HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
トヨタ自動車は日本を代表する自動車メーカーとなっており、世界規模で見ても、極めて大きな自動車メーカーです。
世界での販売台数ランキングではトヨタグループ全体で3位(2018年)、単独のブランドでは世界1位となっています。
今回は、トヨタ自動車を会社経緯から財政や、業績、今後の戦略まで分析を行います。
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トヨタ自動車の歴史をチェック!
トヨタ自動車は「自動車」から始まったのではなく、一般には馴染みのあまりない「織機(しょっき)」にあるとされます。
参考:トヨタ自動車公式HP「トヨタのあゆみ」 「織機」とは糸から織物を作る機械のことで、経糸(たていと)に緯糸(よこいと)を交互に組み合わせる機械のことを指します。
そしてこの糸を高速に組み合わせて、織物を製造することから非常に高い技術が求められました。
この織機で大きな成果を上げ、培った技術を元に「豊田自動織機」の新規事業として 1933年「豊田自動織機」内に自動車部が設立されたのがトヨタ自動車のルーツとなります。
一番初めの試作機は、エンジンは原理的な構造のシボレー車を、車のフレームは丈夫な構造のフォード車をモデルとして制作されました。
当時日本で広く普及していたフォード車やシボレー車の補給部品を購入者が利用できるようにするためです。
1938(昭和13)年に挙母工場第1期工事が完了し、実際に生産に移っていきます。
その頃には既に「ジャスト・イン・タイム」の起源となる考え方が提唱されていました。
*「ジャスト・イン・タイム」とは「必要なものを,必要な量だけ,必要なときに」生産または調達することによって在庫の管理をする必要がなくなること。
トヨタが発明したとされ、全世界のメーカーが真似した新しい生産方式。
当時の社長である豊田喜一郎氏が以下のように述べています。
無駄と過剰のない事。
部分品が移動し循環してゆくに就いて『待たせたり』しない事。
「ジャスト、インタイム」に各部分品が整えられる事が大切だと思います。
これが能率向上の第一義と思います。
「ジャストインタイム」の考え方は、トヨタ自動車に深く根付いている考え方の一つですので、しっかりと押さえておきましょう。
1950年頃になると、日本国内が豊かになり、自家用車が一般人にも購入しやすくなります。
同時期に、クラウンやコロナなどの、今にも続く代表ブランドが販売されるようになります。
1960年になるとカローラやハイエースなど、今にも続く製品が大ヒットして国内トップのシェアを固めていきました。
海外展開をはじめ、北米に進出しています。
その後は社長の豊田章一郞氏や奥田碩氏によって海外展開を推し進めていくことになります。
2009年、現在の社長である豊田章男氏が社長に就任。
就任当時は、非常に厳しい門出でした。
リーマンショックの影響があり、トヨタ自動車が4,610億円の赤字を計上。
58年ぶりの赤字に転落したタイミングでした。
さらに厳しい状況は続きます。
2009年、2010年には主戦場のアメリカにて車が勝手に急加速するということで、大々的に報道され、トヨタバッシングが起こりました。
最終的には「トヨタ車に器械的な不具合はあったものの、電子制御装置に欠陥はなく、急発進事故のほとんどが運転手のミス」として発表されましたが、そこに至る前でには連日のトヨタに対するマスコミの批判が殺到し、社長である豊田章男氏が米国の公聴会に呼ばれ、事態の説明などを行うなど、対応に追われました。
2011年には、東日本大震災が起こります。
当然ながらトヨタ自動車も影響を受けるだけでなく、国内の需要も大きく、落ち込んでしまいました。
これらの強烈な体験が元になり、豊田章男氏には強い危機感があります。
特に近年の豊田章男氏が提唱する
という考え方も、このままでは自動車メーカーはいずれ厳しい時代がやってくるという考えに根付いています。
また、ソフトバンクと新技術面で提携したり、Uberと協業を行うなど、 新しい取り組みを行なっています。
トヨタ自動車で求められる人材は
豊田章男氏の発言を元にトヨタ自動車の戦略の動き、求められている人材にフォーカスしていきます。
勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬか
自動車業界が、今まさに大きな激変期を迎えており、覚悟を持って新しいチャレンジに取り組まなければならないと豊田章男氏は語っています。
【関連記事】トヨタ社長が「生きるか死ぬか」と呼んだ 100年に一度の戦いとは?
「トヨタを車の会社からモビリティー(移動性)の会社に変えるのが私の目標だ」
単なる自動車を作るのではなく、移動型のサービスまで取り組む必要があると語った。
その後、自動運転や配車サービスなどにも取り組んでいきます。
【関連記事】トヨタ社長・自工会会長・モリゾウ…発言で振り返る自動車業界の激動
「もっといいクルマをつくろうよ」
豊田章男氏が社長に就任以来言い続けているメッセージ。
車としての性能だけでなく、運転していて楽しい車など、もっといい車を作っていこうとする姿勢。
読み取れる採用したい人材像
ここに挙げたように豊田章男氏は国内トップの企業のCEOにも関わらず、非常に強い危機感を持っていることがわかります。
そしてこれらの考え方は当然、トップの考え方として、採用の現場社員も意識して採用活動を行なっています。
そのため安定思考の学生は求められておらず、 新しいチャレンジを次々と行なうことに前向きな、フロンティア精神をもった人材が求められています。
そして一方、豊田章雄氏は世界有数の自動車会社のトップにも関わらず、自身がレースドライバーになったり、最新の自動車をテストしたり 「自動車好き」の面も色濃くなっています。
そういった意味でも、自動車に対する絶対的な興味も重要と言えるでしょう。
決算状況を分析!
次に、トヨタ自動車でのIRの分析を行います。
まずは直近5期分の主要指標です。
<【引用】有価証券報告書> 直近の5年間の売上や利益についても着実に積み上げていることがわかります。
また売上だけを見ても29兆円をあげています。
売上高や生産台数から推し量れる、1台あたりの売上高や原価はおおよそ以下の通りです。
一台当たりの平均売上高:279万円 一台当たりの平均原価:240万円 「売上高」は、日本国内だけでなく発展途上国を含めた世界全体での平均価格、「原価」の項目は、原材料だけでなく製造にかかる人件費なども含めた総額です。
数字だけを見ると「かなり原価が高く儲かりにくいビジネスである」という印象があるでしょう。
実際に原価率を計算してみると279万円の自動車の製造原価が240万円= 原価率:86%と算出されます。
販売に関連する経費などを含めると実質的な利益率(いわゆる営業利益率)は、わずか7.2%です。
つまり トヨタ自動車すらそこまで高い利益率を確保できないということです。
自動車業界の競争が非常に厳しい状況を表しているともいえます。
他の製造業の利益率も5%前後と低いため、トヨタ自動車の数値は比較的高い部類ですが、利益率が圧倒的に高いわけではありません。
また、トヨタ自動車における特筆すべき点としては、 国内生産量を300万台を死守する方針を打ち出していること。
<トヨタ自動車のポイント> 生産台数300万台とはトヨタ自動車の総生産台数の30%を占めています。
30%と聞くと少ないのでは?と思うかも知れませんが、国内ではトヨタ自動車は163万台しか売れていないので、国内生産量を300万台を死守するというのは大きな目標です。
他の大手自動車メーカーでは総生産台数の20%にも満たない場合がほとんどなのですが、あえてトヨタ自動車では国内で30%を占める生産するとしています。
理由について豊田章男氏は 「人材育成や最先端の技術開発を進めるため。
さらに、高い生産性を発揮するために必要な台数が300万台である」と述べています。
これらの点から、他の完成車メーカーと比べても短期的な利益追求にとらわれず長期的目線で経営を考えた結果の独自戦略と言えます。
それでは、次に給与面などをみていきましょう。
平均年齢は39.2才となっており、年収が831万円となっています。
<【引用】有価証券報告書> 一般的な年収としてはDODAが発表している年齢別の平均年収があります。
【関連記事】平均年収ランキング これによると39才で494万円となっています。
この水準を比較すると、 同社の年収が比較的高いことがわかります。
他のメーカーと比べても、比較的高い水準となっています。
また勤続年数の観点も15年を超えており、 安定して就業することができる会社と言えるでしょう。
また従業員が愛知県に集中しているのも、トヨタ自動車の特徴といえます。
トヨタ自動車における従業員の所属事業所は、一部の静岡の研究所を除き、 ほぼ全て愛知県内の工場やオフィスに所属しています。
おわりに
この記事では、トヨタ自動車についての分析を行ってきました。
特にトヨタ自動車の歴史を振り返りや社長の豊田章男氏の発言などを振り返りながら、同社がどう言った人材を求めているのかを分析していきました。
特に豊田章男氏の発言にもあるような、チャレンジ思考や自動車に対しての興味関心は重要となっていきますので、しっかりと対策しましょう。