意外な業界も!?有機化学を研究している方におすすめの業界紹介します

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はじめに

理系の学生の場合は大学3年生の後半あるいは4年生になると研究室に入って、より専門的な研究や実験を行うことになります。

研究室で何を学んだかは就職活動にも大きく影響するため、「良い企業に就職したい」ということを基準に有機化学系の研究室を選んだ学生も多いかもしれません。

ここでは有機化学を専攻した学生におすすめの業界、企業を紹介していますので、本格的な就活を始める前にチェックしてみましょう。

有機化学の研究が活きる業界とは

有機化学分野についての専門的な知識は化学メーカーや製薬業界だけでなく、食品業界や自動車業界など 幅広い業界で活かすことができます

そのような業界の中でも特に学生に人気のある企業をいくつかピックアップしてみました。

化学メーカー

有機化学を学んだ学生の就職先として一般的なのが 化学メーカーです。

化学メーカーといってもその事業形態は様々であり、原材料の調達から製品開発まで一切の工程を一貫して行う「総合化学メーカー」と呼ばれる企業もあれば、中間財の開発だけを行う「誘導品メーカー」や電子材料を主に取り扱う「電子材料メーカー」と呼ばれる企業もあります。

いずれにしても企業の事業規模は比較的大きく、有機化学の知識を最大限に活かすことのできる魅力的な業界と言えるでしょう。

有名企業例

化学メーカーには 三菱ケミカルや住友化学、東ソー、三井化学、旭化成などがあります。

この5つの企業は5大総合化学メーカーとも呼ばれ学生からの知名度も高く、有機化学を学んだ学生の就職先としても非常に人気があります。

三菱ケミカル

三菱ケミカルは三菱化学・三菱レイヨン・三菱樹脂の3つの企業が合併して2017年に誕生しました。

本社は東京都千代田区にあります。

化学メーカーとしては国内最大であり、世界でも11番目の規模を誇ります。

総合メーカーということもあり事業範囲は広範にわたりますが、ガラスの原料となるMMAや合成樹脂の原料となるポリマーなど、素材分野で高収益を上げているのが特徴です。

近年は海外事業への進出にも積極的で、この傾向は今後も続くと思われます。

旭化成

東京都千代田区に本社のある旭化成は100年近い歴史を持つ老舗化学メーカーです。

名誉フェローである吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞したことや、マラソンなど陸上部の活躍で名前を知っているという人も多いでしょう。

化学メーカーの中では国内第3位の事業規模で繊維事業やケミカル事業などに強みを持ち、売上のおよそ50%はこの事業分野からのものです。

近年は、これまで弱いとされていた医療関連分野に積極的に投資を行うなど、メディカルビジネスにも力を入れてきています。

試薬メーカー

大学や企業の研究で使用される化学薬品のことを試薬と呼び、この試薬を開発するメーカーを 試薬メーカーと言います。

有機化学を学んでいる学生であれば試薬は身近なものだと思いますが、試薬の品質によって研究結果にも影響が出てしまうため、高品位の試薬を提供することのできるメーカーは社会的な役割も大きくなります。

また、試薬メーカーの中には試薬だけでなく医療現場で使用される検査薬や検査機器などを生産しているところもあります。

有名企業例

学生の就職先として人気のある試薬メーカーには和光純薬工業や東京化成工業、関東化学、タカラバイオ、シスメックス、東京応化工業などがあります。

また、世界的な製薬会社であるメルク・アンド・カンパニーの日本法人であるMSD株式会社も人気です。

和光純薬工業

和光純薬工業は元は武田薬品工業の化学薬品部門でしたが、2017年に株式の公開買付(TOB)によって富士フイルムホールディングスに買収され富士フイルムグループの一員となりました。

国内では最大手の試薬メーカーであり、本社は大阪府大阪市にあります。

富士フイルムグループのシナジー効果もあり試薬事業の他に化学品事業や臨床検査薬事業なども行っており、近年ではiPS細胞に代表される再生利用事業にも活動の分野を広げているのが特徴です。

東京化成工業

東京化成工業は東京都中央区に本社を置く非上場の試薬メーカーです。

2018年からは治験薬の合成事業も行っています。

和光純薬工業と比べると規模はそれほど大きくありませんが、有機試薬に特化した経営戦略によって高い収益性を誇ります。

また、他の試薬メーカーでは取り扱いのない特殊な試薬を扱っていることもあって業界の中で独自の立ち位置を確立しています。

海外での知名度はそれほど高くありませんが、最近は海外に生産拠点や流通センターを設けるなど、今後は積極的な海外展開も予想されています。

製薬メーカー

医薬品の中でも抗体薬やワクチンなど一般的に低分子化合物からなる医薬品の開発には有機化学が非常に役に立つため、大学で 有機化学を学んだ学生にとって製薬メーカーは非常に人気のある就職先となっています。

また、学生の中には開発部門ではなく、MRと呼ばれる営業職を希望するケースも多く見られます。

一般的な営業職と違ってMRには医薬品に関する専門的な知識が求められるため、有機化学の知識がとても役立つからです。

有名企業例

有名な製薬メーカーには 武田薬品工業やアステラス製薬、エーザイ、第一三共、田辺三菱製薬などがあります。

医薬品の開発には巨額の研究費が必要となるため、製薬メーカーには事業規模が大きな企業が多いのが特徴です。

アステラス製薬

アステラス製薬は武田薬品工業、大塚ホールディングスに続く売上高業界3位の製薬メーカーです。

2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生した製薬メーカーであり、主力商品には頻尿・尿失禁治療薬「ベシケア」、消炎鎮痛薬「セレコックス」、喘息治療薬「シムビコート」などがあります。

近年は新薬開発だけでなく、特許切れに伴い他社で開発された医薬品を安価で製造できるジェネリック医薬品の製造・販売にも力を入れています。

エーザイ

エーザイは東京都文京区に本社を置く製薬メーカーで、売上高は国内5位、世界では25位です。

国内の製薬メーカーは研究開発費を抑えるためにジェネリックに力を入れるところも増えてきていますが、エーザイで取り扱いのある医薬品の90%以上は自社で開発したものです。

主力製品は「アリセプト」と「パリエット/アシフェックス」ですが、いずれも90年代に開発された比較的古い薬で特許切れの不安もあるため、近年は新薬開発のための投資を増やしています。

自動車業界

大学生の就職先を見てみると、有機化学を学んだ学生の一定数が毎年 自動車メーカーに就職していることがわかると思います。

自動車業界がなぜ化学系の学生の求めるのか不思議に感じるかもしれませんが、自動車には様々な素材が用いられていて、有機化学を学んだ学生が活躍できるフィールドがあります。

特に炭素系樹脂は金属に負けない強度があるため自動車の骨格を作るためのニーズが高く、高分子系の研究をしてきた学生にはチャンスです。

有名企業例

自動車業界の代表的な企業には トヨタや日産、ホンダなどの完成車メーカーの他、 アイシン精機や日本精工、NTNのようなエンジンやベアリング等の部品を供給する企業、さらには新日鉄住金や日本軽金属など鉄鋼やアルミなどの素材を製造する会社も広い意味で自動車業界に区分されます。

トヨタ

トヨタといえば泣く子も黙る自動車業界のトップです。

国内の販売台数では2位のホンダにダブルスコアをつける圧倒的な規模を誇り、世界規模で見てもフォルクスワーゲンと抜きつ抜かれつの激しい闘いをしている世界最大規模の自動車メーカーです。

トヨタの求人のおよそ10%が化学系であることからわかるように軽量化や低燃費につながる新素材の開発にも積極的で、化学メーカーに負けないほどの実験設備もあり、学生にとっては魅力の高い就職先でしょう。

日産

日産自動車は神奈川県横浜市に本社を置く自動車メーカーです。

日産の筆頭株主であるルノーと、日産が筆頭株主になっている三菱自動車と三社でグループを形成しています。

ルノーと提携していることから海外展開に積極的で、欧米ではインフィニティ、アジアや南米などではダットサンのブランドで事業を展開しています。

世界での販売台数は4位、シェアは9%です。

技術の日産と呼ばれるように技術力の高さに定評があり、自動運転やEVなどの分野で今後の成長が期待されます。

食品・飲料業界

食品には食べ物の味や香りをより良いものとするために合成甘味料や香料を使用していますし、食品の腐敗を遅らせるために酸化防止剤や合成保存料を使用するのが一般的です。

このような合成添加物の開発には 有機で学んだ知識を最大限に活用できます。

また、食品の構造組成を分析・研究することで生産技術を向上させることが可能になるので、商品の異常を発見できるなど、これまでよりも安全面や衛生面に配慮した生産管理が可能です。

有名企業例

有機化学系の学生を採用している企業には 日清食品やサントリー、明治グループ、味の素、ロッテグループ、ネスレ日本などがあります。

また、キリンやアサヒビールなどの飲料メーカーも就職先として人気があります。

日清食品

日清食品は東京と大阪に本社を置く食品メーカーです。

インスタントラーメンの先駆者的な企業としてもよく知られていて、2006年に明星食品を子会社化したことで国内のシェアは約50%、企業の売上全体に占めるインスタントラーメンの売上も50%を大きく超えています。

主力商品は「チキンラーメン」や「カップヌードル」、「どん兵衛」、「焼きそばUFO」などです。

近年は海外市場の開拓にも熱心で、すでに基盤ができているアメリカの他に中南米やインドなどに海外拠点を置いています。

サントリー

食品業界の中で学生に人気の企業として常に上位にランキングされているのが大阪市北区に本社を置くサントリーです。

飲料事業では2位のコカ・コーラを大きく引き離して国内売上高トップであり、主力商品には「膳」や「山崎50年」といったウイスキー、ビールの「ザ・プレミアムモルツ」、チューハイの「-196℃ストロングゼロ」などがあり、緑茶の「伊右衛門」や「サントリー天然水」も人気です。

近年は健康食品事業にも参入しており、「セサミンEX」や「黒酢にんにく」といった商品の売上も大きく伸びています。

まとめ

ここまで大学で有機化学を専門に学んだ学生が、その知識を活かして活躍できる業界や企業を紹介してきましたが、いかがでしたでしょう。

化学系の学生の就職先としては化学メーカーや製薬メーカーがメジャーですが、一見すると化学とあまり関係がないと思える業界や企業でも化学系の学生を求めている企業がたくさんあることがわかっていただけたと思います。

就職先を探すときは先入観や固定観念に惑わされることなく、広い視野を持って自分に合った企業を見つけるようにしましょう。

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