就活に必要な研究概要書の背景を書くポイントとは?論文で書く場合も解説

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伊東美奈
Digmedia編集長
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

はじめに

「研究概要書の書き方とは?」 「研究概要書はどんな風に構成すれば良いの?」 「研究の背景を書く際のポイントってある?」 このように、研究概要書の作成している方の中には様々な疑問や不安があるのではないでしょうか。

本記事では研究概要書についての基礎知識や、基本的な構成内容・形式、押さえておきたいポイントについて紹介しています。

本記事を読むことで研究概要書とはどのようなものなのか、また、その書き方、気を付ける点について把握できます。それらの知識を元に、論理的で読み手を意識した研究概要書が書けるでしょう。

研究概要書を作成している方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。

研究の背景とはどのような時に書かなければならないの?

研究の背景はどのような場面で必要とされるのでしょうか。ここからは、研究の背景を書くシーンについて紹介していきます。

研究の背景が必要とされる場面について知りたい方は、参考にしてください。

研究概要書

研究概要書とは、大学生や大学院生が在学中にどのような研究を行い、どのような結果を得たのかをまとめる書類のことです。特に、理系の学生が作成する機会が多く、就職活動の際に使われることも多いでしょう。

エントリーシートと同様に企業から研究概要書の提出を求められることもあり、企業が定めた形式に則って作成していきます。

研究論文・卒業論文

一般的な研究論文や卒業論文でも、研究の背景を書くことが多いです。研究の背景を書くことで、なぜその研究を行おうと思ったのかが分かりやすくなります。

研究の背景では、研究を行うことにした理由をはっきりと示すことが重要です。

研究概要書の構成内容

そもそも研究概要書の構成や、それぞれの項目に書くべき内容が分からないという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、研究概要書の構成内容について紹介していきます。研究概要書のイメージが湧かないという方は、参考にしてみてください。

タイトル

研究概要書タイトルには、自身が研究を行った内容をできるだけ簡潔に表記しましょう。ゼミの名前や研究室で取り扱うテーマではなく、自分自身が取り扱うテーマだと分かるようにすることが重要です。

また、タイトルが長すぎると伝わりにくくなってしまうため、読み手がすぐに理解できるような長さで書くことを意識しましょう。

研究の背景

研究の背景には、なぜそのテーマを取り扱おうと思ったのかを記載します。ここでのポイントは、自分自身が考えたことを含ませることです。

また、研究を行ってどのような成果が得られると考えたか、自身の予想も入れると研究そのものに奥深さを感じられるようになります。

読み手はテーマ自体に詳しくない可能性もあるため、誰にでも理解できるような言葉で表現すると良いでしょう。

研究方法

研究方法の項目は、ただ単に研究方法を書くのではなく、その過程で自身が考えたことや、より良い成果を得るために取り組んだことを含めるのがポイントです。

採用担当者は研究方法が知りたいのではなく、「学生がどんなことを考えて研究にあたったのか」を重要視する傾向にあります。研究方法を書くだけでなく、自身のアピールの場でもあることを理解しておきましょう。

研究の課題と解決策

研究を進める中で、課題にぶつかることもあるでしょう。研究の課題と解決策では、実際にぶつかった課題とそれに対する解決策を記載します。重要なのは、ぶつかった壁に対して、なぜその解決策を選ぶことにしたのかを書くことです。

企業はこのパートを読み「問題解決能力」があるかどうかを判断するため、慎重に構成しましょう。

研究結果

研究結果は文字だけで構成すると伝わりにくい部分もあるため、制限がない場合には、グラフや表を用いるのがおすすめです。

また、ここで自身の考えたことや意見を入れてしまうと事実が分かりにくくなってしまうため、後の「考察」の項目で述べるようにしましょう。

考察

考察の項目では、研究の結果どのような成果を得て、今後どのように活かしていくかを書く部分です。

研究で得られた成果は、次の研究や就職後にも役立つことが多いでしょう。得られたスキルや経験が「就職後、企業に貢献できる」という流れにすると、より効果的です。

研究概要書で研究の背景を書くポイント

研究概要書における研究の背景は、自身の研究テーマと重要性を伝えるためのとても大切なパートです。

伝えたい情報をできるだけ正確に伝えるために、難しい言葉や専門用語などは使わないようにしましょう。事前に説明がなければ理解できないような理論や知見も入れない方がベターです。

また、研究の背景を伝える前に、事前に読み手と共有しておくべき情報やデータがある場合には、きちんと示すことも重要でしょう。

研究概要書の形式

研究概要書の形式は企業側に指定されることが多いです。企業によって、様々な指定や制限があることもありますが、規定を守っていれば特に心配することはありません。

ここでは、研究概要書でよく見られる形式について紹介していきます。

自由に記述する

特に、企業からの指定や制限がない場合には、自由に記述して良いとされています。どのようなフォーマットでも構わず、学生自身が使いやすいと感じるソフトを使用して作成できるのが特徴です。

自由記述の場合には、一般的にWordやPowerPointが使われることが多いですが、読み手が苦労することなく読めるものであれば、別のソフトでも問題ありません。

ただし企業側は、学生の個性を含めて判断することが多いため、あまりに派手なものや奇抜すぎるものはマイナス評価につながってしまうでしょう。

文字のみで記述する

文字のみで記述する場合は、A4用紙にずらっと文字が並ぶイメージです。

企業から指定がなければ、Wordを使用するのが一般的です。文字だけで構成するため、読み手に分かりやすく論理的な文章になっていることが重要でしょう。

PowerPointでまとめる

PowerPointでまとめると、図やグラフなどが挿入でき視覚的に訴えかけやすいというメリットがあります。しかし、自由に色付けをしてしまうと、かえって読みにくい資料になってしまうため注意が必要です。

また、実際に採用担当者にプレゼンテーションできるわけではないため、資料を読んだだけで伝えたいことが伝わるように意識しましょう。

研究概要書を書く時に気を付けること

研究概要書は読み手に分かりやすく正確に仕上げなければならないため、様々な点に気を付ける必要があります。

ここでは、研究概要書を書く時に気を付けることを紹介します。より精度の高い研究概要書が作成できるよう、参考にしてください。

語尾を統一にする

語尾を「です・ます調」もしくは「だ・である調」のどちらかに統一することを意識しましょう。

特に企業からの指定や指示がなければ、自身が書きやすい方の語尾で問題ありません。最後まで書き上げたら、きちんと文末が統一されているかをチェックしましょう。

読み手を意識する

自分が思うままに書くのではなく、読み手のことを意識して書くことも重要です。

例えば、文字のみで構成する研究概要書の場合、適度に改行を入れる、最初に結論を述べるなどを意識しましょう。PowerPointを利用する場合も、文字が多すぎないように調整する、グラフや表を用いと、読みやすい構成になります。

心配な場合は、構成完了後に友人や先輩などにチェックしてもらうと良いでしょう。

専門用語を使いすぎない

採用担当者が自身の研究テーマについて詳しいとは限りません。専門用語を使ってしまうと、せっかく良い研究を行っていてもその重要性や希少性を理解してもらうのが難しくなります。

自分では専門用語は使っていない、と思っても、年代の違う方には理解できない言葉もあります。時間に余裕があれば、年の離れた家族などにも目を通してもらうと良いでしょう。

自分の視点を書く

研究概要書では、得られた結果だけでなく自身の視点や、考えたことを入れるのも重要です。結果を書くだけの書類であれば、他の学生と同じような内容になってしまうでしょう。

要点を押さえる

研究概要書はできるだけ要点を押さえて、分かりやすくまとめましょう。これは、研究概要書に限らず、エントリーシートや履歴書、面接での受け答えにも通ずるポイントです。

まずは結論を述べ、理由、具体例と続け、最後にまとめという流れにすると論理的な文章に仕上げられます。

論理的にまとめる

文章で物事を伝える際も、言葉で伝える際にもロジカルに考えられる人は、企業から良い評価を得られるでしょう。

また、1文1文は簡潔に短くするのも論理的に伝える際のポイントです。

どんなことに取り組み何を得たのかを書く

企業は学生が行った研究そのものを知りたいのではなく、その研究を通して身に付けた「問題解決能力」や「論理的思考能力」を知りたいと考えています。

そのため、どんなことに取り組んで何を得たのかをきちんと書くことが重要です。

問題解決をしたことを書いておく

研究を進める上で起きた問題やトラブルは、隠さずに記載しましょう。ここでは、問題をどう捉えて、なぜその解決方法を選んだのかを含めることが重要です。

この項目で、問題解決能力をアピールできるため慎重に構成しましょう。

研究論文・卒業論文で背景を書く場合はどうすればいいの?

研究論文や卒業論文で、研究の背景を書く際は、先に行われた実験で明らかになっていることや現代社会において問題とされていることを書くと良いでしょう。

具体的には「現代社会において、〜〜〜という事態が問題となっています。」「先行の研究において〜〜〜ということが明らかになっています。」など、読み手に事前に知っておいてもらいたい情報を含めるようにしましょう。

研究の背景を書くポイント

研究概要書において「研究の結果」に重きを置いて作成する学生も多いですが、「研究の背景」も同じくらい重要な項目です。言葉に矛盾のない「研究の背景」は、研究全体の文脈を整え、読み手にもっと読みたい、と感じさせる効果があるでしょう。

ここでは、研究の背景を書く際のポイントについて紹介していきます。

  • 論文内の他のセクションとの違いを明確にする
  • 研究テーマと対象読者を定義する
  • 研究のメインテーマを踏まえたストーリーに沿うよう構成を考える

論文内の他のセクションとの違いを明確にする

研究の背景を書く際は、論文内の他の項目と記載内容を混同させないように注意しましょう。

例えば「序章」と「研究の背景」は別物です。また、「研究の背景」と「文献レビュー」も記載すべき内容が異なります。

これらの違いを理解しないまま構成に進んでしまうと、読み手を混乱させるだけでなく、研究概要書そのもののクオリティも下がってしまうでしょう。

序章と研究の背景との違い

序章とは一言で表すと「導入」に当たります。この導入部分が入ることによって、読み手がストーリーを理解しやすくなります。

一方、研究の背景は研究の文脈を設定するものであり、先行の研究など歴史的な観点から、研究の重要性を示す役割を担っています。また、先行研究の不足点を埋めるため、どのような研究を行うのかを説明するものでもあります。

研究の背景と文献レビューとの違い

研究の背景は、論文の最初のパートであり研究の概観を示すものです。研究の目的につながる要素と、それに関連する要素のみを記載するのが一般的でしょう。

一方、文献レビューは研究の背景に続くパートです。先行の研究を具体的に、かつ包括的にレビューするもので、先行研究の不足点を批判的に強調するパートでもあるでしょう。

研究テーマと対象読者を定義する

研究の背景を書く上で重要なのは、研究テーマと対象の読者をきちんと定義することです。

どのようなテーマで文献を絞り込み、そのテーマについて何が知られていて、何が新しい情報なのか、読み手がどんな情報を知っている可能性があるかをきちんと特定するところから始まります。

研究についての内容に力を入れるだけでなく、より幅広い読者に理解してもらえるようバランスを取ることも考慮しましょう。

研究のメインテーマを踏まえたストーリーに沿うよう構成を考える

研究の背景には多くの情報が含まれるため、冗長な文章だと読み手が興味を失ってしまう可能性もあります。

興味を持ってもらうためには、研究のメインテーマに沿うストーリーを構成することが重要でしょう。その際、主軸のアイデアからストーリーが脱線しないように注意が必要です。

読み手がストーリーを読んだだけで不足していた知識がつくように、また、1つのアイデアが次につながるようにしましょう。

就活に成功するために研究背景の書き方を知っておこう

本記事では、研究概要書の背景を書く際のポイントについて紹介しました。

まずは、研究概要書の構成内容を正確に理解し、研究の背景という項目がどのような役割を担っているかを把握しましょう。また、読み手を意識した文章、構成にすることも重要です。

ぜひ本記事を参考にして、研究概要書の作成を進めてみてはいかがでしょうか。

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