理系ってどんなメリットがある?文理選択の考え方を紹介

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伊東美奈
Digmedia編集長
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

はじめに

この記事では、文理選択において重要な理系のメリットと文理選択の仕方を解説します。

これから進路を考える高校生の皆さんの中には、文理選択においていまいち決め手に欠けるという人もいるのではないでしょうか。

現時点での勉強が楽かどうかではなく、将来的な価値も考慮して進路を決めたい人もいるでしょう。

そこでこの記事では、文理選択に必要な理系のメリット・デメリットについて整理します。

将来の進路まで含めて考えたいという人は、ぜひ参考にしてください。

【理系のメリット】文理の違いって何?

まずは文理の違いについて、受験科目や大学の学部などから大まかに説明します。

文系と理系は一概に大きなくくりで分けられますが、何がどう違うのか、正確に把握している人は少ないかもしれません。

大学では、理系と文系によって進学できる学部や学べる内容はまったく異なります。

また、理系学部に入るためには、それにあわせて受験科目を選ぶ必要があるでしょう。

そこで、理系学部にはどんな学部があるのか、受験に必要な受験科目などについて解説します。

受験科目

文理選択によって、もっとも違いが出てくる部分は進学に必要な受験科目です。

共通テストでは、文系は国語、数学1A・2B、英語、理科基礎2つ、社会科目2つを受験します。

一方の理系の一般的な受験科目は、国語、数学1A・2B・英語、理科科目2つ、社会科目1つです。

さらに二次試験になると、学部によっては数学3が含まれる場合も多くあります。

このように、数学3の有無や理科・社会科目が主な違いと言えるでしょう。

理系受験の場合、社会は発展科目でなくてはいけないのに対し、文系は理科基礎科目2つとなっています。

このため、一見しただけでは文系選択の方が簡単なように見受けられるかもしれません。

しかし実際は、理系の基礎科目でも十分難しく、決して文系が有利とは言えないでしょう。

学部

文系と理系は受験科目だけでなく、大学に進学した際の学部も異なります。

文系が進学するのは、文系学部と呼ばれる法学部や文学部、経済学部などです。

それに対して、理系の進学先は理系学部と呼ばれる工学部や理学部、薬学部などです。

それぞれの学部によって学ぶ内容は異なりますが、文系は書物などをもとに学習を進めます。

一方の理系は、理論に基づいた数値計算やそれを証明するための実験が中心です。

この際は数学や物理化学など、高校での学習内容を理解しておく必要があるでしょう。

そのため、理系学部の方が一般的に専門性が高く、高校からの積み重ねが必須となります。

文系の受験科目を勉強した人にとって、理系の学問は難しく感じることが多いでしょう。

【理系のメリット】理系の進路

理系と文系の学生では、卒業後の就職先や仕事内容も異なってきます。

大きな違いは、理系学生の多くが大学受験→大学→大学院→就職という進路をたどることです。

とくに理系は、文系に比べて圧倒的に大学院に進学する学生の割合が高くなっています。

これは学部にもよりますが、世間的に認められるような研究成果を残すには、大学院に進む必要があるからです。

学費も高くなりがちですが、その代わり大学院に進めば専門性を獲得できるでしょう。

したがって、大学院で専攻した専門分野を活かせる企業や仕事を選ぶ人も多くなります。

そのため、就職する企業は同じでも、文系と理系では業務内容も違ってくるでしょう。

文系は営業や経営、企画職が多いのに対し、理系は開発職や研究職につく人の割合が多くなります。

【理系のメリット】理系はメリットが多い

ここまで、文系と理系の違いをさまざまな側面から見てきました。

次に、理系学部に進学することのメリットを紹介します。

理系と聞くと、授業や実験などが多く、つらいイメージを抱く人も多いでしょう。

しかし、理系の学問によって身につく知識やスキル、実績によるメリットは数えきれません。

ここでは、それらのメリットのうち、代表的なものの一部を紹介します。

今までネガティブな印象を持っていた人は、理系に対するイメージをぜひ払拭しましょう。

就職が比較的有利

まず理系は、文系と比べるとエントリーシートが書きやすく、就職が有利になりやすいと言えるでしょう。

これは、授業や実験、実習、研究などを通じて、目に見える実績を獲得しやすいからです。

文系でもサークル活動やアルバイト、ボランティアなどで実績を作ることはできますが、主体的でない人には難しいかもしれません。

一方で理系は、学生の本分である学問にまじめに取り組めば、分かりやすい成果が得られます。

このため、学生時代に打ち込んだことや自分の強みなども分かりやすくなるでしょう。

推薦

理系は就職活動の際に、教授や研究室、学部による推薦制度を使えることもあります。

これは、研究室の教授などにつながりのある企業へと推薦状を書いてもらい、就職先を紹介してもらう制度です。

推薦がもらえれば、文系のように厳しい面接などを乗り切ることなく、就活を終えて研究に集中できます。

また、企業も実績のある大学・研究室から、知識や能力が担保された人材を獲得できるのでWin-Winと言えるでしょう。

しかし、この推薦制度はある程度優秀な成績を残していないと利用できないこともあります。

また、学部や研究室の専攻によっては、就職できる企業はある程度限られてしまうでしょう。

これらの注意点も考慮したうえで、行きたい企業があれば有効な手段と考えられます。

理系需要が大きい

理系が就職に有利なのは、理系学生の需要が大きいことも要因の一つです。

理系は文系に比べ、IT分野に強い、数学力がある、論理的思考力があるなどの強みがあります。

これは専門分野の授業や研究を通じて、これらの能力が高められやすいからです。

もちろん能力には個人差もあるかもしれませんが、研究実績や成果物をもとにアピールしやすいでしょう。

また、IT分野はこれからも発展することが見込まれており、需要は高いと言えます。

とくに情報通信の分野は、専門知識があるかどうかによって大きな差が生まれるでしょう。

これ以外の分野でも、設計・開発職には高度な技術が必要とされます。

そのため、企業側も専門性・能力の高い理系学生を求めているのです。

スキルが身につく

理系は文系に比べて、プログラミングなどのスキルを身につける機会に恵まれていると言えるでしょう。

とくに、これからの社会で生き抜くうえでは、個人のスキルは不可欠になると考えられます。

日本も世界の風潮に習い、年功序列型の雇用制度からジョブ型雇用に転換しつつあるからです。

そのため「何をやってきたか」よりも「何ができるのか」が重要視されるようになってきています。

そこで、今まで以上に履歴書に書けるようなスキルや資格は必要性を増してくるでしょう。

理系学生は、授業や研究を通じてスキルを身につける機会に恵まれていると言えます。

また、これらのスキルを活かせば、基本情報技術者やITパスポートなど取得できる資格の幅も広がるでしょう。

文転できる

理系のメリットとして、もしも合わないと感じたときに、文転が比較的簡単にできることも挙げられます。

大学によりますが、文系は受験科目が少ないことも多く、それも理系と被っていることが多いからです。

例えば、国語、数学1A・2B・英語などは、文系理系に関係なく受験で必要になります。

後は社会科目をしっかり勉強すれば、文系学部を受験することは比較的容易でしょう。

逆に文系から理転するには、専門的な科目を短期間で勉強しなくてはいけないので、難易度が高くなります。

また、大学卒業の就職先としても、文系学生の多い就職先に理系が就職することも可能です。

このように、理系を選択しておいた方が将来的な選択肢の幅は広いと言えるでしょう。

実習が多い

理系学部に入学すると、授業は実習や実験などが多くなり、これもメリットの一つと言えます。

実習で知識を身につけられるだけでなく、座学が少なくなるので、授業全体の満足度が高くなるからです。

座学は、教授の講義を聴いて板書を書き写すだけの作業になってしまい、どうしても退屈してしまいます。

とくに、興味がない内容だと苦痛に感じて出席しなくなり、単位を落としてしまうかもしれません。

一方の実習では、教科書などの知識を体験して学べるので学習効果が高いと言えます。

複雑な理系の理論などについても、実際に目で見ると理解しやすくなるでしょう。

また、実習の多くはグループワークであり、班員と協力して進める必要があります。

これによって同級生との仲が深まり、友達も作りやすいでしょう。

研究とお金が直結しやすい

理系は文系に比べて、自分の研究したことがお金に直結しやすいこともメリットと言えるでしょう。

理系の研究の中には、日本の産業の最先端を担うような技術を開発している分野も多くあるからです。

例えば、MaaSと呼ばれる高性能のIT技術が搭載された自動車の研究はその代表例でしょう。

また仮想通貨やブロックチェーンなど、フィンテックと呼ばれる金融にITを組み込む技術も注目を集めています。

これ以外にも青色LEDの研究など、お金に直結するような研究成果が大学ではたくさん生まれています。

一方の文系は、文学や法学で成果を出しても、学会内での名誉は高まるものの金銭的なプラスは少ないでしょう。

将来的にお金に直結するような分野の知識を得たい人は、理系を選択しましょう。

【理系のメリット】理系にはデメリットもある

ここまで、理系を選択するメリットを受験、在学中、卒業後などに分けて紹介してきました。

理系は就職活動が有利に進むだけでなく、需要の高いスキルも身につけられることがメリットでしょう。

しかし、もちろん理系にもデメリットは存在することを把握しておく必要があります。

そこで、デメリットとして代表的なものを3つ紹介するので、参考にしてください。

文理選択をする際には、メリットとデメリットを考慮したうえで判断することが大切です。

勉強が難しい

理系の一番のデメリットと言えるのは、やはり勉強の難しさでしょう。

理系は高校でも数学3や理科の選択科目など、文系よりも多くの科目を学ばなくてはいけません。

また、理系の科目はただ知識を暗記するだけでなく、使いこなせるように演習が必要とされます。

このため、文系科目に比べれば、理系科目の方がどうしても習得にかかる時間が長くなりがちです。

英語や国語に割ける時間は少なくなってしまうので、文系科目では不利になってしまうでしょう。

大学でも授業内容は高度なことが多く、小テストや演習なども頻繁に実施されます。

単に出席するだけではなく、授業内容をきちんと理解していないと単位を落としてしまうでしょう。

そのため、留年率も文系に比べて高くなってしまう傾向にあります。

学費が高い

理系は文系に比べて、学費が高くなる傾向にあることもデメリットと言えます。

これは、理系学部は授業で必要な機材や設備が多いうえに、研究費も必要となるので仕方ないでしょう。

中でも運営費用をほぼ学生の学費で賄っている私立大学では、とくに高額になります。

また、年単位での学費が高いのに加えて、大学院まで進学することが多いのも原因です。

一般的に大学院には2年間通うことになるので、その分の学費を捻出する必要があるでしょう。

大学に通うお金が足りない場合は、奨学金を借りるという手段もあります。

しかし、奨学金の多くは貸与型で、就職してから返済しなくてはいけません。

このことを認識してきっちり単位を取り、就職活動もこなす必要があるでしょう。

男女比が異なる場合がある

理系は男女比が大きく偏っていることも多く、想像したような大学生活を送れない可能性があります。

農学部や看護学部など一部の例外はあるものの、理系学部の多くは男子が多く、女子が少ない傾向にあります。

とくに工学部や理学部はこの傾向が顕著で、男子学生がほとんどを占める場合もあるでしょう。

さらに大学によっては、文系と理系で別々のキャンパスに分かれている場合もあります。

すると、キャンパスにほとんど異性がいないという状況ができてしまうこともあるでしょう。

多くの高校生は、男女学生が和気あいあいとしているイメージを大学に抱いていると思います。

しかし理系だと、そういった理想のキャンパスライフや青春と呼べるものとはかけ離れてしまうこともあるので、注意しましょう。

【理系のメリット】文理選択の決め手は何にすればいい?

これら理系のメリット・デメリットを理解したうえで、文理を選択する際には何を決め手にすれば良いのでしょう。

まず基本的には、将来のしたいことがあるならそれをもとに文理選択できるのがベストです。

例えば、ロケットを開発したい、プログラマーになりたいといった夢があるなら理系を選ぶべきでしょう。

また、官僚になりたい、作家になりたいというような夢があれば、文系を選んだ方が良いと言えます。

ただ実際には、将来働きたい仕事がない、これといった夢がないという人も多いかもしれません。

そのような場合、得意科目の有無や、数学など理系科目の得意不得意で文理を決めている人が多いようです。

ひとまず、依然日本では学歴が就職に大きく関わってくる以上、進学を第一に考えるのが無難な方法でしょう。

【理系のメリット】迷ったら理系にしよう

中には「数学が苦手なわけではないし、とくに得意科目もない」という人もいるでしょう。

どちらでも大丈夫で文理を迷っている人には、理系を選んでおくことをおすすめします。

これは、理系の方が将来の選択肢を多く残したまま、大学に進学できるからです。

先ほど述べたように、理系から文系に転向することは手間ではあるものの、決して無理ではありません。

一方の文系は、後から理系科目を勉強したり、理系が選ぶ職業に就いたりすることはとても難しくなります。

確かに勉強は難しいうえにキャンパスには華がないかもしれませんが、それでも将来的に使えるスキルや実績を獲得できます。

これらの文系と比べて多くのメリットを考慮すると、理系を選択しておく合理性はあると言えるでしょう。

まとめ

この記事では文理を選択するにあたり、理系のメリットとデメリットについて整理してきました。

文系と理系では、大学受験に必要な科目や進学する学部、卒業後の進路などに違いがあります。

理系は将来的に就職がしやすくなるうえに、需要の高いスキルを獲得できることなどがメリットです。

もちろん理系にはデメリットもあるので、最終的にはそれらも理解して選択する必要があるでしょう。

この記事の内容を参考に、あなたが後悔しない進路を選択できることを願っています。

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