
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
就職活動のエントリーシートでは、「困難を乗り越えた経験」が頻繁に問われます。
この設問を通して企業が知りたいのは、あなたの思考力や行動力、人柄といった内面の強さです。
しかし、どのような経験を選び、どんな構成で伝えるかによって、評価は大きく変わります。
本記事では、書くべき内容からNG例、例文まで徹底的に解説し、説得力あるES作成をサポートします。
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【ES×困難を乗り越えた経験】企業がエントリーシートで聞く理由
就職活動において、エントリーシート(ES)には志望動機や学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)などを書く欄がありますが、特に「困難を乗り越えた経験」を求める質問には明確な理由があります。
この質問の背後にある企業の意図を正しく理解することが、効果的なES作成の鍵となります。
ここでは、企業がこの質問を通じて知りたいことや、どのような視点で答えるべきかについて詳しく解説します。
人柄の確認
企業が「困難を乗り越えた経験」を問う背景には、あなたの人柄を深く知りたいという意図があります。
目標達成に向けて努力する姿勢や、問題解決への意識、さらにその過程で発揮された忍耐力を具体的に知ることで、応募者がどのような価値観や行動原理を持っているのかを理解するのです。
たとえば、あなたがどのような問題に直面し、それを解決するためにどんな工夫をし、どのような成果を上げたかを伝えることで、企業はあなたがどういった人物かをイメージできます。
そのため、この質問に答える際には、ありきたりなエピソードを避け、具体的かつ自分らしさを活かした内容を選ぶことが重要です。
入社後のイメージ確認
企業が「困難を乗り越えた経験」を聞くのは、入社後のあなたの活躍をイメージするためでもあります。
この質問に対する回答を通じて、あなたがどのように業務に取り組み、長期的に成果を上げていけるのか、さらに困難な状況でも前向きに努力し続けられるのかを見極めようとしているのです。
特に、挑戦心や継続力、適応能力などは、社会人として重要な資質です。
そのため、エピソード選びでは、単に困難を乗り越えた結果だけではなく、その過程でどのような行動や考え方をしたのかを具体的に記述しましょう。
これにより、企業側は「この人なら一緒に働ける」と安心感を持てるようになります。
目標達成に向けて努力できるかの確認
企業が「困難を乗り越えた経験」を質問する背景には、「目標を立てて、それに向けて粘り強く努力できる人材かどうか」を見極めたいという意図があります。
ビジネスの現場では、指示を待つだけでなく、自ら課題を設定し、達成に向けて行動する姿勢が求められます。
その際に重要になるのが、目的意識の明確さと、それを実現するまでのプロセスを考え抜く力です。
目標に対してどのような段階を踏んで努力を重ねたか、また途中で障害があった際にどのように工夫や改善をしたかという点に、企業は注目しています。
そのため、エピソードを語る際には「どんな目標を持ち」「何を乗り越え」「どうやって結果に結びつけたのか」を具体的に伝えることで、達成意欲の高さと自己成長への意識をしっかりアピールできます。
困難に直面した時の対処法の確認
企業にとって、困難な状況に直面した際にどのように対応するかを事前に知ることは非常に重要です。
職場では、学生時代とは異なる多様な問題が次々と発生します。
その際に、応募者が冷静に対応し、効果的な解決策を見つけられるかどうかを確認したいと考えています。
この質問に答える際には、具体的な困難の内容、対応策、周囲との協力やコミュニケーション、そしてその結果を順を追って述べることが大切です。
さらに、失敗や学びを含めることで、あなたがどのように成長したかをアピールできます。
企業はこのプロセスを通じて、あなたが組織の一員としてどのように貢献できるのかを見定めています。
ストレス耐性の確認
企業が困難を乗り越えた経験を通して確認したいもう一つの重要なポイントが「ストレス耐性」です。
社会人として働く以上、どの職種であっても業務のプレッシャーや人間関係、突発的なトラブルなど、さまざまなストレス要因に直面する場面があります。
それをどのように受け止め、どのように自分の感情や行動をコントロールできるかが、長く働けるかどうかに直結してくるため、企業側にとって重要な判断材料になります。
「困難=ストレス」ではなく、「困難に向き合う過程でどう冷静に対処し、どんな工夫をして乗り越えたか」が問われているのです。
そのため、自分が過去に感じたプレッシャーや葛藤、それをどう捉え、どう解消したかという具体的な行動を交えて語ることが、信頼につながります。
【ES×困難を乗り越えた経験】魅力的なエントリーシートを作成するには
就職活動において、エントリーシート(ES)は全ての就活生が提出する重要なツールです。
しかし、多くの応募者の中から企業の目に留まるためには、工夫が必要です。
ただ単に書きたいことを書くのではなく、企業が求めるポイントを押さえながら、魅力的で印象に残る内容を作成することが大切です。
ここでは、少しでも良い印象を与えるES作成のコツを具体的に解説します。
エピソードは具体的に
ESの説得力を高めるためには、エピソードを具体的に描写することが重要です。
たとえば、単に「私は困難を乗り越えました」と書くだけでは、読み手には何も伝わりません。
その困難がどのようなもので、どのように行動し、結果として何を得たのかを詳細に記述することで、リアリティと共感を生むことができます。
具体例を挙げると、「部活動の大会前にリーダーとしてチームが抱える課題を解決した経験」や「アルバイトでのトラブル対応から学んだこと」など、実際の行動とその影響を具体的に描くと良いでしょう。
また、数字や事実を盛り込むことで、エピソードの説得力をさらに高めることができます。
徹底した自己分析
自分らしさをしっかりと伝えるためには、まず自分自身を深く理解することが欠かせません。
そのためには、表面的な性格や経験にとどまらず、「なぜそう考えるのか」「なぜそれが得意だと思えるのか」といった内面の動機や価値観まで掘り下げる自己分析が必要です。
自己分析を徹底することで、自分にしか語れないエピソードや考え方が見つかり、他の応募者と差別化されたエントリーシートを作成できます。
また、自分の強みだけでなく、弱みや苦手なことにも向き合うことが、説得力のある内容につながります。
自分の特徴をしっかりと理解し、それを具体的な行動や結果と結びつけて伝えることが重要です。
企業研究・業界研究
説得力のあるエントリーシートを作成するには、業界や企業に対する深い理解が必要不可欠です。
「なぜその業界を志望するのか」「なぜその中でも御社を選ぶのか」という問いに対して、自分の言葉で説明できる状態を目指しましょう。
そのためには、企業のホームページやIR情報、説明会、OB訪問などを通じて、事業内容や求める人材像、社風、業界内での立ち位置などを調べておく必要があります。
単なる「興味があります」ではなく、「自分の価値観とこの会社の理念が一致している」と具体的に語れることが大切です。
企業研究を徹底することで、「この会社で働きたい」という思いを本気で伝えることができ、評価されやすくなります。
企業視点で考える
エントリーシートでは、自分の強みや経験をアピールするだけでなく、それが企業にどう貢献できるかを伝える視点が求められます。
企業が求めているのは、「自社で活躍できる人材かどうか」です。
そのため、自分の強みをただ列挙するのではなく、「御社の○○という業務で、この強みがこう活かせる」といったように、企業視点で表現することが重要です。
応募企業の事業内容や業務の特徴を踏まえ、「自分の経験がその中でどう役立つか」を具体的に示すことで、説得力が格段に上がります。
企業視点を持つことは、志望度の高さや主体性を伝えるうえでも効果的です。
相手の立場になって考えることを意識しましょう。
【ES×困難を乗り越えた経験】構成
エントリーシートで「困難を乗り越えた経験」を魅力的に伝えるには、エピソードの内容だけでなく、文章の構成力が重要です。
特に読み手に伝わりやすい流れを意識することで、あなたの行動や成長が具体的に伝わります。
ここでは「結論→行動→変化→学び→展望」という5段階のフレームをもとに、効果的な構成のポイントを解説します。
また、PREP法を取り入れることで、論理的かつ説得力のあるES作成にもつながります。
PREP法とは、面接やエントリーシートなどで説得力のある文章や話し方をするためのフレームワークの一つです。
PREPは「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(再主張)」の頭文字を取ったもので、簡潔に論理的な構成で伝えることができます。
まず最初に結論から述べることで、聞き手や読み手に伝えたいことを明確に示します。
次に、その理由を説明することで納得感を高めます。
さらに、具体的なエピソードや事例を加えることで信頼性が増し、印象に残りやすくなります。
最後にもう一度結論を繰り返すことで、メッセージを強調し、相手に伝えたい内容が確実に届きます。
PREP法を意識することで、話の流れが整い、相手にわかりやすく伝える力が身につくため、就活のあらゆる場面で活用することができます。
①結論
文章を始める際には、どのような状況でその困難が起きたのかを簡潔に説明することが大切です。
たとえば、「私は大学の研究活動において、大きなプロジェクトでメンバー間の意見対立に直面しました」といった形で、概要を明確に述べることで、読み手はそのエピソードがどのようなテーマなのかをすぐに理解できます。
また、概要では、具体的な場面を描写しつつも長くなりすぎないよう注意が必要です。
導入部分で背景や状況を的確に伝えることで、文章全体の読みやすさが向上します。
さらに、興味を引く要素を盛り込むことで、読み手の関心を強く引きつける効果が期待できます。
②困難をどのように乗り越えたのか
困難を乗り越えるために、あなたがどのような行動を取ったのかを具体的に説明しましょう。
「努力した」「頑張った」などの抽象的な表現ではなく、実際に行った行動や、その時の思考プロセスを詳しく述べることが重要です。
たとえば、「意見対立を解消するために、メンバー全員の意見をリスト化し、共通点と相違点を整理するミーティングを行いました」といった具体例を挙げることで、あなたの行動力や問題解決能力が伝わりやすくなります。
また、この過程ではどのような課題に直面し、それをどう克服したのかを掘り下げて述べることが大切です。
自分自身の取り組みや周囲との協力も記載することで、エピソードがより信頼性を持つものになります。
③乗り越えた後の変化
困難を乗り越えた結果、あなた自身にどのような変化があったのかを明確に伝えましょう。
企業が特に注目するのは、内面的な成長や考え方の変化です。
たとえば、「この経験を通じて、他者の意見を尊重しながら効率的に合意形成を図るスキルを身につけました」といった形で、具体的な成長を述べると効果的です。
また、自分自身の成長だけでなく、その変化がチームやプロジェクト全体にどのような影響を与えたのかも説明すると、エピソードに説得力が増します。
さらに、この経験から得た学びを次にどう活かそうとしているかを少し触れることで、読み手にあなたの成長意欲を強く印象付けることができます。
④経験から学んだこと
困難を乗り越えた経験をエントリーシートや面接で伝える際には、「その経験を通して何を学んだのか」を明確に示すことが非常に重要です。
ただ単に努力したことや結果を述べるだけでは、自分の成長や学びが読み手に伝わらず、印象に残りにくくなってしまいます。
「どんな課題に直面し、どのように乗り越えたか」という流れに加え、その過程で得られた気づきや、自分の改善すべき点に気づいてどう意識を変えたかを伝えることで、成長意欲の高さを効果的にアピールできます。
たとえば、「他者に頼ることの大切さを知った」「事前準備の重要性を実感した」など、学びを言語化することで、自己理解が深い人物だという印象を与えることができます。
企業は、過去の経験から学び、それを今後に活かそうとする姿勢を重視しているため、必ず「学んだこと」と「これからにどう活かすか」までセットで伝えましょう。
⑤入社後の展望
最後に、この経験で得た学びやスキルを、志望する企業でどのように活かしたいのかを述べましょう。
「この経験で得た課題解決力を、貴社の〇〇プロジェクトで活用し、チーム全体の目標達成に貢献したい」といった形で具体的に示すと、仕事に対する意欲が伝わります。
また、企業が抱える課題や求めている人材像に関連付けて書くことで、より説得力のある内容となります。
さらに、自分のキャリアビジョンを簡潔に述べ、企業でどのように成長していきたいかを伝えると、熱意がより一層強調されます。
こうした展望を盛り込むことで、「この人なら当社で活躍できる」という印象を与えられるでしょう。
【ES】困難を乗り越えた経験が思いつかない時には?
人生では大小さまざまな困難に直面しますが、ESに記載する際はその中からビジネスや自分の成長に関連づけられるものを選ぶ必要があります。
しかし、「これといったエピソードが思いつかない」と悩む就活生も多いでしょう。
そんなときは、視点を変えたり、自己分析を深めることで新たな気づきを得ることができます。
以下では、エピソードを見つける具体的な方法を紹介します。
熱中した経験から考えてみる
困難とは、目標や達成したい目的があるときに、その実現を阻む問題や課題として生じるものです。
そのため、何かに熱中した経験や一生懸命取り組んだ体験を振り返ることで、自然と困難を見つけることができます。
たとえば、部活動での厳しい練習や大会前のプレッシャー、学業での難しい課題や研究テーマへの挑戦などが挙げられます。
また、その過程でどのような壁にぶつかり、それをどう乗り越えたのかを丁寧に掘り下げることで、具体的なエピソードが浮かび上がるでしょう。
目標に向かって努力した過程を思い出し、その中に困難を克服した要素が含まれていないかを探ることが重要です。
もう一度自分自身のことを見つめてみる
エピソードが思い浮かばない場合、自分自身を深く見つめ直してみることも効果的です。
当時はさほど大きく感じなかった出来事でも、振り返ってみると成長のきっかけとなった重要な経験だったことに気づくことがあります。
たとえば、「クラスのまとめ役として意見を調整した経験」や「アルバイトでお客様対応に苦労した場面」など、日常的な活動の中にもヒントが隠れています。
また、困難と感じた出来事だけに注目するのではなく、その背景や自分の感情を思い返すことで、新たな視点が得られることもあります。
一度立ち止まって過去を振り返る時間を設け、自分の価値観や行動の傾向を探ることで、適切なエピソードを見つけやすくなるでしょう。
一番努力したことを探す
これまでの人生で「一番努力したこと」に注目するのも良い方法です。
努力とは、何かしらの壁を乗り越えるための過程そのものですから、困難を克服したエピソードと重なる部分が多いはずです。
たとえば、受験勉強や資格取得のために計画的に取り組んだこと、チームプロジェクトでリーダーシップを発揮したことなどが挙げられるでしょう。
もちろん、それが楽しいだけで困難と感じなかった場合は適さないかもしれませんが、努力の過程でどのような工夫をしたのかを考えることで新たな発見があるかもしれません。
また、自分が最も努力した場面を深掘りすることで、自分自身の成長や学びに気づきやすくなり、エピソードの候補が自然と浮かび上がってくるでしょう。
【ES×困難を乗り越えた経験】困難を課題解決に変える思考法
エントリーシートで「困難を乗り越えた経験」を書くとき、多くの就活生が「どこまでが困難なのか」「日常の小さな壁でも良いのか」と悩みます。
実は、困難の大小よりもそれをどう捉え、課題としてどのように向き合ったかが評価されるポイントです。
ここでは、困難のレベルを段階的に整理し、課題解決型の伝え方に変換するための思考法を紹介します。
「困難」のレベルを定義する
困難と一口に言っても、その性質や影響の範囲には幅があります。
そこで、伝える内容を整理するために「困難のレベル」を定義してみましょう。
レベル1は「自分自身の課題」。
たとえば、苦手科目を克服した、プレゼンが苦手だったが克服したなど、個人的な挑戦が該当します。
レベル2は「身の回りの課題」。
アルバイト先で非効率な作業を改善した、サークルでの人間関係を調整したなど、身近な環境への働きかけです。
そしてレベル3は「組織・構造的な課題」。
サークルのルール改善、新しい取り組みを立案・実行した経験などが該当します。
このように分類することで自分のエピソードがどの程度の難易度かを把握しやすくなり読み手にもわかりやすく伝えられます。
言い換えを上手に使う
困難を伝える際に重要なのが、表現の工夫です。
よくあるのが「マニュアルを覚えるのが大変だった」といった個人的で抽象的な表現。
しかし、このままでは読み手にとって課題の深刻さや改善の努力が伝わりにくくなります。
そこで、「困難→課題→解決」の視点に変換して言い換えましょう。
たとえば、「既存のマニュアルが複雑で、新人のミスが多発していた」という形で「職場全体の課題」として再定義し、「図解入りの簡易マニュアルを自主的に作成した」と具体的な行動を示します。
さらに「ミスが30%減少した」という成果で締めると説得力が大きく増します。
このように、エピソードの視点や主語を少し変えるだけで「自分の困難」から「周囲を巻き込んだ課題解決」へと印象が変わるのです。
【ES】困難を乗り越えた経験は特別な体験じゃなくても良い!
就活のエントリーシートで「困難を乗り越えた経験」を問われると多くの学生が「自分には特別な経験がない」と悩みます。
しかし、企業が本当に知りたいのは、派手な成果ではなくあなたがその困難にどう向き合いどう考えて行動したのかという「過程」です。
たとえば、授業での苦手克服や人間関係の調整、アルバイトでのトラブル対応など、日常の中にも立派な困難は存在します。
大切なのは、その経験を通じてどんな気づきや学びがありそれが今の自分にどう影響しているかを言語化することです。
特別な体験でなくても深掘りされた内容ならば十分に人柄や価値観を伝えることができます。
【ES×困難を乗り越えた経験】避けるべきエピソード
エントリーシートにおいて「困難を乗り越えた経験」は自己PRの材料として非常に有効ですが、選ぶエピソードによってはマイナスの印象を与えてしまうこともあります。
特に、仕事とは関係のない私的な内容や、採用担当者が評価しづらいテーマを選んでしまうと、かえってあなたの意図が伝わらなくなる恐れがあります。
ここでは、ESで避けるべき困難エピソードの例とその理由について解説します。
失恋などのプライベートな内容
就活において「失恋」や「友人関係のトラブル」など、私生活における出来事をエピソードとして選ぶのは避けたほうが無難です。
確かに個人としては大きな困難であったとしても、それを仕事にどう活かせるかが明確でない限り、採用担当者に伝わりづらく、評価につながりにくくなってしまいます。
また、プライベートな話題に偏りすぎると「ビジネスとの線引きができない」「仕事と感情の分離ができない」といったネガティブな印象を与えることもあります。
ESでは、ビジネスの現場でも通用する課題や挑戦を題材に選ぶことを心がけましょう。
身内の不幸話
家族や親しい人の不幸といった深刻な出来事も、ESのエピソードとしては控えるべきです。
このような話題は読む側の心理的な負担が大きく、内容の真意が伝わりづらいことがあります。
また、自分自身の行動や判断、成長の要素が希薄になりやすく、企業が評価したい「主体性」や「課題解決力」が伝わりません。
ESでは、あくまでも自分が直面した課題やチャレンジ、その結果として得た学びを中心に構成することが大切です。
そのため、外部要因に依存するエピソードより、自らの行動によって状況を変えた経験を選ぶようにしましょう。
目標が低い困難
たとえば「毎日10分勉強を続けた」といったような努力は、一見頑張ったことのように思えても、目標の水準が低いと採用担当者からの評価にはつながりにくくなります。
企業は、目標に対してどれほどの困難があったか、またそれにどう向き合い、乗り越えたのかという「行動と過程」に注目しています。
目標が低すぎると「チャレンジ精神が不足している」「主体性に欠ける」と捉えられるリスクもあります。
ESでエピソードを選ぶ際は、自分なりに努力を重ね、達成のために工夫や改善を行った経験を選びましょう。
一定の壁を乗り越えるストーリーが、あなたの成長や意欲を伝える鍵になります。
【ES×困難を乗り越えた経験】参考例文
「困難を乗り越えた経験」は就活で頻出のテーマですがどのように伝えるかによって評価は大きく変わります。
本見出しでは、部活動・サークル・アルバイト・研究など実際のエピソード例とあわせて、企業が評価する視点や表現の工夫を解説します。
採用担当者がどこに注目しているのかを知ることで、より説得力のあるエントリーシート作成が可能になります。
部活動
高校時代、私は陸上部のキャプテンを務めていましたが、全国大会を目指す中で、メンバーの意識にばらつきがあり、練習が思うように進まない状況が続いていました。
私はキャプテンとして、この状況を改善し、チーム全員が同じ目標に向かえる環境を作ることを決意しました。
まず、メンバー一人ひとりに目標や練習に対する不満をヒアリングし、その結果を基に練習内容を全面的に見直しました。
さらに、具体的な目標設定を共有し、メンバー同士で進捗を確認し合う仕組みを導入しました。
定期的にミーティングを行い、問題点や改善策を話し合うことで、チーム内の連携も強化しました。
これにより、練習の質が向上し、チーム全体の士気が高まりました。
結果として、地区大会で優勝し、目標としていた全国大会への出場を果たすことができました。
この経験を通じて、チームの意識統一と計画実行の大切さを学びました。
これらの経験は、今後の職場でのリーダーシップや課題解決に活かせると確信しています。
サークル
大学で所属していた地域ボランティアサークルでは、活動が単調になったことでメンバーの参加率が低下し、存続の危機に直面しました。
私はこの状況を打破するため、まず問題の原因を明確にすることから取り組みました。
メンバー一人ひとりに意見を聞き取ったところ、活動内容に新鮮さが欠けていることや達成感が薄れていることが主な理由だと分かりました。
そこで、地域住民との交流を目的としたイベントを新たに企画し、清掃活動と組み合わせることで、メンバーが楽しみながら地域貢献を実感できる形に変更しました。
また、活動後に成果を振り返る場を設け、充実感を高める工夫も加えました。
結果として、メンバーの参加意欲が向上し、新しい参加者も増えたことでサークルの活動を無事に継続することができました。
この経験を通じて、問題の本質を捉える力と、実行力の重要性を深く実感しました。
この学びを活かし、社会人としても課題解決に積極的に取り組みたいと考えています。
就活コンサルタント木下より

「存続の危機」という困難に対し、感情的にならず「原因を明確にすること」から始めた点に冷静な分析力と課題発見能力を見ています。メンバーへのヒアリングで本質的な課題(活動のマンネリ化)を特定し、新たなイベントを企画・実行する一連の流れは、企画力と実行力の高さを証明しています。自ら動いて組織の課題を解決した経験は、入社後も主体的に業務改善に取り組める人材だと評価されるでしょう。
アルバイト
飲食店でのアルバイト中、ピークタイムの人手不足が原因でオーダーミスが頻発し、店舗運営に支障をきたす状況が発生しました。
お客様からのクレームが増加し、このままでは店舗の信用が損なわれると感じた私は、問題の改善に積極的に取り組むことを決意しました。
まず、スタッフ全員を集めて問題点を共有し、業務の流れを詳細に分析しました。
その結果、役割分担が曖昧で作業が重複していたことが主要な原因であると判明しました。
そこで、私は新しい業務フローを提案し、オーダー担当、調理補助、配膳係といった役割を明確化する仕組みを導入しました。
また、効率向上を目的として、各役割間の連携を強化するための簡易的なコミュニケーションツールも導入しました。
これにより作業効率が劇的に向上し、オーダーミスが大幅に減少しました。
結果として、売上が回復し、スタッフ全体の士気も高まりました。
この経験を通じて、チームで協力し合うことと、明確な役割分担の重要性を学びました。
この学びを今後の職場での課題解決やチームワークの向上に活かしたいと考えています。
就活コンサルタント木下より

このエピソードはビジネスの現場で起こる問題解決の縮図です。採用担当者は、一人のアルバイトという立場ながら、店舗全体の課題を「自分事」として捉え、改善に乗り出した主体性と当事者意識を高く評価します。「業務フローの分析」「役割の明確化」といった具体的な改善策は、優れた業務改善能力と論理的思考力の表れです。売上回復という成果は、ビジネスへの貢献意欲を示す強力なアピールとなります。
インターン
大学時代、営業職のインターンに参加した際、初めての商談でプレゼン資料が不十分だったため、顧客に納得してもらえず、契約を得られませんでした。
私はこの失敗を教訓に、次回の商談に向けて準備を徹底的に行うことを決意しました。
まず、顧客のニーズを細かくヒアリングし、それに基づいて市場調査を行い、具体的なデータを活用した資料を作成しました。
さらに、上司や同僚に資料をレビューしてもらい、指摘を反映させることで内容を改善しました。
また、プレゼンの練習を何度も繰り返し行い、想定される質問にも備えました。
その結果、2回目の商談では顧客の期待に応える提案ができ、契約を無事に獲得することができました。
この経験を通じて、徹底した準備の重要性と、改善を重ねる姿勢の大切さを実感しました。
特に、他者からのフィードバックを柔軟に取り入れることで、自分の成果を最大化できることを学びました。
この学びを今後の業務においても活かし、チームで成果を出しながら課題解決に取り組みたいと考えています。
就活コンサルタント木下より

企業は「失敗から何を学び、次どう活かすか」という学習能力と成長意欲を重視します。この例文では、一度契約を逃した失敗をバネに、「ヒアリング」「市場調査」「レビュー依頼」「練習」という徹底した準備を行っており、PDCAサイクルを回せる素養があると評価されます。他者のフィードバックを素直に受け入れる柔軟な姿勢も、組織で成長するために不可欠な要素として好印象を与えます。
受験
高校時代、第一志望校への受験勉強を進める中で、模試の結果が思わしくなく、大きな焦りと不安を感じました。
この状況を打破するため、まず自分の学習方法を見直し、苦手科目を徹底的に分析しました。
そして、優先的に取り組むべき課題を明確にした上で、苦手分野に特化した学習計画を立てました。
さらに、同じ志望校を目指す友人とグループ学習を行い、お互いの弱点を補い合うことで理解を深めました。
また、進捗を確認し合うことでモチベーションを維持し、効率的に勉強を進めることができました。
夜遅くまで勉強に励む日々が続きましたが、その努力が実を結び、最終的に志望校に合格することができました。
この経験から、目標達成には計画的な努力と自己管理が不可欠であることを学びました。
特に、周囲の協力を得ることで、課題をより効果的に解決できることを実感しました。
この経験を基に、社会人になってもチームの力を活用しながら目標達成に向けて努力を続けていきたいと考えています。
就活コンサルタント木下より

受験勉強は個人の戦いですが、その中で「友人とグループ学習を行う」など、周囲を巻き込みチームとして成果を最大化しようとする姿勢に注目します。自分の弱点を客観的に分析し、計画を立てて実行するプロセスは、目標達成に向けた自己管理能力と計画性の証明です。個人的な目標でありながら、他者と協力する大切さを学んだという視点は、入社後の協調性やチームワークへの期待を高めます。
ゼミ活動
大学のゼミ活動でグループ研究を進めていた際、研究テーマの設定を巡ってメンバー間に意見の相違が生じ、議論が行き詰まる状況に陥りました。
期限が迫る中、このままでは計画が遅れてしまうと感じた私は、まず全員の意見を整理し、各メンバーが特に重要視しているポイントをリスト化しました。
その上で、共通点と相違点を明確にし、互いに妥協できる部分とできない部分を具体的に話し合う機会を設けました。
さらに、教授に相談し、専門的な視点からアドバイスをもらうことで、テーマの方向性を具体化しました。
最終的に、全員が納得する形で研究テーマを決定し、計画通りに研究を進め、無事に発表を成功させることができました。
この経験を通じて、意見の調整を円滑に行う力や、リーダーシップの重要性を強く学びました。
特に、相手の考えを尊重しつつ、チームとして最善の結論を導き出す力を身に付けたと感じています。
この経験を活かし、職場のプロジェクトでもチームで成果を上げられるよう尽力したいと考えています。
就活コンサルタント木下より

メンバー間の意見対立という、ビジネスの現場でも頻繁に起こる困難に対し感情的にならず仲介役を果たした点に高度な調整力とコミュニケーション能力を見ています。「意見のリスト化」や「共通点・相違点の明確化」といった具体的な行動は、論理的な合意形成(コンセンサスビルディング)能力の高さを示しています。リーダーシップを発揮してチームを成功に導いた経験は、将来のプロジェクトリーダー候補としてのポテンシャルを感じさせます。
留学
留学中、現地の学生とのコミュニケーションがうまくいかず、グループディスカッションで孤立することが多くありました。
特に、言語や文化の違いが原因で自分の意見を適切に伝えることができず、チーム内で信頼を得るのに苦労していました。
私はこの状況を改善するため、毎日スピーキング練習を行い、自分の意見を簡潔かつ的確に伝える力を鍛えました。
加えて、現地の文化や習慣を学び、相手の視点を理解しようと努めました。
さらに、授業外でも積極的に現地の学生と交流を持ち、意識的にコミュニケーションを図るよう心掛けました。
その結果、意見をスムーズに伝える力が向上し、グループ内での信頼を徐々に得ることができました。
最終的には、プロジェクトリーダーとしてディスカッションをまとめる役割を担うまでに成長しました。
この経験を通じて、異文化環境における柔軟性と適応力を身につけることができました。
今後はこの経験を活かし、どのような環境においても前向きに挑戦し、成果を上げられるよう努めていきたいと考えています。
就活コンサルタント木下より

ピーキング練習、文化学習、積極的な交流)を起こしている点に、高い主体性と環境適応能力を評価します。最終的にリーダーを任されるまでに信頼を勝ち得たという結果は、その粘り強さと人間的魅力を証明しています。どのような環境に置かれても、自ら道を切り拓き、成果を出せるグローバル人材としての素養を感じさせます。
研究活動
環境負荷の少ない新規高分子材料の開発研究に取り組んでいます。
石油由来プラスチック代替を目指し、植物由来原料から生分解性ポリマーを合成し、その物性を評価することがテーマです。
研究当初は目標とする強度と生分解性の両立が最大の課題でした。
解決のため、関連論文の精読や[具体的な分析手法、例:NMR、SEMなど]を用いた構造解析を通して、分子構造と物性の相関を徹底的に分析しました。
その分析に基づき、[具体的な工夫、例:触媒の種類変更、反応温度の精密制御]といった独自の合成プロセスを考案し、粘り強く試行錯誤を重ねました。
結果として、目標強度を維持しつつ、従来材料と比較して[具体的な改善数値、例:30]%高い生分解性を持つ新規ポリマーの合成に成功しました。
この研究活動から、課題に対する多角的な分析力、仮説検証を繰り返す粘り強さ、そして目標達成のための論理的思考力を深く学びました。
就活コンサルタント木下より

このエピソードからは、非常に高い論理的思考力と粘り強さが伝わります。「論文精読」「構造解析」で課題を分析し、「独自の合成プロセス考案」という仮説を立て、試行錯誤を繰り返す姿は、まさに科学的な課題解決プロセスそのものです。「30%高い生分解性」といった具体的な数値で成果を示せている点も、客観的な事実に基づいており説得力があります。緻密な分析と根気強い実行が求められる職務への適性が高いと評価されるでしょう。
ボランティア活動
地域の子供たちが多様な文化に触れる機会を創出したいと考え、NPO法人〇〇が主催する国際交流イベントの企画・運営ボランティアに大学2年次から参加しました。
私が主に担当したのは、子供向けの体験型プログラムの企画です。
当初、参加者の反応が乏しいという課題に対し、アンケートやヒアリングで原因を分析。
[具体的な改善案、例:世界の遊びを体験するブース設置や、参加型のクイズ]などをチームに提案し、準備段階からメンバーと密に協力して実現しました。
当日は、子供たちの目線に合わせた対話を心がけ、積極的に交流を図りました。
結果、参加した子供たちの笑顔が大幅に増え、事後アンケートでも満足度の高い声を多くいただきました。
この活動を通して、多様な価値観を持つ人々と協働する力、相手のニーズを汲み取って形にする企画力、そして課題発見から改善までを主体的に行う実行力を養いました。
就活コンサルタント木下より

採用担当者は、子供たちの「反応が乏しい」という課題に対し、アンケートやヒアリングで相手のニーズを正確に汲み取ろうとする姿勢に注目します。その上で具体的な改善案を企画し、チームで実現に導くプロセスは、企画力と協働性の証明です。参加者の満足度向上という「顧客視点」での成功体験は、マーケティングやサービス業など、顧客満足が重要な職種で特に高く評価されるでしょう。
趣味
趣味は大学から続けているバンド活動でのギター演奏です。
昨年、学園祭ライブに向けた練習中に、メンバー間の技術レベルや音楽性の違いから一時チームの雰囲気が悪化し、練習が停滞するという困難に直面しました。
ライブの成功が危ぶまれる状況で、私はまずメンバー一人ひとりと対話し、意見や不満を丁寧にヒアリングしました。
その上で全員で目標を再確認し、互いを尊重するルールを設けました。
また、[具体的な行動例:技術差を埋めるためのパート編曲を担当したり、全員が納得できるような練習方法を提案したり]するなど、具体的な解決策を実行しました。
結果、バンドの一体感が回復し、本番ではそれぞれの個性が光る演奏ができ、成功を収めることができました。
この経験から、目標達成には、対話を通じて相互理解を深め、課題解決に向けて周囲を巻き込みながら主体的に行動する調整力が重要だと学びました。
就活コンサルタント木下より

趣味のバンド活動というプライベートな領域においても、チームの目標(ライブの成功)のために主体的に行動している点に、その学生の本質的な人間性や価値観を見ています。技術や音楽性の違いというデリケートな問題を、「対話」を通じて解決しようとする姿勢は、優れたコミュニケーション能力と調整力を示しています。仕事と直接関係ないからこそ、その人の持つ課題解決への意識が本物であるという印象を与えます。
【ES×困難を乗り越えた経験】面接対策
エントリーシートに「困難を乗り越えた経験」を書いた後に待っているのが面接です。
面接ではESに記載した内容をさらに深掘りされることが一般的で事前の準備が合否を大きく左右します。
特に「あなた自身の介在価値」「選択した理由」「学びの活かし方」など、就活生の思考や主体性を問う質問が多く出されます。
ここでは、そうした深掘り質問への答え方のポイントを具体的に紹介します。
深掘り頻出質問
「困難を乗り越えた経験」に対する面接での深掘り質問には、いくつかの定番があります。
たとえば、「その困難はあなたがいなくても解決したのでは?」という質問では自分がどのように主体的に関わったのか、チームや環境に対してどんな価値を提供したのかを明確に伝えることが求められます。
また、「なぜその行動を取ったのですか?他にどんな選択肢がありましたか?」という質問には行動の背景にある思考や判断基準を丁寧に説明することで、思考の深さをアピールできます。
さらに、「その経験から得た学びを、当社でどう活かせますか?」という問いでは企業研究をもとに具体的な業務やポジションと結びつけて答えることで貢献意欲の高さが伝わります。
これらの質問に対して事前に準備しておくことが、面接突破のカギとなります。
まとめ
「困難を乗り越えた経験」は、自己成長や課題解決力をアピールする絶好のチャンスです。
重要なのは、困難そのものよりも、それにどう向き合い、どう変化したかを具体的に伝えること。
本記事で紹介したポイントや構成を参考に、あなたならではの経験を魅力的に言語化しましょう。
納得感のあるエピソードが、企業に強い印象を与えるESへとつながります。
就活コンサルタント木下より
採用担当者は、キャプテンという立場での強いリーダーシップと当事者意識に注目しています。 単に練習を厳しくするのではなく、「メンバーへのヒアリング」「練習内容の見直し」「仕組みの導入」という具体的なプロセスを踏んでいる点から論理的な課題解決能力を評価します。 チームの士気を高め、全国大会出場という明確な結果に繋げた経験は、入社後も組織をまとめ、高い目標を達成できる人材であるという強い期待感を抱かせます。