就職活動において10社、20社と数多くの企業にエントリーするのは当然のことですから、いかに効率的に就活を進めていくかということもテクニックとして必要になります。
就活を効率的に進めるためにぜひ理解しておきたいのが「就活の軸」です。
就活前の学生にはあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、実際に就活がスタートすれば、それがとても重要なものであることに気付くでしょう。
就活を始めるまでに、自分なりの「就活の軸」を明確にしておきましょう。
はじめに
面接でいきなり「あなたの就活の軸を教えていただけますか?」と質問されたら、どのように答えるでしょうか。
おそらくほとんどの学生は何を答えたら良いのか分からず、たとえ答えることができたとしても見当違いの内容を答えてしまうのではないかと思います。
ここでは「就活の軸とはなにか」そして「どうやって見つけるのか」について詳しく紹介していきます。
具体的な例文も紹介しているので、ぜひ就活に役立ててください。
【就活の軸とは】就活の軸とは?
大学の学生課や就職情報サイトなどの主催する就職説明会やセミナーなどで「就職の軸を持ちましょう」というアドバイスを受けた学生も多いのではないかと思います。
就活を経験した部活やサークルの先輩から「就活を始める前に何を軸にするのか考えておいたほうが良いよ」という助言を受けた学生もいるでしょう。
しかし、多くの学生にとっては「そもそも、就活の軸ってなんなの?」という感じではないかと思います。
就活の軸とはどんなもので、どんな意味があるものなのでしょうか。
就活の軸とは〇〇です。
就活の軸とは自分がこれから先、長く働くことになる会社を選ぶにあたって何を基準にするのか、つまり「就職先を選ぶための判断基準となるもの」です。
世の中には数えきれないほどの企業があり、そこには会社独自の経営理念や企業風土、労働形態、賃金形態といったものがあります。
一方、学生側でもどんな会社で働きたいのかという自分なりの条件というものがあると思います。
その中には会社選びをする上で絶対に譲ることのできない条件というものもいくつかあるはずです。
そういった譲れない条件を明確にすることは、今後就活を進めていく上でとても重要になります。
「私の就活の軸は◯◯です」と自信を持って言えるように、本格的に就活がスタートする前に十分に考えておくようにしましょう。
就活の軸は必要?
「特に就活の軸がなくても就活を成功させることは可能なのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、どの企業を受けるにしても、就活の軸は必ず明確に持つべきとされています。
多くの企業では、「なぜ自社でなければいけないのか?」という理由を聞きますが、その判断材料として就活の軸を使うことが多くあります。
就職の軸が明確でなければ、どのように判断すれば良いのかがわからず、そのまま不採用になってしまうことも少なくありません。
また、たとえ採用されたとしても、入社後にミスマッチを感じ、早期退職をしてしまうリスクもあります。
就活の最終目標は、「採用」ではありません。
後悔のない就活をするためにも、「就活の軸」を事前に考えておくようにしましょう。
【就活の軸とは】軸を定める3つのメリットとは?
就活の軸がどのようなものかは、これまでの説明で理解していただけたと思います。
また、軸となるものを持つことが就活において重要であるということも何となくイメージしていただいたでしょう。
では、就活の軸を定めることで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
就活の軸を明確にすることには主に以下の3つのメリットがあります。
1.就活の軸を定めることで就活を効率的に行うことができるようになる
2.就活の軸を定めることで企業とのミスマッチを防ぎ、早期離職などのリスクを避けることができる
3.就活の軸を定めることでエントリーシートや面接での回答に一貫性をもたせることができる
ここから、この3つのメリットについてさらに詳しく見ていくことにしましょう。
就活を効率化できる
「内定がもらえたらラッキーだから、取りあえず知名度のある大企業を片っ端から受けてみよう」と考えいる学生も少なからずいるでしょう。
しかし、日本国内だけでも企業は300万社以上あると言われており、大企業と言われる企業も約1万社あります。
これらの企業に片っ端からチャレンジしていくのは現実的ではありませんし、いくら時間があっても足りません。
この時重要となるのが就活の軸です。
「グローバルな仕事で活躍したい」「医療に関わる仕事に就いて人の役に立ちたい」「社員のライフワークバランスを考えている会社で働きたい」など、自分が重要と考える条件をあらかじめ決めておくことで企業選びを効率的に行うことができるようになります。
企業とのミスマッチを防ぐ
学生の中には内定を得ることが就活のゴールであると勘違いしている人が多くいます。
たしかに内定をもらうことも重要ですが、就職先の企業がブラックで残業ばかりだったり、自分のやりたいこととはまったく違う業種の企業だったらどうでしょうか。
せっかく内定がもらえても、すぐに辞めてしまうということになってしまうでしょう。
このような学生と企業とのミスマッチは非常に多くなっています。
実際、新卒として採用された社員の3割程度が入社後3年までに辞めてしまっています。
一回退職してしまえば次からは既卒者として採用活動を行うことになるわけですが、日本での既卒者の採用は新卒採用に比べると非常に厳しいものです。
ミスマッチを防ぐという意味でも、就活の軸を定めることはとても役に立つことです。
企業に対して一貫性を持った回答ができる
ブレのない就活を行う上でも、就活の軸を定めておくことは非常に重要なポイントです。
就活における面接では企業への志望度の高さや学生の人柄を知るといった目的で志望動機や自己PR、ガクチカなどさまざまな質問がされますが、軸がしっかりしていないとそれぞれの答えの中で矛盾が生じてしまうことがあります。
また、エントリーシートに記入した内容と面接での回答に一貫性がないといったことも起こりやすくなります。
このように一貫性のない回答をしてしまうと採用担当者からは「自己分析や企業分析ができていないな」「上辺だけで取り繕うとしているな」といった印象を持たれてしまうことになるでしょう。
回答に説得力を持たせるためにも就活の軸を明確にしておくようにしましょう。
【就活の軸とは】すぐできる!自分なりの軸を決める4ステップ
「就活の軸を定めることが重要なことなのは理解できたけれど、どうやって見つけたら良いのかがよく分からない」という学生も多いでしょう。
しかし、きちんと手順を踏んで考えていけばそれほど難しいことではありません。
ここでは自分なりの就職の軸を定めるための方法について、4つのステップで伝えていきます。
最初のうちは少し時間がかかるかもしれませんが、一つひとつ着実に進めていけば必ず見つけることができるでしょう。
ステップ1
就活の軸を定めるための第1のステップは、「自分のやりたい仕事や興味を持っている仕事をリストアップする」ことです。
最初のうちは「何となくこんな仕事がしたいなぁ」でも構いませんし、その仕事が自分に向いているかどうか考える必要もありません。
とにかく気になる仕事があれば書き出していきましょう。
なかなかやりたい仕事が見つからない場合は、これまでの人生の中で自分が熱中してきたことを思い返してみることをおすすめします。
たとえば昔からゲームが大好きだったらゲームプランナーやディレクター、プログラマーといったゲーム制作に直接関わる仕事もありますし、シナリオライターやデザイナーとしてもゲーム制作に携わることができます。
幅広い視点から職業をピックアップしてみましょう。
ステップ2
自分のやりたい仕事をリストアップしたら、次に「絶対にやりたくない仕事」をリスアップしていきましょう。
そうすることで「ここまでなら妥協できるけど、ここからは妥協できない」というラインが明確になります。
やりたくない仕事というのは仕事の内容に限ったことではなく、たとえば「給料が20万円以下」とか「残業が多い」、「勤務地が遠い」といった労働条件でも構いません。
もちろん、「自分がまったく興味のない分野の仕事でも実は自分に向いている仕事だった」という可能性はゼロではありません。
しかし、基本的には自分の興味のない仕事を無理やりさせられてもモチベーションは上がりませんし、向上心を持って仕事に臨むこともできないでしょう。
最終的には仕事を辞めててしまう可能性が高くなってしまいます。
ステップ3
就活の軸を定めるための3つ目のステップは「会社に求める条件」を考えることです。
言い換えるなら「仕事にどんなやりがいを求めるか」ということになるでしょう。
たとえば「入社してすぐにバリバリ働きたい」という思いが強いならば、若手を積極的に登用する風土が根付いていることが会社に求める条件になるでしょう。
また、女性で結婚・出産後も長く仕事を続けていきたいと考えているならば福利厚生がしっかりしていることが企業選びの条件になると思います。
もしもいくつか条件があるならば、その中で優先順位を付けておくのも重要な作業です。
優先順位に従って応募する企業を絞っていきましょう。
ステップ4
ステップ1~3を経ることで、ある程度まで自分の志望する業界や職種が絞れてきたと思います。
最後のステップ4では、それらの企業の中から「自分の能力が最大限に発揮できる会社はどこなのか」ということを考えていきます。
同じ業界に属する企業でも、業務内容やビジネスモデル、得意とする分野・不得意とする分野などには違いがあるのでご注意ください。
そうなれば当然求める人材にも違いが出てくるわけです。
自己分析などによって自分の特徴を理解したうえで、必要とされる人材を加味しながら、どの企業ならば持っている力を存分に発揮できるのかを考えてみましょう。
その際、今後のキャリアプランやライフプランを合わせて考えるようにすると、軸をより明確に設定できるでしょう。
【就活の軸とは】就活の軸がどうしても見つからないときの対処法
ここまで紹介してきた4つのステップを踏んでも、「どうしても就活の軸が見つからない…」という人は多いと思います。
社会に出たことがなければ、働くうえで大切にしたい軸はすぐに見つからなくて当然です。
しかし、「就活の軸」は非常に重要であり、見つからないからといってそのまま就活を進めるのは好ましいことではありません。
就活に焦りは禁物なので、落ち着いて対処していくことが大切です。
ここからは、就活の軸が見つからない場合の対処法について解説していきます。
他己分析をする
就活の軸を見つけるためには、まずは自分を知ることが重要です。
このとき、自己分析だけでなく他己分析というものも行いましょう。
他己分析とは、他人に自分のことについて聞き、他人には自分がどう映っているかを客観的に分析することです。
「自分では短所と思っていたことが、周りは長所と感じていた」など、自己分析では気づけなかった自分の性格や強み・弱みなどを発見できる可能性があります。
自分を客観視することで、自分に向いている・向いていない職業、やりがいを感じるポイントなどを明確にできます。
他己分析は就活の軸をスムーズに見つけるために有効な手段なので、友人や家族、就活エージェント、志望している企業のOB・OGなどに依頼してみましょう。
会社説明会やインターンシップに参加する
いくら考えても就活の軸が見つからない場合は、会社説明会やインターンシップへの参加や、OB訪問などを積極的に行うことをおすすめします。
実際に社会人として働いている方々と対話することで、仕事に対する視点が広がり、自分の今まで見えなかった部分が見えてくるようになるでしょう。
また、実際に自分が働く場の雰囲気や、これから取り組む仕事の内容を確認することで、仕事をしていくうえで大切にしたい軸が見えてくるようになります。
会社説明会・インターンシップへの参加やOB訪問は、多くの就活生がやっていることです。
「重い腰が上がらない…」という方も、一度経験することをおすすめします。
自分の軸を明確にするためにも、興味のあるものから取り組んでみてください。
就活の軸は何個まで?
就活の軸は、最大で3つまでにすると良いでしょう。
就活の軸となるものは人それぞれで、多い人もいれば少ない人もいて、個数に決まりはありません。
しかし、就職先を選ぶ最も大切な判断基準があまりに多いと、それぞれの要素同士で矛盾が生じ、自身の芯となる軸がブレやすくなります。
少しでも矛盾やブレが生じれば、「自己分析が足りていない」「一貫性がない」といった悪い印象を与えかねません。
また就活の軸は、多いよりも少ない方が説得力を持たせられます。
仕事に対する本気度も伝わりやすくなるので、就活の軸が多い人は、その中で重要視するものを厳選し、就活を進めていくことをおすすめします。
もし絞れない場合には、自己分析や企業研究をやり直すことで重要視したい軸が見えてくるかもしれません。
【就活の軸とは】みんなの就活の軸はどんなものがあるの?
人によって能力や性格は異なりますし、魅力を感じる業種や職種も異なります。
また、仕事をするうえでどんなことを優先したいのかということについても人それぞれですから、極端な言い方をすれば、就活生の数だけ就活の軸が存在することになります。
ここでは数多くある就活の軸の中から、比較的多くの学生に共通する事柄として「自分らしさが発揮できるか」「給料形態があっているか」「やりがいを感じるか」の3つについて例文を紹介していきましょう。
例文1
私の就活の軸は個人としてしての成長はもちろんのこと、会社全体としても成長できる環境で働きたいということです。
私は中学・高校・大学と約10年間にわたって野球部に所属していて、高校では目標としていた甲子園には出場できなかったものの、大学では全国大会でベスト4まで進出した経験があります。
その中で最も強く印象に残っているのは、個人個人の力は小さくても、チーム一眼となって戦い抜くことで非常に大きなパワーを発揮することができるということです。
また、一人だとどうしても練習で妥協しがちになってしまいますが、チームの仲間と切磋琢磨することで個人の量力を伸ばすことにも役立ちました。
このような経験は貴社に入社してからも生かせると考えています。
貴社の経営理念は「一人ひとりの努力とチームワークが大きな力を発揮する」ということで、自分らしさを最大限に発揮できる環境が整っていると思ったので志望いたしました。
例文2
私が就職活動を行う上での軸として考えているのは、実力主義が風土として根付いている企業かどうかという点です。
私は営業の仕事に興味があったので、大学二年生から三年生の1年間にわたって営業職のインターンシップに参加していました。
インターンシップ先の企業は企業間もないベンチャー企業ということもあり社員も皆若く、会社内に実力主義が貫かれていました。
後半の半年くらいはインターンシップ生であっても先輩社員と同様の仕事を任せてもらえることが多くなり、また、契約が取れれば成果報酬も発生しました。
そのため、月によっては先輩社員よりも給料が良いこともあったほどです。
このような経験を通じ、年功序列型の給与形態ではなく、成果が正当に評価される給与形態を採用している企業で働きたいという思いが非常に強くなりました。
OB訪問などを通じて、貴社は実力主義が根付いていると知ることができたので、今回志望いたしました。
例文3
私は「仕事を通じて、やりがいを感じることができるか」という点を就活の軸に据えて、企業選びを行っています。
私は大学時代の二年間は百貨店のブランドショップで販売員のアルバイトをしていました。
来店されたお客様の中にはファンションについていろいろなお悩みを抱えている方も多く、相談を受けることもよくありました。
最初のうちはなかなかうまく応対することができずにお客様にご迷惑をかけてしまったこともありましたが、ある程度知識やスキルが身に付いてくると、お客様のお悩みを解消することができるアイテムをスムーズに提案することができるようにななったのです。
お客様の中には本当に喜んでくださる方もいて、笑顔で「ありがとう」と言われることに大きなやりがいを感じることができました。
貴社の業務はお客様と接する機会が多く、また、「お客様の気持ちに寄り添ったサービス」を提供しているということを知り、ぜひ働いていみたいという思いが強くなりました。
相談には就活エージェントがおすすめ
「自分の就活の軸がどんなものかわからない…」と悩んだときは、就活エージェントを利用してみましょう。
就活のプロであるアドバイザーが、あなたの就活の軸を見つけるためにさまざまな手助けをしてくれます。
アドバイザーは、これまでに何人もの就活を手助けしてきたプロです。
そのプロにサポートしてもらうことでより深い自己分析ができ、今まで気づけなかった性格や強みなどがわかるようになるでしょう。
また、アドバイザーはES添削・面接対策・入社後のケアまで手厚くサポートしてくれますので、上手に活用して第一志望からの内定を勝ち取りましょう。
特に、以下の就活エージェントがおすすめなので、興味がある方はぜひアクセスしてみてください。
まとめ
いかがでしたか。
就職活動を行うにあたって「就活の軸」を定めることがどれだけ大切なことなのか理解していただけたと思います。
コロナの影響もあって就職活動は厳しさを増すことが予想されますが、その中で内定を勝ち取るためにも、就活の軸を明確にした上で応募する企業を決めるようにしましょう。
その際はここで紹介した4つのステップを参考してもらうと、自分がやりたい仕事や会社に求める条件がはっきりと見えてくるはずです。