修士後期課程って何?大学院の仕組みや進学するメリットについてくわしく解説!

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はじめに

「修士後期課程って何?」「進学すると良いことがあるの?」など、このように大学院には興味があるけど、仕組みがわからない方も多いのではないでしょうか。

一口に大学院と言っても、実はたくさんの種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。

また、大学院進学に向いている人や逆に苦労してしまう可能性がある人もいるのです。

本記事では、大学院の仕組みや進学するメリットをくわしく解説しています。

大学院に進学を悩んでいる人は、メリットやデメリットをしっかり理解して進学を検討してみてください。

【修士後期課程って何?】大学院の仕組み

大学院によってはさまざまな課程が存在し、一般的に大学院の制度は修士課程と博士課程に分けられます。

多くの場合は、各大学の上位機関として大学院が存在しており、学士号よりも専門的な勉強や研究活動が行われています。

修士課程は、修業年限が最短で2年間です。

2年間のうちに所定の単位を取り、修士論文が受理されれば修士号を取得できます。

それに対して博士課程は、修業年限が最低で5年間です。

また、大学院によっては修士課程の2年間を「博士前期課程」と呼び、残りの3年間を「博士後期課程」と呼びます。

それでは以下で、博士課程についてくわしく解説していきましょう。

博士前期課程(修士課程)

上記の通り、修士課程の場合は2年間、博士課程の場合は前半の2年間を博士前期課程と呼びます。

修士課程・博士課程に限らず2年間講義に出席し、所定の単位を取って大学院の研究を終える場合は、修士号を取得できます。

修業年限は最低2年間であり、学部生の半分の期間ですが、講義の内容や研究活動のレベルは高いです。

また、教授の授業の補助や研究室の行事など学部生のときよりも、大学と密接に関わる機会が増えるでしょう。

文部科学省によると、修士課程の目的は「専門的な知識を持った人材の育成と研究者養成のための第一段階」とされています。

そのため、目的があって博士前期課程(修士課程)を修了した人は、幅広い知識と高度な専門性が必要な職業に就ける場合が多いです。

博士後期課程

博士後期課程は博士前期課程修了後、残り3年間のことを指します。

博士号の学位は2種類あります。

1つ目は、大学院で所定の単位を取得して博士論文の審査に合格した際に得られる、課程博士です。

課程博士は、さまざまな課程の年限にかかわらず、決められたカリキュラムで単位を取って博士論文が受理されれば取得できます。

一方で、もう1つの博士号である論文博士は、大学院の在籍にかかわらず、博士論文を研究機関に提出して審査に合格すれば取得できる博士号です。

2種類の博士号ですが、それぞれ学位の価値に違いはなく、同じ博士号として扱われます。

また、論文博士という制度は日本特有の制度です。

博士後期課程の目的は「自立した活動を行える高度な専門的知識を有した研究者の育成」とされています。

そのため、修士後期課程を修了した人は、さまざまな機関の中核を担う研究者や大学の教員になる場合が多いです。

【修士後期課程って何?】修士後期課程って何?

結論から述べると、修士後期課程は存在しません。

修士課程の修業年限は2年間しかないため、前後半で分けることがないからです。

博士課程において、最初の2年間を博士前期課程と呼び、残りの3年間を博士後期課程と呼びます。

そのため、博士課程のように修士課程も、前期と後期に分けて考えると思っている人もいるかもしれません。

一般的には、2年間の修士課程と5年間の博士課程に分けられており、修士号を取得している場合は、博士課程の修業年限が最低で3年間に短縮されます。

それが大学院によって、修士課程を博士前期課程と呼び、残りの3年間を博士後期課程と呼ぶ理由です。

そのほかにも専門職大学院や医学部などを対象とした課程もありますが、修士後期課程は存在しないため、注意してください。

【修士後期課程って何?】大学院の種類

多くの方が認識している大学院とは、4年制大学の上位機関としての大学院です。

しかし、昨今の多様化した社会の中で、さまざまな分野のエキスパートを育成するために、大学院には複数の種類が存在します。

一般的に知られている大学院以外に、社会のニーズに合わせて、専門性のある人材を育成する場や、社会人の生涯学習の場として大学院も多様化しています。

大学院を大きく分けると、研究者の育成と専門知識を有した職業人の育成の2つです。

以下でそれぞれくわしく解説します。

学部を持つ大学院

学部を持つ大学院とは、大学の学部で得た知識を発展・応用させながら、さらに専門的な研究や教育を行うところです。

これは、世間一般的に認知されている4年制大学の上位機関としての大学院です。

大学の学部時代が基礎で、大学院は応用といったイメージが一般的でしょう。

大学の学部で専攻していた分野の研究能力や、高度の専門性と深い知識が求められる職業を担うための能力を培うことが目的とされています。

所定の単位を取り、修士論文の審査に合格することが修了要件です。

修了したあとは、一般企業に就職するか博士後期課程に進学する人がほとんどです。

しかし、学部を持つ大学院の課程を修了した人は、必ずしも専門性のある企業に就職するわけではなく、公務員やまったく学んだ知識を必要としない職業に就く人もいます。

つまり、一定数は研究や専門性を高めるためではなく、学部の延長として進学する人もいるということです。

独立研究科

独立研究科は学部を持つ大学院と異なり、基礎となる学部組織を持っていない独立した研究科のことを指します。

一般的に研究科とは、教育研究科ならば教育学部、経済研究科ならば経済学部のように、学部に基礎を置く機関として存在しています。

さまざまな学生を受け入れ、それぞれの専門性を活かして新たな研究をしているところです。

その一方で独立研究科は、学部に基礎を置いていない機関です。

このような独立研究科は、情報系や国際系など学部の枠にとらわれない研究科である傾向があります。

そのため、学部を基礎とする研究科では学生の大半が内部進学者であるのに対して、さまざまな学生を受け入れ、それぞれの専門性を活かして新たな研究をしているところが多いです。

学部に基礎を置かないため、内部進学者がおらず、他大学出身者も多いため、比較的オープンな雰囲気であると言えます。

大学院大学

大学院大学とは、学部のある大学を有していない大学院だけの機関を指します。

つまり、基礎となる学部が1つも存在しないため、すべての研究科が独立研究科である大学院です。

そのため、独立大学院や独立大学院大学などとも呼ばれています。

大学院大学の大きな特徴は、学部生がキャンパス内にいないということです。

寂しいように感じますが、学部生がいないことにより、研究を効率的に進められるというメリットがあります。

通常、学部のある大学院に所属した場合、学部生と研究機材を共用するため待ち時間が生じることや、研究室で後輩の面倒を見る時間があります。

学部生のいない大学院大学では、それらが存在せず、自身の研究に最大限時間を注ぐことが可能です。

一方で、後輩の面倒を見る機会のないことが将来研究者になり、後進を育成する際、不利に働く場合があるかもしれません。

専門職大学院

ほかの大学院では、研究分野での人材育成が目的である機関も多いですが、専門職大学院は違います。

専門職大学院は各分野でのスペシャリストを養成する機関であり、高度で専門的な能力を磨き、実務で活かせる人を養成する大学院です。

高度専門職業人として求められる理論と実務の両方を学べるため、より具体的な目的とキャリア形成を考えている人が多く進学しています。

実践的な教育や、実務家の教員が一定数在籍することを特徴とし、ほかの大学院よりも修了後のビジョンが描きやすいです。

また、修了すると国家資格の受験資格を取得できる大学院もあります。

法科大学院や臨床心理などはこれに当てはまります。

つまり、弁護士や臨床心理士など特定の分野におけるスペシャリストとして働きたい人は、専門職大学院への進学が近道になると言えるでしょう。

【修士後期課程って何?】大学院に進学するメリット

大学院の種類について述べてきましたが、ここからは大学院に進学するメリットを紹介していきます。

大学院に進学するか学部で卒業して就職しようか迷っている人は、進学することでどんなメリットがあるのか気なっているはずです。

判断材料になるよう、大学院に進学するメリットを3つ紹介していきます。

1つ目は専門性を高められることです。

2つ目は理系の場合は就職の選択肢が増えること、3つ目は初任給が高いことです。

以下で一つずつくわしく解説するので、悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

専門性を高めることができる

1つ目のメリットは、学部生に比べて、より深い研究を行っているため、専門的で深い知識が身につくことです。

大学院は、研究活動が主な目的の1つです。

学部生は卒業に必要な単位を取ることに大学生活の大半を費やして、研究活動に費やす時間は少ない場合が多いでしょう。

それに対して大学院生は修了までの大半の時間を自分の研究に費やし、その研究の成果を修士論文や博士論文という形で提出します。

したがって、自分が知識や専門性を高めたい分野の研究に多くの時間をかけ、理解を深めていくため、学部生に比べて専門性を高めることが可能です。

学部生が幅広い教養や基礎的な知識を身につけるのに対して、大学院生は特定の分野におけるスペシャリストのイメージだと言えます。

理系の場合は就職の選択肢が増える

2つ目のメリットとして理系の大学院を修了した場合は、就職の選択肢が増えることもあります。

就活サイトの求人を見ると、大手メーカーの技術職は、応募条件として、修士以上の学位が求められる場合も多いです。

さらに、理系の高度な専門性が必要とされる企業では、研究職に就くことも可能です。

そのため、理系の大学院生は高度な技術力を身につけ、研究活動を行うことで就職しやすくなるというメリットがあります。

また、文系の大学院生もビジネスやマーケティングに関わる経営学や経済学、法学や心理学などの専門職大学院であれば、専門性を活かして就職の選択肢を増やすことも可能です。

しかし、その場合は明確な目的をもって、進学しましょう。

初任給が高い

3つ目のメリットは、初任給の高さです。

大学院卒は基本的に学部卒に比べて初任給が高い傾向にあります。

2022年度の厚生労働省の調査によると、新卒の大学学部卒の初任給は約22.6万円で大学院卒の初任給は約25.5万円と、約3万円の差がありました。

給料の高さは、働くことにおけるモチベーションの1つであるため、十分にメリットであると言えます。

しかし、業種や職種によっては、大学院卒と学部卒の間で給料に差がない場合もあるので、就職活動の際は注意してください。

また、初任給に加えて、生涯賃金や昇給のスピードにも違いがあるため、企業選びは慎重にしましょう。

修士号を取得していると、それに見合った能力があると企業は判断するため、期待へ答えられるよう勉学に励むことが大切です。

【修士後期課程って何?】大学院に進むデメリット

大学院に進学するメリットだけでなく、デメリットも理解したうえで判断することが大切です。

メリットだけ見てしまい、デメリットを理解せずに進学した結果、後悔してしまうかもしれません。

ここからは、大学院に進学するデメリットを2つ紹介します。

1つ目は社会人になるのが遅くなることであり、2つ目は金銭的負担が大きくなることです。

以下の項目で一つずつくわしく解説するので、悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

社会人になるのが遅くなる

1つ目のデメリットは、社会人になるのが遅くなることです。

大学院に進学すると修士課程だと最低でも2年、博士課程まで進めば最低5年は社会人になるのが遅れてしまいます。

その間に学部卒で社会人になった友人はどんどん給料も上がり、大人になっていく気がして、焦ってしまうかもしれません。

しかし、反対に大学院の在学期間を成長のチャンスと捉えることもできます。

在学中に一生懸命研究活動に取り組み、専門性を高め、就職活動に挑むことで、学部卒では成し得なかった道に進める可能性があるのです。

そのため、大学院に進学して社会人になるのが遅くなることは、自分次第でメリットにもデメリットにもなると言えます。

目的もなく大学院に進学すると、デメリットのほうが大きくなるかもしれません。

金銭的負担が大きくなる

2つ目のデメリットは、金銭的な負担が大きくなることです。

私立の場合は特に、大学院へ進んだあとも多額の学費がかかってしまいます。

しかし、そのような学生を援助するために奨学金制度があります。

また、場合によっては、奨学金の返還免除で200万円以上もらえる可能性があるのです。

日本学生支援機構の貸与型第一種奨学金(修士、博士向け)では「特に優れた業績による返還免除」という制度が設けられています。

在学中に論文発表や学会賞受賞などの業績をあげた学生に対し、貸与額の半額または全額を返還免除する制度です。

業績をあげるのは難しいかもしれませんが、積み上げていくことで就職活動などでも有利に働くかもしれません。

また、社会人になるのが遅れるため、生涯年収も減ってしまう可能性があります。

業種や職種によっては生涯賃金が高くなるため、就職活動の際にしっかりと企業を選びましょう。

【修士後期課程って何?】理系学部生は大学院に進むべき?

基本的に理系の場合は、就職活動で有利になることが多いため、進学するという選択肢も大いにあります。

研究活動を継続した結果、就職にしても、研究者にしても選択肢が増える場合もあるでしょう。

また、理系の場合は、研究室の推薦で就職先が決まる場合もあります。

そういった意味でも大学院に進学するメリットは大きいと言えるでしょう。

しかし、いくら有利だといっても理系院卒の就活生は多くいるため、油断はしないことが大切です。

自分以外も同じように、有利になる理系大学院生がたくさんいることを忘れてはいけません。

文系の場合、明確な進学理由があるのならば進学するべきでしょう。

反対に目的がない場合は苦労することが多いため、進学はおすすめしません。

【修士後期課程って何?】大学院進学に向いている人の特徴

ここまでで大学院に進学するメリットだけでなく、デメリットも理解できたかと思います。

メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで判断することが大切です。

しかし、大学院進学に向いている人、向いていない人がいるのも事実です。

自分が大学院進学に向いていると判断できるよう、大学院進学に向いている人の特徴を2つ紹介します。

1つ目は、大学院で学びたいことが明確にある人、2つ目はキャリアチェンジをしたい人です。

以下で一つずつくわしく解説していきましょう。

大学院で学びたいことが明確にある人

1つ目の特徴は、大学院で学びたいことが明確にある人です。

明確にやりたいことがない状態で大学院に進むと、無駄な期間なってしまう可能性が高いでしょう。

大学院は、あくまでも研究や学びを深めたい分野のある人が専門性を高める場所です。

明確な目的がなく、進学してからの可能性に期待している人は、学部卒で就職してしまっても結果は変わらないかもしれません。

また、2年間という時間はとても短く、進学してから目的を決めても周りからどんどん差をつけられてしまい、進学したことを後悔する可能性があります。

そのため、大学院に進学すべき人は、大学院でやりたい研究や学びを深めたい分野が明確になっている人です。

明確な目的があれば、時間を無駄にせず、有益な時間を過ごせるでしょう。

キャリアチェンジをしたい人

2つ目の特徴は、キャリアチェンジをしたい人です。

大学生活の4年間は多くの人と出会う機会があり、視野が広がる時期です。

大学は、複数の学部が同じキャンパスに存在している場合が多く、他学部の人との関わりや、専門分野ではない授業を受けることもできます。

そのため、大学4年間で学んでいく中、自分の専門分野を変えて新しい道に進みたいと考えている人は大学院に進み、新しい専門分野を学ぶのも良いでしょう。

しかし、その場合は進学する前に、大学院で学びたい分野を明確にする必要があります。

大学院に進学してから専門分野を変えると、研究にかけられる時間が足りなくなってしまします。

また、一般的には大学院の入試の際に学びたい分野の研究計画を提出することがほとんどなので、進学後に変更するのは現実的でないです。

そのため、キャリアチェンジしたい場合は進学前に目的を明確にしましょう。

おわりに

大学院の仕組みやで大学院に進学するメリットやデメリット、進学に向いている人の特徴に関して述べてきました。

大学院に進学することはメリットもあれば、デメリットがあるのも事実です。

しかし、大学院に進学する明確な目的があり、進学後も研究や勉強に精力的に取り組める人ならば問題ないでしょう。

迷っている人は、もう一度自分に問いかけてみてください。

大学院進学を1つの手段として、広い視野をもって、一度きりの楽しい学生生活を過ごしていただけたら幸いです。

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