HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
「あれ...この進路やっぱり違ったかも....?」
毎日数値データや実験結果と向き合っている理系専攻、特に理科学系専攻の学生の皆さん。
一度は自分の選んだ理系分野に進んだことが間違いだったのでは?と思ったことがあるのではないでしょうか?
ほかにも、学生時代研究室に所属していた頃はとても興味深く、楽しかった理系分野も、いざその分野での就職活動となると「あれ...?」となった人も多いのではないでしょうか?
自分の専攻に飽きてしまったり、別のことをやりたいと思えてきたり。
理想の研究職そのものの求人が少なかったり、推薦枠自体がなかったり。
何年間も費やしてきた自分の分野を、このまま続けて職とするのか、またはそれを職にすること自体ができるのか。
これは多くの理系学生が直面する最大の課題です。
今回は、そんな壁に突き当たっているあなたに、自分の理系スキルを意外な職種でも発揮することができるということをお伝えします!
理系学生だからと言って、研究職や技術職だけが就職先ではないのです!
【研究職以外の理系就職】研究職ってそもそも何?
研究職という単語を聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
白衣を着た修士・博士号持ちの人間がいっぱいいる職場といったイメージではないでしょうか?
工学や応用関係ではない理科学系専攻からすると、今の専門分野を続けようとすると、いずれ辿り着くのは研究職というイメージがあるのではないでしょうか。
その研究職と言っても大きく分けて2種類あります。
基礎研究と応用研究の二つです。
どちらにせよ研究職自体が、世の中の大半の職種とは大きく異なる特殊な職種と言っても過言ではありません。
特定の分野の研究を本職とし、いわゆる商いや利益を出すことに専念するというよりも、世に何かを送り出すことをメインとします。
そのため、研究分野での専門知識はもちろんのこと、研究経験も必要とされます。
結果的に、自然と修士号や博士号を所持していることが前提となることが多いです。
それ故に、応募資格なども一般的なポジションとも大きく異なり、そもそもの 募集枠も限られています。
さらに今現在の日本は、世界的に見ると官民関係なく研究に割り振られる予算が、他の先進国と比べると大きく劣ります。
その結果、そもそもの研究職の募集枠も限られるのです。
さらにメーカーや民間企業となると、国内に研究拠点を持っていること自体が最近となってはあまり多くはありません。
結果、日系企業の応用研究職となると自然と海外赴任が必要になったりと、 総合職の要素もある程度加点されてきます。
そのため、皆さんがイメージする世間一般的な 研究職自体が最近は減っていると言えるでしょう。
【研究職以外の理系就職】実は研究職以外は結構当たり前!
そんな現実の中、 多くの理系学生は研究職以外のポジションに就くことが多いです。
それはもちろん、現実問題の国内の就職市場には研究職の求人自体があまり多くないことも関連しています。
また理系学生と文系学生の数を比較すれば、自然なことではあります。
しかしそれを考慮した上でも、他業種と比べると今となっては研究職自体が、応用と基礎問わず、募集がそのものが少ないポジションになっています。
しかしながら、だからと言って今までの理系としての経験が無駄になるわけではありません。
実は、学生時代の 理系経験は多彩な職種で重宝されます。
それ故に意外な職種や業界に理系出身者がいることが多々あるのです。
そう言ったケースを考慮すると、大学時代が理系分野の出身者が 研究職自体に就いていること自体が少数派と言っても過言ではありません。
さらには、理系要素が一見一切ないような職種に、理系出身者が就いているなんてことも、全然珍しいケースではないのです。
そもそも、特定的な一つの分野を何年も極めてきた理系人材が、全く異なる分野をメインとする職種で活躍できるのは何故でしょう。
それは、どの分野の理系人材も保持している、理系特有のスキルが重宝されるからなのです。
【研究職以外の理系就職】なぜ理系が重されるのか
理系人材が研究職以外に就職することがあるのは、ずばり理系人材が重宝されているからです。
もちろん、研究職自体の求人が少ないこともあります。
しかしながら、研究職以外の職種そのものが、理系人材を求めていることも多いのです。
このように理系学生が、研究職と言ったバリバリ理系の職種以外でも重宝される理由は、いわゆる俗にいう「理系脳」というものにあります。
良くも悪くも、この思考回路は、 ビジネスなどの実践の場では役に立つことが多いのです。
さらには、 数 字の取り扱いに慣れている理系人材は、今後IT化が進む社会において必然とこれらのツールの取り扱いと仕組みを理解することに苦労しません。
専門分野での活躍や精通度が必要とされる研究職や技術職がある一方で、それとはまた 異なった角度からの理系人材の強さを必要としている職種がたくさんあるのです。
それらのポジションでは、理系人材が保持している根本的スキルと思考回路が、重宝されるのです。
論理的思考力の保持者
皆さん理系脳と言われて、一番初めに思いつくのはなんでしょうか。
大抵の方は、論理的思考回路のことを思い浮かべると思います。
もちろん、多くの人々が持っている思考回路ではありますが、実際理系の分野を専攻し、それに数年間毎日時間を費やしていると、自然と文系専攻の人々よりもその思考回路が鍛えられています。
その考え方と物事の捉え方を、研究や数値分析などに費やして数年間を過ごしてきます。
もちろん、自分の専門分野で、その思考回路を使いこなすことに長けてくるのですが、 このスキルの活躍の場は特定の分野だけには収まりません。
この思考回路は、世の中どのような分野にも応用することができる、とても力強いスキルになります。
人と人の商談などが多く行われる営業や、大衆の注目を集める戦略を練るマーケティングなど、一瞬理系分野とは全く関係のない職と思われがちです。
しかしながら、世の中直感や憶測で戦略を練っても、失敗することが多いのはもちろんです。
そこで、何事も 論理的に物事を捉え、なおかつそれの解決策や対処法も同様に考えることで、最も確実かつ効果的なアプローチを練り上げることができます。
この思考回路を使うことに慣れており、なおかつ常に訓練されているのが理系人材ということです。
数字の取扱の専門家
皆さんは、もちろん数字が苦手なんてことはないでしょう。
しかしながら、実際世の中には数字が苦手という人も多くいます。
一方で、理系専攻に進んだ多くの方は、大抵数学が得意であったり、数字の取り扱いが苦ではないからという理由が少なからずあると思います。
もちろん、そうでなければ4年以上も毎日数字と向き合って過ごせるわけがありません。
その間に培ってきた 数字への強みが、理系職種ではないポジションでも重宝されます。
例えば簡単な例を挙げると、財務関連の部署やマーケティング職などは、比較的数字を重視するポジションです。
会計の専門家などと比べると、もちろんスキルと知識は劣りますが、理系人材そのものが数字の扱いに慣れているので、そのスキルを取得しようとすれば、それほど苦労せずに取得することができます。
大学レベルの複雑さを持つ数学や数値の扱いではないため、それらに慣れている人材からすると、計算の難易度なども比較的簡単と捉えられることが多いです。
さらにIT化が進む現在、 ほぼ全ての業種が数値データを何かしらの形で利用することが想定されます。
簡単にいうと、今まで以上に物事を数値化しやすくなった現代社会において、ビジネスに関連する大抵のことは、数値で表す様になります。
これらのデータを扱う際に、 理系人材の持つ数字への苦手意識の無さが生きてきます。
さらに応用的なレベルへ行くと、これらの新たなデータから採取された数値たちの持つ本当の意味を分析したりと、今まで数字と向き合ってきた期間が長い人材ほど、数字の持つ意味をいち早く、かつ的確に解析することができます。
必要なツールの経験者
皆さんは、比較的文系寄りな長期インターンなどのある程度の即戦力性が求められるポジションの求人を見ていると、エクセルの使用経験などが記載されてあるのを見たことがあるのではないでしょうか?
研究データなどを常にまとめている理系学生からすると、エクセルどころか、Rなどの統計ソフトや、さらにはPythonを使ったエクセルの自動化など、数字を管理するソフトウェアの使用なんて日常茶飯事です。
もちろん、これらのソフトウェアを専門とするプロフェッショナルも存在し、そのような人材と比べると、理系学生の熟練度など比べ物になりません。
しかしながら 扱い方を知っているというだけで、多少有利にはなります。
さらに、これらのツールの使用経験があるというのは、 これらを専門とする部署やチームとの連携が取りやすくなるのです。
エクセルなどは、誰でも使いこなせることが多いですが、ある程度のプログラミング経験などがあると、たとえ自分がエンジニア職でないとしても、それをメインとするエンジニアチームの仕事への理解度が格段にアップします。
タスクを完了するのにどれくらいの労力がかかるのか、どのようなプログラムを書くことができるのか。
これらは実際の経験がないとわからないことです。
部署外の人間がそれを理解しているだけでも、 チーム間でのやりとりや進捗の理解度も大いに向上されます。
【研究職以外の理系就職】理系歓迎!意外な業界
上記のスキルを見ていると、自然とこれらが どのようなシチュエーションや職種でも役に立つことが容易に想像できるでしょう。
結果、理系人材の研究職以外への就職は極めて一般的なことになるのです。
下記には、それらのスキルを最も重要視し、理系出身の人材も多い職種をいくつかラインアップしました。
戦略コンサルティング
戦略コンサルティングを含む、多くのコンサル会社のことを聞くと、まず最初に理系人材が集まっているイメージが浮かぶ就活生はあまりいないと思います。
しかしながら、理系的思考回路が最も役に立つ職種の一つとしてよく挙げられるのがコンサル業界なのです。
簡単にコンサルティングがどういったものかとをまとめると、企業のお医者さんであるという例がよく利用されます。
企業の内部人材だけでは解決できない課題や発見できない問題点や改善点、さらには企業内のリソースではカバーしきれないノウハウやスキルといったものを、外部団体であるコンサル企業に依頼して「コンサルティング」、日本語で言う「意見を提供してもらう」のがコンサルです。
部外者であるコンサル職の人間は、短時間で膨大な量のデータや業績をもとに、内部の人間が気づくことのできなかった観点からのアドバイスをしなければなりません。
このためには 短期間で顧客の売り上げ実績などの数値データをより奥深く解析しなければなりません。
さらに、なおかつそれに見合った 問題解決法を論理的に導く必要があります。
これらのスキルは、理系人材が自然と日頃から磨いているスキルの一つです。
特に 論理的に物事を把握しそれの解決法を導くというのは、理系が得意とするスキルとも言えるでしょう。
その他にも、某社ではスペシャリストポジションとも呼ばれる特定の分野の専門家として活動するコンサルタントもいます。
この場合、医療関係やIT関係など、理系分野での研究の 専門知識がコンサル職という、研究職とは異なる分野でも役立つことがあります。
また、専門家としてでなくても、一般的なコンサルタントとして従事しいてても、理系専攻の学生当時の専門知識が役立つようなプロジェクトに優先的に配属されるなんていう話も聞きます。
投資銀行などの金融系
数字を常に扱う業種の一つとしてよく挙げられるのが、金融系のクオンツ関係のポジションです。
クオンツというポジションの名前は、英語の 「Quantatitive」から来ており、直訳すると「数値的」という意味になります。
名前の通り、常に変動する為替市場や株価を、 現存のデータから今後の変動を解析したりすることが主な業務となります。
そのためクオンツ寄りの金融業界でのポジションでは、理系人材が重宝されています。
さらには、今となってはこれらの解析そのものがデジタル化されており、今まで以上に理数学的思考回路と解析スキルが必要となっていることが多いです。
なのでクオンツのようにこれらを専門とする金融関係の職種では、理系であることが大前提であることもあります。
他にも、このように金融業界の特殊なポジションでなくても、理系であることが重宝されることは多々あります。
そもそも 業界そのものが常時数字の変動を相手にしている業界ですので、これらの数値を的確かつ素早く理解できるという点では、理系人材が活躍できる職種であるとも言えるでしょう。
その他の総合職など
上記のポジションで特筆したスキルや重宝される理由は、実際大半の職種でも重宝されます。
コンサルやクオンツといった職種は、とくにこれらのスキルそのものを売りとしているところがあるので、上記で特筆しました。
しかしながら再三にはなりますが、これらの理系人材が研究職以外で重宝される理由であるスキルは、特定の分野でしか役立たない限定的なものではありません。
それとは正反対である、 どのような状況でも役に立つスキルを理系人材は身につけているからこそ、さまざまな職種でも重宝されることが多いのです。
そのため、 総合職や営業職であったとしても理系バックグラウンドが完全に無駄になるということは少ないのです。
たとえ学生時代の研究内容や専門知識が全く役に立たなかったとしても、当時磨いてきた論理的思考回路や、数値データとの向き合い方が、潰しの効く汎用性のあるスキルとして生きてます。
【研究職以外の理系就職】今のうちからできること
今回の記事を読んでいただいた皆さんに理解していただきたいのは、研究職に進まないからと言って、それまで時間を費やしてきた 理系分野での経験や培ってきた知識が、無駄になるというわけではないということです。
多くの場合、この理系から研究職以外へのポジションへの就職を行う際は、当初からこの転身を前提としていないことが多いです。
上記で述べたように、理系としての根本的スキルが、多くの研究職以外での理系を募集していたり、重宝しているポジションで必要とされているのです。
しかし、もし皆さんが就活中の早い段階や、学生時代に理系でありながら、研究職やバリバリ理系でないポジションに就職したいということがわかっているのであれば、ある程度それを前もって考慮した時間の費やし方が可能です。
例えば、比較的潰しの効く授業をとってみたり、理系的思考回路を、今までとは違った方法で実践する経験を積むことが良いでしょう。
例えば授業の場合、統計学系やデータ解析系の授業で学ぶコンセプトは 比較的どのような分野でも応用が効きます。
もし物理専攻の場合、統計学その物でなくても、統計力学など基礎的な統計のノウハウを学ぶことで他分野で応用できるようにしておくのも手です。
他にも、プログラミングの入門コースなどをとっておくと、スキルとしての強みになるだけでなく、自分の作業効率やデータ解析のクオリティをあげたりと様々な応用が効きます。
他にも、研究職につきたくないということがわかっている場合は、学生時代の段階から、 どのような業種で理系としての経験が役立つのか、ということを探るのが良いでしょう。
長期インターンなどに参加して、どのような職種が自分のスキルを活かせるのかなど、実践経験を通じて探究することができます。
今からできることの中でも 最も重要なのが、自分と同じような進路を進んだ先輩やOBに話を聞くことです。
同様の専攻から研究職以外に進んだ人から就活だけでなく、その後のキャリアについてなど話を聞くと、自分が現時点でどう言った準備をすればいいのかということがわかります。
【研究職以外の理系就職】今後の理系学生の就活事情
非常に残念なことに、 日本国内での研究職の求人は年々減っています。
さらに、国家予算的観点から見ても、研究に回る資金は他の先進国と比べると大きく劣ります。
他にも、より大きな原因として、技術的進歩などの結果、研究分野の数やそれに要する人材の数そのものが減りつつあります。
結果、学生時代に時間を費やしてきた分野での研究を職にすることは、もちろん分野にもよりますが、大抵の場合年々難しくなっていると言えるでしょう。
結果的に今後の社会において存在するバリバリの理系職となると、自然と現在の研究職、または技術職、またはエンジニア職と限られたものになってくるでしょう。
もちろん、これらの各分野での技術力を磨いていくのもありです。
しかしながら、それ以外でも 理系としての長所を生かすことができる職種が年々増えており、さらには社会そのものがそう言ったものになりつつあります。
なので、今後の理系学生の就活や就職進路といったものは、今後大きく変わっていくことでしょう。
おわりに
理系専攻の就活と進路は、比較的特殊とも言えるでしょう。
修士への進学が当たり前だったり、授業内容が高度であったり専門的であったり。
その結果、就職を考えた際にその分野をそのまま続けるべきなのかどうかと悩む人は多くいます。
その際に、研究職や技術職のように今までの専門分野や専攻での就職を悩む人も多いでしょう。
同様に、学生や就活の段階で、自分の分野での就職が難しく感じたり、不本意に感じることもあると思います。
しかしそんな時は是非とも今までの経験を生かしたまま、全く別の分野でも活躍できることを覚えておいてください。