HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就活を進めていると、生涯年収という言葉を耳にすることがあるでしょう。
生涯年収とは1人の人が生涯で得る収入のことです。
一見すると、人によって違いがあるものではありますが、実はある程度、生涯年収が決まるにはルールがあります。
そこで今回は、生涯年収とは何か、最終学歴や職種といった生涯年収に変化をつける項目について解説します。
就活を始めたばかり、志望企業や業種を決めかねているという方はぜひ参考にしてください。
生涯年収とは?
生涯年収とは1人の人が働くことで、生涯を通じて得る年収のことを意味します。
つまり、新卒1年目で就職してから定年退職(延長雇用期間を含む)を経るまでの期間で手にする給料の総額です。
知っての通り、年収は就いている職業や役職、請け負う責任の重さに応じて変動します。
職場や勤続年数が同じであっても、人によって1ヶ月あたりの収入・年収に差が出るものです。
また、生涯年収とは、毎月の稼ぎを如実に物語るものでもあります。
年収が高ければ高いほど幸せになれるとは限りませんが、自分が就く予定の仕事が、生涯どのくらい稼げる仕事であるかを考えることは非常に重要です。
特にご自身の出身学部が特殊、働こうとしているエリアが田舎である場合は、生涯年収に影響をおよぼすことは頭の片隅に置いておきましょう。
生涯年収の平均はどのくらい?
生涯年収は平均で億単位になると1われています。
たとえば、月収30万円の人が新卒から定年退職までおよそ40年として稼ぐ生涯年収は、1億4,400万円です。
月収40万円になれば1億9,200万円、50万円にもなれば2億4,000万円にものぼります。
ここにボーナスや臨時賞与が加わったり、定年後も継続雇用されたりすれば、生涯年収はさらに上がる計算となります。
普通の生活を送っていると、自分の働いて得る報酬が億単位にもなると考えることはなかなかありません。
しかし、実際に計算してみると、人は1人で生涯かけて1億円以上の報酬を稼ぎだしているのです。
生涯年収の平均は2億円
一般的に、生涯年収の平均は1億8,000万円~2億円ほどといわれています。
前章で解説した内容をふまえると、生涯年収には1億円近くの差が生じる場合もあると言えるでしょう。
これだけ生涯年収に差が出る理由については、さまざまな要素が関係してきます。
たとえば、最終学歴が中卒であるか大卒であるかは生涯年収の額に大きな影響をおよぼします。
文系か理系かでこれだけの差が出るかという指標はありませんが、就ける職種が限定されるという意味では、学部も少なからず影響をおよぼすでしょう。
就いている仕事によって月収が変わるため、おのずと生涯年収も変わってくるのが実情なのです。
また、同じ職種であっても、営業職のように業績に応じて報酬が大きく変わる仕事であれば、人によって生涯年収は大きく異なります。
生涯年収の平均は学歴で変わってくる?
生涯年収を大きく左右する要素の1つに学歴があります。
一般的に、企業では中卒・高卒・専門卒・大卒別に就くことのできる職種は最終学歴によって違うのです。
たとえば、屋外作業のある土木系であれば中卒や高卒は現場仕事に配属され、専門卒や大卒は事務職に配属されます。
ここでの事務職は主に事業の運営を担う仕事にあたるもので、ゆくゆくは事業所をまとめる管理職候補です。
マネジメント業務が加わる管理職は、業務的な負荷も大きいと判断されるため、収入は上がり、生涯年収も上がります。
ここからは、学歴が生涯年収にどのような差を生むかについて見ていきましょう。
一番高いのは大学卒以上
生涯年収が高くなるのは大卒です。
とある調査データでは、以下のような結果が出ています。
まず、高卒の男性の生涯年収は2億5,800万円で、高卒女性の生涯年収は1億8,800万円です。
次いで、高専や短大を卒業した男性は2億5,200万円であるのに対し、女性は2億600万円になるそうです。
この時点で男性は600万円ほどの差しかありませんが、女性については1億円近くの差が出ているとわかります。
そして、大卒の男性の生涯年収は2億9,200万円と3億円近くになり、女性についても2億4,400万円にのぼります。
男性で約4,000万円、女性においてはなんと6,000万円ほどの差があるという結果になりました。
これは、最終学歴によって就ける業種や職種、目指せる役職に違いが出ることも大きく関係していると言えるでしょう。
特に女性の場合、学歴が高いほど責任ある仕事に就ける可能性が高まります。
確固たるキャリアがあれば、たとえ結婚や出産で一時的に職場を離れたとしても、復職する可能性が大いにあり得るため、生涯年収は上がるのです。
生涯年収の平均は会社の規模によっても変わってくるのか?
生涯年収の平均は、働いている会社の規模によっても変わってくるようです。
ここではわかりやすいように、会社の規模を事業の規模ではなく、従業員数と捉えて見ていきます。
単純に考えると、従業員数の多い会社にはさまざまな部署が存在します。
ありとあらゆる事業に携わっていることで、会社全体の業績が安定しているとも仮定できるでしょう。
また、管理職と呼ばれる職種に就いている人も多いはずなので、月収ひいては生涯年収の高い人も多いと考えられます。
企業の規模ごとにどれだけ生涯年収に違いがあるかを見ていきましょう。
企業の規模ごとに見る生涯年収の平均
生涯年収の平均は、企業の規模が大きくなるにつれて高くなる傾向があります。
まず、従業員数が10人~99人規模の企業における男性の生涯年収は2億1,400万円で、同規模の企業に勤める女性の生涯年収は1億7,800万円です。
次いで、100人~999人規模の企業に勤める場合を見ていきます。
従業員数が100人~999人の企業に勤める男性の生涯年収は2億4,000万円、女性は1億9,900万円です。
最後に1,000人以上のいわゆる大企業では、男性の生涯年収は2億9,700万円、女性の生涯年収は2億3,000万円になります。
やはりここでも男性で8,000万円、女性で6,000万円ほどの差が生じているとわかりました。
生涯年収には、月々の月収に加えてボーナスや臨時賞与も加味されます。
従業員数が少ない会社ほど取り組んでいる事業の数は少なく、多くなればなるほど事業の数は増え、売上高は高くなる傾向にあります。
つまり、従業員数が多い会社のほうが業績も安定しやすく、社員に支払われる給料も多くなるため、生涯年収にも差が生まれやすいのです。
生涯年収の平均はエリアによっても関係する?
生涯年収の平均は、働くエリアによっても若干の違いがあるようです。
わかりやすく身近なところで言えば、アルバイトの最低賃金でしょう。
1時間あたりの時給はエリアによって異なるもので、人が集まりやすい都心部は高く、田舎は安くなる傾向にあります。
生涯年収の平均もこうしたエリアの影響を受けるようです。
先程紹介した従業員規模で見ても、都心部に位置する会社は大企業であることが多いことも一因として考えられます。
エリアの違いによって出る生涯年収の差について見ていきましょう。
エリア別の生涯年収の平均で一番高いのは関東
生涯年収の平均はエリアによって異なり、一番高いのは関東です。
ここではエリアを関東・東海・関西・北信越・中国/四国・九州/沖縄・北海道に分けて見ていきましょう。
まず、関東で働く男性の生涯年収の平均は2億5,000万円、女性は1億9,000万円です。
次いで東海エリアと関西エリアで働く男性の生涯年収の平均はそれぞれ2億2,000万円、女性は1億6,000万円になります。
北信越と中国・四国エリアにおける男性の生涯平均年収は2億1,000万円に対し、女性は1億5,000万円です。
九州・沖縄と北海道においても同様に、男性の生涯平均年収は2億円、女性の生涯平均年収は1億5,000万円でした。
結果は、男性は最大で5,000万円、女性でも4,000万円の差があるとわかります。
また、どのエリアにも都心部と田舎の両方が含まれています。
しかし、関東であれば東京、東海なら名古屋、関西なら大阪や京都といった都心部がけん引するような形で生涯年収を伸ばしていると考えられるでしょう。
生涯年収の平均は職種によって異なるのか?
生涯年収の平均は、職種によっても若干の違いがあります。
職種とは、営業職や事務職といった業界ではなく、仕事を業務内容によって分類したものです。
業務の負荷を決める要素には、仕事をするうえで専門知識が必要かどうか、危険をともなうかどうかなどがあります。
元受けや下請けに該当するかでも、売り上げを左右するため、月収ひいては生涯年収が変動します。
ここからは職種によって生涯年収がどう変化するかを見ていきましょう。
特に文系や理系といった、学部の違いから目指せる職種が限られているという方は必見です。
職種別の生涯年収の平均
職種も種類によって生涯年収に1億円近くの差を生じさせます。
まず、生涯年収がもっとも高くなる職種は金融系専門職で、男性で3億1,000万円、女性で1億8,000万円あります。
次いで高いのが、コンサルや専門事務所・監査法人などといった専門職です。
生涯年収が男性で3億円、女性で2億4,000万円あります。
企画・管理系の男性の生涯年収は2億9,000万円、女性の生涯年収は2億3,000万円です。
技術系(ITや通信など)や営業系になると男性は2.5億円で、女性はそれぞれ2億円と1億9,000万円になります。
男女ごとの大差はないものの、職種として大きく生涯年収が下がるのは販売系や事務職です。
販売・接客・サービス系の生涯年収は男性で1億7,000万円、女性は1億4,000万円です。
事務・アシスタント系の生涯年収は男性で1億9,000万円、女性では1億5,000万円になります。
職種においては、同じ職種であっても男女によって年収に差が生じる場合もあるのがポイントです。
生涯年収の平均はあくまで目安
生涯年収はあくまでも目安であり、何よりも個人差が出るものであります。
それこそ同一人物がキャリアチェンジして、事務系の職種から専門職に転職した場合、年収は大きく上がるため、生涯年収も上がります。
同一企業であったとしても、管理職になるなどしてキャリアがアップすれば、生涯年収もアップするでしょう。
ただし、平均的なデータでもあるものの、最終学歴や働くエリア、職種の違いによって少なからず生涯年収に差は生まれます。
ご自身の最終学歴は何か、学部によって選べる職種に制限がないかどうかはきちんと考えておきましょう。
もちろん、仕事の価値とは生涯年収だけで決まるものではありません。
しかし、生涯年収は生活のグレードに直結する部分でもあります。
人生100年時代を生き抜く、家族を養っていくと想定しても、選択の余地があるのなら、生涯年収は高いにこしたことはないでしょう。
まとめ
生涯年収は、最終学歴や勤める企業の規模に位置する場所によって変わります。
職種ごとにも違いが生じるほか、男性であるか女性であるかによっても差がついているとわかりました。
いずれも平均値である以上、ある程度の目安であることに変わりはありません。
しかし、自分が理想とする生活スタイルがあるなら、その生活にどのくらいの収入が必要かを一度考えてみると良いでしょう。
具体的に働く姿が想像できないのなら、こうした年収をベースに仕事を考えてみるのがおすすめです。