HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
「技術営業」という仕事をご存知でしょうか。
会社によってはテクニカルセールスやセールスエンジニアと呼ばれることもあるこの仕事について、なんとなくは知っていても具体的にどのような仕事なのか理解している学生はあまり多くないかもしれません。
ここでは、就職活動をこれからスタートさせようという学生に向けて技術営業とはどのような仕事なのか、さらにこの仕事の良いところや大変なところ、将来性などについて詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
【理系から営業職もアリ!】技術営業職ってどんな仕事?
技術営業職という仕事は営業職の一種ではありますが、一般的な営業職とはかなりイメージの異なる仕事です。
営業職の仕事といえば、「商談の場で自社の製品やサービスをクライアントに売り込んで売上に結びつけ、業績に貢献する」というのが皆さんのイメージする仕事内容だと思いますが、技術営業は技術者としての知識やスキルをバックボーンにして製品やサービスの専門的な情報を説明したり、クライアントの課題を解消するための提案したりするのが主な仕事となります。
このように、専門的な知識を持つ技術営業が一般営業職に同行してクライアントの疑問や要望に応えることで、商談がスムーズに進むようにサポートを行うことが技術営業の役割です。
【理系から営業職もアリ!】技術営業職に向いているのはどんな人?必要なスキルは?
このように一般営業職とは異なった性格を持つ技術営業はどのような人に向いているのでしょうか。
また、将来的に技術営業として活躍するためには、どのようなスキルがあると良いのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
理系の知識
一般的に営業職といえば、「文系の学生が目指す職種」というイメージが強いのではないかと思います。
実際、文系学部を卒業した学生の7割が営業の仕事を経験するというデータもあるほどですから、そのイメージは間違っていないでしょう。
しかし、技術営業職は一般営業職とはまったく違います。
先ほども説明したように、営業技術はクライアントからの技術的な質問に対して回答するのが仕事ですから、理系の技術が求められることになるのです。
そのため、ほとんどは理系出身者で占められています。
また、技術営業職を望んでいる学生であっても入社してすぐに配属されるケースはあまり多くありません。
ほとんどの場合はエンジニアとして採用されて、ある程度技術的な知識やスキルを身につけたうえで技術営業に配属されます。
コミュニケーション能力
一般営業職と違ってエンジニアとしての専門的な知識が求められる技術営業職ですが、そうはいっても営業職の一種であることには違いありません。
商談においてクライアントと信頼関係を築くことが成果につながるので、一般営業職と同様にコミュニケーション能力が求められる仕事でもあります。
自社の製品が技術的に高度で複雑になればなるほど技術営業職として専門性の高い知識が必要になりますが、ただ、知識があるだけではダメです。
何よりも大切なことはクライアントに製品の良さを理解してもらうことであり、難しいと思われる内容をいかにかみ砕いて、クライアントの理解度に応じてわかりやすく伝えるかということになります。
英語力
技術営業職を目指すのであれば、英語力も磨いておいた方が良いでしょう。
ある程度の規模の企業であれば海外の企業と取引があるのが当たり前であり、英語ができれば業務をスムーズに進めることができるからです。
海外に支店を持つ企業であれば、海外赴任など活躍の場を広げることができます。
クライアントは国内の企業ばかりという場合でも、将来的に転職を考えているのであれば英語力を磨くことで外資系企業を視野に入れることができるのも大きなメリットと言えるでしょう。
また、英語力を磨くことで和訳されていない海外の製品の仕様書や取扱説明書などを読むこともできるようになるので、最新の技術情報を手に入れる際にも非常に役立ちます。
【理系から営業職もアリ!】技術営業職の良い点・大変な点
ここでは、技術営業職という仕事の良い点・悪い点を紹介していきます。
技術営業職に興味のある理系学生は、この仕事ならではのやりがいや厳しさといったものを十分に理解したうえで、就職活動に臨むようにしましょう。
技術営業職の良い点
技術営業職の良いところは、エンジニアと営業という2つの仕事の良いとこ取りができるという点です。
エンジニアとしては経験できない楽しさや、営業職では得ることのできな喜びも、技術営業であればどちらも感じることができます。
最先端の技術に触れることができる
技術営業職の仕事の面白さは、最先端の技術に触れることができるという点です。
自社の製品の良さをクライアントに的確に伝えるためには、製品に使われている技術についてかなり深い部分まで知っていなければなりません。
同時に、他社の製品との比較も必要になりますから、他社の技術についても常にアンテナを張り巡らしておく必要があります。
このような性質上、技術営業職で働く社員はエンジニアと頻繁に情報を交換することになるため、これまでにはなかったような最新の技術に触れる機会が自然と多くなります。
技術営業職の多くは理系の大学卒で最新技術について強い興味を持っている人がほとんどなので、最新の技術に触れることは大きなやりがいとなるでしょう。
顧客と直に関わることができる
技術営業職もエンジニアも、技術面での専門的な知識やスキルが求められることには違いありません。
しかし、エンジニアは基本的に社内での仕事がメインであり、自社の社員とは一緒に仕事をすることはあっても、クライアントやユーザーと面と向かって話すということはまずありません。
一方、技術営業職はクライアントに製品の説明や提案を行うのがメインの仕事ですから、クライアントやユーザーの自社製品への評価を直接聞くことができ、フィードバックすることで製品に反映させることができます。
また、製品がユーザーを満足させるものであれば「あなたの会社の製品を使って良かった」「ありがとう」といった感謝の言葉を受けることもあります。
このようにダイレクトな反応を感じることができるのは技術営業職ならではのやりがいと言えるでしょう。
ノルマが厳しくない
一般的な営業職に対して「ノルマが厳しくて大変な仕事だ」といったイメージを持つ学生も多いでしょう。
確かに、営業という仕事は成績が数字で明確に出てきますし、成果報酬型の給料制度を採用しているケースも多いので、やりがいが大きい反面プレッシャーも大きな仕事です。
ただし、技術営業職について言えば一般的な営業職に比べればノルマというものはあまり気にしなくてもかまいません。
というのも、多くの企業において技術営業の働き方は一般営業職のサポートであり、クライアントから技術的な質問が来た時に豊富な専門知識を駆使してわかりやすく回答することで、自社製品への理解を深めてもらうことが仕事の目的となるからです。
一般営業職のように売り上げ目標を達成することだけが仕事の目的ではありません。
技術営業職の大変な点
これまで技術営業職の良い点をいくつか紹介してきましたが、もちろん良いことばかりではありません。
この仕事ならではの大変なところ、難しいところというものも存在します。
では、技術営業職の大変なところはどんなところなのでしょうか。
具体的に見ていきます。
多くのスキルを要求される
技術営業職はエンジニアとしての能力と営業職としての能力の両方を求められる仕事です。
理系の学生であればエンジニアとして最新の技術や高度な専門知識を身につけることには抵抗がないかもしれませんが、それだけでは営業成績につなげることはできません。
何よりも大切なことは自社の製品をクライアントに購入してもらうことですから、 ・クライアントがどのような課題を抱えていて、その課題を解消するための提案ができる能力 ・クライアントの理解力に合わせて、製品の良さをわかりやすく平易な言葉で説明することのできる能力 ・会話の中でクライアントと信頼関係を築くことのできるコミュニケーション能力 などが必要となります。
このように多くのスキルを要求されるのが技術営業の大変なところです。
常に知識をアップデートする必要がある
技術営業職として満足な仕事をするためには、自社製品に関する技術について深く理解していなければならないのは当たり前です。
しかし、それだけでは十分ではありません。
技術というものは常に新しく進歩しているものであり、常にアンテナを張り巡らして新しい情報をアップデートしていかないと、頭の中の情報はすぐに古くなってしまうでしょう。
同様に、マーケットが今後どのような方向に向かっていくのか、トレンドに敏感に反応することができなければ、売り上げに貢献することができません。
常に知識をアップデートするためやトレンドを理解するためには日頃から自主的に学習することが必要になりますが、このように常に学習意欲を持ち続けなければならないというのは技術営業職の大変さの一つです。
【理系から営業職もアリ!】技術営業職の給料は?将来性はある?
技術営業職を目指す学生にとっては仕事の内容はもちろんのこと、業界の将来性や給料などの待遇面も気になるところでしょう。
ここでは技術営業職として働くサラリーマンの実態について詳しく見ていくことにします。
平均年収は約470万円
気になる技術営業職の平均年収は「467万円」です。
国税庁の民間給与実態統計調査によると日本のサラリーマンの平均年収は「436万円」ですから、平均よりは若干高めということになります。
この数字だけを見ると給料面であまり魅力を感じないという学生も多いかもしれませんが、実際はそうではありません。
年代別の平均年収を見てみると20代が「377万円」であるのに対して、30代の平均年収は「583万円」とほかの業種・職種に比べるとキャリアに応じて年収の上がり方がかなり大きいことがわかるでしょう。
しかも、一般営業職と同様に技術営業職の場合もインセンティブ制度のある職場が多いので、結果を出せば出すだけ収入を大きく伸ばすことが可能です。
情報社会の中で将来性がある
これから就職する学生は、業界の将来性も気になるところでしょう。
技術営業職の場合は基本的にメーカー企業に就職することになりますが、この業界で今後最も成長が期待できるのはITの分野です。
スマートフォンの普及によってITの技術は私たちの日常生活の中にも深く入り込んでくることは想像に難くありません。
IoTやロボットの技術はすでに多くが実用化されていますし、今後はAIによる自動運転技術などの普及も見込まれています。
自動車メーカーや家電メーカーなどは国内の少子高齢化の影響を受けて売り上げ不振の目立つ企業もありますが、海外に目を向ければまだまだ多くのニーズがあります。
英語力を武器に海外で活躍したいと考えている学生にとっては大きなビジネスチャンスが潜んでいると言えるでしょう。
【理系から営業職もアリ!】技術営業に就職するにはどうすればいい?
「技術営業の仕事に興味があるけれど、どうやって就職したら良いのかわからない」という学生も多いかもしれません。
というのも、一般の営業職と違って新卒で技術営業職を募集している企業はあまり多くなく、さまざまなキャリアパスが考えられるからです。
新卒で就職するのは難易度が高い
新卒求人のほとんどは総合職での募集となっています。
新卒として採用され入社した場合、研修である程度仕事を覚えてから仮配属としていくつかの部署を回り、その後配属先が決められることになります。
しかしながら、必ずしも希望した配属先に決まるわけではないので、技術営業の仕事がしたくても職種を指定することが難しいというのが実情です。
もしも同期入社の社員の中に技術営業職を希望する人がたくさんいた場合、その中から技術営業の仕事を勝ち取らなければなりません。
そのためには配属先を決める面談で仕事への熱意をアピールすることや学生時代にインターンに参加して実績を作るといった努力が必要になるでしょう。
仕事に役立つ資格を取得するというのも良い方法です。
エンジニアor営業で経験を積む
いきなり技術営業職で働くのが難しい場合は、一歩ずつ地道にキャリアアップを目指すのも良いでしょう。
技術営業職ではエンジニアとしての能力と営業職としての能力がどちらも求められるので、少なくともどちらか一つの能力を身につけておくと技術営業を希望する際のアピールポイントになります。
ですから、まずはエンジニアとして働いて技術についての高度で専門的な知識を身につける、あるいは営業職を経験してコミュニケーション能力などを身につけてから技術営業へとキャリアアップを目指すのです。
また、企業にこだわりがないのであればエンジニアと営業職の経験を積んで、その後技術営業職として働くことのできる企業に転職するという方法もあります。
まとめ
技術営業職は営業職でありながら特定の分野について技術的な知識が求められる特殊な仕事です。
営業職としての能力もエンジニアとしての能力も求められるので大変な仕事ではありますが、だからこそやりがいのある仕事でもあります。
しっかりと実績を積んでいけばかなりの収入も期待できる魅力的な仕事と言えるでしょう。
新卒で技術営業職に就くことが難しい場合は、エンジニアとして、あるいは営業職としての経験を積んでから目指してみることをおすすめします。