HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
エンジニアとは、幅広い分野で使われる名称であり、IT系だけに限定しても幅広い種類の業務内容が存在します。
とくに情報化社会が進行した昨今では、情報そのものであるデータを取り扱うエンジニアの需要も増大しています。
今回紹介するデータエンジニアも、そういった情報を扱うエンジニアの一種です。
実際の業務内容やほかのエンジニアとの違い、必要なスキルなどについて解説するので、データエンジニアに興味がある方やエンジニアの種類について知りたい方はぜひ参考にしてください。
【データエンジニアってどんな職種?】データエンジニアとは?
データエンジニアの業務内容は多岐にわたるため、画一的な定義は難しいですが、おおまかに捉えるならば「データを活用するための基盤を作り、基盤を運用しながら膨大なデータを整理する」エンジニアだと言えるでしょう。
昨今は社会のIT化が進展するのに伴って、扱うデータの大きさも膨大なものになってきています。
機械学習などの分野ではとくに大量のデータを使用するため、データそのものを取り扱うプロフェッショナルの存在が必要不可欠です。
そのため、データを整理して分析しやすくするデータエンジニアの需要は高まってきています。
データエンジニアの仕事内容が直接目に見えることは少ないですが、日常生活の意外な部分でその仕事の成果を活用しているというケースも少なくありません。
【データエンジニアってどんな職種?】仕事内容
先述の通り、データエンジニアとはデータを取り扱うプロフェッショナルであり、膨大なデータを必要に応じて整理し有効活用しやすくすることが仕事です。
そして、そのための具体的な業務内容は、以下の3種類に大別されます。
これらの仕事内容は、データを取り扱うエンジニアという点では共通していますが、それぞれ必要とされるスキルや適性は異なります。
本格的にデータエンジニアを目指す前に、まずは自身が考えるデータエンジニア像にいちばん近いのはどれなのかをあらためて確認してみてください。
インフラの構築・設計・運用
膨大なデータを整理するためには、データ専用の基盤を整備しなくてはいけません。
このインフラはデータを収集、補完、加工、分析する際に必須とされるシステムであり、その構築や設計もデータエンジニアの仕事のひとつです。
また、一度インフラを構築すればおわりではなく、その運用と保守もデータエンジニアが担当します。
そのため、インフラ部分を担当するデータエンジニアは、システムに障害が発生した際などとくに迅速な対応が求められます。
さらに、需要の変化や新技術の開発を受けて、インフラの調整や品質向上のための改善を行うことも重要な業務です。
近年では扱う情報量の膨大化とIT技術の発展によって、情報を格納、利用するインフラとして、クラウドサービスが多く利用されるようになりました。
データの加工や整理
近年はIoT家電なども浸透し、日常生活の中から情報を集めること自体はハードルが低くなりました。
しかし多くの場合、集積されたデータはそのままの形ではまったく使い物にならない雑多な情報でしかありません。
この価値のないデータの塊を加工・整理し、活用できる形に変えることもデータエンジニアの重要な仕事のひとつです。
具体的な作業としては、重複データの削除、バラバラなデータ形式の統一、内容ごとのラベリングと整理、必要に応じたデータの更新や削除といったものが挙げられます。
また、グラフなどを使ってデータを視覚的にわかりやすい形式に変換するのも、データエンジニアが担当する業務のひとつです。
場合によっては、データを効率的に加工・整理するためのプログラムやツールを作成することもあります。
AIや機械学習の管理・改善
現在、大量のデータを分析し活用するためには、AIや機械学習の存在が必要不可欠です。
したがって、データエンジニアは自身でデータを整理する技術だけでなく、それをサポートするAI・機械学習に関するプログラミングや運用のスキルも求められます。
また、AIや機械学習の精度を向上させるためには優れた教師データが必要となるので、そのためのデータも用意しなくてはいけません。
教師データの作成にも膨大なデータを扱うことになるので、まずは教師データを整理するためのプログラムを作成し、そこで得られた教師データをもとにAIの改善を進めていくことになります。
場合によっては、AIの運用によって得られたデータからより優れた教師データを作成し、データ作成とAIを高精度化するサイクルを回していくことになるでしょう。
【データエンジニアってどんな職種?】激務なの?
エンジニア業務について調べると、ハードスケジュールであったり、急な呼び出しがあったりといった情報を見かけることが多く、エンジニアは激務であるという印象を持っている方も多いかもしれません。
実際に激務となるかどうかは、それぞれのスキルや職場環境次第ですが、データエンジニアも場合によっては激務となる可能性があります。
データのプロフェッショナルとも言えるデータエンジニアは専門性が高く、社内の人数が少ないケースも珍しくありません。
そのため、1人のタスクが重く、激務となりがちです。
また、そういった状況でシステム障害などのトラブルが発生すると、ほかに対応できる人材がいないため、昼夜を問わず呼び出しを受けることもあるでしょう。
一方、専門性が高い重要な職種なので、年収は比較的高く設定されているのが一般的です。
【データエンジニアってどんな職種?】データサイエンティストとの違い
データエンジニアと混同されがちな職業として、データサイエンティストが存在します。
この2つの職業は、データを活用するために重要であるという点は共通していますが、その役割は大きく異なります。
先述の通り、データエンジニアは集積されたデータを集積し、活用できるようにするためのインフラ整備や整理を行うのが主な仕事です。
一方のデータサイエンティストは、データエンジニアによって整理されたデータを分析し、どのようにデータが有効活用できるのかを考えることが主な業務となります。
データサイエンティストはデータをもとに分析や提案を行うため、人と関わる業務も多いのが特徴です。
なお、実際の現場では、データサイエンティストがデータエンジニアも兼任し、データの収集や整理を担当しているケースも存在します。
【データエンジニアってどんな職種?】データエンジニアに必要なスキル
ここまで見てきたように、データエンジニアはデータを取り扱うプロフェッショナルであり、その業務には専門的な知識や技術が必要です。
その種類も幅広く、データ基盤を構築するインフラの整備の技術、AIや機械学習に関する知識、プログラミングスキルなど、IT関連のさまざまな分野に精通していることが求められるでしょう。
次はデータエンジニアが身につけておくべきスキルの中から、とくに重要度の高いもの、今後さらに重要になってくると予想されているものを4つご紹介します。
プログラミングスキル
データエンジニアはプログラミングがメインの仕事ではありませんが、先述したようにデータの整理に関するプログラムを作成する場合があります。
またAIを活用する際にも、さまざまな場面でプログラム技術は重要です。
そのため、データエンジニアにとっても、基本的なプログラミングスキルは必須だと考えて良いでしょう。
プログラミング言語にはいくつもの種類が存在しますが、今からデータエンジニアを目指すのであれば、Python・Java・Scalaといった言語を学ぶことをおすすめします。
データベースに関するスキル
データエンジニアはデータの加工や整理を行う職業なので、データそのものおよびデータが集積されるデータベース関連の知識やスキルが必要不可欠です。
データとひとことで言っても、その種類はひとつではありません。
CSVファイルなどの構造化データのほかに、文書や画像といった非構造化データが存在し、データエンジニアはそれらすべてを扱えるプロフェッショナルであることが求められます。
そのため、これらのファイルの種類、活用方法、効率的な格納方法などに関する知識やスキルは、身につけておかなければいけないでしょう。
インフラ・クラウドに関する知識
先述の通り、データを取り扱うインフラの整備もデータエンジニア業務のひとつです。
ただし、すべてのデータエンジニアがインフラ整備を担当するわけではなく、職場によっては専門のインフラエンジニアが担当することになるでしょう。
しかし、ネットワークの構築やサーバー、クラウドなどの知識を身につけておくことで、仕事の幅が広がり、ほかのデータエンジニアにも差をつけることができます。
とくにクラウド関係のスキルは、今後より重要性を増すと見られているので、実践的な知識やスキルを身につけておくと良いでしょう。
データ分析に関する知識
データエンジニアは、あくまでデータを使いやすい形に加工・整理するという下準備を行う職業です。
それを分析し活用するのは、データサイエンティストなどの担当であり、データエンジニアが直接自身が加工したデータの分析を担当するケースは多くありません。
しかしデータエンジニアであっても、データ分析に関する知識を持っておくことは大切です。
自身の関わったデータがどのように活用されるのかを知っていれば、より円滑に効果的なデータの加工・整理ができるようになるでしょう。
【データエンジニアってどんな職種?】未経験でも目指せるの?
エンジニアの中には、未経験からの就職が比較的楽な職種も存在しますが、データエンジニアはどうなのでしょうか。
結論から言うと、未経験でデータエンジニアになるのは非常に困難です。
なぜなら、ここまで解説してきたように、データエンジニアはデータを取り扱うプロフェッショナルであり、その業務には高度な専門知識と技術が要求されるからです。
また、要求される知識のジャンルも幅広いため、未経験から目指すのは厳しい道程になるでしょう。
しかし、SEやPG、インフラエンジニアなどといった職業を経由したうえでデータエンジニアを目指すのであれば、目標が実現する確率は大きく高まります。
未経験から直接データエンジニアを目指すよりも、実践的なスキルや知識を学んでからデータエンジニアを目指す方が現実的と言えるでしょう。
【データエンジニアってどんな職種?】役立つ資格は?
次は、データエンジニアを目指すうえで役立つ資格を3つ解説します。
情報のプロフェッショナルであるデータエンジニアは、専門的なスキルをどれだけ身につけているかが評価や給与に直結する重要なポイントです。
そのため、どの程度のスキルを持っているかを明確に示すことができる資格の有無は、就活の成功に大きく関わってくるでしょう。
今回ご紹介するスキルは、データエンジニア以外でも活用できるものが多いので、どのエンジニアを目指すか明確に決まっていない段階でも取得しておくと役に立つかもしれません。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)で試験が実施されている国家資格です。
IPAが区分している情報処理資格の難易度では下から2番目にあたり、より簡単な試験としてはITに関する幅広い知識を問うITパスポートのみが存在しているので、技術者向けの試験としては実質的にもっとも難易度が低い試験として扱われています。
そのため、ITエンジニアを目指すのであれば、まずは基本情報技術者試験を合格することがひとつの登竜門だと捉えていいでしょう。
難易度が低いと言っても、その出題範囲はテクノロジー、マネージメント、ストラテジーとなかなか幅広く、ITに関連する法律の知識なども求められます。
年2回の受験が可能なので、十分に準備をしてから試験に臨みましょう。
オラクルマスター
オラクルマスターは日本オラクルが提供している資格であり、「Oracle Database」の知識を問うものです。
国家試験でこそありませんが、Oracle Databaseは世界でもっとも高いシェア率を誇るデータベース管理ソフトウェアなので、その取り扱いに長けていることを示す本資格の取得は、エンジニアとして働くうえで大きなメリットとなるでしょう。
オラクルマスターはブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの4段階が存在しており、シルバー以上のランクは日本国外で提供されている資格「Oracle Certification Program(OCP)」との連携も可能です。
もっとも低いブロンズランクでもOracle未経験での取得は難易度が高いので、実務経験なしで挑むのであればしっかりとした対策が重要です。
統計検定
統計検定は統計質保証推進協会によって実施、日本統計学会によって認定されている全国統一試験です。
データサイエンティストの登竜門と呼ばれる資格であり、統計に関する知識や活用力が問われます。
先述の通り、データエンジニアであってもデータの分析に関する知識は必要なので、取得しておくとさまざまな場面で役立つでしょう。
統計試験は、4級、3級、2級、準1級、1級の5段階に分かれています。
とくに4級の範囲に含まれるデータの見方や表、グラフに関する知識などは、データの加工・整理にも直接関わってくる重要なポイントです。
統計に関するスキルはAIを取り扱う際にも必要とされるため、今後より多くのAIが普及し、AIエンジニアの需要が高まる中で重要性が増すと考えられています。
【データエンジニアってどんな職種?】将来性は?
次は、データエンジニアの将来性について確認しましょう。
結論から言うと、データエンジニアはITエンジニアの中でも、とくに将来性が高いとみなされている職種のひとつです。
近年は情報化社会の進展に伴い、取り扱うデータの大きさもどんどん肥大化しています。
それらのビッグデータはそのままでは分析・活用できないため、データの加工や整理を行うデータエンジニアの需要も急速に高まっているのです。
また、AIや機械学習がより広く普及することで、学習データの取り扱いに長けたデータエンジニアの出番も増えることになるでしょう。
なお、データを活用するためには加工と分析のセットが必要不可欠なので、データサイエンティストも同様に高い将来性を持つ職業とみなされています。
平均年収について
最後は、気になるデータエンジニアの平均年収について解説しましょう。
データエンジニアは、ITエンジニアの中でもとくに専門的なスキルが多々要求されるデータのプロフェッショナルであり、重要度に対して人数も多くはないため、その年収は比較的高めに設定されています。
データエンジニアの全国平均年収は666.9万円であり、これは400万円から600万円が平均値となっているSEの年収を上回る数値です。
また先述の通り、今後のさらなる発展が期待される将来性の高い職業なので、平均年収が上がる可能性も大いに考えられるでしょう。
より高収入を目指すのであれば、インフラやデータ分析に関する知識を身につける、資格を取得するといった対策で、ほかのデータエンジニアとの差別化をはかることも重要です。
まとめ
データエンジニアは集積されたデータを加工・整理し、活用できる形に変えるプロフェッショナルです。
あまり表舞台で目立つことはありませんが、情報社会を陰から支える非常に重要な職業だと言えるでしょう。
多くの専門的知識が要求されるため、未経験での就職は極めて難易度が高く、ほかのエンジニアとして経験を積み、必要な知識や技術を身につけてから転職するルートが現実的です。
平均年収が高く将来性も有望な職業なので、しっかりと長期的な計画を立て、ぜひデータエンジニアを目指してみてください。