HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
「製造業って、モノづくりを行なう業界のこと?」 「製造業の職種には、何があるの?」 「製造業の魅力や今後の動向が知りたい」 製造業の業界研究を行うと、製造業界の多様さや事業ごとの違いなどに疑問や悩みを持つ人もいるのではないでしょうか。
本記事では、はじめに製造業の仕組みや抱えている課題、また職種といった基本知識を解説し、次に製造業の魅力や向いている人材、また今後の動向を紹介していきます。そして、記事の終わりに製造業界における業界研究の方法について紹介します。
業界研究についての知識を見つけることで、自分に合った業界を見つけることができるでしょう。製造業の業界研究を行ないたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
製造業とは
製造業とは一般的に工業と呼ばれるもので、食品や日用品、家電、自動車、医療機器など私たちの生活を支える様々なものをつくり出す仕事を担っています。
以下では、日本社会の基盤となる製造業をより深く知るために、業界の仕組みと抱えている課題について紹介していきます。ぜひ、業界研究の参考にしてみてください。
出典:用語について|経済産業省 参照:https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kougyo/wagakuni/1998_yogo.html
製造業の仕組み
ひと口に製造業といっても、つくっている製品の工程が上流・中流・下流のどの位置にあるかによって4つに分類することができます。
まず、上流と呼ばれる素材メーカーでは部品や製品のもととなる素材をつくり、他社に提供販売しています。そのため、素材メーカーは、取引のほとんどが企業間取引となるのです。
次に、中流工程にあたる部品メーカーでは素材メーカーがつくった素材を用いて、精密部品や電子部品など製品づくりに欠かせないパーツをつくります。
そして、下流工程に位置する加工・組立メーカーは、つくられた素材や部品を加工したり組み立てたりすることで、様々な製品を完成させ販売しています。そのため、加工・組立メーカーでは取引を企業だけではなく、一般消費者に対しても行っている企業もあるのです。
また、これら3つの工程をすべて自社で行う自社生産・加工メーカーも存在しています。この自社生産・加工メーカーには、化粧品や医療品を扱う企業が多くなっています。
製造業が抱える課題
総務省・経済産業省が発表した「令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計」によると、製造業の売上高は日本経済全体のうち23.0%を占めていることから製造業は日本経済を支える産業ということがわかります。
しかしながら、近年の製造業では少子高齢化による労働人口の減少や、老朽化した設備に対する投資の遅れ、さらに新型コロナウイルスによるサプライチェーンの分断といった様々な課題を抱えているのです。
出典:令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計結果の概要 |経済産業省 参照:https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/census/r3result/r3_sokuhogaiyo.pdf
製造業の職種
様々なモノをつくり出す製造業の仕事は、モノを創出する企画・開発から実際につくる製造、完成した製品を販売するところまでに及びます。そのため、製造業では職種によって携わる業務内容に大きな違いがあるのです。
以下で、製造業の職種について詳しくみていきましょう。
営業
営業職の仕事は、つくられた製品を既存の顧客に売り込むだけではなく、新規顧客を得るために市場のトレンドや顧客のニーズをいち早く捉え製品へ反映させていく側面もあります。
そのため、営業職は扱っている製品が、顧客にどのように受け入れられ、使用されているかといった顧客のリアクションをしっかりと把握しておくことが大切です。
また、販売した製品のアフターサービスも、営業職が担う役割の1つになります。
商品企画
商品企画は、市場調査や他社製品との差別化を図りながら、法人顧客や一般消費者にとって魅力的な製品の企画・構想を行う仕事です。
そのため、商品企画の仕事では、実際に顧客と接している営業職から上がってきた情報や、ときには顧客からのクレームから企画のヒントを見出し、既存製品の品質向上や新たな企画・構想を練ることもあります。
生産管理
製造業の生産管理は、製品をつくる時期や数、また生産に応じて必要になる部品や資材などの調達を行います。さらに、生産管理には製品の品質を管理する仕事も含まれているため、生産管理職には几帳面な人や責任感のある人が適しているでしょう。
製造
製造は、設計図をもとに実際に製品をつくり出す仕事です。この製造職には、設計図通りにつくることが求められており、高い技術力を要する職種ともいえます。
また、製造の現場では用意された設計図通りにつくれない場合もあり、その際には問題点を見つけ改善しながら作業を行う必要があります。そのため、製造職には技術力だけではなく、地道な努力を行なえる人が適しているでしょう。
研究開発
製造業の研究開発は、新たな製品の開発や品質向上の研究を行う仕事です。研究開発では、より良い魅力的な製品を市場に送り出すために、既存技術を応用したり最新技術を取り入れたりしていきながら試行錯誤していきます。
そのため、思考の柔軟さや発想力の高さが求めれる職種といえるでしょう。
資材調達
資材調達は、製造に必要な資材や業務に関わる備品、さらに人材や技術、情報といったソフト面にも及んでいきます。
また、企業によっては、資材調達の対象が国内だけではなく国外に及ぶ場合もあるため、常に国内外の価格動向や品質を調査し、自社にとって最適な資材を調達していくことが求められています。
そのため、製造業における資材調達の役割は大きく、企業活動を支える職種といえるでしょう。
宣伝・広報
宣伝・広報の仕事は、世間に対して自社と製品を宣伝することです。近年の宣伝や広報では、ポスターやCMによるPRだけではなく、自社Webサイトやオンライン展示会などのデジタル領域の広報活動も重要となっています。
そのため、製造業の宣伝・広報には広告づくりが得意な人はもちろんのこと、デジタルマーケティングの知識に明るい人も求められているでしょう。
製造業の魅力
製造業と聞くと、単純作業の繰り返しや製造ノルマがきついといったイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。製造業ならではの単純作業やノルマは存在しますが、その一方で製造業だからこそ味わえるやりがいや達成感もあります。
ここでは、やりがいを含めた製造業が持つ魅力について紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
やりがいを感じやすい
製造業のようなものづくりに携わる業種の場合、やりがいを感じやすいでしょう。自分が関わった製品が店頭に並び誰かの手に取ってもらえたり、完成した製品として実際に使用されている瞬間を目にできるのは、製造業の魅力の1つといえます。
福利厚生が充実している
製造業の多くでは、福利厚生の充実や良好な職場環境の提供に力を入れています。労働時間と休日のバランスを適切に取れるように配慮しているため、ストレスを感じにくい職場環境となっているのです。
また、福利厚生だけではなく待遇面にも力を入れており、たとえば社員登用制度を導入している企業もあります。そのため、比較的キャリアアップを目指しやすい業種ともいえるでしょう。
経済規模の大きさ
前述の「製造業が抱える課題」でも解説したように、製造業は我が国の経済を支える産業の1つです。そのため、企業や職種によっては取引先相手が国内の企業に留まらなかったり、また仕事で動かすお金が大きくなったりすることもあります。
製造業の魅力の1つには、日本の経済を支える産業であるということといえるでしょう。
出典:令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計結果の概要 |経済産業省 参照:https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/census/r3result/r3_sokuhogaiyo.pdf
製造業に向いている人材とは?
製造業はモノをつくる製造だけではなく、企画・開発、研究、また営業・販売など様々な職種を持つ業界になります。
多様な職種が存在する製造業に向いている人材には、共通した2つの適性を挙げることができます。製造業への就職を考える際の参考にしてみてください。
細かい作業が得意
製造業の中でも職種によっては、特に細かい作業や地道な作業を得意とする人が求められます。たとえば、現場を任される製造職では、用意された図面や設計書のとおりにつくらなければならず、細かい数字や指示をしっかりと確認し作業を行なう必要があります。
製造業では、細かい作業や地道な作業をミスなく確実にこなせ、そうした作業自体を楽しめる人が向いている業種といえるでしょう。
協調性がある
製造業では個人で作業することも多くありますが、携わる業務内容によってはチームで取り組まなくてはならないこともあります。そのため、一緒に仕事を行う仲間と適切にコミュニケーションが取れ、お互いにフォローし合う姿勢が求められるのです。
製造業の今後の動き
近年における製造業全体の業績は改善傾向にある一方で、工場労働者や高度技術者の人材は深刻となっています。そのため、多くの企業では新卒採用に力を入れているのです。
また、製造業の動きは人材不足への対策だけではなく、時代の流れや技術革新によるグローバルニッチや製品のライフサイクルの長期化、さらにオープンイノベーションの推進なども挙げられます。
上記で挙げた、グローバルニッチなどの製造業の動きについては後述していきます。製造業の今後の動向を知りたい人は、そちらを参考に業界研究を進めてみてください。
グローバルニッチを目指す
グローバルニッチとは、世界市場における隙間市場・分野という意味です。近年の産業構造の変化やニーズに対応するために、グローバルニッチにおいて高い占有率を持つことを目指す企業も増えてきています。
経済産業省では、グローバルニッチの中でもトップとなっている企業をグローバルニッチトップ(GNT)と称し、GNT100社の選定と公開を実施し、さらに資金面や貸付面での支援も行なっているのです。
また、製造業を中心にGNT企業が多く、その中でも中小企業の割合が非常に高い特徴もあります。大手企業だけではなく、こうしたグローバルニッチを目指している企業やGNT企業もあわせてチェックし、業界研究を深めていきましょう。
出典:グローバルニッチトップ企業100選 表彰企業の分析|経済産業省 参照:https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/002_s02_00.pdf
オープンイノベーションの推進
オープンイノベーションとは企業内部の技術革新を促進するために、自社だけではなく外部の技術やアイデアなどを積極的に活用することで、企業内部で新たに生まれた技術を外部に広げて市場機会を増やすことをいいます。
製造業界では、このオープンイノベーションを経営課題と捉えているところが多く、その実現を推進しているのです。
理由としては、今までの垂直統合型のビジネスモデルを軸にした開発環境では、グローバルな分業体制の確立による高品質で低コストな製品化に太刀打ちできなくなるからです。
製品のライフサイクルの長期化を目指す
近年、製品のライフサイクルの長期化・最適化を目指す動きが見られ、価格競争に陥らない事業領域へシフトしていく企業が増えています。
これは、今までにあった「モノ」そのものに対する高付加価値化だけではなく、消費者にサービスや「モノ」にあるバッグストーリーなどの価値を新たに提供し、他社との差別化やブランド化を図ることを狙いとしているのです。
製造業の業界研究の方法
就活で行う業界研究とは、様々な業界に関する情報を収集して業界ごとの特徴を理解することです。そのため、業界研究は自己分析や企業研究と同じくらい大切なものといえるでしょう。
ここでは、製造業における業界研究の目的にはじまり、その方法について紹介していきます。ぜひ、業界研究の参考にしてみてください。
なぜ業界研究が必要かを整理する
業界研究を行う目的は、興味関心のある業界や志望業界をある程度に絞り込み、その業界の知識を深めることにあります。業界研究を行うことで、自分が理解や想像していた業界とのズレを解消でき、業界を正しく知れるようになります。
このとき、自己分析の結果や適性を踏まえながら、業界研究を進めていきましょう。そうすることで、業界が求める人材と自身の素養や興味関心をマッチさせられ、説得力のある志望動機を持つことができるからです。
業界のさまざまな企業を知る
業界研究のファーストステップとして、業界の全体像や構造を知るために様々な企業を知るところからはじめていきましょう。同じ業界でも、事業内容やビジネスモデル、また業界でのシェア率などには違いがあるためです。
事業内容を深掘りする
業界の構造を把握しカテゴライズできたら、次はその特徴や事業内容を掘り下げていきましょう。事業ごとの特徴や事業内の違いをチェックし、自身の興味関心や希望職種を定めていきます。
業界の動向を知っておく
業界の動向を把握しておくことは志望企業の選定だけではなく、将来のキャリアプランを考える上でも役に立ちます。
業界の動向を分析する際に、PEST分析という手法がよく利用されています。このPEST分析とは、政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)といったそれぞれの観点から業界の動向を多角的に捉える手法のことです。
自分の価値観とマッチするかを見極める
業界研究の目的を踏まえて実際に研究を進めていったら、最後は自分の価値観とその業界がマッチするかどうかを見極めていきましょう。
自己分析の結果や適性、あるいは就活で大切にしている基準などと照らし合わせていくことで、自分に合っているかどうかを判断することができます。
製造業の業界研究をして就職活動に活かそう
今回の記事では、製造業の仕組みや課題、職種といった基本知識にはじまり、業界研究の方法などを詳しく紹介してきました。
製造業は、私たちの生活に関わる様々な製品をつくり出しており、さらに日本経済を支える産業の1つでもあります。
業界研究を行なうことで製造業のことを深く知ることができ、納得のいく就職活動にできるでしょう。