HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就活のとき、多くの方が悩んでしまうのが「ガクチカ」です。
理系の学生の中には、研究活動をガクチカとして挙げたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、ガクチカで研究活動をアピールすることについて、そのメリットや書き方のポイントを詳細にご紹介します。
また、記事の後半では具体的な例文も載せているので、ガクチカを自身の研究活動にしようと考えている理系学生の方はぜひ最後まで読んでみてください。
【実験をガクチカに】ガクチカとは
ガクチカとは「学生時代頑張ったこと」という意味の略語です。
就活の際には必ずといっていいほどガクチカを尋ねられるため、就活生は誰もが自分のガクチカについて掘り下げていく必要があります。
ガクチカとしてアピールすることが見つからない、特に頑張ってやったようなことがないという方も、何か1つは夢中になって取り組んだことがあるはずです。
就活は自己分析から始まるので、最初に自分の学生時代を振り返り、アピールできるガクチカを考えておくと良いでしょう。
【実験をガクチカに】企業がガクチカで見ているポイント
就活の際、企業はなぜガクチカを就活生に尋ねるのでしょうか。
それは、ガクチカには就活生のありのままの姿が現れると考えられているからです。
企業によって見ているポイントは多少異なりますが、多くの場合、就活生の「ポテンシャル」「モチベーションの源泉」、そして「社風にマッチするかどうか」の3つを見ています。
ここからは、この3つのポイントについて解説していきますので、自身のガクチカについて振り返る際の参考にしてみてください。
ポテンシャル
まずはポテンシャルです。
ポテンシャルとは、いわばあなたの潜在能力のことです。
新卒採用において、企業は基本的に就活生のポテンシャルを重視します。
面接のときに特にPRされなかった強みでも、入社後に発揮されるということは少なくありません。
また、隠れた能力のある人材は、それだけで企業の利益になると考えられます。
そのため、どの企業もポテンシャルのある人材を求めているのです。
ガクチカを尋ねるのは、あなたにポテンシャルがあるかどうか、もしポテンシャルがあるならどのような能力なのかを判断するためです。
多少難しいことかもしれませんが、過去の経験などを振り返り、なるべく自分のポテンシャルを示唆できるようなガクチカを作るようにしてください。
モチベーションの源泉
次は、モチベーションの源泉です。
「力を入れる」「頑張る」といっても、人によってそのモチベーションとなるものはそれぞれ異なります。
そして、モチベーションの源泉が何であるかによって、入社後成果が出せるかが変わってくるのです。
たとえば、ガクチカそのものは「バイトを頑張ったこと」でも、理由が「遊ぶお金が欲しいから」と「留学費用を貯めたいから」では、印象はまったく異なるのではないでしょうか。
また、なかにはお金のためだけでなく、社会経験や人間関係構築のためにバイトを頑張った方も多いでしょう。
ガクチカを通じて、企業はあなたのモチベーションがどこから来ているのかということと、それが入社後に発揮できそうかという点を見ているのです。
社風とマッチするか
最後に、社風とマッチするかどうかチェックされるということも知っておきましょう。
もしあなたの価値観と入社した企業の社風が合わないと、モチベーションの低下になるだけでなく、早期離職につながってしまいます。
そのため、企業は社風とマッチしているかをガクチカから判断しようとしているのです。
先ほど挙げた「遊ぶお金を得るためにバイトを頑張った」というエピソードは、企業によっては「不真面目」という印象を与えてしまうおそれがある一方、エンタメやゲーム系の企業であればこの「遊ぶこと」がアピールポイントになるかもしれません。
そのため、ガクチカを伝えるときは、あなた自身の率直な姿を企業に伝えることが大切と言えるのです。
【実験をガクチカに】実験をガクチカで書くメリット
理系の学生の中には、学生時代頑張ったことで実験をアピールしたいと思っている方もいるかもしれません。
応募する企業にもよりますが、一般的に、ガクチカとして実験を挙げるのは大いに有効です。
また、実験の話題をきっかけに、面接時に自己PRとつなげて掘り下げた話をしていくことも可能です。
以下では、実験をガクチカで書くメリットを2つご紹介します。
ガクチカを考える際には、これらのポイントを意識しながら書くと良いでしょう。
ガクチカで求められる目標と目的が明確化されている
1つ目のメリットは、ガクチカで求められる「目標」と「目的」が明確化されているところにあります。
ガクチカを書く際、特に大事なのは「その物事に取り組もうと思った目的」そして「取り組むうえでの目標」の2つですが、実験はこれらの条件を満たしているのです。
そのため、自身の実験内容をそのままガクチカに活用することが可能です。
たとえば、「生物の進化の過程に興味を持ったから」など、自身の考え方や過去に合わせて書いていくだけで立派なガクチカとなります。
実験は、多くの理系学生が行っていることかもしれませんが、就活の際には非常に大きな武器となります。
ガクチカに悩んでいる理系学生は、実験を主軸に文章を考えてみると良いでしょう。
過程をアピールしやすい
理系学生などが実験をガクチカにして書けば、実験過程を具体的かつわかりやすくアピールできるメリットがあります。
普段さまざまな物事を実践する際に、途中の過程を意識して行動している人は確かに少ないかもしれません。
しかし実験の場合は別で、細かく過程や途中経過を記録することは決して珍しくありません。
そのためエピソードの内容として過程を伝えやすく、自分自身でも思い出しやすいため、わかりやすいアピールとしては効果的です。
ガクチカでは、企業は結果ではなく過程やその中で学んだことを重視する傾向が強いです。
過程が明確に記録されている実験なら、具体的に内容を伝えられるということです。
具体的に伝えられるガクチカがない…となったときは、理系学生は実験をガクチカにするのがおすすめです。
業界によってはスキルのアピールにもなる
2つ目のメリットは、業界によってはスキルのアピールにもなる点です。
たとえば、製薬会社の場合を考えてみましょう。
薬学系や化学系の学科に所属して、化学物質を扱う実験をした場合は、それがそのままスキルのアピールにつながります。
また、情報系の学科の方がIT企業を目指す場合も同様です。
もちろん、スキルのアピールとして研究の話題を利用したい場合、業界と自分の分野がマッチしている必要があります。
しかし、逆にこの点さえクリアしているなら、実験をガクチカとして活用しない手はありません。
自分の学んだことを就職でも活かしたいと考えている方や、自分のスキルで入社後に活躍したいと思っている方は、ぜひガクチカで実験をアピールしてみてください。
【実験をガクチカに】ガクチカを書く際のポイント
先ほど述べたように、ガクチカを書く場合、最低限「目標」と「目的」がわかるように構成を練る必要があります。
しかし、人事の印象に残るガクチカにしたいのであれば、より構成にこだわって書いていきましょう。
ガクチカを書く際、ポイントとなるのは「結論から書く」「具体的な数字を用いる」そして「志望企業に合わせた内容にする」という3点です。
これらのポイントを押さえることができれば、人事の目に留まりやすい理想的なガクチカを書くことができます。
結論から書く
まずは結論から書くことを意識しましょう。
結論から書かなければ、読んでいる人は、何についての話題なのか把握することができません。
結果的に、本当に伝えたい内容が曖昧になってしまいます。
特に、就活シーズンの人事は日々大量の書類を目にすることになります。
あまり上手な書き方ができておらず、読み返さなければ何の話題なのかわからないようなガクチカでは、あなたがどれだけ頑張ったことであっても印象に残りません。
それどころか、序盤だけ読んでスルーされてしまうリスクすらあるのです。
しかし、導入部分で端的に結論から述べられていれば、最後まで読んでもらえる可能性は非常に高くなります。
読みやすい文章を作るためにも、最初に結論を持ってくるようにしましょう。
具体的な数字を用いる
結論から書くことも大事ですが、これと同じくらい具体的な数字を用いることも重要です。
ガクチカの内容をより濃いものにし、説得力を強めるためには、数字の記載が効果的です。
この数字は、「週○日研究室に行って勉強した」あるいは「○割効率が上がった」など簡単なもので構いません。
このように、何か数字が入っているだけで、定量的なイメージができるようになるのです。
特に、理系スキルを活かす業界を志望するのであれば、数字はとても大切な要素です。
自分のガクチカに具体性を持たせるためにも、何らかの数字を入れて作るように心がけましょう。
なお、数字を入れれば企業側も内容を理解しやすくなり、ほかの就活生と差をつけられるかもしれません。
志望企業に合わせた内容にする
最後に、志望企業に合わせた内容にすることを意識しましょう。
いくらあなたが頑張ったことでも、志望企業の求めるものとマッチしていなければ採用にはいたりません。
また、入社後に活かせる強みでないと、あなたを採用するメリットがわからないと思われるでしょう。
さらに、業界にまったく関係ない研究の話題だと、研究内容そのものがうまく伝わらないかもしれません。
すると、あなたが取り組んだ研究が浅いものだと判断されてしまうリスクすらあるのです。
もちろん、志望企業に100%マッチさせるガクチカにする必要はありません。
しかし、内容をある程度寄せるなど、なるべく企業の目線に立って作成する努力は必要なので、不安な方は自分のガクチカを再度確認するようにしてください。
【実験をガクチカに】実験をガクチカに書く際の注意点
ガクチカとして実験について書くときは、わかりやすく印象に残る内容にするためにさまざまな点に注意する必要があります。
特に専門的な分野が関わるため、何も考えずに書くと、詳しくない人にとってはわかりにくい内容になることが多いです。
せっかく良い内容でアピールしても、わかりにくいのでは本末転倒で、不採用につながってしまいます。
具体的には、以下の注意点があります。
・応募する企業によって重点は異なるので書き分ける
いずれも実験をガクチカにするときは、十分に注意したいポイントになります。
魅力的なガクチカを書くために、それぞれの注意点について詳細を見ていきましょう。
専門用語を使わない
実験をガクチカにするにあたって、とにかく注意したいのは専門用語をたくさん使わないようにすることです。
具体的に書こうとするあまり、専門用語を使ってしまうと、その分野に詳しくない人は瞬時に内容を理解できなくなります。
アピール内容がどれだけ魅力的でも、伝わらなければまったく意味はありません。
むしろ「わかりにくく、初めて内容に触れる人に配慮できていない」という低評価がつく要因にもなるため、十分に注意が必要です。
たとえ実験内容が志望先企業の業務に関わりのあることだとしても、採用担当者がその分野に詳しいとは限りません。
さまざまな人が自分の書いたガクチカに触れることを想定し、専門的なことについては、誰でもわかるように嚙み砕いて説明しましょう。
応募する企業によって重点は異なるので書き分ける
実験を題材にしたガクチカは、志望先企業によって書き分けが必要な場合があります。
必ずしも使い回しできるとは限らないため、何も考えずに使い回すのは避けましょう。
理由は、エントリーする企業によって重点は異なり、実験内容も活かせる・活かせないはケースバイケースだからです。
実験内容や自分の専門性が活かせる企業に応募するときは、実験内容に重点を置いて積極的にアピールすると良いでしょう。
その専門性こそが能力として強力なアピールポイントになるからです。
一方で直接的に活かされない企業にエントリーする場合は、内容や自分の専門性そのものではなく、過程に重点を置くのが望ましいです。
どのような過程で実験を行ってきたのかというポイントからは、本人の努力や工夫がわかるため、業種・職種問わず評価できるからです。
【実験をガクチカに】ガクチカの構成
ガクチカを書く場合は、先述したポイントを考慮し、一定の構成のもとに考えるとスムーズに進みます。
まずは何に取り組んできたのか結論を述べます。
結論は一番重要なので、端的に、わかりやすい言葉を使って表現すると良いでしょう。
そこから始めた理由、どのような目標を立てたかという流れで続けます。
いわゆる、起承転結の「承」の部分です。
その後、どのような困難にぶつかったのか、それに対してどう対処したか、結果はどうだったかを書きましょう。
これが、起承転結の「転」にあたります。
そして最後にその経験から何を得て、それを今後どう活かすのかという締めくくりでまとめます。
この流れから逸れないようにすれば、誰でもわかりやすいガクチカが書けるでしょう。
【実験をガクチカに】実験をテーマにしたガクチカの例文を紹介
先ほどもご説明したように、ガクチカを書く場合は、一定の構成に合わせて考えることをおすすめします。
しかし、具体的にどのようにガクチカを書いていけば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで、実験をガクチカにする際の例文を、「コミュニケーション」と「継続力」の2種類のテーマに分けてご紹介します。
ガクチカが上手に書けないという方は、以下の文章を基本形として、適宜言葉を変えながら作ってみてください。
コミュニケーション能力をテーマにした例文
私が学生時代力を入れたのは、実験とそれに伴うコミュニケーションです。
私は化学科だったため、グループで実験を行い周りの人と連携する必要がありました。
しかし、私はもともとあまり人とコミュニケーションを取るのが得意ではなく、最初はうまく進めることができませんでした。
そこで、どうにかこの状態を抜け出したいと思い、根本的にコミュニケーションについて考え直すことにしたのです。
その結果、現在では「自分が聞きたいことだけを聞かない」「相手の意見もくみ取る」といった工夫をしています。
このように意識することができ、相手が潜在的に思っていることも引き出すことができ、うまく実験を進めていい結果を出すことができました。
継続力をテーマにした例文
私が学生時代に力を入れたのは大学の実験です。
丸一日かけて結果を見る地道な実験が多かったのですが、思うような研究成果が出ずに、何度も挫折しかけたことがあります。
そのような状況の中でも、諦めたらこれまでの努力が無駄になると思い、最後まで踏ん張りました。
また、周りの人にも頼り、担当教員やメンバーの協力もあったからこそ、何とか研究活動をやり遂げることができたと思っています。
この経験から、私は失敗が起きても挫けず、継続して結果を出すことの大切さを学びました。
これから社会人として働くうえでも、大きな壁にぶつかることは多いと思いますが、研究活動を通して培った持ち前の継続力で突破していこうと考えています。
【実験をガクチカに】こんな場合も大丈夫?
実験をガクチカにするときは、「こんな場合でも大丈夫だろうか」とさまざまな不安や疑問があるものです。
魅力的なガクチカに仕上げるためには、些細な疑問・不安もしっかりと解消しておきたいところです。
そのためここからは、実験をガクチカにするときにありがちな疑問をいくつか紹介していきます。
実験をガクチカにする際は、たとえば以下のようなパターンで不安を抱くことがあります。
ガクチカを書く時点で研究が終わっていない
実験が失敗してしまった
「まだ研究を進めている段階だけど、アピールして良いのだろうか」「そもそも失敗した研究だったけれど、アピールしても大丈夫?」といったように、不安を感じている人は多いでしょう。
それぞれのパターンについて詳しく解説していきます。
ガクチカを書く時点で実験が終わっていない
たとえば卒業研究などを進めている段階のときは、就活中の時期では、研究がまだ終わっていないことも珍しくありません。
卒論に関わるような研究は一大プロジェクトのため、終わっていなくても無理はないでしょう。
また、卒論関係でなくても、「まだ途中の研究だけど、大きな研究なのでガクチカとしてアピールしたい」と考えている人も多いでしょう。
お伝えしてきたように、ガクチカで評価されるポイントは研究内容や結果ではなく、主にその過程です。
そのため研究は終わっていなくても問題はなく、過程をアピールすることで、自分なりの取り組みや工夫が伝われば大丈夫です。
将来的なビジョンも述べ、研究の全容を把握しやすいようにすると良いでしょう。
失敗してしまった
失敗に終わってしまった実験をガクチカにしても良いか悩んでいる人も多いでしょう。
結論からいうと、失敗した実験・思ったような結果が出なかった実験でも、十分にガクチカになるため問題はありません。
思い通りにいくことばかりではなく、むしろ分野によっては失敗の連続…ということも少なくありません。
ガクチカでは結果よりも過程が重視されるため、成功させるために過程で何をしたのかを明確に述べる必要があります。
そのうえで失敗の結果を受けて、何を学んだのか具体的に伝えていきましょう。
「失敗から学び、次に活かすことができる」という誠実な人となりも伝わるため、失敗した実験でも、ガクチカとして魅力的な内容に仕上げることは十分に可能です。
ガクチカの題材を選ぶときは、成功したことや良い成果にばかりこだわらないようにしましょう。
おわりに
ガクチカは、あなただけの頑張りをアピールするとともに、人柄やスキルについても触れるきっかけとなる情報です。
特に、理系の方が実験をガクチカとする場合は、あなたの強みについて企業にアピールしやすいという大きなメリットがあります。
一方、書き方を誤ると、その強みを十分に活かすことができないので注意が必要です。
端的でわかりやすく、自己PRにつながるガクチカを書き、志望する企業にあなた自身をよく知ってもらうようにしましょう。