インタビュー

2019/4/04

リクルートで6年連続MVP獲得・グループ社長の歴任者に独占インタビュー

2019/4/04

大学新聞広告社からもうすぐ創業60年を迎えようとしているリクルート。いまなお就活生からの人気が絶大のメガベンチャー。今回はリクルートライフスタイルとリクルートマーケティングパートナーズの代表取締役を歴任、その後リクルートホールディングスの執行役員を務められた冨塚優さんにインタビューの機会をいただきました。リクルートを卒業し起業で成功した人材を多数輩出するなど、「人材輩出会社といわれるDNAとは何なのか」についてお聞きしました。

<聞き手:西岡(digmedia編集部)>

 

経営者になることは当然、と感じる環境にいた学生時代と会社選び

 

 

今回インタビュー を受けてくださり、ありがとうございます!リクルートにて30年ほど働かれ、グループ会社の代表取締役やホールディングスの執行役員を務められた冨塚さんに、冨塚さんのパーソナルな話から成果を出す仕事の真髄までさまざまなことを伺えればと思っています。どうぞよろしくお願いします!

 
 

はい、よろしくお願いします。

 

 

<プロフィール>

冨塚優。立教大学法学部卒。株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)入社。就職情報誌事業部、営業部門配属後、営業課長・部長を経て、 就職情報誌事業部リクナビ・就職ジャーナル編集長を担当。2012年株式会社リクルートホールディングス執行役員、株式会社リクルートライフスタイル代表取締役を兼任。2013年株式会社リクルートマーケティングパートナーズ代表取締役兼任。2018年よりリクルートを退社し、株式会社Tommyを設立。現在は株式会社イオレや株式会社Gunosyの社外取締役。他に11社の顧問・アドバイザーを兼任。

 

起業が当たり前の学生時代

 

 

まずは冨塚さんが新卒でリクルートに入社した経緯を伺えればと思っています。

 
 

まずは私の背景からちょっと話します。
私は親が同族会社で、おもちゃのメーカーの会社をやってたんだ。
お父さんがその人事系の役員でね。
親が経営者だったから、自分も経営者をやってみたい・会社をやりたいって思っていたよ。

 
 

親御さんからの影響が強かったんですね。

 
 

学生時代はずっと野球をやってたんだけど、途中で体を壊してしまってね。
そんなときに、母校の立教大学で学園祭が今ないから学園祭を復活させたいという先輩に出会った。
それから、いままでの体育会とは全く別の、企画書書いて営業して学園祭の資金を作るという経験をしていたんだ。
そのときに一つ上の先輩が企画書の書き方や営業の仕方を徹底的に教えてくれたんだ。

 
 

今の学生でいう実務インターンで経験するようなことですね。

 
 

大学をまたいでいろんな団体の代表が集まるサークルに、私も立教の学園祭の実行委員長として関わっていたんだ。そのときUSENの宇野さんや楽天副社長の島田さんなどいま会社の経営者をしている人も結構いた。

 
 

なるほど、その頃から未来のリーダーのコミュニティに所属していたんですね。

 
 

そんなこともあって、親からの影響と学生時代に所属していた団体の影響から「当然起業するのが当たり前」という環境にいたんだ。

 

 

 

新卒でリクルートを選んだ理由

 

 

それでは起業することを念頭においた上で新卒でリクルートを選んだ理由についてお聞きしたいです。

 
 

大前提として入社して3年後には起業しようと思っていて。
まず第一に起業するためにはお金がないと何もできないと考えていたので、給与がたくさんもらえるところ。
それから、若いうちからいろんな仕事を任せてもらえるところ。
最後に、「人・物・金」をビジネスにしているところ。とくに見ていたのは「人」をビジネスにしているところだね。

 
 

いわゆるリボンモデルと呼ばれているものですね。

 
 

そんな難しいことではなくて、それは本当にここ10年くらいで言われるようになっただけ。
上の3つをまとめると、 「起業家になるための準備と勉強ができる会社」を就活の軸にしていたかな。

 
 

なるほど、明確に設定されていたんですね。そして人材領域に16年ほどいらっしゃったんですね?

 
 

いまでいう(株)リクルートキャリアへ行きたかった。
当時はリクルートブックの事業が「リクルート」という会社名の保守本流で、広告事業本部と言っていたね。
ここに行かなかったら話にならないと思ってた。

 
 

そうなんですね。主要事業に関わることが大事だということでしょうか。

 
 

それはそうでしょ。
さっき言った団体の先輩たちの中で一番のキーマンだった方が私を可愛がってくれていて、広告事業本部はいいよって紹介してくれた。

 
 

その人はいまマインドシェアという会社の代表取締役をしている今井さんという人なんだけど、いろいろ吸収したいなら「この事業でやった方がいい」だったり、受かった後も「アルバイトするならこの事業をした方が良い」と全て御膳立てしてくれた。

 
 

その方の存在がとても大きかったんですね。

 
 

広告事業に行きたいと思っているけど、配属は自分では決められないから。
今井さんがアルバイト先をセットしてくれて、そこで求人の営業をしていたね。

 
 

つまり、 「人」に関わるビジネスをしている中で、優秀な人たちがいる場所を先輩に聞いて、そこにいけるように狙って根回しして行動した。
さっきも言ったけど、3年で独立が前提だったので、とにかく優秀な人が集まる部署に行きたかったんだよ。

 
 

実現したいことへの行動力と人との巡り合わせが重要ということがとても伝わってきました。

 

 

 

結果の出ない1年目と訪れた転機から学んだ「自分で商品を作ることができる営業」

 

 

 

リクルート事件の影響と運命の出会い

 

 

それでは次は実際にリクルートで働いた話をお聞きしたいのですが、3年で独立したいとおっしゃってましたがそれはどうなったのでしょうか?

 
 

一番大きかったのは、入社した年に「リクルート事件」が起こってしまったことだね。
そのときの私は売れないことを他責にしまくっていた。自分が悪いんじゃなくて会社が悪いってね。

 
 

上司が「ぼくらがやっている事業は素晴らしいことをやっている。人が採れなくて困っている経営者がいて、絶対それを待ってる経営者がいる。」
当時は、嘘つけそんな人いないぞって思ってた。笑

 
 

なるほど、リクルート事件の影響ですか。

 
 

まず1年目では全く売れなかったね。クオーター制だったから年に4回達成率を測るんだけど、4回中1回しか達成できなかった。同期の中で34人いて、33位。34位の人が辞めたから実質ビリ。
1年目の終わりにもう辞めようと思って上司に言いにいくと「最後ちゃんとやりきれ」と言われたんだよ。
そしてその翌々日に運命の出会いがあってね。
下町の会社の社長が「人採りたいんだ」って連絡がきたんだ。

 
 

当時は営業訪問する時に、まず「世間をおさわがせして申し訳ございません」と詫びてから始めるようになっていて。
その社長さんはこちらが謝ると、「これから仕事頼もうと思ってるやつに謝られる筋合いはねぇ!」「すいません!」「だから謝んなって言ってんだろ!」「すいません!」「コノヤロー!」みたいな掛け合いになった。笑

 
 

すごい掛け合いですね。笑

 
 

その下町の社長から大型の仕事をほぼ即決でもらうことができて、さらにいくつかの会社も紹介してくれた。その結果、これまで売上を出すのが精一杯だったのに3日間で約9000万円の売上をあげることができた。
それが転機となって、2年目以降は6年連続MVPになることができた。8年目からマネージャーになったので、それまではずっとMVPだった。

 
 

その出会いが人生の転機になり、将来の方向性を決定づけたんですね。

 
 

売れるようになると仕事の本質というものが見えるようになってきて、仕事が面白くなってくるよね。売れなかったときは困ってる経営者がいるなんて嘘だと言っていたけど、やっぱり困っている会社はたくさんあって。

 
 

リクルートの営業ってただ商品を売るだけではなくて、人を採ることができていないお客さんにどうしたら採れるようになるかという、ある意味コンサルティング営業な部分があるんだよね。
私たちは商品売りをすれば良いわけではないんだよ。
経営者の人にまつわる悩みを聞き出して一緒に解決していく。

 
 

自分を買ってもらうくらいの気持ちということでしょうか。

 
 

売れる営業マンとは、課題解決のために必要な商品を 「自分で創ることができる」営業マン。
なので立場が変わっても配下のメンバーに「自分で必要な商品を創れ」とずっと伝えていた。
営業が面白くなってくると、辞めるなんてことは考えからなくなっていて、いかに困っているお客さんのために自分にできることがあるのかを考えて働いていたね。
そして 売上は自分の価値の対価でもあると感じていた。

 
 

なるほど、営業の真の価値を見出したのですね。

 

 

 

その後のリクルートでの活躍

 

 

そのあとは異動になって営業からリクナビ・就活ジャーナルの編集長として企画系の部署に移った。3年間はその編集企画の責任者をしていたね。
そのあと2004年に「じゃらん」へまた異動になって、そこでは9年いたかな。
当時のカスタマーアクションプラットフォームカンパニーという長ったらしい名前だったんだけど、今のリクルートライフスタイルの前身の社長(カンパニー長)として行ったんだよ。

 
 

営業での成果が評価されていろんな部署へ行かれたんですね。

 
 

後半の3年はホットペッパーの社長を兼務してたね。
旅行、グルメ、ビューティー、学ぶ、通販事業などいろんな事業をつくって、オイシックスやJTBと一緒に関連会社を作ったり海外に子会社を3つ作ったりと好き放題やらせてもらっていた感じ。
そのあとまた突然異動と言われて、リクルートマーケティングパートナーズへ行った。

 
 

なるほど、ここまでをまとめると、入社してから「リクルート事件→転機→MVP→マネージャー→編集長→事業責任者→社長」とどんどん責任と事業の範囲が広くなっていったんですね。

 
 

最後に1つだけいうと、そのあとホールディングス担当の執行役員になるんだよね。
この時点でリクルート内で担当しなかったのは、人事と経営企画くらい。法務やシステム、IR、広報などほぼ全部の役割を経験した。
事業でいうと、やってないのはSUUMOの住まい領域くらいだね。

 
 

これはリクルートの中でもかなりまれなケースなんですか?

 
 

リクルートの中でもこれだけ幅広い職種を経験しているのはほぼいなくて、自分の中でも希少価値だと思ってる。

 

 

 

リクルートが人材輩出会社であり続けるDNAとは?

 

 

 

裁量権のウソ

 

 

ありがとうございます。ここからは、リクルートがなぜ優秀な人が集まってきて、そして社内でも成長ができるのかについてお聞きできればと思っています。

 
 

まず優秀な人ってどういうことかな?全体的に言えることだけど、金融と流通、リクルートでは優秀とされる人間像は異なるよね。

 
 

そうですね。ここで想定していたのは、「ベンチャーマインドを持ち、主体性が強くて、事業を起こす思いを持っている人。そしてそれに行動・能力が伴っている人。」という定義でした。

 
 

そういう人が入ってくる会社ということだね。じゃあなんでそういう人が集まってくるかというと、リクルートにはそういう場があるから。

 
 

というと、よく言われるような若手から裁量権をもらえるということでしょうか。

 
 

それよく言われるんだけど、これはまったく違うと思っていて、 「任せてくれる」というより、これもよく聞くとは思うんだけど「で、あなたはどうしたいんですか?」と尋ねる風土があるんだ。

 
 

そうですね、確かによく聞きます。

 
 

私も新人のときに「これどうしたらいいですか?」と上司に言いに行ったら「どうすればいいじゃなくて君はどうしたいの?」って言われたんだよ。
いや、どうしたらいいのか聞きに行ったのにどういうことだよ。笑 って最初は思ったけどね。

 
 

「んー、じゃあこうですかね?」というと「じゃあそうすりゃいいじゃん」と言われた。
上司からも「なんでそんなこと聞くの?」「なんで?どうして?」とめちゃくちゃ言われる。
社内ではコミュニケーションが全部そういう形式になっていて、慣れてくるともうそれが癖になる。

 
 

自分の中で深く考えを持って自分なりの意見をもって提案する習慣ができるということですね。

 
 

そうそう、自分なりの答えを持たずに質問や提案しに行けない。

 
 

それこそ役職に関係なく、そういう社員が成長していくのは頭の使い方が癖になるというところなんですね。

 
 

私が事業部長や社長をやっていたときによく聞いた話が、若手が「裁量権がないから〜できない」と言い出すということ。
でもさ、裁量権は与えられるものではないんだよ。

 
 

自分で勝ち取りに行くものですか。

 
 

そう。自分で「こうしたいんです」と言いに行くんだ。そこで「じゃあやってみれば?」と言われないのであれば、それはまだ自分に「信頼と実績」がないから。

 
 

裁量をもらえるものというスタンスであれば、そもそも土俵にすら立てていない。

 
 

「裁量権がないからできない」は最悪の言葉。でもそういう若い子が結構いるんだよね。

入ってくる人にも勘違いしてもらっては困るんだけど、裁量権が与えられるわけではない。自分で掴み取りに行くものだということを意識してもらいたい。

 
 

 

 

自ら作り出すという風土

 

 

人材が成長するのは他にも「自ら創り出す」というスタンスがあるからと推測していたのですがこのあたりはいかがでしょうか。

 
 

「自ら機会を創りだし、機会によって自らを変えよ」というリクルートの人が好きな言葉があるんだけどさ、これ実は江副さんじゃなくて専務の森村稔さんがつくった言葉なんだよね。森村さんは博報堂のコピーライター出身でね。江副さんの想いを聞いて、このコピーを創られたんだよ。森村さんご本人から伺った話なので間違いない。笑

 
 

それのおかげでキャッチーになっているんですね。それでも、言語化するまえから風土はあったということですか。

 
 

そういうことだね。

 
 

自ら機会を創り出すというところで言うと、外に出ていって刺激をもらいにいくことが大切かと思うのですがいかがでしょうか?

 
 

ごめん、それどういうことかな?

 
 

自分の固定観念に縛られずに、他の人に触れて自分とは違う価値観に触れることで新しい事業のタネを見つけたりすることに繋がるのではないかと考えていました。

 
 

それは本来的にはリクルートに限らず、どんな仕事・どんな職種・どんな会社でも全部同じことだよね。でもね、ほとんどの会社ではできないんだよ。

 
 

なるほど、確かにどの企業にでも言えることですね。

 
 

それから「事業を創る」ってこともそんな簡単なことではない。
みんないとも簡単に捉えていて、「できないできない」って言うんだけどさ。
アイデアと実行することはまた別のこと。

 
 

言葉に重みがありますね。

 
 

新規事業をとても考えている人たちの中では良く「多産多死」、「千三つ」のような言葉が使われていて。
それくらい基本は失敗することが前提になってるんだよ。それで、最後に形になるかどうかは、自分の覚悟でしかない。
成功は成功するまでやり続けてるから成功してるんだ。
逆にほとんどの人は途中で諦めてるから失敗になる。もちろん、事情があって失敗のパターンと、諦めて失敗のパターンは違うけどね。

 
 

覚悟の部分がすごく大きいんですね。やり抜く力が問われると。

 
 

例えば、世の中には変な人がいてさ、失敗すると喜ぶ人がいるんだよ。技術者とか研究者とか。
彼ら彼女らがなんで喜んでいるかというと、「この方法ではダメだとわかった」「これでまた成功に近づいた!」と言ってるんだよね。

 
 

こういう人が発明したり、イノベーションを起こしている。
事業もそうで、成功するまでやり続けているから事業として成功するってこと。
もちろんリーマンショックのようなことが起きてお金を投資できなくなるとか、なくなく事情があって諦める必要があって、失敗するパターンはあるけどね。

 

 

 

内にこもりすぎず、積極的に社外へと出ていくべき理由

 

 

他にも、「社内と社外の市場価値を一致させる」ということを大事にされているのかなと他のメディアを読んでいて感じたのですがいかがでしょうか?

 
 

一致させるっていうか、まず社内で偉くなっても仕方がないよね。
以前は会社にそんなポスターが貼られた時もあったくらいで。
内向きにの思考になるとダメで、中での成功や失敗で物事をみても仕方ないってこと。
成功していくためには外で通用する力を常に身につけないといけない。

 
 

なるほどです。

 
 

でもね、リクルートの人は実は、意外と内向き思考が強い。
飲みにいくのも中の人と飲みに行くことが多い人が結構いるのが現実。
私はそういうのが嫌いで、外の人とも接点をもつべきだと思ってる。
そしていろんな人とあって自分のものにしていくことで成長できる。
名刺の数も役員の中で代表を抜けば一番多かった。

 
 

外の人と触れて自分を客観視することが大事ということですか?

 
 

客観視というより、知識もそうだし考え方を拡げることが大事だね。思考を同質化させない。

 
 

スタートアップの経営者たちと会った時に「自分はこのままでいいんだろうか?」というお話をされていたものを見かけました。

 
 

ダニエル・キムという人が「成功循環モデル」というものを発表しているんだけど、そんなものをまだ知らなかったときから実はやっていて。
人間って実は、人との関係の質が非常に重要でね。コミュニケーションが取れるようになってくると、関係の質がよくなってくる。
関係の質が高まると、じゃあこの人の話だったら聞いてもいいかなと思えるようになるよね。
そうすると次は思考の質が変わってくる。自分以外の人間ってのがいっぱい入ってくるから。逆に関係の質がよくないと、そんな話を聞いてもそれは違うってなっちゃうだけ。

 
 

他人の考えを受け入れられない、と。

 
 

そう、思考の質も変化しないわけだよ。もしくは同じような思考の人の中でしか関係を築けていなければ、それが増えなければ思考は変わらないね。
いろんな人とコミュニケーションを取ることによって関係の質が高いものをつくる。そうすると、どんどん思考も変化していくのね。

 
 

「関係の質→思考の質」の順と。

 
 

そして思考の質が変わると、考え方が変わったりいろんな考えを持つようになるから、行動の質が変わる。いままでこういう行動しかしてなかったけど違うやり方も試してみようとなれるんだ。

 
 

そうして頭で考えたことを実際に行動に移すこともできるようになるんですね。

 
 

そして行動が変われば、結果が変わる。良い結果が出てくるとあの人の話をきいてこんな成果が出たからもっといろんな人の話をきいてみよう、とまた関係の質が変わる。これが成功の循環モデル。私はあとから理論を知ったが、そのときはまさに自分の経験で感じていた。

 
 

すでに実践されていたということですね。

 
 

いろんな人との関係性を増やして、しかも仲良くなれる人が多いみたいな感じ。
だから中だけを向くなって言いたいわけ。
学生に特に言いたくて。やっぱり学生のうちは同質性が非常に高い。自分の好きなことや自分の心地いい場所にしかいたがらないよね。

 
 

確かに学生は意識しないとそうなりますね。

 
 

私はいやいや先輩に連れられて、こんなところ行きたくないってところにも出向いていたから、だんだんとそれに慣れていってたよ。

 
 

そうして刺激の強い環境を受け入れられる土台が作られていたのですね。

 

 

 

リクルート社内で成果を出すためのクリティカルな働き方の施策とは?

 

 

成長する個々人の行動のマインドセットが非常によくわかりました。次に社内での施策としてはどうでしょうか?会社の働き方を評価する「HRアワード2016」では最優秀賞を取られていましたね。

 
 

本当の意味での「働き方改革」は誰の、何のための改革なのか?を改めて考えてみたほうが良いね。
よくあるのが、それが何も語られずに施策だけが打たれるので、わけのわからない改革になってるものが多い。

 
 

目的を設定することが起点になると言うことですね。

 
 

本来的に、国の働き方改革の目的は、特に安倍首相が言っているようなところで言えば、国力をあげるためなんだよね。今の働き方をより良くすることで国力が上がるってことを目指さないといけない。つまり、現状の社員のパフォーマンスやその成果がより上がるような状態に持っていくことが目的なわけ。

 
 

目的がとても明確になりました。

 
 

じゃあ何を変えるかというと、従業員の働き方を変える。
でも多くの企業はどのように従業員の働き方を変えれば効果的なのかきちんと測らずに制度を定めていたりするんだよね。

 
 

従業員によっても働きやすい環境というものは違いますもんね。

 
 

そうそう。他の会社がうまく事例を研究する価値はあるよ。
でもそもそもどの会社でも社風が異なるので、他社のものをそのまま持ってきても仕方ない。では、なぜリクルートではそれが成功しているか?
それはリクルートは成果主義だからだね。

 
 

成果主義だから、ですか。

 
 

「決められたパフォーマンスをちゃんと出してくれれば本来はそれで良い」と言うこと。これがベースにあるかどうかが違うんだ。

 
 

なるほど。もう少し詳しく伺いたいです。

 
 

入社の段階での企業と人のミスマッチを解消するためのエントリーマネジメントが全然違うんだよね。
要は性善説と性悪説の違い。
「従業員は働くもの」と考える人と「従業員はサボるもの」と考える人では普通に考えて価値観がまったく違う。

 
 

リクルートには前者の人が多い印象を持っています。

 
 

リクルートの中にもどっちもいるんだけどね。それでもやはり前者が多い。
わからないけど、他の会社は後者が多いんじゃないかな?
リクルートはエントリーマネジメントを信じているから、黙ってると働きすぎちゃう人が多いということが前提になっている。

 
 

働きすぎる前提だからこそ休暇の設計などがなされるということですか?

 
 

本当は、休暇を取るとらないのもどっちでも良いんだけどね。法律に違反しなければだけど。
ただ、パフォーマンスは約束しているものだから、もちろんそれは責任を果たしてもらわないと困る。
もうこれは「プロフェッショナルの概念」になってくるんだ。

 
 

成果を出す職人という感じでしょうか。

 
 

それでも自立できる人と自立できない人はいるわけでさ。マネジメントは自立できない人がいる前提で制度はつくらないといけない。

 
 

自立できない人が置いていかれてしまうんですね。

 
 

なので、法律は絶対守る。その上でマネジメントをするわけ。
あと、私がよく言っているのは、今やってる仕事を短い時間でやって、浮いた時間で自分がもっと面白いと思うことにチャレンジした方が良いってこと。

 
 

先ほど言っていた外に向くという話に繋がってきますね。

 
 

リクルートマーケティングパートナーズにいたときは、よく「2枚目の名刺を持て」と言ってたよ。副業も全然OKってね。社内だけでなく、それ以外で名刺作れるのか?っていうのは大事なことなんだ。それは仕事になってないことでも全然大丈夫で。

 
 

「2枚目の名刺」。外に向いているかどうかを測る指標にもなりそうです。

 
 

じゃあ自分はどうなんだって言われたときに答えているのが、
「立教大学観光クラブ副会長」「自治会副会長」。それに人材育成塾「寺子屋オーナー」って言ってるよ。笑

 
 

他にも「日本一宿に詳しい男」という名刺を作れるって言ってたね。自分より泊まっている人は片手くらいしかいないってくらい自信があったから。年間226泊してたからね。
その他にも「予約が取れないお店で食べたベスト10の男」だったりね。そういう名刺が何枚作れるんだと言っていた。

 
 

自分の考えようにもよりますからね。

 
 

つまり何が言いたいかというと、社内以外である部門に特化して突っ込んだ経験があるのかどうか。実はそれが結局本流の仕事に返っていくものなんだ。そういうことが自分の時間のシェアを変えて、新しい知識を増やして、結果会社にも貢献できるってこと。

 
 

なるほどです、ありがとうございます!

 

 

 

地域貢献事業を目指す冨塚さんのこれからとは?

 

 

最後に、今現在はリクルートを退職され、ベンチャー企業の社外取締役などを複数務められていたりもしますが、これからやっていきたいことは何でしょうか?

 
 

来年会社つくって、別の会社をM&Aしようと思っている。その会社で、地域貢献できる会社にしていきたいね。
M&Aをするのは、一から会社を作っている時間がもったいないから。
その事業では地域に人がいっぱいくるようににしたいと思ってる。

 
 

いまはインバウンドの数も増えてきていますし、2020年の東京オリンピックなどそのあたりも見込んでのことでしょうか。

 
 

まぁそうなんだけど。
今後この国はどうなると思う?何で食べていけると思う?

 
 

ラグビーW杯や大阪万博も確定したこともあるので今後は観光業がいっそう強まるのかと感じました。

 
 

いま私の息子は4歳なんだけど、30年後彼が34歳になったときにどうなってる?
まず人口は今後2000万人くらい減るよね。
じゃあ平均年齢は何歳になる?ってことをいろいろ考えていくと、海外から人を引っ張ってこなきゃダメだと思ったわけ。
あと、東京などの都市一局集中の経済圏ではもうダメだと思ってるんだ。

 
 

なるほど、まずは日本の未来についてしっかりと知ることが必要ですね。

 
 

そうなってくると、農業と観光がもう少し発展していかなきゃいけないと思ってる。人が地域に移動することによって交流人口を増やし、そこでお金を落とすようにしないと限界集落もどんどん増えていってしまうからね。
ちなみに日本の森林売買をされているうち、その4分の3を中国人が買っているって知ってる?

 
 

いえ、知らなかったです。

 
 

これって実は水の確保のためなんだよね。中国って領土が広い分、水の確保に困っているんだ。中国人から見ると農業とか食べ物の観点で日本のものって素晴らしく安全で美味しい。

 
 

木材として購入されているのかと思いましたが、こんな背景があるのですね。

 
 

そういうことに日本人はもっと敏感になったほうが良いわけ。日本人は自分たちが持っている資源を生かした方がいい。
もちろんITの活用やテクノロジーの進化も当然必要なんだけど、それでもこの国らしさ「日本らしさ」とは何かを考えないといけない。

 
 

日本らしさ、ですか。

 
 

ITを使って農業をもっと効率化するべきだし、それができないともう日本はやっていけなくなってしまうね。

 
 

これからの日本の未来の課題を捉えて、いかに支えるかというところに想いを持って行動されているのですね。

 
 

そう、だからその中で私は地域の交流人口を増やしていきたいと思ってる。

 
 

新卒入社当時に描いていた起業を、リクルートの経験を最大限活用していまついに実現に差し掛かろうとしているんですね。

 
 

今回は冨塚さんのリクルートに入社した頃の転機や、リクルートで活躍している人が意識している仕事への向き合い方や、リクルートに限らずビジネスマンとして成長していくための仕事の真髄とも言えるようなマインドセットを伺うことができました。就活生にとっても内定をもらうことがゴールではなく、入社後の働くイメージを持つことができるようになるのではと思っています。

最初から最後まで大変貴重なお話を聞かせていただき、大変参考になりました。
ありがとうございました!

 
 
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