研究職についていけないって本当?研究職の実態やギャップを徹底解説

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伊東美奈
Digmedia編集長
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

理系の就活生が悩むのが、研究職に進むか一般職に進むかという選択です。

自分が学んできた専門分野を活かせる研究職に就きたい気持ちはあるけれど、果たしてどのような働き方になるのか実態を知りたいと考えるのは当然でしょう。

同じテーマでも企業と大学の研究では何か差があるのか、違いも理解しなければなりません。

ここでは理系の就活生のために、「研究職」という職業に焦点を当てて働き方を解説します。

【研究職】研究職とは

研究職を希望する就活生のすべてが正しく研究職を理解できているかというと、実は疑問があります。

たとえば、現在の研究生活をイメージしたまま企業の研究職に就いてしまうと、想定外の事態に職を離れる選択をすることにもなるでしょう。

それほどに大学の研究職と企業の研究職は異なります。

また大学であれば同じ状況を続けられるとも限らず、研究以外にも担うべき役割が出てくることも理解しなければなりません。

研究職とは、研究で得た技術やノウハウを活かし、新しい製品やサービスを開発するのが仕事です。

大きく分けると基礎研究と応用研究の2種類になりますが、そのどちらを希望するかによっても進むべき道は変わってくると言えます。

【研究職】研究職には2種類ある

研究職と一言でまとめても、大学で行うのか企業で行うのかで大きく変わりますし、前述した通り内容においても2種類に分けられます。

基礎研究では、おおむね5〜10年先の実用化を目指して先進技術を開発し、ビジネスにつなげるのがメインになります。

一方で応用研究は、基礎研究の成果を実際に活用し、既存製品の品質や性能を向上させるのが目的です。

具体的に製品やサービスを開発し、社会に送り出していくことが仕事となります。

つまり研究職には、所属する組織においても、目指す成果においても、2種類の道に大別されることになります。

大学研究員

大学研究員は、任期のある大学での研究補助となります。

仕事は研究室によって詳細は異なりますが、主に実験操作や研究を実施して給与をもらう仕事です。

携わるのは主に基礎研究で、中長期のスパンで成果を出すことになり、自分で実験系を組んで手を動かしながら成果を出すことになるのが一般的です。

教授などの役職に就けば、一研究者としての立場だけでなく教育者としての立場にも立ち、後に続く者たちを指導する役割も担うことになります。

一つの専門を極める道ではありますが非常に長い年月をかけても成果が見えないテーマが非常に多いのも特徴でしょう。

継続するには高いモチベーションと相当の決意、研究者としての力量が必要となり、純粋な学問の動機で研究に打ち込める人が向くと言えます。

民間企業での研究職

民間企業に用意されている研究職は、各企業によって細かくは異なりますが、基本的には一般的な企業社員と変わりません。

研究開発部署に所属し、主に応用研究に携わります。

すでに確立されている技術などを使い、具体的な商品開発などを行うことになります。

実際の生活を豊かにすることや企業の利益になるような成果を生み出せることに喜びややりがいを見出せる人は向くでしょう。

ただし、企業が定めた期間内に求められる成果が出せなければ研究は打ち切られ、次のテーマに強制的にシフトされることになるため、自分でテーマをもって研究するわけではありません。

あくまで経営者の方針に従って、求められる成果を目指して開発を行います。

【研究職】民間企業と大学研究の違い

民間企業と大学研究には、前述した通り基礎研究と応用研究という内容の違いがあります。

ただ、それ以上に根本的な違いあり、そこを理解したうえで選択しなければ理想と違う働き方になってしまうでしょう。

最大に違うのは、研究を実施する目的です。

それぞれ何をメインに据えて研究を実施しているかに注目する必要があります。

研究の目的

まず大前提として、企業の本質は利潤の追求であることを思い出してください。

民間企業は「利益を生む」研究が目的であり、利益が見込めないとなればどのステージにあろうと即座に撤退します。

これに対して大学は、その分野の発展が大きな目的です。

短いスパンで結果が出なくても一つのテーマを研究し続け、特別な用途や具体的な利益に関係なく、未知の物質や未開拓の原理を発見したり解明したりすることを目指します。

それだけに、大学での研究は一つの専門を極める道ではありますが、非常に長い年月をかけても成果が見えないテーマが非常に多いのも特徴でしょう。

継続するには高いモチベーションと相当の決意、研究者としての力量が必要となり、純粋な学問の動機で研究に打ち込める人が向くと言えます。

それとは真逆に、企業では利益につながらないと判断されれば研究途中でも容赦なく取りやめになりますし、実用性もコストも非常にシビアです。

1つの研究をじっくり進めることは難しいですが、その分成果を目に見える形で社会に送り出すチャンスは多くなるでしょう。

環境の違い

大学研究においては、教育者という立場からして研究と同時に授業を行う必要がある場合もあります。

ただし比較的時間の余裕はありますので、望む研究を実施できる環境は整っていると言えるでしょう。

ポスドク(ポストドクター)は給与が低いという問題があり、個人の資産は潤沢とは言えませんが、大学の環境としては資金が潤沢な場合も少なくありません。

これに対して民間企業では企業の利益が関わってくるため、必ずしも自分の興味ある研究ができるとは限りません。

従業員として経営者の方針にもとづき与えられた職務を遂行する必要があり、専門とは多少異なる分野の研究にも携わる場合があります。

ただし自分が開発したものが実際に市場に出るのが早く、社会貢献性が高いことにやりがいを感じることができるでしょう。

給与の違い

一概に言えませんが、民間企業の一般研究職では平均年収500万円程度、部長クラスでは年収800万円程度が平均的です。

実は日本の場合、世界的な水準から見て研究者の給与は低い傾向にあることは否めません。

もちろん名だたる大企業などではもっとずっと高い水準にある場合もありますが、企業である以上社会情勢や景気にも左右されます。

これに対し大学研究ではポスドクの厳しさが指摘されていますが、教授クラスになれば年収1,000万円程度の安定的な給与が見込めます。

とはいえ、そこまで昇り詰めるのは至難の業と言わざるを得ません。

【研究職】働くうえでのメリット

研究職にはさまざまなメリットがあります。

メリットがわからないので、どうしようか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

ここから研究職に就くメリットについて詳しくまとめます。

自分の興味を仕事にできる

理系の専攻を選び自分の興味で研究を続けてきた人にとって、それを活かして一生を通した仕事ができるようになること以上のメリットはないでしょう。

整った環境で好きなことを仕事にできることが、最も大きなメリットです。

研究職はキャリアアップの過程でも、ほぼ別の職種に異動することがありません。

企業の場合、必ずしも自分の求めるテーマの研究ができるわけではありませんが、それでも一度就けば人生の半分以上を研究に費やすことができます。

表立って出てくる職種ではありませんが、研究成果が社会の役に立つ、人の生活を豊かにするというのは大きなやりがいです。

高い専門性を活かすことができる

たとえば一般企業に総合職などで入ると、目立った専門性の活用は望めません。

研究職であれば自分が培った専門性をフルに活かすことができるので、これまでの経験を無駄にせずに済むのがメリットです。

一般的に、研究職に就く人材に求められるのは、理系領域の高度な専門性です。

企業では新卒採用の応募資格として修士や博士以上を設定しているのが一般的であり、工学系、化学系、生物系、薬学系などさまざまな専 門性が求められています。

もちろん狭き門ですが、近年では企業の事業が多様化しており、思わぬ企業の思わぬ分野で専門知識が求められることも珍しくはなくなりました。

多彩なフィールドで、自分の学んできたことが活かせるチャンスが広がってきていることもメリットです。

働くうえでのデメリット

あまりのレベルの高さから「ついていけない」と感じ、やめてしまう人も多くいるのがデメリットと言えます。

一見理想的な就職先に思えますが、理系の学生が研究職に就くことに何かデメリットはあるのでしょうか。

デメリットもしっかりと把握しておかないと就職してから後悔することも出てきますので、気を付けてください。

なかなか成果が出ない

研究職は、成果が出るまでが本当に長い道のりになります。

何年もかけて実験や試行錯誤を続けて、やっと1つの成果となります。

そこにいくまでコツコツとやり続けることが重要です。

また、会社や大学の方針でその研究が打ち切りになることもあります。

予算をもらって研究をすることができるので、予算に見合わない成果だとやってきたことが無駄になってしまいます。

学んでいた分野の研究ができない可能性がある

大学院での研究テーマは非常に限定的です。

だからこそ、そこで追及していたことが仕事になる可能性は低いとみたほうがいいです。

近い分野に携われたとしても、新しく勉強することは必須になり得ますし、常にアップデートしていきましょう。

また、企業での研究は利益を出すことも求められるため、やりたいことではなく企業として利益が出やすい研究内容にシフトチェンジしていくこともあります。

【研究職】向いてる人の特徴

研究職の仕事がまさに天職、というような方もいます。

逆に、「研究職向いてないのかもしれない..」と迷う方もいるかもしれません。

これから説明する向いてる人の特徴と自分を当てはめて、活躍するのかどうかを見極めていきましょう。

どういった人が向いているといえるのか解説していきます。

忍耐力がある

前述のように、なかなか成果が出ないことが多いです。

成果が出るまでやり続けることはもちろんですが、失敗したときの立ち直りの早さも重要になります。

諦めずに根気よく向き合い、時間をかけることで達成感にもつながるでしょう。

コツコツと研究することを楽しめる人は向いていると言えます。

何よりも研究が好き

好奇心が高く、常に新しいことを模索したい、研究することが好きな人は研究職に向いています。

大学でも研究に多くの時間を費やしてきたり、先が見えなくても研究することが好きと言える人はなかなかいません。

十分、他者にも負けない強みですので、研究好きアピールして研究職に挑戦していきましょう。

ただ、自分の興味のない分野にも、好奇心をもって取り組んでいけるかどうかも重要です。

へこたれない精神力

失敗するのが当たり前の仕事です。

すぐに結果が出ることをやりがいに感じてしまう人は、なかなかでない状況にうんざりしてしまうかもしれません。

0から1を作り出さなければいけないので、失敗してもメンタルを強く保てる人は向いてるといえます。

まとめ

研究職は、理系の研究者にとって天職であり、研究が好きな人にとっては理想の職場と言えるでしょう。

ただし一言でまとめてもさまざまな環境や業務の目的、待遇などがあるため、よく理解したうえで納得して選択することが重要です。

また企業によっては、研究職の応募条件に修士課程修了を挙げているケースも少なくありません。

より自分の理想とする職場を求めるなら、進学も含めて早い段階から人生計画を考えることが重要です。

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