就職に有利な理系学部は?理学部と工学部それぞれの違いについても紹介

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伊東美奈
Digmedia編集長
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

はじめに

「理学部と工学部は何がちがうのか?」
「就職には理学部と工学部のどちらが有利なのだろう?」
理系への進学を考えている人は、このようなことで迷っているのではないでしょうか。

本記事では、理系の代表的な学部である理学部と工学部で何が学べるのか、それぞれの学部で異なるところと共通しているところ、どのような就職先があるのかなどを解説します。特に理学部については、学科ごとの就職先や業界についても解説します。

この記事を読むことで、理学部と工学部それぞれにある学科の種類とその学科で学ぶことができる内容、将来の就職に向けて取得できる資格などを知ることができ、学部や学科を選択する際に有意義な情報を得ることができるでしょう。

理系への進学を考えている人は、是非この記事を参考にしてください。

理系の進路は理学部と工学部どちらを選択するべき?

大学受験で、理系への進学を考えている人の中で、理学部と工学部のどちらを選べば良いのかで迷っている人もいるのではないでしょうか。どちらも理系ですが、どちらが就職に有利なのか等、わかりにくいことも多いでしょう。

同じ理系でも、医学部や歯学部、薬学部、農学部などは、学べる内容や進路などがわかりやすいですが、理学部と工学部は、たとえば化学のように同じ学問分野を両学部のどちらでも学べることもあり、きちんと調べないと両学部の違いがわかりにくい傾向があります。

本記事では、理系を志望した際に、理学部と工学部のどちらを選択するべきかを決めるための判断材料となる内容を解説します。

理学部・工学部で学べることや取れる資格

理学部や工学部ではどのようなことを学べるのでしょうか。両学部とも、複数の学科が存在して、その学科ごとに学べる内容や取ることができる資格が異なります。

以下では、理学部と工学部で、それぞれの学科と取れる資格を解説します。

理学部の場合

理学部の場合は、大学にもよりますが、大きく分けて5つの学科が存在します。数学科、物理学科、化学科、生物学科、地学科です。大学によっては、地学科がなくて物理学科の中で地学に関することを教えているところもあります。

また、大学院の専攻は一般的には、数学専攻、物理学専攻、化学専攻、生物学専攻、地学専攻となりますが、高分子科学専攻や宇宙地球科学専攻などのように、物理学や化学を細分化した専攻をおいている大学院もあります。

学科の種類

理学部では、基礎的なことを学べることが、各学科に共通しています。数学科は、基礎中の基礎とも言えますが、未証明の数学的課題・仮説を証明するというところに重きが置かれているのが特徴です。

物理学科は、物理現象や自然現象を説明する理論を構築する理論物理学と、その理論を実験の結果を以て証明することを行う実験物理学の2つの取り組みがあります。

化学科は、物質の構成や性質を解明したり、物質の変化を化学反応という切り口で説明したりすることを目的とする学問と言えるでしょう。

生物学科は、生命というものの本質を解明することを目的としていて、分子レベルの小さなところから、集団生態のような大きなところまで、広く学ぶことができます。

地学科は、気象のような地球上の自然現象の解明を目的としていて、地球外の天体や宇宙を対象とした研究を行っているところもあります。

取得できる資格

理学部を卒業することで取得できる資格としては、まず教員免許があげられます。教職課程の授業を履修する必要はありますが、中学と高校の理科や数学の教員免許を取得することができます。

化学科を卒業すると、試験を受けなくても毒物劇物取扱責任者になることが可能です。また、危険物取扱者の甲種を受験する資格も得られます。物理学科卒業の場合は、測量士補の資格が取得できます。

出典:毒物劇物取扱責任者の資格とは|東京都福祉保健局
参照:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kenkou/iyaku/sonota/d_g/shiken.html

出典:危険物取扱者試験甲種|一般財団法人 消防試験研究センター
参照:https://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/qualified01.html

出典:測量士・測量士補国家試験及び登録 | 国土地理院
参照:https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm

工学部の場合

工学部の学科は、大学ごとに多種多様です。大きくは、機械工学関係、電気通信工学関係、土木建築工学関係、応用化学関係に分けることができますが、この分類に入らない学科もあり、またそれぞれの分類の中でも細かく分かれています。

学科の種類

上述の通り、工学部には非常に多くの学科が存在します。理学部は専攻する大きなくくりの学問分野が学科名になっていますが、工学部は学科が非常に細分化されており、特化した内容を学べるようになっているのも特徴とされています。

建築学科や土木学科などは、学べる内容がそのまま学科名になっています。それ以外でも、たとえば機械工学関係のロボット工学科などは、正にロボットに関する内容を学べることが学科名からすぐにわかります。

取得できる資格

詳細は後述しますが、工学部は社会に技術を活かすことが学部の目的であるため、社会で活躍するための資格も多く取得できます。

たとえば電気関係の学科で所定の単位を取得すれば、試験を受験せず実務経験だけで第三種電気主任技術者となることが可能です。また、建築学科卒業者は、二級建築士の受験資格が得られ、教職に関する過程を履修すれば、理学部同様、教員免許取得もできます。

出典:第三種電気主任技術者|一般財団法人 電気技術者試験センター
参照:https://www.shiken.or.jp/flow/chief03.html

出典:二級建築士試験|建築技術教育普及センター
参照:https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/index.html

理学部と工学部の違いや共通点

上述の通り、理学部と工学部では学科の設置や学科名の付け方に大きな違いがあります。理学部は大きな学問分野を学科名としており、工学部は実際に学べる内容を学科名としているところが多い傾向があります。

この違いは、学部の理念から来るものとされており、理学部は自然界の真理の追究を目的として、基礎的な研究に重きを置く学部というのが基本理念と言われています。

これに対して工学部は、科学技術を社会の中で活かすための学問・教育を行うことが目的の学部とされているため、実務に近いところを学べる学部と言われています。

理学部も工学部も理系の学部であるため、自然科学に関する内容を学べるというところは共通しています。受験科目も数学・理科・英語などは両学部とも必要です。学部で学ぶ基礎原理や法則は変わるものではないため、使う教科書も同じであったりします。

【学部別】理学部の就職先や業界

上述の通り、工学部は社会の中で科学技術を活かすことが目的の学部であるため、学科で学ぶ内容が就職先や業界に直結していることはわかりやすいでしょう。これに対して、理学部はどのような業界や会社に就職できるのかが、学科名からすぐにはわかりません。

理学部は自然界の真理の追究を目的とする学部であるため、博士号などの学位を取得して、大学などの研究者を目指す人が多いでしょう。しかしながら、研究者ポストは多くないため、一般企業に就職する人も多いとされています。

以下では、理学部の学科ごとに、大学などの研究者以外の進路として、どのような業界や会社に就職できるのかを解説します。

数学科の場合

数学科で学べる内容は、代数学・幾何学・解析学・統計学があります。このような内容をそのまま一般企業で活かせるかというと、内容が専門的なのでかなり厳しいと言えるでしょう。

数学科の就職先や業界としては、大学で学んだことをそのまま活かすという意味で、大学の研究者以外では、やはり教職に就く人が多い傾向にあります。

また、数学科には応用数学という分野がありますが、そちらはコンピュータサイエンスとの親和性がよいため、IT系の仕事に就く人や、統計学を活かして金融機関、シンクタンクなどに就職する人もいるでしょう。

化学科の場合

化学科には、無機化学・物理化学・有機化学・生物化学などの分野があります。いずれも、自然現象や生体内の活動を分子レベルで解明することを目標としている学問であるため、このような化学反応に関係するメーカーなどの企業への就職者が多いでしょう。

石油化学系の会社や、素材を扱っている会社の研究・開発職などは、化学科出身者が多くいます。化学の基礎知識が必要な化粧品の会社や製薬会社なども、化学科卒業生の進路として取り上げられやすい業界と言えるでしょう。

物理学科の場合

物理学科には、力学・電磁気学・量子力学・統計力学・熱力学などの分野があります。電磁気学を学んだ人は、電機メーカーや半導体メーカーなどに進む人が多いでしょう。また、量子力学専攻では、その知識を活かして原子力関係の会社に入ることもできます。

物理学科では、数学科とともに数学を駆使することが多いため、IT業界でのプログラミングやデータ解析などの仕事に就く人もいます。

生物学科の場合

生物学科では、生理学・遺伝学・発生学・進化生物学などを学ぶことができます。生体、特にヒトに関係する知識を活用するという意味では、食品業界や製薬業界に進む人が多いとされています。

また、遺伝学や発生学などは、自然界の生体と種の保存に関わる内容です。そのため、バイオテクノロジー系の業界を目指す人が多いこともあげられます。

地学科の場合

地学科では、地質学や気象学などの地球環境に関わる内容と、天文学のような地球外の宇宙に関する学問の大きく2つの分野があります。

地球環境系を専攻した人は、建築や土木関係の会社に入る人が多く見られ、地質学を学んだ人は天然資源の採掘のような業務内容もある、石油や天然ガスなどのエネルギー系の会社に就職する人もいます。

就職に有利な理系学部は?

上述の通り、基礎理論を学ぶのが理学部、応用・実践的な内容を学ぶのが工学部という分類分けがされているため、一般的には就職には工学部が有利と言われています。しかしながら、決して理学部が就職に不利ということはありません。

理学部で学ぶ内容は基礎的なことが多いため、広い範囲に応用・適用できるという見方もできます。そのため、工学部のように専攻に直結する業界だけでなく、広範囲の業界に就職できる可能性があると考えられるでしょう。

理学部と工学部の学部選びに迷った際の注意点

理系に進みたいが、理学部と工学部のどちらを選べば良いのかで迷った人も多いでしょう。理学部は基礎的な理論・原理を学べ、工学部は理論・原理の社会への応用を学べるというのが、大雑把な違いと言えます。

原理原則を突き詰めて、自然現象の理屈を知りたいという人は理学部が向いていると言えます。モノづくりが好きで、新しいものを作って社会に役立てたいという人は工学部が良いでしょう。

上述の通り、理学部でも就職に不利になるということはありません。就職のことだけで学部を決めるのではなく、大学で何をしたいのか、どのようなことを学びたいのかで理学部・工学部を選ぶということが重要と言えるでしょう。

理系学部の違いを知って進路に役立てよう

理系学部には、仕事内容に直結するような医学部・歯学部・薬学部・農学部などと、科学技術を広く学べる理学部・工学部などがあります。中でも理学部と工学部は、理系の代表的な学部と言えるでしょう。

きちんと調べないと、理学部と工学部の違いや共通点はわかりにくいところがあります。進路を決める上では、将来的にどのような仕事がしたいのかということはもちろんですが、自身が大学で何を学びたいのかということをよく考えて、学部選択に活かしましょう。

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