HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
選考過程で課されることの多い、グループディスカッション。
なかなか経験のないグループディスカッションに対して苦手意識を持っている就活生も少なくないのではないでしょうか?
今回は、グループディスカッションの流れを実際に再現して、スムーズに議論が行うポイントをまとめています。
グループディスカッションの選考前に見て参考にしてみてください。
GDの大まかな流れ
闇雲に議論していても、結論が収束することはありません。
ディスカッションする際にはある程度の見通しを持ってディスカッションすることが必要になってくるでしょう。
まずは、与えられたテーマに関して同じ方向を向いて議論するために全員の共通認識を取る必要があります。
その次にディスカッション全体の時間配分を話し合います。
これは議論が紛糾して進まなくなった時でも結論までたどり着くために必要な過程で、全員で決めて納得した上ディスカッションを始めるようにしましょう。
その後、テーマの全体像を整理し、話し合う論点を明確化、意見を全員で出し収束させてまとめとなります。
それでは、実際にディスカッションをやってみましょう。
定義づけ・前提確認・時間配分
それではよろしくお願いします。
まずは役割を決めましょう。
必要な役割としては進行役であるファシリテーター、タイムキーパー、書記だと思うのですがどなたかやっていただけますか?
私書記やります、見やすくまとめるのが得意なので!
それではタイムキーパーやらせていただきます。
ファシリテーターはAさんでいいかなと思うのですが、どうですか?
いいと思います!
ありがとうございます!
流れとしてはまずみなさんで同じ目線で議論していくために、前提確認をさせていただきます。
そのあとに、百貨店の現状分析をして売上の全体像を把握できたらと思います。
その後どこを上げれば売上をあげられるのかを検討して、そのために施策を洗い出すというものでどうでしょうか?
いいと思います!
あと制限時間内に結論が出ないということを避けるために、その中で話し合う内容ごとに時間を設定したいのです。
前提確認に5分、構造化と論点整理に15分、施策の洗い出しと収束に20分、まとめで5分の合計45分でいかがでしょうか?
そのくらいだと思います!
それでは、はじめにみなさんの議論の目線を合わせるために前提確認をしていきたいと思います。
どのくらいの売り上げをどのくらいの期間で達成するようにしましょうか?
うーん、そうですね。
あまり長い目で見すぎずに2~3年くらいでどうでしょう?
僕もそのくらいだと思います。
売上は2倍はちょっとその期間では現実的ではないので1.5倍くらいでしょうか?
あまり悩んでいても仕方ないので、2~3年で1.5倍にしましょう。
施策を打つ主体は「百貨店」でいいですか?
百貨店単体でできることということで合ってますか?
そうです!
いいと思います。
それでは、議論していきましょう。
ちなみにこの百貨店、どのような百貨店を想定してますか?場所とか。
僕は京都とかの駅ナカにある百貨店を想定していました。
なるほど。
でも、これ地方って書いてあるのですが、京都って地方でしょうか?
結構、都会のイメージでした。
地方の百貨店は大阪とか京都の中心地ではないけれど、田舎すぎない駅の前に立っているというイメージでした。
僕もそうでした、Bさんはどうですか?
私もベッドタウンというか都会なんだけど繁華街すぎないと思っていました。
皆さんのイメージを合わせるために、姫路や高槻などの中心地ではないけれど田舎すぎないところにある百貨店として進めていこうかと思っているのですが、想像できますか?
できます!それでいきましょう。
ありがとうございます!
[解説]
A君がファシリテーターということで丁寧に前提確認をしています。
ここで確認したことは、以下の3つです。
・「いつまでに」「どれくらいの」成果を出すか
・「誰が」施策を打つ主体となるのか
・百貨店の立地
このくらいまで決めておけば、施策を考える時に各々が出す施策にぶれがなくなってきます。
今回は、いつまでにどれくらいの成果のところで数値を設定する場面が出てきましたが、この数値に関しては現実的な数値であればざっくりと決めてしまって大丈夫です。
あくまでグループディスカッションをしているメンバーの目線を合わせることが目的ですので、全員が納得したのであれば前提確認は成功と言えるでしょう。
構造化・論点整理
まずは百貨店の現状について整理していきたいと思います。
なんで百貨店の売上が上がらないのでしょうか?人が来ないから?
確かに百貨店って高いですもんね。
私もあまり行かないです。
ちょっと分解して考えてみましょう。
(百貨店の売上=来店人数×一人当たりの買い物単価)ですよね?
となると、Cさんが言ってくれた人数もそうなんですが、来てくれた人がいくらお金を払ってくれるかも売上には重要な要素だと思います。
確かに!そうなってくると来店人数とかもどのようなお客さんがきてくれているかも分解できそうですね。
その辺りも分解してみましょう。
結構高齢者の方とか行きそうなイメージだから、高齢者の人とそれ以外でわかるような分け方にできたらいいのかなと思います!
それだったら、
・20歳までの若者層
・20~60歳の社会人層
・60歳以上の高齢者層
で分けてみるといいかもしれません!
Dさん分解上手ですね!
ありがとうございます。
もう少し違う観点から分解してみると日本人と外国人観光客の分解もできますね。
となると、年代と来店頻度、購入単価を整理するとこのようになるかなと思うのですがいかがでしょうか?
そうですね、ありがとうございます。
そうなると若者層があまり来ていないことがわかりますね。
でも今回の施策のターゲットにはならないかなと思います。
どうしてですか?
若者層としては購入単価が示しているようにお金が他の年代に比べて少ないので、他の店よりも価格帯の高い百貨店では若者が買い物をするとは考えにくいなと考えたからです。
となると今回メインに施策を打っていくのは若者以外の社会人層・高齢者層・外国人観光客層ということになりますね。
ターゲットが決まったので先ほど分解した百貨店の売上に関する部分をみていきましょう。
えっと、確か百貨店の売上は来店人数と一人当たりの購入金額でしたよね?来店人数に関しては社会人層と外国人観光客層ですね!それぞれなんで来てくれないのでしょうか?
社会人層と外国人観光客層では問題の原因が違うような気がします。
社会人層は別に百貨店を知らないわけではないけど来ない。
外国人観光客層は知らない可能性が多い、中心地にあるわけじゃないですし。
1つずつ考えていきましょう。
まず社会人層が何故来ないのかですが、Dさんがおっしゃってくれたように多分知らない人はあまりいないんじゃないかなと思います。
それなのに何故来ないのでしょうか?
やっぱり値段じゃないでしょうか?その世代って結構子育てしている家庭も多くて質より量って感じがします。
買い物であれば普通のスーパーに行きますね、百貨店のちょっと高めのスーパーや惣菜売り場はちょっと高くて手が出せなさそう。
あとは行く手段も関係してきそうな気がします。
家族連れとかであればたくさん買い物するでしょうから、電車で来るというよりかは車で来るかなと。
それだったらわざわざややこしい駅前の百貨店に来るよりかは郊外にある駐車場の広いスーパーに行きますよね。
確かにそうですね。
まとめておきます。
これって立地の問題と提供している商品の値段の問題なのでなかなか短期で改善できそうにないような気がするのですが。
確かに。
社会人層と百貨店との親和性は低いのかもしれませんね。
分析してみて親和性が低かったのでターゲットとして外すのはどうでしょうか?
根拠もしっかりしているので外す理由としてはきちんとしているかなと思います。
そうですね。
みなさんが良さそうならそうしましょう!では次は外国人観光客層が何故来ないのかですね。
そもそも知らないということもありますね。
外国人の方が百貨店にいる様子が思い浮かばない…。
駅近にあるので知っていてもいいはずなのですが、中心地ではないのでその駅で降りないし、中心地にその百貨店の宣伝用のポスターなどもないでしょうね。
あ、あとSNS映えしないから日本に来る前の旅行の計画にも入ってなさそう。
確かに!となると、「外国人観光客がいくようなところに百貨店の宣伝がない。」「SNSでもバズらない」から認知が足りていないといったところでしょうか?
でも、認知があったとしても来ますかね?
確かに。
興味を持ってもらうコンテンツが現状なさそうですね。
となると、認知だけではなくて興味を持ってもらうコンテンツをそもそも用意しておかないと来店には繋がらない、ひいては一人当たりの購入単価も低くなってしまうということですね。
確かに。
そこも後の施策を考えるところで考えましょう。
メモしておきます。
ありがとうございます。
といったところで結構時間がなくなってきたので、一人当たりの買い物単価に関しての議論に移ってもいいでしょうか?
Dさん、ありがとうございます!
そうしましょう!
一人当たりの購入単価に関しては、2つ施策があります。
1つは「高齢者層の方にもっと買ってもらう」、もう1つは「来てくれた外国人観光客に買ってもらう」です。
外国人観光客層に関しては来てくれている人数が少ないので、まずは来てもらって興味を持ってもらうコンテンツを用意するといいと思います。
そこで、さらに高齢者層に購入してもらうにはどうしたらいいでしょうか?
あまり多く買えない理由がありそうですけどね。
体力もそんなにないでしょうし、荷物が多くなるとしんどいからとかですかね?
ありそうですね!駅近なので車というより電車で来られる人も多そうです!
百貨店って階数が多いじゃないですか?だから欲しいものが見つからないことはないですかね?
ないことはないと思います。
そもそも高齢者の方って何が欲しいんでしょうか?そもそも欲しいものがなかったりして。
確かに、あまり物欲がなかったりして。
それも加えておきましょう。
あと、購入単価をさらに分解すると、
(商品の値段×購入した品数)ですよね。
みなさんが購入した品数について話し合ってくださったので、あとの施策出しのところで商品の値段を上げるということについても話したいです!
了解です!みなさんの議論を整理します。
ありがとうございます!それでは施策出しの発散のフェーズに行きましょう。
[解説]
この構造化・論点整理では、たくさんある話し合うべきことから取捨選択をしてどこに集中して施策を出していくと良いのかを可視化するフェーズです。
そのためには、抜け漏れなく全ての可能性を検討できているかが重要になってきます。
Dさんが因数分解をして検討するべき項目をあげてくれましたがこれはナイスプレーです。
その後も分解を繰り返しながらも、Why & So what思考を入れつつ本当の原因を探っていきます。
このフェーズで議論をより活発にしていく言葉は「なぜ〇〇なんだろう?」と「他にないのかな?」の2つです。
発散・収束
それでは1点目の「高齢者の一人当たりの購入単価を上げる」について施策を出していきたいと思います。
ここからはブレスト(ブレーンストーミングの略で、参加者が自由にアイデアを述べて発散させること、就活時に多く用いられる)
高齢者が多く買ってくれない理由として、
・車で来ているなら良いが駅近ということで公共交通機関を用いて来ている人からすると荷物が多くなるためあまり買えない
・百貨店が広すぎて買いたいものが見つからない
・そもそも高齢者が欲しいものがない
という課題があるのではないかと出ました。
これらを解消するためにどうしていきましょうか?
荷物になるなら配送サービスをやってあげたらいいんじゃないでしょうか?いくら以上購入してくれたら自宅まで無料配送しますと言った感じで。
確かに!いいですね!
買いたいものが見つからないに関してなのですが、おそらくインフォメーションセンターなどがあって百貨店内を案内するようなシステムはあると思いますのであまり原因ではないかと。
もしなかったら導入する形で、あとは「欲しいものがない」を解決するために連鎖的にお金を使ってもらう仕組みがいいのではないでしょうか?
というと?
一日百貨店で過ごしてもらうことを考えるんです。
例えば、朝に来店してくれたお客さんが洋服などを購入してくれた際に、上の階にあるレストランのクーポンチケットをその場で渡すんです。
するとお昼ご飯に行ってくれるかもしれません。
また、お昼過ぎに買い物してくれたお客さんには、おやつとして甘味処のクーポンだったり、晩御飯の買い物を地下でしてもらう案内とかをその場で配ってその百貨店の中でスムーズに買い物をしてもらう仕組みを導入するのどうでしょう?
それすごく面白いですね!時間ごとに渡すものを変えるのも面白いです!送料無料と組み合わせるとより買ってもらえるような気がします。
欲しいものがないに関してなのですが、高齢者の方が欲しいものでなくて書いたいものと考えて、子供用のおもちゃとか服などを充実させるのはどうでしょう?お孫さんにプレゼント的な感じで。
おおー、発想の転換ですね。
いいと思います!
他にも施策出しをしておきたいことがあるので先に進みますが、外国人観光客の認知を増やすためにはどうしたらいいでしょうか?
外国人観光客がよく行く所に宣伝用のチラシとかポスターはいりますね。
あとはSNS強化ってところでしょうか。
宣伝するにも何を宣伝するかによりますね。
百貨店ができる外国人に受けそうなコンテンツですよね。
ご当地物産展的なイベントを開催するのはどうでしょうか?全国の美味しいものを集めてその場で食べられたりするスペースを設けるんです。
限られた日程で限られた場所にしかいけないでしょうからせめて食べ物だけでも全国を回った気分になってもらえたらと。
それいいですね!
プラスでSNSも活用していければ。
SNSは急に効果を発揮するものではなさそうなので、百貨店の日本料理とか和服とかの日本っぽいものだったり、百貨店がある街の良いところを英語でコンスタントに発信していければいいかもしれません。
いいと思います!といったところでそろそろ時間もなくなってきたので、まとめていきましょう。
[解説]
発散のフェーズで大事なことはより多くの数を出すこと。
そのためには他のメンバーが出した意見に対して否定的なコメントをしないことが重要です。
肯定的なコメントが多く飛び交うと人間よりアイデアを出したくなります。
それが結果としてより良い施策となっていきます。
ファシリテーターはこの発散のフェーズではタイミングを見計らってスムーズに違う論点での発散を促す力が求められます。
タイムキーパーとうまく協力しながら全ての論点に対して施策出しができるようにしましょう。
まとめ・発表
最後に出てきた施策に対して優先順位をつけていきましょう。
優先順位を決める軸としては、施策を行った時のインパクトと実施・効果が出るまでの期間あたりが考えられるかなと思うのですがいかがでしょうか?
だと思います!
コストは必要なさそうですか?意思決定を行う上で重要そうだなと考えたのですが。
必要かもしれません。
一旦加えてみましょう。
表を作成してみました。
◎が3点、◯が2点、△は0点で評価しています。
なるほど!
これを見ると一番最初に行う施策はクーポンの発行ですね。
それでは発表に備えましょう!
[解説]
施策を出して終わりではなく、実際にビジネスケースではそれらをどのような順番で行うのかまでを検討する必要があります。
よく用いられる優先順位づけの方法としては、
・インパクト(効果)
・コスト
・インパクトが出るまでの期間
の3つです。
今回のようにそれぞれ点数評価すると可視化されてわかりやすくなり、説得力も上がりますよ。
今回はしていませんが、さらにレベルアップした解答を出すのであれば、それらの施策をした時に本当に売上1.5倍になるのかを仮にでもいいので計算して見ると、さらに説得力のある発表になります。
この後、選考官に発表することもあればディスカッションをして終わりというケースもあります。
まとめ
いかがでしたか?
グループディスカッションの流れを実際にやってみて解説していきました。
このようにスムーズに進むこともあれば、なかなか議論が進まずに険悪なムードになることもしばしば。
グループディスカッションは実践練習が重要となってきますので、フットワーク軽く選考会に赴き経験を積み重ねてみてください!