HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
物理学の研究をテーマに志望企業から内定をゲットするための自己PRを作成するには、どうすればいいでしょうか。
ここでは自己PRの基本的な構成の方法を学ぶとともに、物理学を研究した方が自己PRに使える研究内容と、研究内容ごとに強調したいアピールポイントをご紹介します。
さらに自己PR作成における注意点もご紹介しますので、注意事項をしっかり押さえて作成しましょう。
イメージしやすいよう、4つの例文もご紹介します。
自己PRの作り方
自己PRを作成する際にはPREP法に基づき、構成することがおすすめです。
PREP法とは、POINT(結論)→REASON(理由)→EXAMPLE(具体例)→POINT(まとめの結論)の流れで、自己PRをする方法です。
最初にPOINT(結論)として、何がアピールポイントなのかを明確に伝えましょう。
次にそのREASON(理由)を話します。
続いて、アピールポイントが自分の強みや魅力であることを印象付ける、EXAMPLE(具体例)を紹介しましょう。
最後にPOINT(まとめの結論)として、入社したら、その経験をもとにご自身のアピールポイントを活かしてどう志望企業に貢献していけるかをアピールしてください。
研究内容ごとの強調できる特徴
物理学の研究をテーマに取り上げ、PREP法に基づきエピソードを紹介するにあたっては、研究内容ごとに強調できる特徴を自己PRポイントにしましょう。
ここでは物性実験のケースと、素粒子・原子核実験のケースで、おすすめの自己PRポイントを取り上げます。
物性実験を行う
物性実験のエピソードを紹介するのであれば、実験機器の開発から検証までできることや、常に可能性を見出すことができることが自己PRポイントにできます。
実験機器の開発から検証までできる
物性実験では物の性質を知るために、さまざまな方法で物に対して働きかける実験を行います。
まだ誰も知らない未解明な性質を解明していく分野であるため、学内にある既存の実験装置では解明が難しく、自ら実験機器を開発した経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
物性を解き明かすために、実験機器の開発から検証まで行った経験は大きなアピール材料になります。
単純に実験を行うだけでなく、実験機器の開発から行っていることは、就職後も活かすことができるからです。
常に可能性を見出すことができる
物性実験は物に秘めた性質を導き出す実験です。
これまで知られていなかった性質を解明することで、あらゆる産業分野に応用し、貢献できる可能性を秘めています。
物性実験に取り組んできたことは、常に可能性を見出すことができるモチベーションの高さや、その技術を持っていることをアピールできます。
見つかるかどうかわからないことを追求する実験を積み重ねていくことができるのも強みです。
すぐにあきらめるのではなく、常に可能性を見出し、解決策を考えることができる点をアピールしましょう。
素粒子・原子核実験
素粒子・原子核実験であれば、大型実験機器を使った実験ができることや理論を考えるために最新技術などに常にアンテナを張る力を持っていること、粘り強く行動できることが自己PRポイントです。
大型実験機器を使った実験ができる
素粒子・原子核実験では粒子を加速して衝突させて物質の性質を調べる加速器実験や、素粒子の反応を地下で観測する非加速器実験が主流です。
円形の粒子加速器では、円の周長が数十キロにも及ぶケースも少なくありません。
地下で観測する非加速器実験にいたっては、ニュートリノなどノーベル物理学賞を獲得した実験も行われています。
素粒子・原子核実験を通じて大型実験機器を使った実験ができる技術を身につけ、理論を考えるために最新技術などに常にアンテナを張る力を持っていることはアピールポイントになります。
粘り強く行動できる
素粒子・原子核物理実験の目的は、自然界におけるミクロな現象を実験によって解明することです。
これまで知られていない未知の世界で現象を解明するためには、粘り強さが欠かせません。
新たに発見された現象がどうして起こるのか、その理論を考えるためには粘り強い行動が必要です。
素粒子・原子核物理実験を通じて磨かれた粘り強く行動できる能力は、仕事をしていくうえでも欠かせない力としてアピールポイントになります。
自己PR作成の注意点
自己PRを作成するうえではPREP法に従うとともに、次の3点にも注意しましょう。
これらを意識して作成してください。
専門用語は使わない
自己PRにおいて研究内容について紹介する際は、専門用語は使わないようにし、誰にでもわかるような言葉に言い換えることが大切です。
志望する企業が大学で学んだことや研究内容を活かせる企業であったとしても、平易な言葉で伝えるようにしましょう。
書類選考者や面接官は、技術職や現場担当者とは限りません。
事業の表面的なことしかわからない人事担当者や、財務畑出身の取締役など専門外の人も含まれています。
仮に現場担当者であっても、誰もが理解できる説明ができることで、よく理解していると評価してもらえます。
エピソードを述べる
PREP法の構成でも紹介しましたが、単に研究に取り組んだこととアピールポイントを述べるだけでなく、具体的なエピソードを紹介しましょう。
エピソードを選ぶうえでは、数ある実験の経験の中でも、困難を極め、ようやく発見や解明に結び付けいた実験のエピソードがおすすめです。
難しい課題を克服した経験はあなたの能力の高さをはじめ、入社後に困難に直面した際、どのように乗り越えるかをイメージさせることができるためです。
自己PRを述べただけでは説得力がないので、必ずエピソードを入れましょう。
どのように貢献するかを述べる
単にアピールポイントを話すのではなく、最後に必ず、アピールポイントをどのように仕事に活かしていくかを伝えましょう。
就活は志望企業に採用を決めてもらう場であり、自己PRはまさに自分を売り込むための営業トークとも言えるものです。
「大学でこんな実験をしていました。
だからこんな能力があります。
」 で終わらせるのではなく、その能力を入社後にどう活かせるのかを具体的に語りましょう。
入社して貢献する姿をイメージさせ、入社意欲の高さをアピールできます。
自己PR例文
では、PREP法に基づき、自己PR作成の注意点を踏まえて、研究内容に関するエピソードを紹介しながら、研究内容ごとの強調できる特徴を自己PRポイントとした例文を実際に見ていきましょう。
実験機器の開発から検証までできる
原子物理学の研究室で、自然現象の基礎となるミクロ原子や分子の構造、動的過程を解明する実験に取り組んできました。
多種多様なイオンビームを用いた衝突実験を行うために、自ら開発した装置を用いました。
中でも太陽風に含まれるイオンが宇宙空間で起こすX線放射を再現させるために、100万度のプラズマを用いて、原子から電子を剥ぎとり、多価イオンを作る実験が一番大きな取り組みでした。
プラズマ実験は高額な費用もかかるため、研究室のメンバーと共同して教授の指示を仰ぎながら制作に取り組みました。
開発ができるかの課題から、実験で得る結果が正しいのかなど常に検証を重ねながら、実験機器の正当性と結果の正確性を解明する過程は学びと気づきの連続でした。
この経験を活かし、入社後もこれまでにない事象でも、自ら開発する機器で解明できる人材として貢献したいです。
常に可能性を見出すことができる
私が所属する物性実験研究室では、超伝導研究室と共同して超伝導体や半導体の性質を調べています。
これまでに得られている知見をもとに物質合成を行って性質を測定し、合成した物質中の電子の動きを解明する実験です。
一番難しいのは次世代の機能性材料として役立つ物質を見出すために、物質の持つ結晶構造から性質を予測する点です。
そのために、現代物理学の究極の課題と言われている、室温超伝導の実現をすべく実験を繰り返しました。
従来型の方法とはまったく異なる超伝導の発現機構の解明に取り組んだことで、未知なるものを発見しようという意欲と、常に挑戦し続ける精神を養いました。
この経験を活かし、入社後も他社に先駆けて新たな性質の解明に貢献したいと考えております。
新しい理論を考えるためにアンテナを張っている
素粒子・原子核実験において、大型実験機器を使った実験を実施してきました。
宇宙に存在するとされる未解明の暗黒物質の探索実験のために、マイナス100度の液体を約1トンも用いる地下実験施設での実験を行いました。
大型機器を使うにあたっては、事前に結果を予測して理論を考えることが欠かせません。
大型機器を無駄に働かせないよう、最新技術などに常にアンテナを張ってリサーチや分析を怠らないようにしてきたのです。
この経験を活かし、入社後も常に最新技術にアンテナを張り、大型実験を無駄なく遂行して新たな発見ができるように取り組みたいです。
粘り強く行動できる
宇宙には現在解明されている標準的な理論では説明できない暗黒物質が、通常の物質の5倍程存在すると考えられています。
これを解明するために宇宙から飛んできて地上に降り注ぐ宇宙線を遮蔽できる地下に構築した検出器を使って素粒子・原子核物理実験を行う機会がありました。
暗黒物質と希少なガスとして知られるキセノンが反応したときに発生する光を、光電子増倍管で観測する実験です。
過去にも多様な暗黒物質を探索してきましたが、未だ誰も発見に至っていません。
すぐにあきらめることがないのは、未開の地である宇宙への憧れもありますが、暗黒物質に限らず、何事も原因や原理を解明するために粘り強く行動する力が身につきました。
この経験を活かし、入社後も何事にも粘り強く取り組み、与えられた任務を全うしていきたいと考えております。
まとめ
自己PRはPREP法に基づいて作成しましょう。
研究内容ごとに強調できる特徴を紹介することがポイントです。
物性実験であれば、実験機器の開発から検証までできること、常に可能性を見出すことができること、素粒子・原子核実験であれば、大型実験機器を使った実験ができることや理論を考えるために最新技術などに常にアンテナを張る力を持っていること、粘り強く行動できることがアピールできます。
自己PR作成の注意点として、専門用語は使わない、エピソードを紹介する、その経験を活かし入社後にどのように貢献するかをアピールすることも欠かせません。