HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就職先について考える際、どのような職種に応募するか、どんな仕事をするかも重要な検討課題です。
企業によっては新卒を一括採用したうえで、企業の判断や希望を加味して配属先を決めるケースもありますが、最初から職種や仕事内容を絞って募集するケースもあります。
品質管理という職種や部門の募集があるケースも見られますが、そもそも品質管理とはどんな仕事なのでしょうか。
品質管理の業務内容・必要なスキル・資格などをご紹介します。
【品質管理とは?】仕事内容
品質というのはあらゆる業界や業種で大切になる事柄ですが、品質管理という仕事は、主に製造業において、製品の生産工程の構築を行い、製品の品質を維持、管理していく業務になります。
製造している製品によっても多少異なりますが、主として製造工程の立案や改善、生産スケジュールの検討などの業務を担当します。
製品に求められる機能や性能、安全性などの品質を維持すること、製造工程において思わぬトラブルが起こらないようにすることが重要な責務です。
たとえば、異物混入や老朽化した機械などの部品が落下して製品に異常が生じるようなトラブルを未然に防ぐことが求められます。
品質を維持し、定められた品質の備わった製品を製造するには、どのような工程を構築すれば良いのか、立案、改善、維持していくことが求められます。
業務の具体例
品質管理の実際の業務の具体例を、実際の企業の例をもとに見ていきましょう。
機械や電子機器の製造メーカーとして知名度の高い、日立、ソニー、パナソニックのケースをご紹介します。
日立
日立では機械・焼結金属加工部品の検査や測定を通じた品質管理を実施しています。
品質管理の技術の伝承を目的に、品質KY研修なども実施されています。
現場で発生する可能性が高い約100ヶ所の品質不適合を設置した模擬プラントを構築し、不適合箇所を見つけ出す体験を通じて、品質管理のノウハウを身につける研修です。
日立では蓄積された自社の品質管理ノウハウを活かし、作業・品質管理支援システムの提供やコンサルティングなど他社支援事業も行っています。
ソニー
ソニーでは、品質課題解決までの全体リーディング・品質信頼性業務プロセス改善検討などを実施しています。
ソニーでは品質担当執行役の統括のもとで、製品の企画・開発・設計・製造から販売・カスタマーサービスまで全プロセスにおいて、品質マネジメント体制を構築しています。
製品やカスタマーサービスの品質に対する役割・責任・権限を明確化して、品質に関する社内ルールを整備し、グローバルな品質マネジメント体制が整っているのも特徴です。
パナソニック
パナソニックでは「品質は企業の命」をモットーに、顧客に合わせた品質向上・家電製品の検査などを実施しています。
創業者が掲げた「お客様第一を基本に製品やサービスを通じて社会に貢献する」との経営理念のもとで、公的基準をはじめ、規格より厳しい条件を独自に設定し、品質向上と製品の安全確保の仕組みを常に改善しています。
品質責任者としてチーフ・クオリティ・オフィサーを置き、お客様第一の視点に立った継続的な品質改善を行うべく、独自に品質基本規程を定めて品質マネジメントシステムを構築・運用している企業です。
品質保証との違い
品質保証は品質管理の一環でもあり、企業によっては品質保証と品質管理を同じものとして扱うところも少なくありません。
品質管理を行った結果として、品質が保証されます。
一方で、万が一、顧客のもとに届いた製品の品質が本来のものとは異なり、保証される品質に反していた場合には、それがフィードバックされて、品質管理の改善につなげられます。
製品の品質保証の仕事は、製品の企画から出荷、そして、カスタマーサポートに至るまでを幅広く担当するのが一般的です。
品質に優れた製品を販売し、カスタマーサポートに寄せられる品質に対する顧客の意見やクレームなどを反映して、品質の改善や新たな製品の企画に活かしていきます。
品質管理の仕事はその中でも、特に製造工程を担当します。
【品質管理とは?】必要なスキル
では、品質管理の仕事をするうえで、どんなスキルを持つ人が求められているのでしょうか。
求められる代表的なスキルや能力として、リスクマネジメントスキルと論理的思考力が挙げられます。
詳しく見ていきましょう。
リスクマネジメントスキル
品質管理は品質に異常を与えないパーフェクトな製造工程の構築を目指すというより、完璧はあり得ないというリスクを想定して、そのリスクをいかに軽減し、回避し、未然予防ができるかを考えるものです。
リスクが顕在化してしまった場合も、それをすぐに発見し、顧客のもとに届けられる前の段階で、いかに排除するのか、迅速に回収できるかも考えなくてはなりません。
そのため、問題や課題をあらかじめ見極め対処し、生産工程の設備や人に関する問題に迅速に対応するリスクマネジメントスキルが求められます。
いかに品質管理するためのルールや工程を作ったとしても、人為的ミスや物理的なリスク、急な災害などをはじめ、想定内、想定外のリスクを洗い出し、それへの対処するリスクマネジメントスキルが必要です。
論理的思考力
洗い出したリスクに対して、どうすればリスクを具体化させずに済むのかを検討することや人為的ミスを防ぐためには、どのようなルール作りや工程づくり、研修などが必要かを構築するために、論理的思考力も欠かせません。
未然防止策の構築をはじめ、実際に起きた品質不良の改善のためにも、論理的思考力は不可欠です。
なぜ不具合が起きているのかという問題に対して、製品を観察しながら、生産の知識をもとに解決していく必要があるからです。
人為的ミスや製造工程における不具合を防止するには、筋道が立った的確な改善策を講じないと、何度となく同じミスや不具合が繰り返されるだけになります。
そのため、ミスや不具合が起きた原因や根拠を明確にし、誰もが納得できる方法で解決できる論理的思考力が求められます。
【品質管理とは?】理系が活躍できる分野である
品質管理の仕事はリスクマネジメントや論理的思考力を持つ人が向いているため、理系の人に向いています。
文系の発想では、リスクの想定も具体的な箇所や論理的な根拠なく、イマジネーションに頼ってしまうケースも少なくありません。
また、リスクに対する対応策や改善策を示すにも、論理的な根拠や筋道だった説明ができず、現場担当者に理解が得られず、説得力ある改善策につながらないおそれがあります。
品質管理・工程の改善には、統計学的にデータの解析・分析を行う必要があります。
生産工程全体をデータとして読み取り、改善する力が求められるため、数学力も必要です。
そのため、数学に強く、データの解析・分析にも長けた理系出身者が能力やスキルを活かせる仕事と言えます。
【品質管理とは?】必要な資格
では、品質管理の仕事をするにあたって、必要な資格はあるのでしょうか。
仕事をするうえで必須の資格はありませんが、持っていると有利な資格はあります。
持っていると就活や仕事をしていくうえで有利となる代表的な2つの資格をご紹介します。
品質管理検定(QC検定)
品質管理検定(QC検定)は品質管理に関する知識をどの程度持っているかを、4段階のレベルに分けて、筆記試験により客観的に評価を行う検定です。
4級は工業高校生や専門学校生、大学生、新入社員などが対象で、基本と品質管理の重要なことは何か、目的は何かの理解を問います。
3級、2級は品質管理部門を問わず、製造業などに従事する方向け、1級は品質管理部門や技術系部門など、品質管理に携わる方が有してほしい、より専門性の高い知識が問われます。
マネジメントシステム監査員検定
マネジメントシステム監査員検定は日本科学技術連盟の監査院が、受験者のマネジメントシステムに関する理解や技量について、1級から4級までの段階を設けて実際に監査する検定です。
マネジメントシステムとは企業の経営を管理する制度や方式のことで、品質管理もその一環として含まれます。
経営目標を達成するための仕組みやルールといったシステムが正しく機能しているか、そのためのノウハウを有しているかがチェックされます。
【品質管理とは?】給料・キャリアアップ
品質管理の仕事に向いている、能力が発揮できると思っても、実際に仕事をしていくうえでは、給料はどのくらいもらえるのか、キャリアアップできるかが気になるところです。
品質管理職の給料やキャリアの実態についてチェックしていきましょう。
給料
品質管理職の給料は会社の規模や経験にもよりますが、平均的な年収は400万円~700万円ほどです。
企業の給料制度にもよりますが、年功序列式が基本となります。
年功序列の場合、1つの企業で経験を上げていくことで年収アップが期待できます。
検定の上位資格を得ることで、資格手当やわずかながらも昇給が見込めるケースも少なくありません。
また、製造工程を見直し、品質改善に貢献したことが評価され、ボーナスに反映されるケースもあります。
キャリアアップ
品質管理は現場を見ながらの経験値を重ねることで、スキルやノウハウを高めることができる仕事です。
いかに知識を学んでも、現場を実際に見ながら経験を積んでいかないと力はつきません。
現場経験を積み、品質管理の改善や新たな体制の構築などの実績を積んでいくことで、マネージャー職や管理職へのキャリアアップが可能です。
品質管理に力を入れている企業ほど、責任あるポジションが用意されています。
経験を積み、昇格すれば、その分、給料も上がります。
【品質管理とは?】将来性
キャリアアップを目指すうえでは、そもそも品質管理の仕事に将来性があるのか気になるところです。
品質は製造業にとって大切なカギとなり、企業の信頼を維持、向上させていくうえで欠かせません。
品質への信頼が、企業への信頼につながり、売上アップなど業績にもつながります。
近年は特に情報のスピードが速くなり、エンドユーザーの声も厳しくなっており、品質で問題を起こすことは企業にとって大きな痛手になります。
そのため、品質管理の仕事はますます重要性を帯びているのです。
将来的に、生産コストの削減や新しい販路開拓などを企図して、海外へと生産拠点を移す企業が多くなっており、業務としても拡大する可能性が広がっています。
【品質管理とは?】まとめ
品質管理は製造業を中心に、企業の信頼維持や顧客の安全や満足度を高めるためにも欠かせない業務です。
理系出身者に向いている仕事であり、将来性もあるので、検討の価値ありです。