小さな親切や思いやり、支えとなってくれた人の存在そのものに、尊敬の念を抱くこともあるでしょう。
感謝のリストを作り、それぞれの理由を深掘りしていくと、意外な人物があなたの「尊敬する人」として浮かび上がってくるかもしれません。
理想だと思った人の中で探す
あなたが「こんな大人になりたい」「こんな生き方ができたら素敵だな」と思う理想の人物像はありますか? もし具体的なイメージがあるなら、その理想を体現していると感じる人を探してみましょう。
それは、特定のスキルや能力に秀でている人かもしれませんし、周囲から信頼される人間性を持っている人かもしれません。
もし現実の人物で思い浮かばなくても、小説や映画の登場人物など、架空のキャラクターでも、その生き方や価値観に強く共感し、理想だと感じるならば、それも一つの答えになり得ます。
尊敬する人がどうしても思いつかない場合は
色々な角度から考えてみても、どうしても「この人だ!」という人物が思い浮かばない…。
そんな時はどうすれば良いのでしょうか。
焦る必要はありませんが、面接で何も答えないわけにはいきません。
「いません」とだけで終わらせるのは避けよう
正直に「現時点では、特定の尊敬する人物は思い当たりません」と答えること自体が、即座にマイナス評価に繋がるわけではありません。
しかし、そこで思考を止めてしまい、「いません」の一言で終わらせてしまうのは避けるべきです。
なぜなら、それは面接官に「自己分析が不足しているのでは?」「他者への関心が薄いのでは?」といったネガティブな印象を与えかねないからです。
大切なのは、正直であることと同時に、思考を巡らせている姿勢を示すことです。
「いません」と答える場合でも、なぜそう思うのか、あるいは特定の個人ではなく、どのような「あり方」や「価値観」に感銘を受けるのか、といった点を補足できるように準備しておきましょう。
いない理由を論理的に説明できるようにする
「特定の個人を尊敬するというよりは、〇〇のような状況で△△できる人に感銘を受けます」といった形で、具体的な人物を挙げる代わりに、尊敬する「行動」や「姿勢」、「価値観」を伝えるのも一つの方法です。
例えば、「特定の誰かというわけではありませんが、困難な状況に直面しても、常に前向きな姿勢を忘れず、周囲と協力して解決策を見つけ出そうと努力する人に、私は尊敬の念を抱きます」といった具合です。
なぜ「特定の人物」が思いつかないのか、その理由を自分なりに分析し、それを正直に伝えつつ、自分がどのような点に価値を見出すのかを明確に説明できれば、面接官もあなたの考え方を理解してくれるはずです。
尊敬する人が思いつかない時に取り上げやすい人8選
ここでは、比較的エピソードを交えやすく、面接官にも共感を得やすい人物像を8つのカテゴリーに分けてご紹介します。
それぞれのカテゴリーで具体的な人物例も挙げていますので、あなた自身の経験と照らし合わせながら、ヒントにしてみてください。
親族
父、母、祖父母、兄弟姉妹といった親族は、最も身近な存在であり、あなたの成長を一番近くで見守ってきてくれた人たちです。
そのため、具体的なエピソードを交えやすく、尊敬の念を抱く理由も説明しやすいでしょう。
例えば、「いつも私の話を親身に聞いてくれ、的確なアドバイスをくれる母の包容力」「豊富な人生経験から、物事の本質を教えてくれる祖父の知恵」など、具体的な行動や言葉を通して感じた尊敬のポイントを挙げることができます。
ただし、あまりにも身内びいきに聞こえないよう、客観的な事実に基づいたエピソードを選び、そこから何を学んだのかを明確に伝えることが大切です。
友人
学生時代のクラスメイト、部活動やサークルの仲間、あるいは幼馴染など、共に多くの時間を過ごしてきた友人も、尊敬する人として挙げやすい対象です。
お互いの長所や短所を理解し合っているからこそ、その友人の「すごいな」と思える部分や、見習いたいと感じる行動を具体的に語ることができるでしょう。
例えば、「目標達成のために、誰も見ていないところでもストイックに努力を続ける友人Aさんの真面目さ」「誰に対しても分け隔てなく親切で、いつも周囲を明るい雰囲気にする友人Bさんのコミュニケーション能力」など、具体的なエピソードを交えて説明しましょう。
個人的な感情だけでなく、その友人のどのような点が客観的に見て尊敬に値するのかとその経験が自分にどう影響を与えたのかを伝えることがポイントです。
学校の先生
小学校、中学校、高校時代の恩師や、大学の教授、ゼミの担当教官なども、尊敬する人として挙げやすいでしょう。
教育者としての指導力や専門知識はもちろんのこと、生徒一人ひとりに向き合う情熱や人間的な魅力に感銘を受けた経験があるかもしれません。
具体的なエピソードと共に、その先生から何を学び、それが今の自分にどう活きているのかを伝えましょう。
感謝の気持ちだけでなく、その先生のどのような指導や姿勢が自身の成長に繋がったのかを明確にすることが重要です。
アルバイト先の先輩や社員
アルバイト経験がある人にとっては、そこで出会った先輩や社員の方々も尊敬の対象となり得ます。
仕事への取り組み方、お客様への対応、チーム内での立ち振る舞いなど、社会人としての基本的な姿勢やプロ意識を間近で学ぶ機会があったのではないでしょうか。
具体的な仕事ぶりから感じた尊敬のポイントを挙げましょう。
その人の行動から何を学び、それを今後社会人としてどのように活かしていきたいかを具体的に語ることが大切です。
有名人
スポーツ選手、実業家、俳優、アーティスト、文化人など、メディアを通して活躍を知る有名人の中にも、尊敬できる人物を見つけやすいでしょう。
例えば、「前人未到の記録に挑戦し続け、常に高い目標を掲げて努力を怠らない大谷翔平選手の向上心」「難病を克服し、再び世界の舞台で活躍する池江璃花子選手の不屈の精神力」「革新的なアイデアと強いリーダーシップで世界を変えたスティーブ・ジョブズの情熱と先見性」などが挙げられます。
ただし、単なる憧れやファン心理で終わらせず、その人物のどのような考え方や行動が、あなた自身の価値観や将来の目標とどのように結びついているのかを具体的に説明することが重要です。
経営者
企業のトップとして組織を率いる経営者も、尊敬の対象として考えられます。
特に、その経営理念やビジョン、リーダーシップ、社会貢献への意識などに共感を覚えることがあるでしょう。
国内外の著名な経営者、例えば稲盛和夫氏、松下幸之助氏、柳井正氏、孫正義氏などをはじめ、あなたが関心を持つ業界や企業の経営者を挙げるのも良いでしょう。
例えば、「『利他の心』を掲げ、従業員の幸福と社会の発展を両立させようとした稲盛和夫氏の経営哲学」「『企業は社会の公器である』という考えのもと、事業を通じて社会貢献を追求した松下幸之助氏の高い志」「常に変化を恐れず、高い目標を掲げてグローバルに事業を展開する〇〇社長のチャレンジ精神」など、具体的な理念や行動に触れながら、そこから何を学び、自身のキャリアにどう活かしたいかを語りましょう。
歴史上の偉人
マザー・テレサ、ガンディー、ナイチンゲール、坂本龍馬、渋沢栄一など、時代を超えて人々に影響を与え続ける歴史上の偉人たちも、尊敬する人として非常に説得力があります。
彼らが残した功績や思想、困難に立ち向かった生き様は、現代に生きる私たちにとっても多くの示唆を与えてくれます。
その偉人のどのような行動や考え方が、現代のあなたにとってどのような学びとなり、それをどのように社会で活かしていきたいと考えているのかを具体的に述べることが大切です。
創作上の人物
漫画やアニメのキャラクター、小説や映画の登場人物など、創作上の人物も、あなたの価値観や理想を反映する存在として挙げることができます。
これらのキャラクターは、理想的な行動規範や強い信念、魅力的な人間性を持っていることが多く、私たちに勇気や感動を与えてくれます。
例えば、「仲間を何よりも大切にし、どんな困難な状況でも決して諦めずに夢を追い続ける『ONE PIECE』のモンキー・D・ルフィのリーダーシップと行動力」「過酷な運命に立ち向かいながらも、常に他者への優しさと思いやりの心を失わない『鬼滅の刃』の竈門炭治郎の精神的な強さ」「強い正義感を持ち、社会の不正や矛盾に果敢に立ち向かう〇〇(小説の登場人物)の利他的な姿勢」などが考えられます。
企業の文化や面接官の雰囲気を考慮して選択することも大切です。
尊敬する人が思いつかない人へ!回答例文8選
ここでは、前述の8つのカテゴリーに対応した具体的な回答例文をご紹介します。
あなた自身の言葉に置き換える際の参考にしてください。
例文1. 親族
例文2. 友人
例文3. 学校の先生
例文4. アルバイト先の先輩や社員
例文5. 有名人
例文6. 経営者
例文7. 歴史上の偉人
例文8. 創作上の人物
尊敬する人を回答する際の注意点
尊敬する人が見つかり、エピソードもまとまってきたら、最後に面接で回答する際の注意点を確認しておきましょう。
せっかくの回答も、伝え方を間違えると逆効果になってしまうこともあります。
問題点がある人は避ける
いくら個人的に尊敬できる点があったとしても、社会的に大きな批判を浴びた人物や、倫理的に問題のある行動が知られている人物を挙げるのは避けるべきです。
例えば、過去に犯罪歴がある人物や、差別的な発言で物議を醸した人物などを挙げると、面接官にあなたの価値観やコンプライアンス意識を疑われてしまう可能性があります。
企業は、法令遵守はもちろんのこと、高い倫理観を持った人材を求めています。
少しでも懸念がある場合は、他の人物を検討するのが賢明です。
「好き」と「尊敬」は違う
「面白いから好き」「見た目がかっこいいから好き」といった感情は、尊敬とは異なります。
面接で問われている「尊敬」とは、その人の行動や考え方、生き様といった内面的な部分に感銘を受け、自分自身もそうありたい、そこから学びたいと思う気持ちのことです。
なぜその人を尊敬するのか、具体的なエピソードや理由を交えながら、その人から何を学び、それを自分自身の成長や仕事にどう活かしていきたいのか、という視点を明確に伝えることが重要です。
ただの人物紹介にならないようにする
尊敬する人について語る際、その人物の経歴や業績、有名なエピソードなどを延々と説明してしまう人がいますが、これは避けましょう。
面接官が知りたいのは、その人物の詳しい情報ではなく、あくまで「あなた自身」のことです。
あなたが「誰を」「なぜ」尊敬し、「その人から何を学び」「それを今後どのように活かそうとしているのか」という点が最も重要です。
常に「自分」を主語にして、自分の言葉で語ることを心がけましょう。
おわりに
「尊敬する人は?」という質問は、決してあなたを困らせるためのものではありません。
むしろ、あなた自身を見つめ直し、自分の大切にしている価値観や目標を再認識する絶好の機会と捉えることができます。
この記事でご紹介した探し方や例文、注意点が、あなたが自分らしい「尊敬する人」を見つけ、自信を持って面接に臨むための一助となれば幸いです。
大切なのは、完璧な答えを用意することではなく、あなた自身の言葉で、誠実に自分の考えを伝えることです。