【業界研究】商社業界の動向や最新トレンドの分析

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伊東美奈
Digmedia編集長
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

この記事では、商社業界に関する業界研究や最新のニュース、情報を元に商社業界の動向を紹介します。

商社とは「ラーメンから航空機まで」と言われるほど多種多様な商品の仕入れから販売、開発などをありとあらゆる業務を行う企業のことを指します。

商社の過去の歴史から現在の状況、そして最新のトレンドから将来の方向性まで解説をしていきます。

商社業界の歴史を紐解く

商社は坂本龍馬の時代から日本に存在しており、世界的に見ても日本の商社は非常に規模が大きな業界となっています。

編集部注:他のメディアなどでは「商社は日本独自のビジネスモデル」と言われることもありますが、実際には海外の企業でも商社のような企業は複数ありますので、完全に日本独自という訳ではないので注意しましょう。

ここでは、そんな商社の歴史を紐解いていきましょう。

江戸時代 〜商社の誕生〜

1865年坂本龍馬が亀山社中を設立。

当時は会社というより「海軍」のような役割も担っており、長州藩や薩摩藩に対してイギリスから最新の軍需品などを輸入して、販売を行ないました。

その後江戸幕府が終わり、近代的な明治政府が誕生し、明治時代に突入します。

明治時代に入ると、人々は西洋のものに憧れを抱くようになります。

洋服が一般人も着るようになり、牛肉が食べられるようになるなど、急速に欧米化が進んでいきます。

この頃から徐々に海外の珍しい品物を輸入する貿易商人や商社が誕生していきました。

さらには当時の明治政府は単に輸入をするのではなく、「欧米列強に追いつけ追い越せ」と考え、生糸や綿糸、織物を輸出していこうと考えます。

この結果、当初は外国人商人が輸入輸出の多くを牛耳っていましたが、徐々に日本の商社は「輸入」と「輸出」の双方のビジネスチャンスを生かし、成長拡大するきっかけとなっていきました。

第一次世界大戦 〜軍事産業の強化〜

明治後期になってくると、日本は軍事産業が大きく成長していきました。

その結果、重工業に欠かせない鉄鉱石の輸入のニーズが高くなります。

しかし、鉄鉱石は日本ではほとんど採れないため、輸入に頼るしかありません。

そこで、商社の出番が増えて急速に拡大していきます。

さらに、商社の存在感が高まる決定打となったのが、「第一次世界大戦」です。

第一次世界大戦では、日本は戦勝国側(連合国側)につきましたが、その際には大量の軍需品が必要となりました。

日本で輸出のニーズが高くなり、商社の存在感が高まったのです。

これらのことから、大きく輸出する機会が増えたおかげで日本は空前の好景気となり、その流れに乗って商社は成長期を迎えました。

この頃から商社が扱うものが綿花、綿糸、鉄鋼など非常に広くなってきました。

そのため、徐々に専門的な商社が生まれていき、それが今の「専門商社」の原点にもなっています。

第二次世界大戦 〜世界恐慌と戦争〜

第一次世界大戦が終わりを告げると、徐々に戦争の特需がなくなっていき、日本の輸出が落ちはじめることになりました。

戦後の輸出の減少がきっかけで、株価が暴落し、景気が悪くなっていきました。

この結果、第一次世界大戦で大きく成長した商社も次々に倒産します。

この出来事を「戦後恐慌」といいます。

戦争で急激に景気が良くなり、生産を増やし工場を増強したものの、急に戦争が終結することによって、需要が一気に減少してしまい、景気が悪くなってしまうのです。

さらに、1923年の関東大震災がきっかけで、景気悪化に拍車がかかりました。

その後、1930年ごろには徐々に景気も回復傾向に戻り、商社はアジア方面へ力を入れるようになります。

同時期の日本はアジアで領土を拡大するようになり、それに伴って商社も勢力を拡大していきます。

1941年、太平洋戦争に突入。

当然ながら、商社も戦争に巻き込まれていき、大日本政府の方針に協力するようになっていきます。

以前から商社は欧州やアメリカでもビジネスをしていましたが、太平洋戦争に突入したことにより、支店の閉鎖や資産の没収で大きな影響を受けます。

こういったことが影響して商社は自由にビジネスを行うことができなくなってしまい、事業を成長することができなくなってしまったのです。

戦後 〜日本の商社の復活〜

戦後しばらくはGHQによる「財閥解体」の影響があり、財閥系商社が解散させられることになります。

その後、戦後は日本は貧しい時代となりましたが、あることがきっかけとなり驚異的な成長を遂げるようになります。

それは「朝鮮戦争」です。

朝鮮戦争は立地の面からも日本で戦争関連品を確保する必要があることから、特需になり、大幅に輸出が増えました。

さらには、解散させられた財閥系商社の再統合が可能となり、商社が日本経済を牽引して、復活を遂げるようになります。

朝鮮戦争によって勢いを取り戻した日本の商社は、その後も勢いを維持しながら「高度経済成長期」に突入します。

この頃からカラーテレビや、エアコン、冷蔵庫・洗濯機が各家庭に普及していきますが、原材料品の輸入を行なったのも、商社になります。

さらにその後はバブル景気が到来し、株や不動産などによって莫大な利益を上げるようになります。

バブル崩壊

不動産や株価が大きく下がりはじめ、不良債権が大きく増えていったこともあり、一気に景気が悪化し、バブル崩壊しました。

この結果、商社は大きく影響を受けてしまいます。

多額の不良債権などの処理や不採算事業の整理などを行うために、商社同士のM&A(合併・吸収)などが次々と起こります。

この時期には大手商社も倒産するなど、影響は甚大でした。

さらには、当時はバブルの崩壊に起因する不景気のため、商社だけでなくメーカーも同じように苦しんでいる時期でした。

そのため、メーカーは「商社」を介入せず、自分たちで海外販路や原材料の仕入れをしていくようになり「商社はずし」が積極的に起こるようになってきます。

商社はバブル崩壊によるダメージだけでなく「商社はずし」のダブルパンチの影響を受けました。

業界では「商社 冬の時代」とも言われます。

このため、商社は思いきった経営改革を行う必要性に駆られました。

単なる仲介業ではなく、自分たちで事業や資源を開発する必要があると考え、積極的に投資をしていくようになっていきました。

商社夏の時代 現在の商社

商社が事業投資を積極的に行う中、世界では資源のニーズが拡大していきました。

以前「世界の工場」としての役割を担った中国は、徐々に消費者として存在感を示していくようになります。

10億人以上の人口を抱える中国での需要が拡大することによって、資源のニーズは急速に拡大していきました。

中東諸国やロシアでは、火力発電所の燃料や都市ガスの原料になるLNG(液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)の開発に取り組み、インドネシアではレアアース(携帯電話などに用いる希少資源)の鉱山開発に取り組みました。

これらの事業投資は、莫大な利益を商社にもたらすことになります。

この時代のことを、先ほど商社が苦しんだ時代と比較して、「商社 夏の時代」と呼ぶこともあります。

そして、現在では資源だけではなく「事業そのもの」にも投資をするようになっていきました。

例えば、コンビニ事業やスーパーなどを商社のグループに取り込んだり、発展途上国の事業などに投資をしていきました。

今では商社は仲介だけでなく、事業投資なども積極的に行なっています。

商社業界の種類と分類とは?

商社業界は、大きく分けると「総合商社」と「専門商社」の2つに分類されます。

ここではそれぞれの特徴を解説します。

総合商社

総合商社とは「ラーメンからロケットまで」という言葉のように、あらゆる商材を取り揃える商社のことを指します。

実際に、日本で「総合商社」と言えるのはたったの7社しかありません。

その7社とは以下の会社です。

財閥系と呼ばれる会社は三菱商事・三井物産・住友商事の3社となっており、他の会社は繊維商社から総合商社になった会社となります。

詳しい解説は総合商社の記事の中でも行いますので、そちらをご覧ください。

【業界研究】「総合商社」を分析して、業界研究をしよう!

専門商社

次に触れる「専門商社」は国内には枚挙にいとまがないほど数多くの会社があります。

また、この形態の商社は海外にも複数あり、資源メジャーや穀物メジャーと呼ばれる企業などがあります。

ここではその大まかな業界・カテゴリーをご紹介します。

・鉄鋼商社:主に鉄鋼、およびその原材料に関連する商社。

近年では軽くて丈夫なものなど、付加価値の高い鉄鋼商品もある。

・金属商社(非鉄):主に鉄以外の金属を中心とした商社。

レアアースなど、希少価値の高いものを中心に取り扱う。

・機械商社:様々な機械を取り扱う商社。

特にFA(ファクトリーオートメーション)など大型な機械を中心に取り扱う ・電気商社:主に電気部品を中心に取り扱う商社。

センサーや部品、パーツなどを主に扱う。

・繊維商社:主にアパレル向けの天然の繊維・人口の繊維などを扱う商社。

近年では炭素繊維なども取り扱う。

・紙・パルプ商社:紙の原料であるパルプを主に扱う商社。

・化学商社:化学製品や化学原料などの専門的なものを扱う商社。

・エネルギー商社:原油やLNGなどエネルギーを主に扱う商社。

・食品商社:食品を主に扱う商社。

・建築商社:建築資材を主に扱う商社。

など多種多様な商品のカテゴリーがあります。

これらは会社によっては重複したカテゴリーの場合もあります。

専門の商品のみを扱うため、その商品などに興味がある場合には、ほぼ確実にその商品に携わることができます。

商社に向いている人とは?

商社に向いている人の共通点は、以下の2点があります。

この点に合致している人はぜひ商社も検討してみると良いでしょう。

フットワークが軽く、積極的に行動できる気質

商社では自社が何かの商品を作っていたり、サービスを持っているわけではありません。

そのため、商人のように色々な人と交渉したり、話し合ったりすることが多い仕事です。

また、商社の仕事はいわば情報戦です。

そのため、フットワークも軽いことが求められるため、まさに「商人気質」が必要な仕事と言えます。

大きな仕事を成し遂げるためのコミュニケーション力

商社の最大の特徴は、スケールの大きい仕事に携わることができる点。

特に総合商社であれば、当たり前のように数億円のプロジェクトに参加することもできます。

チームで協力しながら大きな仕事を完遂することにやりがいを感じる人には向いているといえます。

これら二つの点に自身が向いていると感じれば、商社をぜひ検討してみましょう。

ただ、総合商社は近年急速に人気をあげている業界でもあります。

メガバンク希望の学生が、メガバンクの採用数の減少によって、総合商社側に流れている現象も発生しています。

総合商社の選考はかなりの激戦が予想されるため、しっかりと準備・対策を行いましょう。

まとめ

今回の記事では、商社全体の解説を行いました。

特に商社は日本で独自に進化した業種ということもありますので、その歴史を重点的に分析を行いました。

商社に興味ある人は業界理解を深めて、選考対策を行なっていきましょう。

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