HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
教員として働くためには、教員免許を取得するために必要な授業を組み、単位を取らなければなりません。
そうやって努力をしているものの、教員の仕事や給与について不安を感じている方も多いでしょう。
迷いなく教員を目指すためにも、教員という仕事についてきちんと理解しておきたいところです。
そこで今回は、教員の仕事内容や年収について解説します。
教員に向いているのがどんな人なのかも説明するので、教員になりたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
【教員の年収は低い!?】教員とは
教員とは、小学校や中学校、高等学校といった教育施設で、生徒へ勉強や社会規範などを教える職員です。
教員の種類は教授や准教授・助教・校長・教頭・教諭などさまざまで、一般的には広く教育関係職員を含んで教員と呼びます。
そのため、非常勤講師や実習助手といった、常駐しているわけではない職員も教員に含まれます。
なお、基本的に教員となるには教員免許が必要です。
教員免許は、小学校の教員免許や高等学校の教員免許のように、学校の種類ごとに分けられているものだけでなく、養護教諭の免許や栄養教諭の免許のように学校の種類に関係のないものもあります。
ただし、大学の教員に関しては、教員免許は不要です。
大学教員は、研究や実務などの実績をもとに採用されます。
【教員の年収は低い!?】教員の仕事内容
教員は学校で生徒に対し、国語や数学、英語といった各教科の授業を行います。
そのほか、集団生活や道徳・部活動・進路に関する指導へ携わるのも仕事です。
学級経営や学校行事の企画・運営、進路指導、保護者との交流など、その内容は多岐にわたります。
また、生徒の基礎学力を向上させるとともに、思考力や判断力、表現力などを高める手助けもします。
生徒がすこやかに成長し、自立・自律できるように幅広い面でサポートするのが、教員の大きな仕事とも言えるでしょう。
以下では、これら教員の仕事について、具体的な内容を解説します。
授業をする
授業は、教員の主な仕事の1つです。
小学校の教員はほとんどすべての教科を、中学校・高等学校の教員は専門科目の指導を行います。
なお、授業の内容は、文部科学省が定める、学習指導要領の内容に沿ったものになるよう構成する必要があります。
そして、あらかじめ決められた範囲を1年間で履修できるように、授業を進めなければなりません。
また、スケジュール通りに授業を進行するためには、事前準備が必要です。
加えて、授業内で生徒に出した宿題の管理も行います。
ただし、授業の理解度には個人差があり、生徒によって習得できる速度は異なります。
いかにしてその差を埋めていくかという点も、教員が独自に考えて工夫しなければならない重要な仕事です。
生活態度やルールを教える
生活態度や社会規範について指導するのも、教員の仕事に含まれます。
学校は、家族以外の人々と集団生活を送る貴重な経験の場です。
そこで互いに協力し合い、譲り合い、あるいは主張し合うことで、生徒たちは他人とのコミュニケーションを学びます。
教員は生徒たちのコミュニケーションがうまく進むよう、友人関係や風紀に大きな乱れが生じていないか見守り、必要に応じて指導・助言しなければなりません。
教員は、学校内の生活全般における、良き指導者であり良き理解者、良き相談相手であることが求められます。
日々の生活において、広く生徒たちに目を配る必要があるでしょう。
教員の存在は、生徒の勉学に限らず、人格形成にも影響をおよぼすという自覚が大切です。
保護者とのコミュニケーション
生徒はそれぞれに個性をもっており、教員は生徒ごとの性格や素行、考え方などをきちんと把握しておく必要があります。
そのためには、保護者とのコミュニケーションも欠かせません。
年に1度行われる家庭訪問や懇談会で保護者と交流し、学校と家庭で情報を共有します。
学校内だけでの様子だけでなく、自宅での様子も把握することで、生徒を1人の人間として深く理解できれば、はじめて適切な接し方ができるでしょう。
また、保護者との信頼関係を築くためには、連絡帳などによる日々の情報交換も大切です。
担当している数十人の連絡帳を、毎日のように授業の合間をぬって書き連ねるのは、教員にとって大きな負担です。
しかしながら、保護者の安心やトラブル回避のために、おろそかにはできません。
部活動・課外活動
部活動や課外活動における指導も、教員の仕事です。
生徒たちは、部活動や課外活動を通して、仲間とともに目標へ向かって努力することの素晴らしさや、大切さを学びます。
教員は、生徒たちが日々の活動に取り組めるよう、サポートしなければなりません。
具体的な仕事内容は技術指導や安全管理、練習試合のセッティング、公式試合の申し込みといった事務処理、練習・公式試合の引率などです。
審判をはじめとする、大会運営のサポートを教員が行う場合もあります。
なお、これらの仕事は教員同士で分担して行うのが一般的です。
学校によっては、非常勤講師や事務職員が部活動などの指導も業務に含んだ形で採用され、技術指導の一端を担ったり、外部指導者に技術指導を任せたりするケースも見られます。
【教員の年収は低い!?】教員の年収とは
教員を目指すうえでは、年収も気になるポイントかもしれません。
「年収が低い」といった意見を耳にして、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、一口に教員と言ってもさまざまな種類があり、それぞれで年収も異なります。
また、学校の設置者や年齢、勤続年数によっても年収は変化するのです。
将来的に教員としてことへの不安を解消するためにも、パターンごとに年収を知っておく必要があります。
以下では教員全体の平均年収に加えて、私立・公立や、小学校・中学校・高等学校、勤続年数といったパターン別に年収を解説します。
教員の平均年収は400万円程度
教員全体の平均年収は400万円程度といわれています。
日本のサラリーマンの平均年収はおよそ400万円といわれているため、そこまで安い給与ではないと感じる方もいるでしょう。
それでも、教員の中には給与が安いと悩んでいる方も少なくありません。
その理由としては、ベテラン教員が平均年収を上げている、サービス残業・出勤が多い、地域別の格差などがあげられます。
教員は50歳以上、60歳未満の占める割合が大きいため、勤続年数の高さから給与が高いベテラン教員も多く、平均年収が引き上げられていると言えるでしょう。
仕事内容も多岐にわたるため、サービス残業・出勤が必要な場合もありますが、基本的に時間外手当や休日手当はもらえません。
地域ごとに給与額に差がある点も、教員が給与に関して不満を抱く要因の1つです。
しかしながら、教員は公務員なので、安定して給与を得られる利点もあります。
また、学校の種類や勤続年数によっては、同年代のサラリーマンの平均年収より高い年収を得られるケースも多いです。
私立と公立で大きな違いがある
私立の学校か、公立の学校かによっても給与は異なります。
公立学校の場合は税金から給与が支払われているのに対し、私立の場合は、各団体から給与が支払われるため、金額にばらつきがあります。
その結果、公立学校よりも私立学校の教員のほうが年収は高い傾向にありますが「私立学校の給与は公立学校の給与に準ずる」とする慣例があるので、通常は大差ありません。
それでも、それぞれの年収を比較すると10万円前後の差が見られるのは、残業代や休日出勤手当の影響です。
給特法という法律によって、公立学校の教員には残業代や休日出勤手当が出ず、代わりに教職調整額として給与の4%が支給されます。
対して、私立学校の教員には残業代や休日出勤手当が支払われ、さらにその金額は公立学校の教員に支給される教職調整額よりも高いケースが多いです。
その結果、公立学校と私立学校で教員の給与に差が出てしまいます。
小・中・高でも給与に差がある
小学校・中学校・高等学校のうち、どの学校の教員になるかによっても、給与に差があります。
もっとも給与が高いのは高等学校で、平均年収は630万円ほどです。
次に高いのが中学校の教員で、平均年収は612万円ほどです。
ただ、これらの平均年収は正規雇用の教員に限るため、注意してください。
中学校と高等学校では教科ごとに担任する教師が違うため、臨時講師や補助教員といった短期間勤務の雇用形態もよく見られます。
そのような非正規雇用の教員だと、年収は平均よりも大幅に低くなるでしょう。
対して、小学校の教員は基本的に担任教師がすべての教科を教えるため、正規雇用のケースがほとんどです。
しかしながら、小学校の教員の年収は、中学校や高等学校ほど高くはなく、平均で554万円ほどです。
年齢によって給料が上がっていく
教員の年収は、年齢が上がるにつれて給料も上がっていくという特徴があります。
小学校・中学校・高等学校のいずれの教員でも、20代のうちはそれほど給料が高いとは言えません。
しかし、教員は年功序列的に年収が上がり、40代になると年収700万円から800万円ほどになります。
定年退職前の50代前半になると、1,000万円に迫るケースも多いです。
これは、年齢が上がると指導教諭・主幹教諭・教頭・校長といった、役職に就く教員の割合が増えるのも理由の1つと考えられます。
また、教員の給料には勤続年数も大きく関係し、勤続年数が長くなると給料も上がります。
年代が上がると勤続年数が長い教員の割合が増えるのも、年齢によって平均年収が上がっている要因です。
【教員の年収は低い!?】教員に向いている人
教員の年収は一概に低いとは言えず、学校や年齢によってはもらえる給料も高くなります。
しかしながら、そもそも教員という職業が自分自身に合っていないと、いくら年収が高いとしても続けるのが難しいでしょう。
努力して教員免許を取得し教員になっても、実際に働き始めてからギャップを感じ、挫折するケースは少なくありません。
以下では、どんな人が教員に向いているのか解説します。
自分の性格と照らし合わせながら、教員を目指すうえでの参考にしてください。
人に教えるのが好きな人
人に教えることで喜びを感じる人は、教員に向いていると言えるでしょう。
教員の大きな仕事は生徒たちに勉強を教えることなので、それが好きな人はモチベーションを保ちやすいです。
ただ、近年では教師の学習レベルの低下が問題視されており「教えるのが好き」という気持ち以前に、正確な授業を行えるのかが課題となっているのも事実です。
教師という職業は、新米もベテランも、生徒から見れば同じ先生という立場に変わりありません。
そのため、生徒の信頼を得るためにも、自信と責任をもって授業に取り組む姿勢が大切です。
教えるのが好きなだけでなく、自分の受け持つ授業に対して知識と伝える力の両面に自信を持ち、社会人として成熟している人は教員に向いています。
責任感がある人
教員の仕事は将来を担う生徒たちの人生に関わるため、責任重大です。
そして、教員の仕事内容は激務とも言え、残業や休日出勤が多いものの、残業代や休日出勤手当などがもらえないケースも多いです。
また、体育祭や文化祭といったイベントは近隣住民の理解なくして行えないため、きちんと説明しなくてはなりません。
そのため、どのような状況であっても、自分の仕事に責任をもてる人は教員に向いています。
教員として働く以上、あらゆる場面で責任がともないます。
たとえば授業で学力を向上させられるか、体育や部活でケガをしないか、自分の言葉選びは適切か、生徒たちの人間関係を見極められるかなどです。
保護者のほうが安心して学校に自分の子どもを預けられるように、強い責任感をもって仕事に取り組む必要があります。
社交的な人
周りの人たちとすぐに打ち解けたり、場の雰囲気をやわらげたりするのが得意な人も、教員に向いていると言えます。
教員の仕事において、コミュニケーション能力は欠かせません。
生徒との信頼関係はもちろんのこと、保護者やほかの教員との良好な関係なくして、教員の仕事はスムーズに進まないでしょう。
授業や保護者との面談、教員同士の連絡や部活動の練習試合の申し込みなど、教員はあらゆる場面で円滑なコミュニケーションが求められます。
社交的な人であれば、生徒や保護者にも信頼されやすく、ほかの教員や外部の方ともうまく連携できるでしょう。
しかしながら、人とのコミュニケーションが苦手だとしても、積極的に人との関わりをもつことで社交性を身につけることも可能です。
社交性に自信のない場合は、日頃から意識的に人と会話するように心掛けると良いでしょう。
【教員の年収は低い!?】教員になるために
教員を目指すうえでは、その過程も知っておきたいかもしれません。
教員はなりたければ誰でもなれる職業ではなく、必要な条件を満たす必要があります。
教員になるためのポイントは大きく分けて2つで、教員免許を取得することと教員採用試験に合格することです。
大学などで教職課程を履修して教員免許を取得し、各地方自治体や私立学校で行う教員採用試験に合格すれば、教員としての勤務が認められるというのが簡単な流れです。
ただし、教員免許や教員採用試験には種類があり、なりたい教員の種類に合わせて選ばなければならないので注意しましょう。
以下では、教員になるために必要な教員免許や、教員採用試験についてくわしくご説明します。
教員免許を取得する
教員となるためには、教員免許が必要です。
教員免許を取得する方法は主に3つで、大学・短期大学で教職課程を修了する方法と教員資格認定試験に合格する方法、特別免許状を取得する方法があります。
大学や短期大学で教職課程を修了したのちに教員免許を取得するのはもっとも一般的な方法で、教員として必要な知識だけでなく、教育実習で実践を経験できるといったメリットがあります。
また、教職課程を修了しなくても、教員資格認定試験に合格すれば、教育委員会へ申請して教員免許の取得が可能です。
ただし、教員資格認定試験を通して取得できる教員免許は、幼稚園・小学校・特別支援学校のものに限られます。
そして、教員免許状は特定の分野で優れた功績や知識をもっている人に与えられる、特別な免許状です。
この方法で教員になった場合には、通常の教員に教えられないような専門知識や技能を伝えることが求められます。
教員採用試験に合格する
教員免許を取得したあとは、自分が働きたい地域で実施される教員採用試験を受験します。
公立学校の教員採用試験は毎年実施されており、合格者は採用候補者名簿に登録され、面接を経て赴任学校が決まります。
教員採用試験の内容はかなり難易度が高いため、多大な努力が求められるのです。
なお、私立学校の教員を目指す場合には、公立学校の教員採用試験を受ける必要はありません。
私立学校の教員は、学校を運営している法人によって雇用されるため、一般企業の採用試験を受けるようなイメージです。
そのため、募集要項の配布から採用試験のスケジュールまで、学校ごとに異なります。
志望校の採用情報については、前もってきちんと確認しておきましょう。
まとめ
ここまで、教員の年収や仕事の内容、教員に向いている人の例などを解説しました。
教員の仕事内容は授業だけではなく、生徒の生活態度を指導したり、部活動をサポートしたり、保護者とコミュニケーションを取ったりと多岐にわたります。
教員の平均年収はおよそ400万円ですが、給与は学校の種類や勤続年数によって大きく変わるため、一概に教員の年収が低いとは言えません。
また、教員に向いているのは、教えることが好きな人や責任感のある人、社交的な人です。
なお、教員になるには教員免許を取得し、教員採用試験に合格する必要があります。
相当な努力と責任感を必要としますが、将来を担う生徒たちの成長に関わる教員は、やりがいのある仕事であり、目指す価値のある職業です。