HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
ある特定の分野について専門性の高い知識やスキルを必要とする専門職は、一般の仕事と違って免許や資格を取得しなければならないケースも多く、敷居が高いと感じている学生も多いかもしれません。
しかし、大学や大学院で学んだことを最大限に活かせる仕事でもあり、「一つのことを突き詰めたい」という学生にとってはおすすめの仕事とも言えるでしょう。
ここでは、専門職の中でも特に理系の学生におすすめの仕事を紹介していきます。
【理系におすすめ!】そもそも専門職とは?
就活活動をまじかに控えた学生の中にも、「専門職という仕事がどのようなものなのか」ということについて十分に理解している人はあまり多くないかもしれません。
専門職とはいったいどのような仕事なのでしょうか。
専門職について明確な定義というものはありませんが、一言で表現するのであれば「ある特定の分野について高い知識やスキルを有し、その知識やスキルを活かして企業の業績や社会に貢献する仕事」ということになるでしょう。
その分野についての知識やスキル、経験のない人がいきなり次の日から専門職として働くことはできません。
仕事に就くためには国家資格や免許を取得することを求められることがほとんどです。
専門職として代表的なものとしては弁護士や公認会計士といった仕業、医師・看護師・薬剤師・介護士などの医学系の仕事、教師や警察官、消防士といった仕事があります。
また、理系の分野で言えばエンジニアなども専門職の一つに含まれます。
【理系におすすめ!】理系に特化した専門職にはどんな仕事がある?
上記のように専門職というと法律関係や医療関係の仕事が多いイメージがありますが、理系に特化した専門職にはどのようなものがあるでしょうか。
ここでは数ある専門職の中でも、特に理系の学生のおすすめの専門職を紹介します。
研究開発職
理系の学生のおすすめの専門職の一つが「研究開発職」です。
食品・医療・科学系メーカーなどでは理学部や工学部、農学部、薬学部など多くの理系学部出身者が研究開発職として活躍しています。
多くの企業では、修士課程や博士課程を修めていることが採用の条件となっています。
研究開発とは基礎研究や既存の技術の応用研究によってこれまでには存在しなかったような新しい技術を開発し、その技術を製品化することで将来的に人々の生活を豊かで便利なものにする仕事です。
一般的には研究開発と一括りにされることが多いですが、企業では研究職と開発職に分かれている場合がほとんどで、研究職によって生み出された技術を開発職が製品化するといったイメージです。
製品設計職
理系のスキルを活かせる専門職としては「製品設計職」もおすすめです。
製品設計職は先ほど紹介した研究開発職と混同されやすい仕事ですが、厳密にはまったく別のものです。
多くの企業の場合、研究開発は新しく発見した技術を製品化するためのアイディアを企画するのが仕事ですが、製品設計職は実際に製品化するための設計を行うのが仕事です。
つまり、製品設計職は研究開発職の頭の中のイメージを設計図として図面に起こすという実務的な仕事を担当することになります。
具体的な仕事内容としてはCADシステムやコンピュータグラフィックスを使用して設計図を書き起こしたり、設計図をコンピュータに取り込んで設計データのシミュレーションを行ったりして、品質の高い製品を無駄なく生産するためのシステム設計を行います。
品質管理職
理系におすすめの専門職の3つ目が「品質管理職」と言われる仕事です。
メーカーにとって製品の品質というのは売り上げや企業イメージに直結する非常に重要なファクターであり、十分な品質管理を行うために専門的なスキルを持った人材が求められます。
品質管理職の仕事は多岐にわたりますが、基本的には製品の製造工程を計画し実行するのが主な仕事内容です。
システム稼働後も生産工程を細かにチェックし、生産性や安全性に問題が出ないようにトラブルを未然に防ぐことも品質管理職の大切な仕事です。
また、万が一にも生産工程の中で不良品の発生などが見られた場合には、問題の原因を究明し、再発防止のためのシステム改善にあたります。
システムエンジニア
システムエンジニアの仕事は簡単に言えばクライアントの求めるシステムの設計や構築を行う仕事です。
具体的な仕事の流れは次のようになります。
このようにシステムエンジニアはシステム設計全体に関わることが多いので、情報処理やプログラミングの知識が必要になります。
技術営業職
技術営業職とは文字通り営業職の一種です。
営業職というと文系学生のイメージが強いですが、技術営業職は一般的な営業職とは少し性格の異なる仕事です。
技術職としての専門的な知識やスキルを活かしてクライアントに営業活動を行う仕事となります。
たとえば医療機器や計測機器のように専門性の高い製品の場合、その製品の良さをクライアントにアピールするためには製品情報を正しく伝える必要があります。
また、高い品質を実現するためにどのような技術が使われているかについても十分な知識を持っていなければなりません。
その場合、エンジニアとしても通用するだけの高度な専門知識が必要となるため、技術者としてのバックグラウンドを持つ社員が技術営業職として営業にあたります。
【理系におすすめ!】専門職になるにはどうしたらいい?
「専門職として働きたいけれど、どうやったら就職できるのかよくわからない」という学生もいるでしょう。
これまでの説明してきたように、専門職という仕事には特定の分野についての高度で専門的な知識やスキルが求められるため、国家資格や免許を取得しなければ就職できないという仕事がほとんどです。
これから紹介する理系におすすめの専門職については就職するにあたって資格や免許が必要ありませんが、内定のためには十分な能力があることをアピールしなければなりません。
研究開発職
研究開発職になるために絶対に必要となるような資格や免許はありません。
基本的には大学や大学院などで理系の研究室に所属し、高度な専門知識やスキルを身につけるために日々努力することが一番の近道と言えるでしょう。
とはいっても大手企業の研究開発職は優秀な学生が多数応募してきますし、企業によっては新卒採用のほとんどが学校推薦によって決まることもあるので競争率はかなり高くなります。
厳しい競争に勝ち抜くために資格や免許を取得してアピールするのもおすすめです。
製品設計職
製品設計職についても研究開発職同様に就職にあたって必要となる資格というものはありません。
基本的には工学系の知識があると有利ですが、他の理系分野でも特に不利となるようなことはないでしょう。
ただし、仕事の性格上、機械設計技術者試験(3級)やCAD利用技術者試験(2級)などの民間資格を取得しておくと仕事をするうえで役立ちますし、製品設計職として活躍したいという熱意を採用担当者にアピールすることにもつながるのでおすすめです。
品質管理職
品質管理職も就職のために必須の資格というものはありませんが、ぜひ持っていたい資格として2つの資格を紹介します。
1つ目が「品質管理検定(QC検定)」で、品質管理に関する知識や改善能力があることの証明となります。
2つ目は「マネジメントシステム監査員検定」です。
内部監査員になるための条件としている企業もあります。
また、能力に関してはリスクマネジメント能力や論理的な思考が求められるので、面接でアピールしてみると良いでしょう。
コミュニケーション能力も大切です。
システムエンジニア
システムエンジニアになるために取得するべき特定の資格はありません。
業界的には人手不足なので、未経験者を採用する企業も多くあります。
何も資格がない人はITスキルや論理的思考力、プロジェクト管理能力などをアピールしましょう。
取得しておくと就活で有利になる資格としては国家資格である「基本情報技術者試験」やその上位資格にあたる「応用情報技術者試験」、ネットワーク系やインフラ系の企業を目指すなら「ネットワークスペシャリスト試験」もおすすめです。
技術営業職
技術営業職も必須となるような資格はありません。
技術営業職の場合はいきなり営業マンとして採用されることは少なく、最初は技術者として採用されて必要な知識やスキルを学んでから営業マンになるのが一般的なキャリアパスとなります。
就活時には「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」の資格があると技術者としてのスキルをアピールできるのでおすすめです。
もちろん、営業職として必要なコミュニケーション能力や課題解決能力といったものも必要です。
【理系におすすめ!】専門職のメリット・デメリット
どんな仕事でも働くうえでメリットもあればデメリットもあります。
もちろん専門職であっても同じです。
専門職に興味を持っている理系学生は専門職ならではのメリット・デメリットも十分に理解したうえで就活に臨むようにしましょう。
専門職のメリット
一般的な仕事に比べて圧倒的に専門性が求められる専門職は、ほかの仕事にはないメリットが多くあります。
では、専門職として働くことにどのようなメリットがあるのか、ここで詳しく見ていくことにしましょう。
信用をもってもらいやすい
専門職として働くことのメリットの1つ目は、企業からの信用を得やすいということです。
一般的に新卒の採用というのはポテンシャル重視であり、仕事に関してどんな知識やスキルを持っているかということよりも、熱意や将来性などが重要視される傾向にあります。
しかし、専門職の場合は資格や免許がなければ働くことができないという職種も多いですし、特定の資格を必要としなくても民間資格などを持っていることで企業からの信用を得やすいのが特徴です。
また、就活だけでなく入社してからのことを考えてみても、多くの企業では専門的に高度な知識やスキルを持つ社員を大切に扱う傾向にあるため、一般職の社員よりも良い給料がもらえるというメリットもあります。
社会的ニーズが高い
医者になるためには医師免許が必要であるように、専門職の多くは仕事をするために資格や免許が必要なため、「仕事をしてみたい」と思っても誰もがすぐに就職したり転職したりすることができません。
ここで紹介した研究開発職やシステムエンジニアなど理系の専門職の場合は資格が不要の仕事もありますが、それでも就活の際には自分に専門的な知識やスキルがあることを採用担当者に認めさせる必要があります。
このように特定の資格や免許を持っている場合や専門的な知識を持つ人は決して多くないため希少価値が高く、企業からの引く手もあまたです。
優秀な人材であれば同業種への転職もしやすいですし、独立の可能性も広がります。
専門職のデメリット
専門職はメリットが多い一方で、専門性の高い仕事だからこそデメリットになってしまうということもあります。
では、具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか。
詳しく見ていくことにします。
他業種への転職が難しくなる
専門職のメリットとして、「ある特定の分野についての専門的な知識が必要になるため同業種への転職がしやすい」と書きましたが、これは裏を返せばデメリットにもなります。
というのも、多くの場合、専門職として働いている人はその分野のことについて深く特化していく傾向にあるので、ほかの分野についての知識はほとんど身につかないからです。
専門職を目指して就職したにもかかわらず、5年、10年と働いているうちに「自分はこの仕事に向いていないのではないか」「ほかの仕事がしてみたい」と思ったとしても、専門性の高さゆえにキャリアチェンジが難しくなってしまいます。
専門職というスペシャリストならではのデメリットと言えるでしょう。
視野が狭まってしまう
これもスペシャリストならではのデメリットと言えますが、特定分野における深い知識が必要とされる専門職では一つのことにあまりにも集中することで、ほかのことが目に入らなくなってしまうということがあります。
深く偏った知識というものは専門職としては仕事の成果につながることがあるとしても、その一方で一社会人としての常識やマナーといったものが欠けてしまうことや世間の常識と自分の考え方に大きな隔たりが出てしまうということにもつながってしまいます。
たとえ専門職であっても新しい技術の開発などではさまざまな視点から物事を評価する姿勢が求められますが、長く専門職に携わっていると視野が狭まってしまうことや物事を一面からでしか評価できなくなってしまうことがあるので注意が必要です。
まとめ
理系学生におすすめの専門職を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回紹介した仕事は資格がなくても就職することができますが、専門性の高い知識やスキルが求められることには違いがありません。
就職活動を有利に進めるためには大学や大学院での専門的な知識を深めると同時に、仕事に必要な資格があれば積極的に取得するようにしましょう。
また、専門職にはメリットもあればデメリットもあります。
就職してから後悔しないためにも、デメリットも十分に理解したうえで就活に臨みましょう。