【業界研究】水産業界について徹底解説!企業探しのポイントも解説!

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伊東美奈
Digmedia編集長
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

はじめに

就活において、水産業界に興味をもっている方は多いかと思います。

日本は世界でも有数の水産国でもあり、水産学を学べる学校も多く存在しています。

そんな水産業界ですが、具体的にはどのような仕事を行っているのでしょうか。

この記事では、水産業界の具体的な仕事内容や動向、主要企業などについてご紹介します。

就活の際に選ぶべき企業のポイントについても解説しますので、水産業界への就職を考えている方はぜひ参考にしてください。

【業界研究:水産業界】水産業界の仕事内容

水産業界では、魚介類や海藻類などの、海や川などから産する水産物を取り扱います。

これらの水産物は、私たちも普段食事で口にする貴重な栄養源です。

私たちが生きていくうえで欠かせない食糧を供給する仕事でもあるため、水産業界は人々の生活に欠かせない業界です。

水産物を仕入れてくる・それらを人々が手に取りやすいよう加工して販売する・販売ルートを拡大するために営業をかけるなど、多様な職種がこの水産業界に分類されます。

主な業種

水産物の取り扱いに関わる仕事は、すべて水産業界に該当するため、さまざまな業種があります。

肉体労働になるものもあれば、水産物を売り出していかに利益を得るか頭を使う仕事など、多様です。

水産業界は、自分がどのような仕事に就きたいのかを明確にさせておかなければ、就職後のギャップが大きくなってしまいがちな業界です。

ここでは代表的な業種である、漁業と水産加工業についてご紹介しますので、自分がどのような業種に就きたいのか、明確にしておきましょう。

漁業

漁業は、海や川に生息する魚介類や海藻類といった水産動植物の採取・捕獲を行います。

海や川といった自然から資源を採取するため、第一次産業に分類されているのです。

漁業を職業としている人は漁師と呼ばれ、一般的には漁師それぞれが自身の船を所有して、漁に出向きます。

捕獲する魚の大きさや種類によって、それぞれに適した漁の手法があり、一本釣りや定置網漁など、さまざまな手法を駆使して魚を捕獲します。

漁師になるために特別な資格などは必要ありませんが、船を利用する場合は小型船舶操縦士免許の取得が必要です。

水産加工業

水産物を、私たちの家庭に届けるための製品へと加工する業種です。

冷凍食品や缶詰、練り製品など、さまざまな加工方法で製品を作り上げて、市場へと売り出します。

まずは漁師が捕獲してきた魚介や海藻を吟味して仕入れて、それらを加工品ごとに精巧な技術で加工していきます。

こうした加工業は年々機械化されてくる部分もありますが、魚の内臓を取り除く作業などは、今でも手作業で行われていることが多いため、場合によっては技術が求められる職業です。

主な職種

水産業には漁業や水産加工業といった業種があることを説明しましたが、ただ水産物を捕獲・加工するだけが仕事ではありません。

これらはあくまで大きな分類であり、細分化すればそれぞれの業務内容はより細かくなってきます。

それぞれの職種にははっきりとした役割があり、適切に仕事を行っていくことで、水産業としての利益は最大化されるのです。

今回は、水産加工業に焦点を当てて、細かくどのような職種に分類されるのかをご紹介します。

営業

営業とは、自社の利益を上げるための手段として、自社が提供する製品を販売していく職業です。

水産加工業における営業では、水産物を取り扱う小売店に対して、自社で加工した製品を取り扱ってもらえないか提案します。

提案が受け入れられ、契約まで進んだあとも、自社製品のさらなる売り込みや、店舗における売り場作りの手伝いなどといったアフターフォローも欠かさずに行います。

作った製品がいかに売れるか、認知度を得るかは、営業の努力にかかっているとも言えるでしょう。

企画

企画は、製品に対してマーケティングを行い、消費者に自社の製品を買ってもらうような企画の立案をする職業です。

どのような製品を作って売り出すか、企画の提案をもとに商品開発は実施されるのです。

水産加工業の企画職は、水産業界の市場において、消費者が今どのような水産物を買っている傾向にあるのかなどを調査・分析します。

それをもとに、新製品の開発を企画したり、既存商品のリニューアルを検討したりなど、市場の流れに適した戦略体制を整えます。

研究開発

既存の製品をアップデートしたり、新製品の開発などを実際に行ったりするのは、この研究開発という職業です。

水産加工業では、加工品の新規開発やリニューアルにおいて研究開発が必要になります。

また、魚を自社で養殖する場合、どうすれば魚を効率良く育成できるか・ランニングコストを下げられるのかなど、養殖システムの開発も担うケースがあります。

このような業務内容から、ある程度数学的・科学的な知識が求められるため、研究開発は理系向けの職業であると言えるでしょう。

生産管理

生産管理とは、生産に関わる業務全般を管理する職業です。

水産加工業における生産管理は、原材料である魚の処理や加工品を製造するための機械設備の管理や、製品の検品などを行います。

水産物である魚や海藻は生物であるため、非常に痛みやすいです。

加工の際、腐敗している水産物が紛れていないか、従業員の衛生管理は十分であるかなどをチェックします。

機械のチェックや衛生管理といった業務がある生産管理は、研究開発と同様に、理系向けの職業です。

【業界研究:水産業界】水産業界の動向

就職に際して気になる部分の1つは、その業界の今後の動向です。

動向の調査は、市場のニーズや業界の展望など、自身がその業界で働いていく場合に将来的に安泰であるかなどを予測するために重要です。

それでは、水産業界の現在、そして今後の動向はどうなのでしょうか。

水産業界は、その一部が第一次産業でもあるため、動向においてさまざまな課題を抱えていることが現実です。

水産業界の動向として、課題とされている主な部分をご紹介します。

国内では規模が縮小傾向

水産業界は、現在国内において縮小傾向にあるといわれています。

縮小の理由はさまざまですが、漁業生産量の減少や、食の欧米化にともない肉食の文化が広まったことによる国民の魚離れなどによって、消費量の落ちたことが主な原因です。

その一方海外では、水産物が健康食品として注目されつつある点や、寿司などの魚を使った日本食が見た目の美しさから人気となったこともあり、消費量が増加しています。

そのため、水産物の日本の輸出量も増加傾向にあります。

高齢化による担い手不足

第一次産業である漁業は、高齢化による担い手不足も課題となっています。

若い後継者が集まらない理由はいくつかあげられ、どれも対策の難しい課題となっています。

まず1つ目が、収入の不安定さです。

魚は天候や季節によって漁獲量に大きく差が出るものであり、また価格変動の影響を受けやすいため、収入が安定しづらくなっています。

次に、労働環境の過酷さです。

朝早く、夜遅くの漁が続いて十分な睡眠時間を確保できない、重労働などといった理由で若者が疎遠になりがちな仕事となっています。

新しい流通経路の開拓

規模は縮小傾向、担い手不足とはいわれているものの、良い動向もあります。

それは、インターネットの普及による新しい流通経路の拡大です。

今まで生産者は、小売業者や卸売業者に水産物を売るしか販路がありませんでした。

しかし、Amazonや楽天などといったECサイトが登場したおかげで、生産者が直接消費者に製品を売れるようになったのです。

これにより、生産者も自ら加工業を始めるようになったりと、水産業の流通経路の拡大にともない、事業拡大のチャンスも生まれました。

【業界研究:水産業界】主要な企業:3選

これまで水産業界の仕事内容や課題などを説明してきましたが、実際にどのような企業が水産業界でこの日本をけん引しているのでしょうか。

水産業界の主要な企業を3社ご紹介します。

これから紹介する3社はそれぞれ、水産業界における国内の売上高で上位を誇っている企業です。

各企業の事業内容をはじめ、強みや戦略についても説明します。

水産業界への就職を考えている方は、水産業界を代表するこれら企業の経営方針や戦略を、選定の参考にしてみてください。

マルハニチロ

「マルハニチロ」は、水産業界の中でも国内トップの売り上げ・シェア率を誇っている企業です。

漁業や養殖といった生産業はもちろん、加工品の製造や、自社の物流センターによる流通など、さまざまな事業を手掛けています。

活動拠点は国内のみならず、オーストラリアやニュージーランドにも会社があり、魚の調達や加工も海外で行うなど、世界の海で水産業を展開している企業です。

それにともない、外国語の通信研修や資格支援の制度なども充実しています。

日本水産

「日本水産」は、ニッスイの愛称でよく知られる企業です。

冷凍食品や練り製品といった加工食品の発売のほか、物流事業なども展開しています。

また、青魚に多く含まれるEPAという成分に着目して、サプリメントなどの健康食品を開発・提供するファインケミカル事業など、水産資源の持続的利用を心がけたサスティナブルな事業展開をしています。

人材の育成にも力を入れており、社員一人ひとりにおけるキャリアプランの実現を可能な限り支援する施策が豊富です。

極洋

マルハニチロや日本水産に次いで業界での売り上げ第3位を誇る企業です。

水産物の調達や加工、販売を主に行っており、2014年に家庭用冷凍食品事業に参入してからは新工場を竣工するなど、販路の拡大を進めています。

また、一般消費者向けの商品だけではなく、業務用食品を中心に取り扱っており、寿司に使うネタ商材の提供などは極洋の強みです。

研修制度が充実しており、入社前の内定者の段階から通信教育での研修、入社後は年次に応じた知識の習得を目的とした、テーマ別の実践的な研修を実施しています。

【業界研究:水産業界】企業探しのポイント

水産業界を志望する際、どのような基準で企業を選べば良いのでしょうか。

漁業か水産加工か、水産加工ならその中でも営業か企画か、研究開発の道に進みたいのか、さまざまな業種があるため悩むことも多いかと思います。

これらは、自身が興味をもっている分野・仕事にしてみたい分野を選んで応募すれば良いのですが、それ以外で重要となってくるポイントについてもご紹介します。

水産業界に限らず、以下の要素は入社前に必ず調査しておくべきポイントです。

年収

企業で働くにあたり、いくら収入が入ってくるか、年収を把握することが重要です。

まずは、その企業の年収がどれくらいか調べておきましょう。

年収は年次に応じて上がってくるものであるため、まずはその企業の平均的な年収を調査すると良いです。

また、水産・農林業の平均年収は約560万とされています。

日本人の年収の平均は約400万とされているため、水産業の平均年収は日本の平均以上であると言えます。

上記をふまえたうえで、平均年収がいくらであるか、志望先の企業の情報を調べてみましょう。

残業時間

日々の残業時間がどれぐらいなのかも確認しておきましょう。

これは企業にもよりますが、繁忙期は特に業務が多くなり、残業や休日出勤を余儀なくされる場合があります。

水産業界の場合、研究開発職などは、新製品の開発にともなう調査などで遠方に長期出張する場合も多く、出張先での業務や移動などで残業が多くなる可能性もあります。

残業時間が多くなる場合、残業代は残業時間に応じた額が支払われるのか、それとも固定残業代として支払われるのかなども、事前に確認しておきましょう。

勤続年数

年収と残業時間を調べたあとは、勤続年数も可能であれば確認してみましょう。

勤続年数とは、企業に在籍する社員が勤続している年数のことであり、社員全員の平均値が、平均勤続年数です。

日本における水産・農林業界の平均勤続年数は13年半といわれており、これは日本全体の平均勤続年数である12年を少し上回っています。

近年転職する方も多くなっているため、平均勤続年数が長いところは良く、短いところが良くないとは一概に言えませんが、参考程度に把握しておくと良いでしょう。

【業界研究:水産業界】水産業界に求められるスキル

水産業界は、私たちの暮らしに欠かせない業界です。

仕事内容は、海や川での水産物の仕入れから商品開発・販売まで、幅広いものとなっています。

そんな水産業界で働くにあたり、業務に適した専門的な知識は当然必要ですが、それは実際に仕事をしていくことで身についてくる部分でもあります。

それでは、それ以外にどのような知識が必要となってくるのでしょうか。

学生のうちからでも身につけられる、水産業界で求められるスキルについてご紹介します。

水産学の知識

水産業界での仕事において、海や魚などの水産学の知識が必要となる場面は必ず登場します。

学生時代に水産学系の学部・学科を専攻している場合は、その知識を十分に活かせる環境であるといえます。

水産学系を専攻していない場合でも、水産業界への就職を志望すると決めた場合は、水産学について学べる書籍やセミナーなどに参加してみましょう。

何も知らない状況で就職するよりも、ある程度の知識をもっていた方が仕事も幾分やりやすくなりますし、より興味をもてたのであればモチベーションも向上します。

コミュニケーション力

コミュニケーション力はどの業界でもある程度は求められますが、水産業界では必須といえる能力です。

前述の通り、水産業界にはさまざまな業種、職種が存在します。

漁業で仕入れた水産物を水産加工業で製品化して、小売店に営業をかけて販路の拡大をしていく流れは、それぞれの仕事単体で完結するものではありません。

そのため、多くの人々との連携が求められる仕事になるため、水産業界においてコミュニケーション力は必須と言えます。

英語力

水産業界では、仕事において英語力が必要となる場面も出てきます。

マルハニチロなどの業界大手の企業は、海外にも拠点を展開しており、実際の仕事においても英語を利用する機会が多くなってきます。

就職後、海外拠点で働くことも視野に入れておくのであれば、学生時代から英語力を鍛えておきましょう。

海外拠点を持っていたり、海外との取り引きがあったりする企業の場合は、TOEICなど英語系の資格を持っていると、大きなアピール材料になります。

【業界研究:水産業界】水産業界に求められる人物像

水産業界に求められるスキルについて説明してきましたが、それでは、水産業界に適した人物像はどのようなタイプなのでしょうか。

さまざまな業界で共通して求められる人物像もありますが、なかにはその業界特有の要素についての見識や、興味をもち合わせていることが望ましいとされる場合もあります。

水産業界で働くためには、以下の要素をもち合わせている人物が働くのに好ましいとされています。

自身の状況と照らし合わせて、一度考えてみてください。

海や生物に興味がある

水産業界の仕事は海にまつわるものがほとんどです。

そのため、海やそこに生きる生物たちに興味がある人には向いている仕事であると言えます。

特に、研究開発職は水産資源の調査や効率的な養殖システムの開発など、完了まで多大な時間を要する高いモチベーションが必要となる仕事です。

自分の興味があるものならば、地道な研究でもモチベーションを維持したまま続けられます。

このような仕事に就くことを考えている場合は、自分が海や生物に興味をもっているか考えてみましょう。

責任感がある

水産加工業で作られた缶詰や練り製品などの加工品は、実際に人々の口に入ります。

そのため、生産管理などの仕事では、製造現場の衛生管理がしっかりしているか・原材料が傷んでいるなどの不備がないか、責任感をもってチェックする必要があります。

人々の食生活に欠かせない業界であるからこそ、安心や信頼性が高いものでなければなりません。

お客様に安心安全な製品を届けるという、強い責任感をもって仕事に取り組める人が望ましいです。

向上心がある

仕事には、向上心がつきものです。

積極的にチャレンジする姿勢は、どの職場でも良い評価を得られます。

なかでも水産業界は食を取り扱う仕事であるため、製品をいかに売り出すか、向上心をもとに挑戦していく姿勢が重要です。

日常からトレンドに敏感になり、市場のニーズが満たせる製品を新規で企画・開発する、さらなる売り上げを求めて営業で販路の拡大を進めていくなど、誠意をもって果敢にチャレンジできる人材は重宝されるでしょう。

まとめ

水産業界は、人々の食生活に欠かせない水産物を取り扱う業界です。

仕入れとなる漁業やそれを加工する水産加工業がうまく連携することで、人々の食卓に水産物が並びます。

漁業の後継者不足などが課題ではありますが、インターネットの普及によって、生産者が直接製品を販売できる環境も整ってきています。

企業も各自で養殖や商品開発、販売手段を持っており、国内外で水産物の取り扱いが盛んです。

水産業界に興味がある方は、ぜひ選考を受けてみてはいかがでしょうか。

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