面接官は志望度の高さや仕事とのマッチングを確認するために、しばしば就活の軸に関して質問することがあります。
また、就活の軸を明確にすることで深堀りした質問にも答えやすくなるので、必ず就活の軸を考えておくようにしましょう。
就活の軸を本音で答えるのが難しい場合は建前に言い換えて答えるようにするとネガティブな理由でもポジティブな印象を与えることができるようになります。
具体的な方法や例文はここでも紹介しているので、参考にしながら就活の軸を考えてみてください。
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はじめに
面接では「あなたの就活の軸を教えてください」といった質問をよくされますが、いきなりこのような質問を受けて即座に適切な回答ができる学生はそれほど多くないでしょう。
そもそも、企業が面接で学生に対して就活の軸を聞くことにはどのような意味があるのでしょうか。
また、回答するときにはどのような点に注意するべきなのでしょうか。
ここでは面接で就活の軸について聞かれたときの答え方のポイントと、具体的な例文を紹介していきます。
なぜ就活の軸をきかれるのか
就活の軸という言葉は少し分かりにくいかもしれませんが、 簡単に言えば「自分が企業を選ぶ際にどんなことを一番大切だと考えるか」ということです。
学生が企業に求める条件はさまざまです。
「大学で学んだことを生かせる会社が良い」という学生もいれば「給料の高い会社が良い」という学生もいるでしょう。
なぜ、企業の採用担当者は学生の就活の軸を知りたがるのでしょうか。
その理由には次にようなものがあります。
志望度の強さをはかるため
採用担当者がなぜ学生に就活の軸についての質問をするのかといえば、 その一つの理由は学生の本気度を知りたいからです。
就活生の中には「この企業は大企業で知名度もあるから、もし内定がもらえたらラッキーだな」くらいの考えてとりあえずエントリーだけしてみようというケースもよく見られます。
このように、何となく就活をしているような志望度の低い学生に対して就活の軸についての質問をすることはとても有効です。
というのも、そのような学生のほとんどは就活の軸を答える答えることができないと予想できるからです。
選考では能力ももちろん大切ですが、新卒の場合は多くが将来性を重視した採用となります。
ですから、担当者はより志望度の高い学生を絞り込むために就活の軸を尋ねるのです。
その人の人物像が自社に合うのか確認するため
就活の軸を尋ねるもう一つの理由は、その学生が企業の求める人物像にマッチしているかを知るためです。
以前は一度就職した会社で定年まで働くのが当たり前でしたが、今はそうではありません。
実際、新卒者の3割は入社後3年間の間に離職しています。
しかし、採用には多くの時間とコストがかかっているので、企業としては入社してすぐに辞められてしまっては困るのです。
たとえば「あなたの就活の軸は何ですか?」と聞かれて「福利厚生がしっかりとしているからです」と答えたとしましょう。
たしかに福利厚生も大切なことですが、それならば福利厚生さえしっかりとしていれば別の会社でも良いということになってしまいます。
担当者は「すぐに辞めてしまうかもしれない」という印象を持つでしょう。
就活の軸を聞かれたときは「なぜ他の会社ではなく、この会社を選んだのか」を説明できるような回答を心がけるのがポイントです。
持っていると深堀りに対応できる
学生がどのような就活の軸を持っているのかを知ることは企業にとって大きなメリットがあることが分かったとも思いますが、就活の軸を定めることは学生にとってもメリットがあります。
特に、面接での質問に対する受け答えのときには面接の軸があると便利なので、就活をスタートさせるにあたっては必ず就活の軸を定めるようにしましょう。
なぜ、就活の軸が面接で役に立つのかと言うと、志望動機を深堀りされたときにスムーズに対応することができるからです。
面接では志望動機に関する質問を必ず聞かれますが、企業によってはかなり深い部分まで質問してくることがあります。
このときに就活の軸があると、その軸に沿った内容で自分の能力や性格を会社の業務内容に合わせてアピールすることができるようになります。
本音で答えるのが難しい
就活の軸によっては本音で答えることが難しい場合があります。
たとえば「給料が良い」ということを就活の軸にしている場合、それをそのまま面接の場で回答することは何となく憚れるでしょう。
採用担当者から「給料が良ければ別にうちの会社でなくても良さそうだから落としてしまおう」と思われてしまうかもしれません。
自分の考えた就活の軸が本音で答えることが難しい場合はどのように答えるのが良いのでしょうか。
建前に言い換えて応えよう
就活の軸を聞かれたときに「社会貢献ができる仕事がしたい」「世界に飛び出してグローバルに活躍できるような仕事に就きたい」「自分の保つ技術を生かして人や社会に役立つ価値を創造したい」といった回答をする学生が多くいます。
たしかに、このような仕事に対するスタンスは聞く者にとって非常に響きが良いですが、ほとんどの場合が建前でしょう。
本音はどうかといえば「楽してお金を稼げる仕事が良い」「休みがたくさんもらえて残業のない仕事がしたい」と考えている学生が多いのではないかと思います。
しかし、本音をそのまま面接官に伝えることができるかといえば、おそらくできないでしょう。
その場合は本音ではなく建前に言い換えて回答すると良いでしょう。
あまり仕事を軸に生活したくない
できることなら仕事中心の生活を送りたくないと考えている学生もいるでしょう。
だからといって、「あなたの就活の軸は何ですか?」と聞かれて「あまり仕事を軸にしたくない」と答えてしまったらどうでしょうか。
おそらく「この学生は仕事に対する熱意が感じなれない」という評価になって選考から落とされてしまいます。
このような場合、仕事を焦点に当てるのではなくプライベートの充実に焦点を当てるのがコツです。
たとえば「仕事はあまりしたくないので残業のない仕事を選びました」と答えるとネガティブな印象を与えてしまいますが、「プライベートを充実させることは仕事にも良い影響を与えると考えているので、メリハリを持って業務に取り組むことができる御社を希望しました」とすると、よりポジティブな印象を与えることができるでしょう。
その企業が激務の場合
「給料の良い職場で働きたい」というのも学生の本音でしょう。
しかし、給料の良い職場というのは一般的には激務であり、高いノルマが課されていることも珍しくありません。
ですから、本音の就活の軸が「給料の良い会社」であるならば、それを「激務の会社」と言い換え、激務によって何が得られるのかを建前の就活の軸とすることもできます。
一例としては「私の就活の軸は成長しやすい環境が整っていることです。
御社は実力主義が徹底されていて、経験がなくても結果を残せば正当に評価してくれると知りました。
タフな環境の中でさまざまな経験をすることで成長につなげ、実績を会社に認めてもらいたいと考えています」とすると、前向きな姿勢をアピールすることができるでしょう。
【就活の軸の例文】就活の軸の見つけ方は?
就活の軸の見つけ方を紹介します。
選考を通るための「就活の軸」を見つけるにはどうしたらいいのでしょうか。
それは、①自己分析をする②OB訪問をすることです。
以下で詳しく解説します。
自己分析をする
「自己分析をする」といってもざっくりとしてわかりづらいという人も多いと思います。
そんな人向けに、最低限取り組むべきことを紹介します。
それは、過去の価値観の深掘りです。
「昔夢中になったこと」「過去にモチベーションが上がったのはどんな時だったのか」を考えてみましょう。
現在の価値観は幼少期に形成されていることが多いと言われています。
小学校の時にハマったことや部活動での自分の役割などを掘り下げてみましょう。
OB/OG訪問をする
自分だけで就活の軸を考えてしまうと、都合よく作りがちです。
そのため、第三者に壁打ちをしてで深堀りをすることが大切になります。
その中で1番有効な壁打ち相手が、実際に社会に出て働いているOBやOGを訪問することです。
社会人のレベルで自分の考えが通用するのか、確かめることができます。
自分の出した就活の軸に対して偏りがないかを確認してもらいましょう。
PDCAを回すことで選考において求められている人材に近づくことができるでしょう。
【就活の軸の例文】就活の軸を伝える時のポイントは?
就活の軸を答える時のポイントは、「就活の軸を決めた背景」と「企業への志望度を伝えること」です。
以下で詳しく解説します。
背景をしっかりと伝える
面接で就活の軸を答えるときは、その軸を持った経緯を話せるようにしておきましょう。
自分の価値観や仕事に対する姿勢、業界に興味を持った理由などの根拠となる経緯が整理できるとよいです。
就活生が話す言葉に一貫性を持たせることで、しっかり自分のことを理解していることを面接官に伝えましょう。
企業への志望度を伝える
自己分析で見つけた就活の軸と、企業の特徴があっていることをアピールしましょう。
就活生の性格や将来のビジョンと、会社の事業革新・進出での共通点を伝えることで、会社に本当に興味を持っているのかを伝えることができます。
このように「第一志望です」だけでなく、「なぜそう思うのか」「会社のどこに共感して志望しているのか」を伝えることが大切です。
面接での答え方の例
面接でいきなり「あなたの就活の軸は?」と質問されてもしっかりと答えることができるように、前もって準備しておきましょう。
答えるときは自分の就活の軸が応募した企業の求める人物像とマッチしていることをアピールすることが重要です。
そのためにも、自己分析と合わせて企業分析も十分に行うようにしましょう。
ここでは面接で聞かれたときの答え方を例文として紹介しますので、答え方がよく分からないという学生はぜひ参考にしてみてください。
例文①
私は営業の仕事に興味を持っており、大学3年の1年間はIT関連の企業で長期インターンに参加していました。
もちろん最初のうちは一人で何もできずに先輩社員の後を追いかけて仕事のやり方を覚えることで精一杯でしたが、半年が過ぎる頃には一人でも月に数件の契約を取ることができるようになりました。
そのうちにこの仕事に大きなやりがいを感じるようになり、先輩のやり方をコピーするだけでなく自分なりのやり方も少しずつ取り入れた結果、社員の方と肩を並べるほどの成績を上げることができるのようになりました。
御社は社員一人ひとりが主体的に仕事をするという風土が根付いているとお聞きし、そのような会社で他の社員と切磋琢磨して仕事をすることで、大きな達成感を得られると考えております。
また、そのような環境で働くことはさらなる成長につながると思って志望させていただきました。
例文②
一つ目の軸は「何事にもチャレンジできる環境があるかどうか」ということです。
学生時代は企業のマーケティング活動について学んできましたが、市場を取り巻く環境が著しく変化する現在の状況では変化に柔軟に対応することが不可欠であることを実感しました。
状況によっては、これまでとはまったく異なる分野にも進出しなければならないこともあると思いますが、その決断は難しいものです。
しかし、御社はこれまでも積極的に異業種へ進出し成功を収めてきた経験があるので、ぜひとも自分の力を試してみたいと思いました。
もう一つの軸は「若いうちからチャンスをもらえるか」ということです。
私は先日までインターンシップに参加していましたが、その際に企業の立ち上げに携わる経験をさせていただきました。
非常にやりがいのある仕事であり、その中で仕事をやり遂げることの楽しさを学ぶこともできました。
この楽しさをまたすぐにでも味わいたいという思いが強くあり、たとえ経験が少なくても若手に積極的にチャンスを与えてくれる御社に興味を持ちました。
まとめ
就活の軸を明確にすることは自分の将来の方向性を決めることでもあり、企業選びを効率的に行うためには不可欠です。
世の中には膨大な数の企業があり、その中から自分に合った企業を選ぶのは大変な作業です。
適当に選んでしまうと入社してすぐに離職してしまうリスクも高くなってしまうので、自分に合った就職先を見つけるためにも自己分析と企業分析をしっかりと行って、正しい方法で就活の軸を定めるようにしましょう。